お前のためじゃない


「わりィ、誰か部屋の掃除手伝ってくんねえか?」

ナルトが困った顔をして、手を合わせてお願いしてきた。

オレたちはナルトの家で遊んでいた。
かつてサスケの奪還任務に携わったメンバーでトランプをしたり雑談したりしていた。
因みにトランプで一番弱くすぐ負けたのはオレだ……。解せない。

「まァ、こんな汚い部屋にいたんじゃそりゃそろそろ掃除しなきゃって気にもなるよな」

キバが皮肉混じりでそう言う。

「そうじゃねえってばよ。この前任務の打ち合わせでサクラちゃんが来てよォ、床に置いてあったオレのパンツに滑って転んで、その時、転んだところに目の前にあったらしいカップ麺の容器の中にゴキブリがいたのを見てしまったらしくて、サクラちゃんにゲンコツ食らって、流石にヤバいよなぁって思ったんだってばよ……」

「……それはヤバいな。サクラ怒らせるとこえーもんな。はあ、どうせやる事もないし片付けようぜ~。メンドくせーけど」

「シカマルに賛成。ボクもこんな汚い部屋で物を食べるのは嫌だよ」

「そうだな。 オレもこの部屋クッセエしさっさと片付けたいぜ。な、赤丸!」

「ワンッ!」

一同はこの部屋の有様に耐えられないらしく片付けるのを手伝うそうだが、


「……オレは手伝わないぞ」

「「え?なんで?」」

キバとナルトが口を揃えてそう言った。

「部屋ぐらい自分で片付けてはどうだ」

「ネジ、お前トランプ負けたから拗ねてんのか?」

キバが苦笑しながらそう問うた。

「……違うッ! 部屋ぐらい自分で片付けられないようでどうするんだ。全く、サクラがキレる理由もわかるな……」

トランプのことはもちろん、物凄く悔しかったのでそこを突かれてムキになりかけたが、話はそこじゃないだろう!

「……まあまあ、アンタの言いたい事も一理あるけどよ、コイツ自分で片付けれるぐらいなら最初からこんな有様にはなってねえよ。だから手伝ってくんねえか? 五人でやりゃすぐ終わる」

シカマルも苦笑しながら宥めてきたが……、

「……シカマル、ナルトを甘やかすな。だから、友人に甘えていつまでも自分で片付けられなくなるんだ」

ナルトは自分が原因にも関わらず、ヤレヤレといった顔をしたが、その後すぐに申し訳無さそうな顔をした。

「……ネジ、本当わりィってばよ。せっかく遊びに来てもらってんのに。片付け手伝ってくれたら、お礼に一楽のラーメン奢るから……!」

ナルトは本当にすまなそうな顔をしながらオレの顔を伺い、そう言った。



「…………はぁ、今回だけだぞ。あと一楽のラーメンじゃなくて、オレはにしんそばの気分なんでな。礼ならそっちにしてくれ」

「ネジ……、あぁ分かったてばよ! サンキューな!」

「……ほら、早くそこのゴミを集めろ、ナルト」

ナルトとネジ以外はみんなぽかーんとしている事に気づかない二人。

「なぁ、ネジあっさりオッケーしたよな」

「オレが宥めても耳を貸さなかったのにな」

「ボク、前々から思ってたんだけどネジって時々ナルトに凄く甘いよね~」

「……確かに」


「……何をしているんだ、お前たちもそんなところで突っ立てないで手伝わんか。夕食が遅くなるだろう」

「ハイハイ、にしんそば早く食べたいネジのために掃除さっさと終わらそうぜ~みなさん~」

シカマルはおちょくるようにそう言い、自分の周りあったゴミを袋に詰めていく。

「……にしんそばの為じゃない。ナルトのためだ……。あっ……じゃなくて! にしんそばのためだ!」

「ククッ……どっちだってばよ……!」

これにはナルトも苦笑するしかなかった。

「お前ら、オレをおちょくっているのか!」

「ネジってば、反応おもしれえんだもん。ムキになるからいけねえんだってばよ!」

「……ムキになどなっていない!」


ネジ以外の、笑い声が部屋に響いた。

部屋に射す光が橙色になってきた頃、部屋は五人の力ですぐに片付き、ネジがよく行くという蕎麦屋へと向かった。
歩く五人の影が地面に伸びていた。




THE END





後半から視点が変わっとる〜!!

ナルトには甘いネジ!
ナルトの頼みなら最初は自分の意に反する物は断る物の、やっぱり断れないネジ。
ナルトは無意識的にネジの扱い方を分かってる。
ナルトはネジやサスケみたいなクールな天才さんの扱い方を無意識に分かっていたらいいなという願望。
あとネジは男子メンからは弄られキャラっぽくなってる気がする。
トランプで遊んでるシーンみてそんな気がしました~笑





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