横髪
ナルトは街中で、
少し遠くにネジを見つけた。
ネジはあんまり目立つようなタイプでもないのだが、そのどこか儚げな雰囲気とそれに対して併せ持つ凛とした佇まいや、独特の目の色と髪型のせいで、すぐ目に付く。
周囲の騒がしさとは断絶されて、まるでネジの居るそこだけが白と黒の静かな空間を切り取ったよう。
一つ、違和感がナルトの頭をよぎった。
前にも増してネジの表情が読みにくい気がしたのだ。
少し離れていて見づらいがナルトは、
ネジの横顔を凝視してみた。
(昔は横から表情が見れた気ィすんだけど……。あ……、)
ナルトはネジが横髪を下ろしていることに気が付いた。
そのせいで横からだと表情が読みにくいということにもすぐに気付く。
ナルトはネジの髪型について意識したことなどなかったが、たった今、このことに気付いてしまったせいで顔の横でゆらゆらと揺れる横髪から目が離せなくなる。
(あいつってば、なんで横髪下ろしたんだろ?)
なぜか、儚くも凛とした長髪の男のことをもっと知りたいと思った。
そして、すぐネジに駆け寄って声をかけたのはそれからすぐのこと。
「ネジッ!」
THE END
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