SLOWLY & RAPIDLY



こうやって、何もかもを他人に預けてみるというのはなんとも不思議な感覚を覚える。



二人してベッドに横並びで腰掛けるオレとナルトというのも客観的に見るとなかなか奇妙な光景なのかもしれない。

左隣に座る自分よりも小柄な体に、かつてないほど寄り添ってみる。
今、オレたちは床に着いた爪先から、脛、太腿、小指、腕から二の腕、肩、どこもかしこも触れている。
そして、奴の右の肩口に頭を預けてみる。

そこに剥き出しの額を押し当て、顔をうずめてみた。

トクン、トクン……

胸の鼓動と、微かに息を飲む奴の喉の音と動きが敏感にオレの鼓膜に語りかける。

こんな感情、例えようがない。
胸が騒がしく高鳴るのだが、それ以上に、どうしてか心が落ち着く。

なぜ奴はなにも言ってはこないのだろう。
オレが、こんな異常な行動をしているというのにも関わらず、奴はされるがまま。

ナルト。

お前も今、オレと同じ気分だったりするのだろうか?
もし本当にそうならば、それはとても幸せなことなのかもしれない。


肩口に額を押し当てたまま、上へと滑るようにして奴の幼い首筋に鼻先を掠めた。

「…っ、」

奴の少し汗ばむ質感を嗅ぎとれば、カッと身体中が熱を帯びる。
奴の首筋に鼻先を掠めたまま、そこからさらに上へと近づいた。

奴の耳元近く。

ナルトの汗ばむ横頬に、オレの鼻先と横頬が触れる。
そしてオレの唇の端も触れていた。
仮に今、オレがこの多幸感にほんの少しでも笑みを作るようなことがあれば奴はすぐにそれを自身の頬で感じ取ることだろう。


しばらくして、この状況に耐えかねたのかナルトが僅かに身を捩った。

すると、どうだ。

なぜか、奴はこちらの方へと内向きに身を捩ったおかげで、オレの唇はナルトの頬にしっかりと触れてしまっていた。


これは受け入れてもらえたということなのだろうか。

奴も望んだのだろうか。

せっかちな奴のことだから、オレの躊躇いがちなスローテンポな行動が焦れったいと思われただけか。



時間にしてせいぜい一、二秒といったところか。
永遠にも似た短い時間を惜しむようにして、特徴的な三本ヒゲの頬から唇を離した。


「……っ、!?」

次の瞬間、奴はガバッと音が鳴るほどに勢いよくオレの肩を掴むようにして引き寄せてから、呪印が剥き出しの額にキスを返した。

それもやはり余韻に浸る暇もないほどの短さで離れていき、次には互いにかわす瞬間も見い出せないままだった、言葉を紡ぐ場所と場所とが触れ合う。


「まだ早い」
と、頭で誰かが何度も何度も繰り返してくるのを聞こえないふりをした。
恐らく、オレもせっかちなんだろう。
どちらともなく次第に息遣いは浅く速くなっていく。


まだ知らないようなもっと奥で、奴を知るというのは一体、どういう感覚なのだろう…………?




THE END





『ナルトの右肩はネジの場所』だと何か月か前に萌え語りの方で連呼してたのをふと思い出して、せっかく思い出したからと、ナルトの右肩や胸の中にネジをひたすら収めてみました😌💓
そしたらなんかネジがムラムラしてる話になったぞ🤔

しっかしナルトが喋らないな……!!!??
でも、そういう雰囲気のときって意外とナルトは黙りそうと勝手に私は思ってます。






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