取れない


小さな体を思いっきり伸ばして、つま先をプルプルと震わせる。
腕を思いっきり上げて指先が目当てのものに触れるが、掴めない。

「なんでこんな奥にあんだってばよッ……クッソー、取れねえ……!」

「ナルト、少し退いていろ」

別のところで作業していたネジが見かねてナルトに踏み台から降りるように促す。
ナルトは、ムウと顔をしかめてフンッと鼻息荒く、それをかわすと、再び腕を伸ばしてみる。
ネジは呆れて溜息をついた。

「……そんなことに時間を取られるより、他の作業をしてほしいのだが」

「うっせえってばよ! もーちょいで取れるんだってばよ……!!」

ネジはナルトの無防備に垂れ下がる左手を掴むと踏み台から引き降ろした。

「……なっ、何すんだってばよ!?」

ネジは、踏み台に足を乗せて、軽く踵を上げた。
目当ての物がすっぽりとネジの手に収まる。

「ほら、取れたぞ。 持っていろ」

「なんかムカつくってばよ~~!!」




THE END





小ネタ。
物が取れないのを悪気なしにネジが取ってしまってナルトのご機嫌損ねる話です。





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