第六章 悪夢
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千代「あああっ!!───……はッ……は…ぁっ………!」
ガバッと勢いよく飛び起きる私は、アレが夢だったのだと気付くのにそう時間はかからなかった。
いや、夢だったのだと、思いたかったのが正しいのかもしれない。
………とはいえ…いくら夢であっても、前より、かなり悪質な夢だったが。
千代「は…っ…はッ……だい、丈夫……大丈夫……ッ」
ドッドッドッと未だ早鐘を打ち続ける心臓を鷲掴みして、無理やり深呼吸を繰り返す。
千代(あれは……夢。
怖い、夢………変な夢……ただの、夢。……気に、しない、気にしちゃ…だめ………)
目をギュッと瞑りながら、何度も何度も言い聞かせて落ち着かせようと試みる。
けれど、あのヘドロのような感覚も、呪いのように囁く言葉の刃も、耳にこべりついて離れてくれない。
思い出したくなかったものが、何かの拍子に爆発したらしい。
きっかけとしては、先の初任務での出来事だとは思うが、それにしたって酷すぎるものだ。
千代(にん、む…………。
そうだ、あの後………どうなったんだっけ………?)
助けに来てくれたラビを最後に、あの悪夢へと引きずり込まれた気がする。
というか、今何日目?まだそこまで日は経っていないよね?
千代「…………あれは、本当に……夢……?」
ファインダーの皆が死んでしまうことも、私が化け物の一部であることも、全部……全部、夢だった…………?
なら、なんで………こんなに心が痛いのだろう。
こんなにも、自分が恨めしいんだろう。
夢だったと、嬉しいはずなのに、喜んでいいはずなのに、何故………。
千代「私は………ここにいて、いいのかな………」
自分のせいで誰かが死ぬ。
誰かを犠牲にして、生きていくことしかできない私は、私の居場所はあるのだろうか。
頭を抱え込みながら俯いてると、ガチャリと部屋の扉が開く。
千代「…ひッ………ぁ………、……!?」
リナリー「…千代………ッ!!」
その音に肩を震わしていると、持っていたものを落としたことすら気にも止めないかのように、リナリーが駆け寄ってきた。
リナリー「よか、た…っ……全然、意識戻らなくて…ッ……死んじゃうかも…って」
千代「………リナ、リー………?」
ひどく震えながら抱き締めてくる彼女に、なんて声を掛けたら良いのか分からない。
こんなにも心配をしてくれている人がいる。
それを知れただけで、先程の恐怖から少しだけ抜け出せれたような気がした。
…………いや、彼女のおかげで、丁度よく目を背けれる口実ができただけなのかもしれない。
なんであれ、私は自分にも誰にも心を許さなければ苦しむこともない。
……誰かを愛することも愛されることもなければ、きっと二の舞にはならない はずだから。
千代「………リナ、リー………リナリー…ッ」
そう……。傷付かないように、認めないように心の底に溜めておくはずだった。
はずだったのに、人のぬくもりが固く結びかけた心を、少しずつ少しずつ解していく。
気がつけば、大声で彼女に泣きついていた。
子供のように、わんわん泣いたのはいつぶりだろう。
塞き止めていたダムが崩壊したかのような、そんな彼女に何も言わず、ただ抱き締めてくれた。
しばらく泣いて、少しばかり落ち着いていた頃に、彼女に気になっていたことを聞いてみるととんでもない事実を聞いてしまった私は、リナリーに何度も何度も同じ問いを繰り返す。
千代「…………本当に、私……そんなにも寝てたの…………?」
リナリー「本当よ。この3日間、ずっと意識戻らなくて気が気じゃ無かったんだからッ」
千代「………………まじか……」
つい、こないだまで任務をしてたはずなのに、もう3日も寝ていたのか。
それは意識が戻らなくて焦ったことだろう。
勿論ラビはというと、ブックマンと共に次の任務へ行っているらしい。
リナリー「はい、これ………ジェリーから差し入れ。
兄さんからも言われてるけど、しばらく安静にしないと駄目よ?目を覚ましたばかりなんだから」
千代「わかったよ。差し入れ、ありがとうってジェリーさんに伝えといて?」
差し入れを受け取りながら、注意してくる彼女に苦笑する。
確かに体の節々が痛いけれど、動けないというほどでもないから、日常生活には支障はないだろう。
彼女が部屋を去り、ぽつんと一人取り残された私は、ベッドから降りて窓の外を覗く。
千代「……………。私の、生きてる意味って何?私は、これからどうしたらいいの………?」
私の頬に涙が伝う。小さく呟いたそれは誰の耳に届くことなく、静かに消え去っていった。
ガバッと勢いよく飛び起きる私は、アレが夢だったのだと気付くのにそう時間はかからなかった。
いや、夢だったのだと、思いたかったのが正しいのかもしれない。
………とはいえ…いくら夢であっても、前より、かなり悪質な夢だったが。
千代「は…っ…はッ……だい、丈夫……大丈夫……ッ」
ドッドッドッと未だ早鐘を打ち続ける心臓を鷲掴みして、無理やり深呼吸を繰り返す。
千代(あれは……夢。
怖い、夢………変な夢……ただの、夢。……気に、しない、気にしちゃ…だめ………)
目をギュッと瞑りながら、何度も何度も言い聞かせて落ち着かせようと試みる。
けれど、あのヘドロのような感覚も、呪いのように囁く言葉の刃も、耳にこべりついて離れてくれない。
思い出したくなかったものが、何かの拍子に爆発したらしい。
きっかけとしては、先の初任務での出来事だとは思うが、それにしたって酷すぎるものだ。
千代(にん、む…………。
そうだ、あの後………どうなったんだっけ………?)
助けに来てくれたラビを最後に、あの悪夢へと引きずり込まれた気がする。
というか、今何日目?まだそこまで日は経っていないよね?
千代「…………あれは、本当に……夢……?」
ファインダーの皆が死んでしまうことも、私が化け物の一部であることも、全部……全部、夢だった…………?
なら、なんで………こんなに心が痛いのだろう。
こんなにも、自分が恨めしいんだろう。
夢だったと、嬉しいはずなのに、喜んでいいはずなのに、何故………。
千代「私は………ここにいて、いいのかな………」
自分のせいで誰かが死ぬ。
誰かを犠牲にして、生きていくことしかできない私は、私の居場所はあるのだろうか。
頭を抱え込みながら俯いてると、ガチャリと部屋の扉が開く。
千代「…ひッ………ぁ………、……!?」
リナリー「…千代………ッ!!」
その音に肩を震わしていると、持っていたものを落としたことすら気にも止めないかのように、リナリーが駆け寄ってきた。
リナリー「よか、た…っ……全然、意識戻らなくて…ッ……死んじゃうかも…って」
千代「………リナ、リー………?」
ひどく震えながら抱き締めてくる彼女に、なんて声を掛けたら良いのか分からない。
こんなにも心配をしてくれている人がいる。
それを知れただけで、先程の恐怖から少しだけ抜け出せれたような気がした。
…………いや、彼女のおかげで、丁度よく目を背けれる口実ができただけなのかもしれない。
なんであれ、私は自分にも誰にも心を許さなければ苦しむこともない。
……誰かを愛することも愛されることもなければ、きっと
千代「………リナ、リー………リナリー…ッ」
そう……。傷付かないように、認めないように心の底に溜めておくはずだった。
はずだったのに、人のぬくもりが固く結びかけた心を、少しずつ少しずつ解していく。
気がつけば、大声で彼女に泣きついていた。
子供のように、わんわん泣いたのはいつぶりだろう。
塞き止めていたダムが崩壊したかのような、そんな彼女に何も言わず、ただ抱き締めてくれた。
しばらく泣いて、少しばかり落ち着いていた頃に、彼女に気になっていたことを聞いてみるととんでもない事実を聞いてしまった私は、リナリーに何度も何度も同じ問いを繰り返す。
千代「…………本当に、私……そんなにも寝てたの…………?」
リナリー「本当よ。この3日間、ずっと意識戻らなくて気が気じゃ無かったんだからッ」
千代「………………まじか……」
つい、こないだまで任務をしてたはずなのに、もう3日も寝ていたのか。
それは意識が戻らなくて焦ったことだろう。
勿論ラビはというと、ブックマンと共に次の任務へ行っているらしい。
リナリー「はい、これ………ジェリーから差し入れ。
兄さんからも言われてるけど、しばらく安静にしないと駄目よ?目を覚ましたばかりなんだから」
千代「わかったよ。差し入れ、ありがとうってジェリーさんに伝えといて?」
差し入れを受け取りながら、注意してくる彼女に苦笑する。
確かに体の節々が痛いけれど、動けないというほどでもないから、日常生活には支障はないだろう。
彼女が部屋を去り、ぽつんと一人取り残された私は、ベッドから降りて窓の外を覗く。
千代「……………。私の、生きてる意味って何?私は、これからどうしたらいいの………?」
私の頬に涙が伝う。小さく呟いたそれは誰の耳に届くことなく、静かに消え去っていった。