プラン


晴れ渡った、青い空。
任務もなく、久々の休日だ。

いざ、休みになると何をしたらいいか少し分からなくなる。
修行でもしようかとも思ったが、折角の休みなのだからもう少し普段と違う事をしたいという考えに至る。
予定もなく考える物がなくなったネジの頭に浮かんだのは、金髪青目の騒がしい男。

(ナルトを誘って何処か行きたい……)

ナルトの都合も考えなくてはいけないのだが、無意識にそれを頭の片隅に追いやり、脳の大半は計画を立てることに専念し始めた。

(計画を立てている時が一番楽しいのかもしれない。もちろん、ナルトと共にそれが実現できれば最高なのだが)

まずは、ナルトを誘わなければ。

どこで?

ナルトなら木ノ葉の中心部にうろついているだろう。
ではオレがそこへ赴き、ナルトとばったり偶然に会う。
いや、これではばったり偶然ではないだろう。
まあいいか。
そしてナルトに誘いの言葉をかける。

なんと言う?

“ナルト、時間があるのなら少し付き合ってはくれないか”

いや、これだと鈍いナルトのことだからあまり効果的ではないか……?

“ナルト、暇なら今からオレに付き合うんだ”

……これでは高圧的だろう。却下だな。

“ナルト、お前と一緒に過ごしたい”

……これだ……!

これならちゃんと意思も伝わるし、高圧的でもない。
それどころか柔らかい態度だろう。
よし、これで行こう。

実際本人を前にしてこの台詞を言えるかどうかなどということは今のネジの頭にはまるでない。

では、次はどこへ行くかだが……。
誘っておいて、行く場所が決まってないとなると、迷惑だろうからな。

考えておかなくては。

…………。

思いつかない……。

ネジは普段修行ばかりしていて娯楽などに興味を持ってこなかったせいか、そういう事がまるで分からないのだった。

仕方なく、成り行きで決めることにする。
ナルトには迷惑をかけるが行き先を決めるのに協力してもらうつもりだ。

家から出て、木ノ葉の中心部へ来た。
とりあえず、ナルトを探すべく白眼を使う。

見つけた……!

ここからそう遠くない。
ネジはナルトがいる方角へと向かった。

……いた。
一人のようだな。早速話しかけるぞ……。
ネジはナルトに背後から近づいた。


「……ナルト!」

「うおっ!? ななななんだってばよ!?」

ナルトは肩をびくつかせ、心底驚いた表情で振り向いた。

「……なんだ、ネジじゃねえか。いきなり後ろから現れるなってばよ……!」

「……すまない。驚かせるつもりはなかったのだが。いや、というよりお前も忍の端くれなのだから、背後の気配ぐらい気づかんか!」

「そんな一日中任務でもないのに気ィ張ってたら疲れるってばよ……! んで、オレに何のようなんだ?」

「あ、ああ。……えっと、お前暇そうだな?」

「は? お前ってば喧嘩売ってんのか?そう言うお前も十分暇そうだけどな」

ネジは焦りと緊張で、顔と声が強張り、さらに眉間にシワが寄っていたようでナルトにあらぬ誤解をされた。

必死で弁解すべく、頭は真っ白になりながらもフル回転である。

「違うっ……そういうつもりではなく……その、お前と一緒に……すっ、過ごしたいと思って、声をかけたんだ!」

ナルトは珍しいネジの必死な顔に、キョトンとした表情で固まってしまった。

数秒ほどして、ナルトは口を開いた。

「なんだ、そっか。んで? どこに行くとか決めてんのか?」

「それが、まだ決めていないんだ。というより決められなかったというべきか」

「あー、お前ってばなんかどこへ行きたいとか何したいってのあんまなさそうだもんな。仕方ないってば!オレのオススメのとこ回ろうぜ! 」

ナルトははにかみながら、そう言った。


「……ああ。悪いな、ナルト」

「気にすんなよ」




THE END



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