第六章 悪夢
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…………………………………。
最近ものすごく、眠れない。
微睡みかけてはいるのに、深くは寝れなくなった。
だからだろうか。
ブックマンの元へ行き、イノセンスに宿った精霊のウンディーネに「代われ」とほぼ強制的に意識を引き離された。
彼女は今頃呆れながら怒っているのだろう。
私が、噎 せかえるような生ぬるい空気と、水のないところに呼び出したから。
まあ、そのお陰かはわからないが、今度はちゃんと寝られる気がする。
そんなことを考えていたら、いつの間にか眠りについていた。
───、───………!!
千代(あれ、は・・・・・・・・・)
夢の中でラビと同じ背格好をした少年が、綺麗な長い茶髪に左右対称の銀の髪をしている彼女に、何かを叫んでた。
彼女も彼女で、彼に晴れやかな笑顔を向ける。その顔は私そっくりで、ラビは彼女のことを「ルヒナ」と言っていた。
─────ルヒナ
晴れやかな笑顔がよく似合う、絵にかいたような少女。
可愛らしい、というよりも少し大人びた雰囲気を持っていた。今の私とはほど遠い存在。
ホームのみんなに優しく接され、楽しそうに過ごす彼女が、とても羨ましく思った。
このときのラビ達は今よりもう少し幼かったから、恐らくアレンが来る前の事なのかもしれない。
そう考えていたら、急に場面が変わる。
まだ伯爵達が出てくるには早いけど、任務帰りだったのだろうか、一人になったところで彼がその道を遮るように現れた。
驚きながらもイノセンスを構える彼女に、駄目だと叫ぼうとするも声がでない。
何度も叫び、彼女に駆け寄ろうとしても、金縛りにでもあったかのようにうまく動けない。
そうこうしているうちに彼女は、伯爵に額をトン、と小突かれたまま、遠くへ吹き飛ばされた。
────── おヤおヤおヤ、この程度ですカァ。……エクソシストごっこしていなイデ、はヤく、こちラにおいでなさい。「 」 ──────
にっこりと不気味な笑みを浮かべる彼にぞわりと背筋が凍った。
彼女が何かを言う前に奴は姿を消すと同時に、遠くの方から、リナリーや神田らしき姿が駆け寄ってくるのが見える。
赤髪の少年も一緒だったみたいだ。
ふらつく身体に鞭を打ちながら立ち上がり、手を彼らに向ける。
彼らが彼女に近づこうとした途端、結界のような透明な膜が歩みを阻んだ。
パキパキと氷が砕ける音が足元から聞こえるなか、結界を叩きながら叫ぶ彼らに悔しそうに……それでも朗らかに笑みを浮かべる。
──── 「私はみんなに出会えて、あなたを愛せてよかったよ。
ありがとう、レオ……
さよなら………。」 ─────
レオ…………それが、彼女が最期に言った、少年の名前。
千代「っ…………ぃ………ッ、あ"ぁッ!!!」
それを聞いたとたんに、私は真っ赤な水晶に閉じこめられていく彼女と、悲鳴すら上げられないほど凄まじい身体中の痛みを共有していた。
千代「あ"ぁぁあ"ああああ………ッ!!!」
痛い、どころの話なんかじゃない。
私が今まで受けてきた痛みなんかよりも、息付く隙もなく、千本針を継続的に受け続けているようなモノで並大抵では耐えきれるはずがない。
こんなのを受け続けていたら、身体はおろか、精神が崩壊する。
夢だと頭の中ではわかっているのに、リアルな感覚が身体中を駆け上っていた。
───── 千代ちゃん。 ─────
そんな痛みを受けていたら、頭の中で彼女の声がした。
動かしたら余計痛い頭を上げて、声がした方をみると、水晶に閉じこめられているにも関わらず、にっこりと笑っていた。
しかも、視えていないはずの私の方を視て。
────── 千代ちゃん、で間違いないよね? ─────
千代「な……ぁ…、んで………なま、え………ッ」
どうして、私の名前を知ってるの?そう言いたかった。
だって、おかしすぎるもの。
水晶に閉じ込められていて、しゃべることはおろか、死にも等しいくらい息することもできないはずなのに、なんで笑ってるのかが不思議でならなかった。
今だって、か細い声しか出ない。喋るだけでも目を向けるだけでも痛いのだ。
涙も汗も滝のように流れ落ちる。
痛覚が過敏になっているせいか、それだけでも、まるで傷口に塩を塗りたくられたかのようにヒリヒリと痛む。
───── ごめんなさい、驚かせてしまったわね。 ─────
苦笑する彼女を見ていると、いつの間にか、彼女の胸元にある翡翠色のペンダントと、私の持つイノセンス・竜の守り石が淡い光を放ちながら呼応していた。
────── でも、もう時間みたいだから、最後に一つだけ……… ─────
千代「…………な、に……を…………ッ」
───── 千代ちゃん、貴女に頼みたいことがあるの ─────
にっこりと優しく笑う彼女は、どこか寂しそうだった。
千代「…………た…の、み……………?」
───── そう。千代ちゃん、彼の………レオのそばにいてあげて。
決して、……………いで…………… ──────
千代「どう…いう、…………?
いみ、が…………ッ!!」
ぐにゃりと、気持ちが悪いくらい目の前が歪みはじめた。
泣きながら、彼女がまだ何か言っていたような気もしたが、もう………意識がそこで途切れた。
気が付いたら、さっきまでいたあの場所なんかじゃなく、いつもの………自分の部屋だった。
千代「……………。やっぱり、夢………なのかな……………」
ベットからゆっくりと降りて、汗でぐっしょりになった服を全部脱いでお風呂へ向かった。
いくら夢は夢でも……………。
千代「……………、嫌な夢」
ぼそりと呟いた言葉は、シャワーの音にかき消される。
“そばにいてあげて”だなんて、無理に決まっている。
例えそれが、かつての前任者だったとしても、彼の想い人だったとしても、私が代わりに成すことではない。
それは本人が一番よくわかっているはずなのに、どうしてあんなことを言うのだろう。
シャワーを浴びて、部屋に戻る。
千代(……………ヘブラスカの元に行こっかな)
特別に一週間ぐらい、コムイさんから休みをもらったし、まだまだ、異能な力を制御できていない。
こんなチャンスを逃すわけにもいかないから、制御できるように、鍛錬しないと。
千代「………キキ、ヘブラスカのところに行くよ」
〔わかった。…………ニガテだけど〕
そんなキキの言葉に苦笑しながら、ビーストリングで呼び出した白狐にまたがって、ヘブラスカの部屋へと向かった。
──────── ヘブラスカの間 ────────
ヘブラスカ「……………千代、か……………」
千代「こんにちは、ヘブラスカ」
彼女の表情は分からないけど、私がここに来ることを既に知っていたのか、「能力のコントロールか?」と聞いていた。
千代「さすがヘブラスカ。
なら、コントロールの相手を、お願いしてもいい?」
それから、ヘブラスカに頼んでコントロールの相手をしてもらい、私の前のイノセンス保持者のことなど色々教えてもらった。
私が、彼女との夢で起こったことをきっかけに、彼女を捜し出すまで………
この世界の異変に気づくことが出来なかった。
最近ものすごく、眠れない。
微睡みかけてはいるのに、深くは寝れなくなった。
だからだろうか。
ブックマンの元へ行き、イノセンスに宿った精霊のウンディーネに「代われ」とほぼ強制的に意識を引き離された。
彼女は今頃呆れながら怒っているのだろう。
私が、
まあ、そのお陰かはわからないが、今度はちゃんと寝られる気がする。
そんなことを考えていたら、いつの間にか眠りについていた。
───、───………!!
千代(あれ、は・・・・・・・・・)
夢の中でラビと同じ背格好をした少年が、綺麗な長い茶髪に左右対称の銀の髪をしている彼女に、何かを叫んでた。
彼女も彼女で、彼に晴れやかな笑顔を向ける。その顔は私そっくりで、ラビは彼女のことを「ルヒナ」と言っていた。
─────ルヒナ
晴れやかな笑顔がよく似合う、絵にかいたような少女。
可愛らしい、というよりも少し大人びた雰囲気を持っていた。今の私とはほど遠い存在。
ホームのみんなに優しく接され、楽しそうに過ごす彼女が、とても羨ましく思った。
このときのラビ達は今よりもう少し幼かったから、恐らくアレンが来る前の事なのかもしれない。
そう考えていたら、急に場面が変わる。
まだ伯爵達が出てくるには早いけど、任務帰りだったのだろうか、一人になったところで彼がその道を遮るように現れた。
驚きながらもイノセンスを構える彼女に、駄目だと叫ぼうとするも声がでない。
何度も叫び、彼女に駆け寄ろうとしても、金縛りにでもあったかのようにうまく動けない。
そうこうしているうちに彼女は、伯爵に額をトン、と小突かれたまま、遠くへ吹き飛ばされた。
────── おヤおヤおヤ、この程度ですカァ。……エクソシストごっこしていなイデ、はヤく、こちラにおいでなさい。「 」 ──────
にっこりと不気味な笑みを浮かべる彼にぞわりと背筋が凍った。
彼女が何かを言う前に奴は姿を消すと同時に、遠くの方から、リナリーや神田らしき姿が駆け寄ってくるのが見える。
赤髪の少年も一緒だったみたいだ。
ふらつく身体に鞭を打ちながら立ち上がり、手を彼らに向ける。
彼らが彼女に近づこうとした途端、結界のような透明な膜が歩みを阻んだ。
パキパキと氷が砕ける音が足元から聞こえるなか、結界を叩きながら叫ぶ彼らに悔しそうに……それでも朗らかに笑みを浮かべる。
──── 「私はみんなに出会えて、あなたを愛せてよかったよ。
ありがとう、レオ……
さよなら………。」 ─────
レオ…………それが、彼女が最期に言った、少年の名前。
千代「っ…………ぃ………ッ、あ"ぁッ!!!」
それを聞いたとたんに、私は真っ赤な水晶に閉じこめられていく彼女と、悲鳴すら上げられないほど凄まじい身体中の痛みを共有していた。
千代「あ"ぁぁあ"ああああ………ッ!!!」
痛い、どころの話なんかじゃない。
私が今まで受けてきた痛みなんかよりも、息付く隙もなく、千本針を継続的に受け続けているようなモノで並大抵では耐えきれるはずがない。
こんなのを受け続けていたら、身体はおろか、精神が崩壊する。
夢だと頭の中ではわかっているのに、リアルな感覚が身体中を駆け上っていた。
───── 千代ちゃん。 ─────
そんな痛みを受けていたら、頭の中で彼女の声がした。
動かしたら余計痛い頭を上げて、声がした方をみると、水晶に閉じこめられているにも関わらず、にっこりと笑っていた。
しかも、視えていないはずの私の方を視て。
────── 千代ちゃん、で間違いないよね? ─────
千代「な……ぁ…、んで………なま、え………ッ」
どうして、私の名前を知ってるの?そう言いたかった。
だって、おかしすぎるもの。
水晶に閉じ込められていて、しゃべることはおろか、死にも等しいくらい息することもできないはずなのに、なんで笑ってるのかが不思議でならなかった。
今だって、か細い声しか出ない。喋るだけでも目を向けるだけでも痛いのだ。
涙も汗も滝のように流れ落ちる。
痛覚が過敏になっているせいか、それだけでも、まるで傷口に塩を塗りたくられたかのようにヒリヒリと痛む。
───── ごめんなさい、驚かせてしまったわね。 ─────
苦笑する彼女を見ていると、いつの間にか、彼女の胸元にある翡翠色のペンダントと、私の持つイノセンス・竜の守り石が淡い光を放ちながら呼応していた。
────── でも、もう時間みたいだから、最後に一つだけ……… ─────
千代「…………な、に……を…………ッ」
───── 千代ちゃん、貴女に頼みたいことがあるの ─────
にっこりと優しく笑う彼女は、どこか寂しそうだった。
千代「…………た…の、み……………?」
───── そう。千代ちゃん、彼の………レオのそばにいてあげて。
決して、……………いで…………… ──────
千代「どう…いう、…………?
いみ、が…………ッ!!」
ぐにゃりと、気持ちが悪いくらい目の前が歪みはじめた。
泣きながら、彼女がまだ何か言っていたような気もしたが、もう………意識がそこで途切れた。
気が付いたら、さっきまでいたあの場所なんかじゃなく、いつもの………自分の部屋だった。
千代「……………。やっぱり、夢………なのかな……………」
ベットからゆっくりと降りて、汗でぐっしょりになった服を全部脱いでお風呂へ向かった。
いくら夢は夢でも……………。
千代「……………、嫌な夢」
ぼそりと呟いた言葉は、シャワーの音にかき消される。
“そばにいてあげて”だなんて、無理に決まっている。
例えそれが、かつての前任者だったとしても、彼の想い人だったとしても、私が代わりに成すことではない。
それは本人が一番よくわかっているはずなのに、どうしてあんなことを言うのだろう。
シャワーを浴びて、部屋に戻る。
千代(……………ヘブラスカの元に行こっかな)
特別に一週間ぐらい、コムイさんから休みをもらったし、まだまだ、異能な力を制御できていない。
こんなチャンスを逃すわけにもいかないから、制御できるように、鍛錬しないと。
千代「………キキ、ヘブラスカのところに行くよ」
〔わかった。…………ニガテだけど〕
そんなキキの言葉に苦笑しながら、ビーストリングで呼び出した白狐にまたがって、ヘブラスカの部屋へと向かった。
──────── ヘブラスカの間 ────────
ヘブラスカ「……………千代、か……………」
千代「こんにちは、ヘブラスカ」
彼女の表情は分からないけど、私がここに来ることを既に知っていたのか、「能力のコントロールか?」と聞いていた。
千代「さすがヘブラスカ。
なら、コントロールの相手を、お願いしてもいい?」
それから、ヘブラスカに頼んでコントロールの相手をしてもらい、私の前のイノセンス保持者のことなど色々教えてもらった。
私が、彼女との夢で起こったことをきっかけに、彼女を捜し出すまで………
この世界の異変に気づくことが出来なかった。