ある夏の日の追憶 - 向日葵畑の思い出 -


オレは……、ナルトの背中を追いかけても追いかけても眩し過ぎてたまにお前を見失いそうになってしまうんだよ。
オレにはお前が必要だというのに。
お前がいなければオレはどこを向いて生きればいいのか分からなくなってしまうよ。

しかし、ナルト……。
お前は、白眼など無くても、その青い目で、オレが何処にいようともきっと……

見つけ出してくれるんだろうな………。



◇◇◇

────初夏。

拭っても拭っても汗が吹き出すような蒸し暑さ。
こんな日でも忍なので任務は任務。

本日は七月三日。

誕生日だというのに任務に当たることをネジは少しも気にする事はない。
むしろ久々にナルトと共に任務に就くことにネジの心は、柄にもなく高揚していた。



任務の最中に二人してどこかに迷い込んでしまった。
二人が薄暗い森を抜けると開けた場所が見えてきた。
そこは陽の光が燦々と降り注ぎ、一面に空を見上げて咲く大量の向日葵。

「わっはー!!! すっげー!!! あんなにヒマワリがたくさん咲いてるってばよッ!!」

ナルトは目を輝かせてそこへと興奮気味に走り出した。

「あっ、おい待て、ナルトっ」

ネジは走り出したナルトを制止しようと手を伸ばすが次の瞬間には、まあいいか、と思い直して伸ばした手を下ろした。
そして、ネジは小走りでナルトのあとを追った。


上には澄みきった青空。
そして目の前は一面、鮮やかな黄色い世界。
見事な夏のコントラストがネジの白い瞳に焼き付いて離れなかった。

そうしているうち、ただでさえ背の小さいナルトは、背の高い向日葵の色彩に紛れてあっという間にネジの位置から見えなくなってしまった。

「……おい、ナルト? どこだ……?」



◇◇◇

(──あっ、やべ。ネジ置いてきちまった……。あいつどこかな……。あっ! いたってばよ)

キョロキョロと辺りを見回してナルトの姿を捜すネジの背後からナルトがニヤリと笑いながら忍び寄った。

「ネジーッ! 見つけたってばよッ!!」

「……!! ナルト……。全く、はぐれるな……」

「でも、オレがはぐれたとしてもお前の白眼で見つけられるだろ?」

「……まあ。そうだな。だが、それでも、あんまりオレの前から居なくなるな………」

「ん、そういや任務中だもんな。ワリィ…!」


そうして二人は、程なくして任務地への道に戻った。
ただの、ある夏の日のなんてことは無い出来事。
ネジの誕生日のささやかな出来事。

ささいな日常の風景に消えそうになる光を手繰り寄せて、いつしかそれが己の命よりも大切だったと気づく。

ネジが最後にちらりと振り返り、一人で見た向日葵畑。
永遠に忘れられない夏の日のコントラスト。

黄色い花が地上を彩り、青い空はどこまでも大きく広く、そこに浮かぶ大きな大きな白い雲は佇むようにして地上を見守っている。



ある夏の日を追憶した。
白い光に焼き付いて消えない永遠の記憶。





THE END






ネジ、お誕生日おめでとう!!
あんまり明るくない話になったし、短い文だしで満足に祝ってあげられてない気がする…!!
ナルネジの永遠性が私の大好物で生きる源です…🧡🤍





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