挟まれるのは辛い


宗家の屋敷の台所から、甘い匂いが漂ってきた。
ヒナタが好物のシナモンロールを作っているのである。
他にもクッキーや、シュークリーム、プリンなどの甘いものを作っていた。


「姉様、何作ってるの?」

ヒナタの妹のハナビが甘い匂いにつられてやってきたようだ。

「今はシナモンロールよ。さっきクッキーが焼けたばかりなの。ハナビ、あとで袋詰めしてくれる?」

「うん! 分かった」

「あ、それと……ネジ兄さんも呼んできてくれるかな。今日父上との稽古でここに来てたでしょ? まだいるはずだから……」

「ああ! ネジ兄様ならここに来る途中にみたよ! 今呼んでくるね!」

ハナビがドタドタと台所を出てネジを呼びに行った。
ハナビの向かう先に、ネジの後ろ姿が見えた。

「ネジ兄様っ!」

「……ハナビ様? 何かご用ですか?」

「うん、姉様が今、台所にいるんだけど、ネジ兄様を呼んできてくれって言われたから」

「はあ。用事とはなんだろうか……」

「たぶんクッキーの袋詰めの手伝いとかじゃない?」

「そうですか。クッキーの袋詰めなんてオレに頼んでも仕方ないだろうに」

二人は長い廊下を軽快に歩く。

甘い匂いが近づいてきた。


「ヒナタ様。何かご用ですか?」

「ネジ兄さん! 態々ごめんなさい。ちょっとお願いがあって……。その、ナ、……な……ナル……ッナルト君をここに呼んできて欲しいの!!」

「……はあ。なぜまた、ここに?」

「……そのっ、私、ナルト君と二人きりだとどうしても上手く話せなくて、その、ここなら大丈夫かなって……みんないるし……。それと、えっと……ネジ兄さんも一緒にナルト君とお話しませんか……?」

「……いや、しかし、オレは邪魔できませんから。二人で話された方がいいのでは」

「……お願いします……! ちょっとだけでいいんです……。ネジ兄さんに甘えてばかりで申し訳ないです……。でも、まだ今は……ナルト君と二人きりていうのは……ちょっと……。迷惑かけてごめんなさい……」

ヒナタは泣きそうな顔をしながら俯いた。
ネジはそんなヒナタを見兼ねて、ふっと笑いかけ言った。

「ヒナタ様、今、ナルトを探してきますから。その間に作ったお菓子並べて準備していて下さいね」

「……あっ、はい!」

ヒナタがやっと微笑んだ。

ずっと黙ってやりとりを見ていたハナビは姉の事ながら、やれやれと思った。



◇◇◇


こんなことに白眼を使うのもどうかとも思うが、こんな時こそ便利なのだ。白眼は。


(いた。火影岩の上か。近いな)

白眼でナルトを捕らえると、ネジはそこへ向かって走った。


「ナルト! ちょっと来てもらおうか」

「へっ……? ネジ? オレになんか用?」

ナルトは寝そべった姿勢を戻さず、上から覗き込むネジの顔を下から覗き見た。

「ヒナタ様の家に来て欲しいんだが。ヒナタ様がお菓子をいっぱい準備してお前を待っているぞ」

「へ? ヒナタが? なんで?」

「……お前、本気で気づいてないのか?」

「何がだってばよ」

ネジは眉間にしわを寄せ、あからさまにため息をついた。

「とにかく、早く起き上がらんか」

「はいはい、分かったってばよ」

ナルトはむくりと起き上がり、パンパンっと服についた土埃をはらった。

「オレについてこい。日向家はこっちだ」

ナルトは頷くと黙ってついてきた。




◇◇◇


「……スッゲーな。 門がデケェってばよ」

ナルトは門を見上げたまま、口を閉じるのを忘れていた。

「さあ、早く入れ」

「お、お邪魔しますってばよ……」

「ヒナタ様、ナルトを連れてきましたよ」

「ネジ兄さん、おかえりなさい。……ナッ……ナルっ……な……ナルト君も、いらっしゃい……。 お菓子いっぱい作ったの。良かったら沢山食べていって……」

「おう、サンキューな。ヒナタ!」

ヒナタの顔はもうゆでだこのようである。

ネジとヒナタとナルトは、稽古に使う場所を取り囲んでいる廊下に腰をかけ、お茶とお菓子をそばに置いた。

「あ、……あのね……ナッ……ナルト君……その、ナッ、ナルト君、来てくれて……あっ、ありがとう……」

「いや暇だったし、別にいいってばよ」

「ネッ……ネジ兄さんもね、ナッ……ナルト君と話せるの、きっと楽しみにしてくれてると思うよ……」

「……! ちょっとヒナタ様……別にオレがナルトと話したかったわけじゃ……」

ヒナタに図星がバラされたらしく、どんな顔をすればいいのか分からなくなったネジは眉間にしわを寄せて、そっぽ向いてしまった。

「……いや、そうは見えねえってばよ。ヒナタ」

「……ネジ兄さんは、て……照れてるだけだよ……。ネジ兄さん、いつもナっ……ナルト君の話するとき、ニコニコしてるもの……」

「……えっ、あのネジが!? なんで? 信じらんねえってば……」

そう言うとナルトはネジの顔をまじまじと見た。

「……! 人の顔をジロジロと見るな! あとオレは至って普通の顔です……ヒナタ様。別にニコニコなど……」

「……ネジ兄さんも、わっ……私と同じで照れ屋なんだね……、ナルト君と話すの……緊張しちゃうよね……」

「……いや、オレは別に緊張はしないです」

「あっ……そっか……。そうだよね」

「……ヒナタ様こそ、ナルトと話せるのを楽しみにしていたんでしょう。折角なんですからナルトと二人で話せばいいものを……」

「なあ、オレいらなくないか? お前ら二人で喋ってるじゃねーか」

ナルトは二人に挟まれ居心地悪そうにしていた。

「……あっ……ごめんね……ナルト君っ……そんなつもりじゃ……」

「……すまない。ナルト、態々呼んでおいて……」

申し訳なさそうに涙目になるヒナタと、これまた申し訳なさそうに眉を八の字にするネジ。

「……いや、なんか悪かったってばよ」

そんな二人をナルトは見ていられず、何故かすかさず謝ってしまった。
ネジとヒナタは、ナルトを話の中心へと入れるためお互い目で合図して頷き合った。

「……ナルト、お前どんどん新しい術を身につけて強くなってるらしいな。今度オレと手合わせしてほしい」

「……わっ私も……ナルト君のように強くなりたい……‥私とも手合わせしてほしい……」

「どうすれば、お前みたいに強くなれるんだ? ナルト……。オレもお前のように強くなりたい」

「ヘ……? ネジ……? お前どうしたんだってばよ……?」

「ナルト君……! ネジ兄さんも私も本気よ……」

「お、おう……」


ナルトは腕を両方からガッチリ掴まれていて逃げられなかった。

その後数時間、日向義兄妹によって猛アプローチされるナルトであった。




THE END





収拾つかなくなり、打ち切りました。
途中からハナビ消えてるし……!

ナルトの事が大好きな日向義兄妹かわいいです(*^^*)

仲良く二人でナルト取り合いしてほしい
SDのお正月回は最高です((´∀`))






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