みんなで食べると美味い


「ナルトと一楽に行くなんて久し振りよね~。昔私達と一緒に任務することになった時に行ったぐらいかしら?」

テンテンがうきうきと楽しそうに話を振る。

ガイ班とナルトはこの日、なんと珍しいことに揃って休日だった。
昔と違って皆、階級が変わりネジに至っては上忍で、ガイ班の休みが揃うだけでも珍しいものだ。
ガイ班にとっては後輩に当たるわけだが、同じ木ノ葉の下忍だった同年代の仲間。
かつての中忍試験で色々ありながらもそこから交流する機会が増えて大切な仲間になった。
そして今は切磋琢磨してそれぞれ忙しい日々を過ごしている。
だから班は違えど、こうして休みが重なると嬉しいのだ。

「んー、確かにガイ班と一楽って久々だよなあ~」

ナルトもあからさまに嬉しさを態度に出すわけではないが、やはり一人で食べるラーメンよりも皆で食べるラーメンが美味いことを知っていた。

「ナルトくん! どちらがより多く、尚且つ早く食べれるか勝負しましょう!! 」

「ああ、いいぜ! その勝負乗った! 」

「負けませんよォ!!」

「それはこっちのセリフだってばよ!!」

ナルトとリーは完全に二人で盛り上がってしまった。
ネジは隣で騒がしく雄叫びを上げている二人を横目で見た。
リーの盛り上がりにナルトが付き合ってあげている感じもするが満更でもなく、むしろノリが良いナルトなので楽しんでいるようにも見える。

「ネジも混ざればいいじゃない~?」

そんなにじっと見ているつもりは無かったネジだが、テンテンにそのようなことを指摘された感じがして、ネジはいつものように、フンと、そっぽを向いてみせた。

目の前に暖簾の掛かる、小さな店舗が見えてきた。
スープの良い匂いが漂ってきて、空きっ腹を騒がす。
ナルトはすぐ近くの一楽へと駆け足になり、タタタッと軽快な足音を響かせた。

「ああッ、ズルいですよナルトくん!」

リーも負けじと一楽へと駆けた。

「よォ! おっちゃん、いつもの!」

ナルトは暖簾を手で掻き分けて潜ると、座る前から注文をする。

「テウチさん! 僕は醤油ラーメン大盛り一つでお願いしますッ!」

「ナルトに、リーか! ちょっと待ってな!」

「あと二人来るってばよ!」

二人は一足先に椅子に腰を掛けると、ラーメンが出来るのをソワソワと待ちながら後から来るネジとテンテンの到着を待つ。
その後すぐに、ネジとテンテンが暖簾を掻き分けて入って来た。

「ネジとテンテンか!」

背を向けて調理していたテウチが振り返ってネジとテンテンも迎え入れる。

「テウチさん、注文! 私は……塩ラーメン中盛り!」

「オレは……」

ネジが言い掛けたところで、テウチの声に遮られた。

「はいよ! お待ちッ! とんこつ味噌チャーシュー大盛り!それと醤油ラーメン大盛り!」

とん、とカウンターに熱々のラーメンが置かれた。
ネジはなんとも無しに置かれたラーメンへと視線を下げて一瞥した。

「テウチさん、オレもナルトと同じものでお願いする」

「はいよ! ちょいと待ってな!」

テンテンは既に注文を言っていたので、どこに座ろうかと茶色のクリッとした目を左右にきょろきょろと動かす。
ネジもつられて、座る席を考えた。
と言ってもこの小さい店舗の一楽に選ぶ席など、ナルトとリーが先に座っていた時点でほぼないのも同然なのだが。

テンテンがリーの隣に座った。

一楽は横一列に六席ある。テンテンの隣に一つ席が空いていて、ナルトの隣に二つ席が空いている。ネジは少し思案して、この際だからせっかくだ、とナルトの隣の椅子を引いた。

ナルトは特に気にすることもなく既にラーメンを豪快に啜る。
リーも負けじと、しかし美味しそうにラーメンを豪快に啜る。

「へい、お待ち! 塩ラーメン中盛りと、とんこつ味噌チャーシュー大盛り!」

テンテンとネジの前に熱々のラーメンが置かれる。

「ん? ネジってばオレと同じやつにしたのか?」

ナルトはやっと隣のネジに眼を向けて、ネジの前に置かれたラーメンを覗き込んだ。

「ああ。……美味そうだったからな」

「お前ってば意外と見る目あるな! とんこつ味噌チャーシューはオレの一番のオススメだってばよ!」

「そうか、では頂くとしよう」

パキンッと割り箸を割っていざ麺を挟み啜ろうとするが、ネジはナルトの視線が気になって仕方ない。
味の感想が気になっているのだろう。
ネジは何と無く啜りづらくて、口に入れる前にふうふうと、麺を冷ましてみせた。
ナルトは、まあいいかと自分のラーメンへと眼を向けたのでネジは漸く啜った。

「美味いな」

ナルトが味の感想を気になっているだろうと一言だけ述べると、ナルトは再びネジの方に向き直る。

「だろ!? 他の味も美味いけどやっぱとんこつ味噌チャーシューが一番美味いってばよ!」

ナルトは満足したのか、再び自分のラーメンを食すことに専念する。

「ナルトくんッ! 僕はもう食べ終わりましたよ!おかわり行っちゃいますからね!」

リーは黙々と食べ続けていつの間にかスープも飲み干されていた。
勝ち誇った顔でナルトに向き、ナイスガイポーズをしてみせた。

「なっ……、!? ゲジマユいつの間に!?」


この勝負まだ続いてたのか、とネジとテンテンはやや呆れた顔で間の二人を見た。
そして勝負は更に過熱して、行儀的によろしくない二人にテウチの鉄拳がクリティカルヒットしたのはもうすぐのこと。



THE END





去年のみんなで一楽でラーメン食べてるED可愛かったじゃないですか、あれのネタで書きたいなあって何か月も思ってたのに書いてなかったので思い出した時に書かないと!と思って勢いで書きました(ー。ー)
みんなが食べてるラーメンの味とか捏造です。
ナルトの好きな物をナルトの隣で食べるネジというのが可愛いし、ガイ班+ナルトという組み合わせも可愛いです~~。





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