鼓動


爆発音がして岩が崩れる音が何度かに渡って鳴り響いた。

「うわぁあああ!」

「ーッ! ナルト伏せろ!」



◇◇◇

「……痛ててて、ネジ、大丈夫か?」

「……あっ、ああ。大丈夫だ」

二人は岩の中に閉じ込められてしまった。


────事は数時間前。

ナルトとネジは綱手より任務を言い渡された。

『木ノ葉の外れのある場所で大量の起爆札が隠し貼られていてな、いつ爆発するかもわからず大変危険なので、二人でネジの白眼を駆使し起爆札を見つけ全て剥がせ』との事。

簡単な任務に思えたのだが、その場所にあった岩はそうとう脆く、起爆札を取るため少し崩しただけで簡単にボロボロと崩れ落ちるほどであった。
その岩が大量にある付近で、わざとなのかある岩の中心の切れ目に大量に起爆札が貼られているのを確認したネジは、それを剥がそうとナルトと共に一先ずその岩がある中心に入り、比較的頑丈なところを探そうとした。

だが、不注意で岩を崩すため手に持っていたクナイが岩の切れ目に深く当たりそこから岩が割れ起爆札を刺激してしまい爆発したあと付近の大量の岩を崩し二人を閉じ込めてしまったのだ。


「狭くて身動き取れねェってばよ……」

「こっちも同じだ……。すまない、ナルト。しばらくお前に体重をかける事になるかもしれない」

「構わねえってばよ」

今のナルトの体勢は幸いにも普通に座るのとさほど変わりない体勢だった。
だがしかしネジはナルトの上に軽く覆いかぶさるような体勢だった。

咄嗟にナルトを伏せさせるために上に覆いかぶさったためである。

ネジは頭上と後頭部付近にある岩のせいで頭が動かせず、ナルトの胸に顔を埋めなければいけない体勢だった。
無理にナルトに体重をかけまいと頭を浮かせていると首に負担がかかりきついのだ。


「オレってば、楽な体勢だから気にしなくていいってばよ」

「……悪いな」


ネジはナルトの胸にそっと体重をかけた。

ナルトの心臓の鼓動がはっきりと聞こえふっと心が落ち着いた気がした。
それと同時にこれだけ密着していると自分の鼓動も聞かれているのではないかと心配になった。

だが、いつまでもこうしていられない。
ネジはもう少しこのままでいたいなどと思ってしまったが、それを心の片隅へ追いやり対策を考えた。


「……身動きが取れない以上、助けを待つしかないな。下手に術を使ってここから出ようとすればさらに爆発して二次被害が起こりうる可能性もある。中にいるオレたちも無事では済まないだろう。オレは白眼で近くを人が通るか確認する。人が通ったら知らせるから、ナルトは大声を出して助けを求めるんだ」

「うん、分かったってばよ……!」



どれぐらい時間が経っただろう。


体感時間的には二時間は経っている気がした。

さすがに二時間もこの体勢はとてもきつかった。
もっとも、ネジは体勢のせいだけではなくナルトとの距離にもどかしい息苦しさを感じていた。

「……ナルト、大丈夫か? すまないな。重くないか?」

「んー、平気だってばよ。それよか、お前ってば遠慮してあんまりオレにもたれてねーだろ? 気にすんなって言ったろ」

「……ッお前にばかり甘えてられない。こうなったのはオレの不注意だから」

「あーもう!ごちゃごちゃうっせえてばよ! 黙ってもたれてろってばよ!」

そう言うとナルトは、ネジの頭を思いっきり自分の胸へ寄せた。
ネジは一瞬驚いて離れようとしたが、ナルトの胸に頭が触れた途端大人しく自分から首の力を抜いてもたれかかった。

悪いと思いつつも、
やはり体勢が少し楽になるしなによりナルトの胸に顔をうずめるとひどく安心した。


「……ありがとう、ナルト……」

「……別に……気にすんなよ」

二人は無言でお互いの鼓動を感じていた。



暫くして外から人の声が聞こえてきた。

「……おい、ネジ!外に人がいるはずだってばよ!大声出すぞ!」

「……あっ、ああ!頼む」


ナルトは深く息を吸い、大きく口を開いた。

「おーーーーい!! 誰かァ!!助けてくれってばよー!!! 岩の中に閉じ込められちまったんだ!!!」

ナルトの声が耳にキーンと響いてネジは顔を少しだけ顰めた。


『おい?今あっちから人の声したよな』

『ああ。助けてって言ってたぞ』

『あの岩の塊の中か?』

『行ってみるぞ!』



通りすがりの男性二名が、ナルトとネジが閉じ込められている岩へと近づいてきた。

『おい? この中にいるのか?大丈夫か?』

「ああ!閉じ込められちまったんだ! この中から出して欲しいんだけどよォ、この岩スゲエ脆くて、下手に触ると崩れて爆発しちまうかもしれねえんだ。どうにかして外からゆっくり壊して欲しいってばよ……!」

『分かった。一応やってみる。じっとしてろよ』

男性達は慎重に岩を崩し始めた。

三十分ほどして、ようやく人、一人が出られるスペースが出来た。
そこから上に覆いかぶさっていたネジが先に出て、そのすぐあとにナルトが脱出した。

「にいちゃん達のお陰で助かったってばよ! ありがとな!!」

「助かりました。 ありがとうございます」

ナルトは満面の笑みで礼を言い、ネジは深く頭を下げ礼をした。

『いいって。気にするなよ。無事でよかったよ。じゃあ気をつけろよ。俺たちはこれで』

「ああ! じゃあなー!にいちゃん達!」

男性達は和かに笑うと、その場を去った。


ネジは白眼でもう一度周囲を徹底的に調べ起爆札の残りがないか確認した。
一枚もないことを確認し、任務を完了として綱手の所へ報告に向かう。


「……ナルト、オレの不注意ですまなかったな。お前に負担をかけてしまった。それと、ありがとう……」

「不注意は誰にでもあるってばよ。お前がいなけりゃこんなにスムーズに起爆札見つけられなかったんだし気にすんなってばよ!」

ネジはナルトの横顔をじっと見ながら小声でぼやいた。

「……ナルトといると、なんだか落ち着くな」

「へ? なんか言ったか?」

「いや、なんでもない」




THE END





シチュが書きたかっただけです。
状況描写とか物凄く適当です。
とにかく狭い空間に密着するナルネジが書きたかったんです笑

文章編集 160107





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