Trick or Trick


ナルトの顔は少々笑みをこらえたようだった。
まるでいたずらを仕掛けようとする子供のようである。

今日はハロウィンだ。
この行事は遠い他の国から伝わったもので木ノ葉でも最近根付いて活気のある行事だ。
簡単に言うと、仮装をして大人にお菓子をねだるイベントである。
だが、ナルトはお菓子よりも楽しみなことがあった。

(にししっ……菓子なんか別にいらねえーってばよ! オレってばいたずらしちゃうもんねー!!)

本来ナルトはいたずらっ子な面があり、この行事では “お菓子をくれないといたずらするぞ” という言葉もあるのだ。
ナルトにとってはお菓子よりもいたずらのほうを重視しているようである。

これまで色々な人がナルトのターゲットにされた。
そして今、彼の目の前にいるのはネジだ。
彼を見て、ネジは少しだけ眉を顰めた。

「……ナルト、なんだ? その何か企むような顔は」

「……ななな!? なっ……なんでもねーってばよ!?」

ナルトは慌ててネジから視線を逸らし、口を尖らせはぐらかした。

「……ふんっ、相変わらず分かりやすいな、お前は。今日はハロウィンと聞いたのだが大方、菓子でもねだりに来たのだろう?」

「あー……っああ、うん、まあな~。じゃあ!トリックオアトリート! 菓子、寄越せってばよ!」

ナルトはネジの目の前に両手をずいっと差し出す。
ナルトは、ネジが見当違いをしていることをいいことに話をその方向へと進め、いたずらを悟られないようにした。

ネジはポケットに手を入れた。
その手のひらには、ハロウィン仕様にデザインされた小さなものが一つ。

「ほら、飴しかないがいいか?」

「ああっ!いいぜ!」

ネジはナルトの差し出された手のひらにそっと飴を置いた。
ナルトはその飴を受け取ると、捻られた両端部分を解き飴を口の中に放り込んだ。
そして、やっとこの時がきた!とでも言うように顔がついにやける。

口を尖らせた。
すると、ナルトの口から先ほど放り込んだ飴が飛び出した。

それは目の前にいたネジの額に目掛けて飛んでいき、額当てに見事に直撃した。

カキーンと良い音が鳴り響いた。

ネジは一瞬状況が理解できずにぽかんとした表情をしていたが、すぐにその表情から一変した。
眉をより一層顰め、
怒りと恥ずかしさで拳が震えている。

ナルトはいたずらが大成功し、そんなネジを見て大爆笑をしているのだった。

「ぎゃははははは!! ひっかかった!ひっかかった! 大成功~!! じゃあなー! 飴サンキューだってばよー! 」

ナルトはゲラゲラと笑いながらそう言うと、一目散に逃げ去った。

「……ナルトめ……!!」

そんなナルトの後をネジが全力疾走で追いかけてくるのは間も無くである。



THE END





一応ハロウィンネタです……(^o^)
一部仕様のナルトとネジです。
ナルトの子供っぽさを前面に出したつもりです……。
でも子供っぽすぎたな……。

もう11月ですね…早いなあ!






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