額に口付け
ネジの顔は笑みを作ってはいるものの、どこか辛そうな面持ちは隠しきれていない。
ゆっくりと静かにネジの低い声から言葉が発せられる。
「鏡を見るたび思う。確かにお前のお陰で運命については寛大になれた。決めつけることはなくなった。……だが、やはり呪印によって縛られてる事は変わらないんだ。……宗家が印を結びさえすればオレの命はすぐに消える。いつだって殺されるのは簡単な事だ。四歳のあの時から、オレの額には呪印があった。だから何を今更と思うが、やはり鏡を見るたび、この呪印さえなければって思わざるを得ないんだ……」
ナルトはネジの言葉に口を挟まず静かに耳を傾けていたが少し何かを思案して、笑ってみせた。
「……ネジ、オレはそのおでこの呪印もお前のその気持ちも丸ごと受け止めてやる覚悟だってばよ」
「ナルト……」
呪印のある額にナルトの唇が触れた。
「だから、暗えーことゴチャゴチャ考えんなよ」
「……!」
(ナルトがこの呪印をも受け入れてくれるなら、オレもこの呪印を受け入れるよう努力してみるよ……)
────そう思い、ネジはナルトによって口づけを落とされたばかりのその額を軽く撫でた。
THE END
文章編集 160107
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