2. はじめての恋



傷付いた体が解けてくような気がした。
夢心地とは正にこの事だろうなと思った。

こんなに胸が熱いのは初めての感覚だ。

それと同時に幸福感で満たされて、これほど素晴らしい感覚は、今まで感じたことがなかった。

どれぐらい抱かれていたか分からないけれど、ずっとこのままならいいのにと思ってしまう。





2. はじめての恋



ナルトも口には出さないけれど、ネジを特別に感じていた。

あの日を境に、二人は親しくなっていった。
この頃にはネジは己の気持ちを恋なのだと確信していた。


それからすぐの事。
サスケは里を抜けた。
奪還任務の命を受けたが、失敗に終わってしまう。



そんな折、ナルトに初めてネジの事を愛しいと思わせた出来事があった。

奪還任務でメンバーは皆、大なり小なり傷を負っていた。
その中でも特に重症だったのが、チョウジとネジだった。

ネジの大掛かりな手術が終わって数日後に面会謝絶が解かれた時のこと。

ナルトは持ち前の回復力で既に病院内を動き回っていた。
そしてネジの病室に訪れた。


自分たちを先へと行かせる為、一人仲間に背を向けて敵へと立ち向かった大きな背中が、小さく脆いものに見えた。

無言なのが怖くなり病室で色々なことを話した。

ネジは、敵を倒せたのはナルトのお陰だと少しずつ言葉変えながら、しかし何度も言っていた。

微笑みながら、“お前のお陰” だと何度も言ってくる、そして自分のことを好いてくれるこの男の事が、ナルトは急にたまらなく愛おしく感じた。


すっかりボロボロに傷付いたその肩に手を掛け、ナルトは己の胸へとネジを引き寄せた。



────────


ナルトはぎこちない手つきで、オレの髪をゆっくりと撫でて、偶に指に巻きつけたりして弄んだ。

ふと、こんなに幸せなのが怖くなった。
ずっと抱かれていると、安心するのとは裏腹に不安になった。

「……ナルト、今日はもう夕方だから病室へ戻れ。夕飯もそろそろだろう?」

ゆっくりと離れていく体温に、一抹の寂しさを覚えた。


「……ああ、そうだな。また明日来るってばよ。 それと、伝えたい事があるんだ。明日話すってばよ」



伝えたい事というのが気になったが、ナルトに初めて抱かれたという純粋な喜びが後からじわじわと湧き上がった。



翌日、聞かされたことは……。

しばらくの間自来也様と修行に出るということ。
木ノ葉には当分の間戻らないということだった。


寂しさを感じないわけではないが、ただ頑張れと思った。

奪還任務を受けたメンバー皆が退院し、それぞれが元の日常に戻った頃。

ナルトは旅立った。



帰ってきたのは二年半後だった。




to be continued…


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