6. 死別




愛した人の腕の中で逝くこと出来る。
愛した人を守って逝ける。
死に方は自由なのだ。

十八年の人生を少しだけ振り返ってみると、大半を恨み憎しみで生きてきたんだと再認識する。

だが、それでも今日までの数年間は、心の空は晴れていたではないか。





6. 死別



ナルトに出会い、ネジは救われて、僅かの年月だったがお互いを本気で愛し合う関係になった。
そして、今度はネジがナルトを守った。

もしかしたら、これは独りよがりなのだとネジは思ったが、やっとナルトに恩を返すことができたのかもしれない。

自分自身を救ってくれたナルトに、どれほどの感謝を持っているか、きっと誰にも想像つかないだろう。



(こんなに胸が熱くなる感情を抱いたのは生まれて初めてだった……。最初で最期の恋がナルトで良かった)

あの時の抱擁と口付けを思い出して、瀕死のネジの体に熱が湧いた。


(きっとこれこそが、ナルトによって変えられたオレの運命の結末なんだろう)


ナルトの声が震え、

“なんでオレなんかに”

と問いかけてきた。


これは、はっきり言ってネジ自身でもたった今気付いてしまった感情である。
ナルトの命の一部になっていたことを、たった今気付くのだった。

ネジがなにより嬉しくて誇らしく思うのはナルトに誉められたこと。
里の英雄に天才だと誉められて嬉しくないわけない。

否、里の英雄など関係なくネジは、“ナルト” に誉められることが、何より嬉しいものであり、心を奮い立たせられるのだ。


だから、ナルトの問いかけに返す一番良い言葉はこれしかない。


「お前に……天才だと言われたからだ」


最期の力を振り絞って笑ったが、ナルトにはネジのその顔は見えていただろうか。


そして、額の呪印が消えた。


ナルトの肩には、先ほどまで生きていたものと実感させる体の重みがずしりとのしかかる。


幾度か抱きしめたこの体に、今はもう生が宿っていないことを実感させられた。




今になってふと考える。

ネジとはどんな関係だったのか。

12の時中忍試験でお互いぶつかり合って、その後ネジから個人的に会いたいと言われて、頻繁に会ううち仲良くなった。
そしてサスケを連れ戻す任務の後、初めて傷だらけのネジを愛しいだなんて感じて抱きしめ、知らず知らずのうちにお互いの家を行き来して、喧嘩してキスをして、そしてあいつは死んだ。


いったい、この関係はなんと言うのだろうか。
抱擁してキスをしただけの関係。


(奇妙なものだな……)


死別などという形でこの関係に終止符を打たれるなどとは、出会った頃思いもしなかった。


(オレがネジのことを忘れることがない限りこの関係は消滅はしないからな……)


何年経った今も、ネジを抱いた体の感触を生々しく思い出せるのだから。





♢♦♢

この関係はオレたち以外誰も知らない。

そして今や、オレ1人しか知らない事。

そして、未だそいつの事を思い続けていることも。

この関係は消滅などしていない。




THE END







ナルネジエターナル*\(^o^)/*

もっとヘビーなのを書こうとしてましたが、頭の中の重たい雰囲気を言葉にできないです!





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