意外な一面
【CHAPTER】
いつだったか。
初めて所謂デートというものをした時の事だ。
とても新鮮な感情が湧いたのを覚えている。
オレの中のナルトというと、まあドタバタと騒がしいというイメージが真っ先に思いつく。
そしてそれに連想して計画というものを立てられないからそうなるのではないかと思っていたわけだ。
それはデートにも言える事で当然ナルトとのそれは結果的には計画性というのはあまりなく、何かとあちらこちら歩き回る事になる忙しいデートだった。
だが、それは結果であって実はナルトはデートのずっと前から一生懸命に計画を練っていたというのはその日のデートが終わる頃に知ったことだ。
日が落ちた頃、木ノ葉の外れの方でのこと。
ナルトは心底がっかりといった顔で、
「本当はもっと雰囲気とかさ、ムードっつーのを出したかったんだってばよ……せっかくの初デートだから……」と言った。
オレはその時、ナルトの意外な一面を知り新鮮な気持ちだったのでこのデートはとても印象深かったのだ。
◇◇◇
「あのよ、本当はもっと雰囲気とかさ、ムードっつーのを出したかったんだってば……せっかくの初デートだから……」
ナルトは心底がっかりとした顔で弱々しく呟いた。
オレは咄嗟に言葉が出て来ずに少し間があいた。
そしてやっと言葉にしたのは、
「意外だ……」の一言。
ナルトはオレの言葉に疑問符を浮かべて鸚鵡返しをしてきた。
「意外ィ……?」
どういう意味だという意味を込めてナルトは片眉を吊り上げた。
「そのままの意味だ。お前がそういう雰囲気というのを気にするのが意外だっただけだ」
ナルトはむうと頬を膨らませてみせると
「オレだってそういうのちゃんと考えるってばよ……!」と俯き気味に漏らす。
「次のデートではちゃんと計画練って、なんかこう!ロマンチックなデートすっから!!」
オレはその言葉に思わず吹き出した。
俯きながら笑いを堪えた。
ナルトはこう見えて(オレだけが知らなかっただけで他の奴は知ってるのかもしれないが)恋愛における事のあれこれの雰囲気をとても大事にする人だったのだ。
そしてそれは今の状況にも言える事だ。
to be continued…
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