THE ONE - i promise love of the eternity


ネジが去ったあとのここは先ほどまでの和やかな雰囲気からは想像もつかぬほど重たい空気に覆われた。
ネジを見送った二人は暫く無言で、そしてようやくどちらからともなく口を開いた。
テンテンは一つため息を吐く。

「私、これでよかったのかなあ……って。 同じ班だから何かしてあげられるならしたいと思ってたんだけど、なんか…、リーは、あのときのネジの顔見た?」

あのときのネジの顔。
実はリーは見てなどいなかった。
顔など見なくてもネジの声のトーンから悲しみに混じる少しの感情の揺れが、リーには手に取るように分かる気がしていて、見なかった。
そして拳を震わせて俯いていたから見れなかった。

「見てないです……」

「そう。でね、ネジのあの顔見たら、ネジにはもっと必要な人がきっといるんだって思い出して。これでよかったのかなあ」

「あのネジが、それだけ全幅の信頼を寄せられる人なのだから見送って正解なんですよ」

「うん……。 ネジ、また離れちゃった気がするね。せっかく、……せっかくガイ班三人、こうしてまとまってきてたのにさあ……! なんだか悔しいなあ……!」

テンテンは優しい人だ、とリーはしみじみ感じた。
昔から己とネジの仲を取り持ってくれたり、班のことをもしかしたら一番に考えてくれてたのはおそらく彼女なのではないかと思うと、こうして望まぬ運命によって再びネジが引き離されるのはどうしても悔しいのだろう。

「ネジも、自分できっとそれを感じてたから、だからボクは永遠にネジを追いかけるって言ったんです。そしたら少なくともネジが一人だけ“先へ取り残される”ことはありませんから!」






────夕方の商店街。
ワイワイと賑やかなのがネジには若干鬱陶しくも思えた。
だがなぜこの道を歩いているのだろう。
この、木ノ葉の中心街を、なぜ歩いているのだろうか。
期待があるからではないのか。
いま一番会いたい人に出会える可能性が大いにあるこの場所に。

周囲の賑やかな人だかりから、切り離されたかのような白黒の存在に、あいつなら絶対に気づいてくれる。
予感というには、あまりにもはっきりとしていた。
確信にも近いそれを心の片隅に追いやり、耳障りな街をただ歩くだけ歩いてみた。
俯いていたから、足元しか見えなかったのに、ネジはすぐに気づいた。
オレンジの足元に胸が震えて、ネジは期待とは裏腹にそのまま通り過ぎてしまった。
通り過ぎようとして、袖ごと、腕を強く掴まれた。
そして、心のどこかで大きく期待していた言葉を投げかけられたのだった。
だが天邪鬼なネジは、そんな甘い囁きに従う心なんて到底持ち合わせてなどいなかった。
ようやく理性を崩せたのは、悩み疲れたことと、これもまたネジがどこかで望んでいた性行為によってだった。






前回の補足的な、掘り下げ的なものと、それと『1』に繋がるまでの話です~~







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