13歳


『十三歳』って、特別な感じがするよな。

なんかさ、大人にかなり近づいたって感じっつーか!
大人ってのは言い過ぎかもしんねーけど、少なくとも子供扱いはされなくなるんじゃねーのかなって。

こんなオレだって、色んなこと経験してさ、一歩一歩、ちゃんと大人になっていくんだ。

十三歳になる今日は、その最初の一歩だって気ィすんだってばよ。




◇◇◇


「十三歳ってさ、特別な感じしねーか?」

一つ歳上のネジに、心の中にいっぱいだったことをぽろっと訊ねてみた。

ナルトの唐突な質問に、一つ歳上の彼はやはりよく分からなさそうに片眉を少し釣りあげて眉根を寄せている。

「……そうか?」

「もう正真正銘、子供じゃないって感じでさ、ほら! よくティーンエイジャーってゆーじゃん!!」

「子供扱いされるか否かは、歳の問題と言うより本人の精神年齢の問題じゃないか?」

「んー!! や、そーいう事じゃなくて、いやそうなんだけどさ……。実際に十三歳になることでよ、初めてその、“そう” なれるようにしようって決意するっつーか?」

「形から入るということか。まあ分からんでもない」

「だろー!? やっぱり、十二歳と十三歳じゃ全然、響きが違くてちょっとイイ感じするよな!?」

「……オレはもう十四だが」

「そりゃ知ってるってばよ! ヒナタとひとつ違いなんだろ? 前に試合の時そんな感じのこと、お前言ってたし」

「ああ……」

「とにかく十三歳になったからにゃ、なんか特別なこと起きたらいいなーって思うってばよ!!」







◇◇◇

以前、そんな会話をしたものだ。

ナルトは十三歳のこの年、色々なことを経験して学ぶこととなった。
闇へと、独り向かっていった親友との別れ。
好きな女の子に対する、気持ちの微妙な変化。
そして近いうちに育った里を離れて師と旅に出ることが決まっている。


ネジとのそんな会話を思い出したのが、キッカケだったかもしれない。

ナルトは元より、ネジも澄ました顔をしているのに、そういう事に全く無関心というわけではなかったのだろう。

『特別なこと、したくねーか?』

ナルトの誘いにネジはほんの少しだけ躊躇いの色は見せたものの、意外にもあっさりと承諾したのだった。
そんなネジのワケについて知るのはもっと後になってからだということをまだナルトは知らない。

しかし、今。
そんなワケがわからないながらも、なぜか己に対する態度が日々変わりゆく彼にナルトはささやかな興味を抱いた事実。
知りたいと思うことに突っ走る止められない好奇心。


相変わらず偉そうな態度だけど、でも、
だってさ、こういうネジは嫌いじゃねぇから…。
変わろうとしてんだよな、たぶんネジも。




十三歳になって、だんだんと坂を転げ落ちるようにして色々なことに打ち当たる。
ナルトは色々なことを経験していく。

そう、色々なことを。



THE END








ちょっと複雑なナルト。
ナル誕で書いてたはずなのになんで暗いんだ……!!
ちょっとした気の迷いでうっかりナルネジしてくれ〜〜って私の願望ダダ漏れです。

2部で再会したときのネジの「ナルト…」っていう呟きと焦り顔からきっとナルトが旅立つ前にこいつらなんかあっただろっていう私の中で勝手に決定事項になっている(でも気にしてるのはネジだけでやっぱりネジは死ぬまで片想い😭)
死ぬ前にナルネジ成立させるならもう、あれじゃん、"ちょっとネジのことも気にかけてますよ感が比較的強いサスケ奪還編の13歳ナルト" に賭けるしかないっていうか、だからナルトが旅立つ前の3か月ぐらいの間はナルネジ既成事実を作りやすいですね。

(そういやアニボルでツーショットあったしな……? )




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