第六章 悪夢
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それから数日、具合も良くなり任務にも何回か出れるようになった頃、「ブックマンから話がある」とラビが声をかけてきたので彼の後ろをついていく。
ここに来てからはじめて会うブックマンに緊張すると同時に、頭の中がハテナでいっぱいだった。
千代(なんか、気になることでもあるのかな………?)
ラビ「わりぃな。任務帰りだっつーのに、あのパンダジジィのせいで」
千代「ううん、大丈夫だよ。
丁度ブックマンに挨拶したかったし、元々会うの楽しみでもあったから」
ラビ「……………。なんか、それはそれで複雑さぁ」
千代「そう?」
ブックマン一族。
それは、世界のすべて───あらゆる歴史やその裏側など───を記録し続ける一族。
その為には本来の名を棄てて、その時代や国など臨機応変に名前を使い分けながら、偽りの感情をもって使命を全うしていく。
そこに敵も味方もなく、常に人との距離を保ち、心を持たないように己を殺し続けてきた一族でもある。
それが、ブックマンと名乗る老人と彼の弟子であるラビの二人。
私から見た視点だから、本当のところはどうか分からない。そうなのかもしれないし、そうじゃないのかもしれない。
千代(………けれど、物語の中で………ラビ はその使命に迷いを生じてしまう)
先頭を行く彼をちらりと見上げる。
いつか、そう遠くない日に彼はこれでいいのかと迷うのだろう。
ブックマンとしての自分と、エクソシストとしての自分…………そのどちらかであるべきなのか、と。
どちらを選んでも、ラビが選んだのならそれでいいんじゃないかと思うのは軽薄な考えだろうか。
ラビ「………着いたさ。この部屋にパンダが────どゎはッ!?」
千代「ラビ!?」
?「遅い。あれほどパンダと呼ぶでないと言っとるだろうが、バカ弟子」
あまりにも一瞬の出来事だった。
ラビの体が忽然と消え、あたふたする私の隣から聞き覚えのある老人の声がした。
ばっと振り向けば、目元に黒い隈のようなものと一房の長い髪を持つ小柄の御仁が呆れたようにため息づく。
千代「ッ!?(いつの間に………さっきまで誰もいなかったのに)」
ラビ「い、てて………いきなり蹴るなんて酷いさ、このパンダジジィ……っ」
瓦礫から起き上がる彼に「黙れ、青二才の小僧が」とじろりと睨み付けている御仁が、話の話題となっていた【ブックマン】その人だ。
千代「…………。もしかして、ブックマン………?」
ブックマン「……ふむ。
確かに、私はブックマンと呼ばれておるのだが………なるほどな。
お前さんが異界から喚ばれ、3つのイノセンスに選ばれた千代嬢で相違いはないな?」
千代「………!」
ラビ「………あぁ。言われた通り、連れてきたぜ。」
じっと探りを入れるかのような眼差しを私に向けながら、ラビと話しているその光景に、ただただ感嘆するばかりだった。
“ブックマン”としての生の会話なんて、そうそう聞けるものじゃない。
しかも、当の本人達が目の前にいるのだ。当然、興奮しないわけにはいかないだろう。
千代「………は、はじめまして。ブックマン」
ブックマン「そんなに緊張するな。私達の事は知っているのだろう?」
その言葉にドキリと変に胸が高鳴る。
確かに知ってはいる。けれど、それほどまで彼らの事を深く知っているわけではない。
彼らがどんな環境にいて、どんな幼少時を過ごして、どんな最期を迎えたのか。
気安く触れることのできない、語ることのない部分を、すべて知ることができるは………それこそ“神”でしか成し得ないことなのではないだろうか。
例えそれが漫画の中だとしても、人の心の内だとしても………。
私が知り得るのは、せいぜい誕生日や本人の癖といった数少ないものだ。
まあ、それをブックマン一族は成し得ようと代々引き継がれているだけれども。
千代「……………。知ってるのは、ほんの些細なことだけだよ。ラビが未亡人好きなのも、ブックマンに弟子が長続きしないということも。」
それを口にしたとたん、二人の気配が一気に鋭いものになった。
それもそのはず。何て言ったってこれは彼らにとって禁句なのだから。誰にも話したことのない、プライベートのなかでも触れてはならない部分を、私は安易に触れている。
ブックマン「………お前さんは、いったいどこまで……何を知っている?」
千代「詳しいことは知らない。ただ、それだけ。心の記憶は、誰にでも覗けれるものじゃないから。………たとえ、千年公が徒 に覗こうとしたとしても」
ここに来てからはじめて会うブックマンに緊張すると同時に、頭の中がハテナでいっぱいだった。
千代(なんか、気になることでもあるのかな………?)
ラビ「わりぃな。任務帰りだっつーのに、あのパンダジジィのせいで」
千代「ううん、大丈夫だよ。
丁度ブックマンに挨拶したかったし、元々会うの楽しみでもあったから」
ラビ「……………。なんか、それはそれで複雑さぁ」
千代「そう?」
ブックマン一族。
それは、世界のすべて───あらゆる歴史やその裏側など───を記録し続ける一族。
その為には本来の名を棄てて、その時代や国など臨機応変に名前を使い分けながら、偽りの感情をもって使命を全うしていく。
そこに敵も味方もなく、常に人との距離を保ち、心を持たないように己を殺し続けてきた一族でもある。
それが、ブックマンと名乗る老人と彼の弟子であるラビの二人。
私から見た視点だから、本当のところはどうか分からない。そうなのかもしれないし、そうじゃないのかもしれない。
千代(………けれど、物語の中で………
先頭を行く彼をちらりと見上げる。
いつか、そう遠くない日に彼はこれでいいのかと迷うのだろう。
ブックマンとしての自分と、エクソシストとしての自分…………そのどちらかであるべきなのか、と。
どちらを選んでも、ラビが選んだのならそれでいいんじゃないかと思うのは軽薄な考えだろうか。
ラビ「………着いたさ。この部屋にパンダが────どゎはッ!?」
千代「ラビ!?」
?「遅い。あれほどパンダと呼ぶでないと言っとるだろうが、バカ弟子」
あまりにも一瞬の出来事だった。
ラビの体が忽然と消え、あたふたする私の隣から聞き覚えのある老人の声がした。
ばっと振り向けば、目元に黒い隈のようなものと一房の長い髪を持つ小柄の御仁が呆れたようにため息づく。
千代「ッ!?(いつの間に………さっきまで誰もいなかったのに)」
ラビ「い、てて………いきなり蹴るなんて酷いさ、このパンダジジィ……っ」
瓦礫から起き上がる彼に「黙れ、青二才の小僧が」とじろりと睨み付けている御仁が、話の話題となっていた【ブックマン】その人だ。
千代「…………。もしかして、ブックマン………?」
ブックマン「……ふむ。
確かに、私はブックマンと呼ばれておるのだが………なるほどな。
お前さんが異界から喚ばれ、3つのイノセンスに選ばれた千代嬢で相違いはないな?」
千代「………!」
ラビ「………あぁ。言われた通り、連れてきたぜ。」
じっと探りを入れるかのような眼差しを私に向けながら、ラビと話しているその光景に、ただただ感嘆するばかりだった。
“ブックマン”としての生の会話なんて、そうそう聞けるものじゃない。
しかも、当の本人達が目の前にいるのだ。当然、興奮しないわけにはいかないだろう。
千代「………は、はじめまして。ブックマン」
ブックマン「そんなに緊張するな。私達の事は知っているのだろう?」
その言葉にドキリと変に胸が高鳴る。
確かに知ってはいる。けれど、それほどまで彼らの事を深く知っているわけではない。
彼らがどんな環境にいて、どんな幼少時を過ごして、どんな最期を迎えたのか。
気安く触れることのできない、語ることのない部分を、すべて知ることができるは………それこそ“神”でしか成し得ないことなのではないだろうか。
例えそれが漫画の中だとしても、人の心の内だとしても………。
私が知り得るのは、せいぜい誕生日や本人の癖といった数少ないものだ。
まあ、それをブックマン一族は成し得ようと代々引き継がれているだけれども。
千代「……………。知ってるのは、ほんの些細なことだけだよ。ラビが未亡人好きなのも、ブックマンに弟子が長続きしないということも。」
それを口にしたとたん、二人の気配が一気に鋭いものになった。
それもそのはず。何て言ったってこれは彼らにとって禁句なのだから。誰にも話したことのない、プライベートのなかでも触れてはならない部分を、私は安易に触れている。
ブックマン「………お前さんは、いったいどこまで……何を知っている?」
千代「詳しいことは知らない。ただ、それだけ。心の記憶は、誰にでも覗けれるものじゃないから。………たとえ、千年公が