3. 衝突
二人が再開したのは、風影奪還任務の時であった。
ネジは色々複雑な感情が混じり合って一言ナルトの名前を呟くことしか出来なかった。
3. 衝突
二年半経っても、あの時交わした個人的に会いたいという思いは忘れられていなかったのが凄く嬉しかった。
あの時とは違い共にそれなりに忙しい身となったが、時間を見つけては二人で会っていた。
二年半経っても変わらない関係が嬉しかった。
だが、親密に付き合うようになって分かることもある。
もともと、性格が正反対の二人。
愛だけではどうしようもない性格上の衝突が表面化してきた。
互いに愛し合ってるものの、どちらも頑固な所があり、ナルトは一度言ったことは曲げないという忍道まで公言してるぐらいの頑固者だ。
故に、衝突が絶えなかった。
それでも、穏やかな日はあったが、やはり近頃喧嘩が多いなと双方思っていた。
「昼ごはん、カップラーメンにすっからお湯沸かしてくれってばよ」
「……またか? 昨日も一昨日もその前もだったよな?」
「いいじゃん、別に。オレが何食べようと勝手だろうがよ」
「……はぁ。 食べたいならお湯ぐらい自分で沸かせばどうだ」
二人の間にピリピリとした張り詰めた空気が流れる。
「ったく……、気が利かねえってばよ」
そう言うとナルトは重い腰を上げ台所へ向かい、やかんに水を入れ始める。
「……お前さ、昔はもう少し素直だったよな。オレのこと好きなのだだ漏れしてるぐらい」
「……今も好きなのは変わらないが、そんなに今のオレでは不満か……」
「いや、昔の方が可愛げあったよなってことだってばよ」
「……お前こそ最近は冷たいな。まるで、喧嘩の延長のような話し方だ。今オレたちは喧嘩をしているのか?」
「……さあ」
自分とは正反対のナルトに惹かれたというのに、正反対が故にこんな事になろうとは、あの頃は夢にも思わなかった。
(悲しくて惨めだ……。一体何がいけないんだろうか)
ナルトの側に居るのが辛くなって、ネジは家からそっと出た。
ナルトはそれを引き止めなかった。
お互い暫く会わずに、冷静になるべきだと思ったからだ。
二カ月は会わなかった。
その間にも、街で姿を見かける事はあったが、お互い顔を見ずに素通りをした。
ある夜、ネジはナルトに抱かれる夢を見た。
疼きを自分自身で鎮めたときはなんとも遣る瀬無い気持ちでいっぱいになり、涙がとめどなく溢れた。
涙を流したら、胸を痞えていたものがストンと落ちた気がした。
どうしてもっと寛大になれなかったのか。
こんな簡単な事をなぜあの時出来なかったのか。
一度頭を冷やしたからこそ思える結論なのだから、“あの時できていたら” などと考える事は不毛なのだが、そう思わずにはいられない。
翌日、ナルトの家に赴いた。
居るか居ないか分からないが、どうか出てきてほしいと思いドアをノックした。
ナルトは出てきた。
ナルトは一瞬、あの時と同じ顔をした。
びっくりした顔をした後、怪訝そうな顔をした。
いつもより低い声で “なんだ、お前か” と一言。
「二カ月も会わなかったんだ。少しはお互い頭冷やせたと思うんだが……。話したい事がある。入れてくれ」
「……ほら、入れってばよ」
ナルトは一歩引いて、片手でドアを押さえながら中にネジを入れた。
部屋に散乱するカップラーメンの空の容器。
その中に、野菜サラダと書かれた空の惣菜のパックがあった。
「……ナルト、悪かった。お互いもう少し寛大になるべきだったなと今になって気づいた。こんな簡単な事なのに……ナルトとの距離が急速に近くなったせいで、お互いの間が見えていなかった」
「……オレの方こそごめん……。オレってばネジにこの部屋から逃げられてから、すごい後悔して、頭を冷やすためだとか自分に言い訳したけどよ、辛くてすぐ近所のスーパーまで走って、なぜか野菜サラダ買ってたってばよ……」
「……ふっ…ふふっ……。ちゃんと全部食べたんだろうな?」
「……うん、頑張って食べたってばよ」
to be continued…