考え方


「お前ってさ、オレとヤるときと風呂とか以外でデコ見せねーよなァ」

ネジは、例えば休日などで、額当てをしないようなときでも殆ど何かで覆い隠していて額を剥き出しすることはない。
それはなぜか。
ネジは、少しの間ナルトの問いに対し、改めて自分の中でそれを整理をし言葉を選んだあと、口を開いた。

「額に『私は奴隷です』とでかでかと書いて街中を歩くようなものだからな……」

「………」

「いや、奴隷はさすがに言い過ぎたな。お前に分かりやすく言うなら『落ちこぼれ』と額に書いて歩くようなもんだな……。それは、嫌だろう…?」

そんなものを見せびらかして外を歩くなんて惨めではないか。
周りがそんな事を思うか否かではなく、あくまでネジ自身の気持ちの問題だ。

端的に言えば、コンプレックスでもあった。
どれだけ天才と言われようが、どれだけ顔が整ってると言われようが、いまや宗家にこの呪印の印を結ばれることはないと分かっていても、未だに、自身を縛るものが忌々しく目立つところにあるのはどうしたって、嫌でも実感させられる。
言わば、体にきつく括り付けられて引き剥がせない時限爆弾でも抱えているような、これは日向の呪印を刻まれた者にしか分からない閉塞的感覚。
いつ、自分が自分の知らないうちに印を結ばれて死ぬやもしれない焦燥と恐怖。


「じゃあさ、お前はオレの前では『落ちこぼれです』って面を見せられるのか?」

「……お前の前では天才でいたいとも思っている。だが、お前はオレの弱い面も知ってくれている……。だからかも知れない……。まだ少し怖いんだ…」

「お前の呪印は、(オレのとは違って)力を与えてくれるワケでもないもんな……。それどころか、お前をカンタンに殺せちまう。そりゃ好きにはなれねーってばよ」

ナルトはネジの額にかかる髪を上へと掻き上げると、なだらかなそこを指で撫でる。

それは、生の証でもあった。

「でもよ、考え方しだいだってばよ」

「………?」

ナルトは晒されたそこに何度かキスを繰り返した。
なぜか、口にされるよりも恥ずかしくてネジは俯き頬を赤くした。
何か言葉を発したいのだが、何を言えばいいのかまとまらない。


先ほどナルトがこの額の呪印は力を齎すことは無いと言ったが、それはいとも簡単に覆されてしまった。
思い出すたび、ナルトの温もりを感じられる。
それは、ネジの力になる。
恥ずかしいぐらい口付けされた額にそっと触れた。
自然と笑みが溢れていて、前よりもちょっとだけ呪印を好きになれたような気がした。



THE END






たまには甘い感じのを……。
ふと思ったのは、このサイト甘々なものほっっっとんど無いな?と思ったので
たまにはナルトさんにネジさんを、まともにギトギトゲロゲロ甘やかしてもらおうと思いました。





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