第六章 悪夢
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《フハハハハッ!!!
お前ら人間は、本当に愚かな奴らだ》
千代「うっさいってばさ!」
《まあ、その痣は俺様達との契約の証だからな。簡単にゃあ消せねェぜ?》
その答えが、見当違いなものだったのか、噴飯に耐えれなかったらしい。
くつくつと嗤う彼を睨みつけながら「………それって、どういう事?」と問い出す。
ただの落書きだと思っていたものが、そう簡単に消えないってどういうことなんだろう。
そう思っていたら、彼はさらに私を嘲笑う。
《本当に何にも知らされてないとはな。
それは魂に刻まれた封印で、禁術の一種さ。互いの魂を共有させ、永遠に使役させるためのな。
お前が死ねば、中にいる俺様も消滅するが、次の転生で俺様の復活時期が長引く。
逆に、生き延びようと俺様を別の場所に封印したところで、どのみちお前は一日もしないうちにお陀仏さ。
早い話が、“運命共同体”ってやつだろうよ》
魂共有の封印?
運命共同体といわれたところで、実感が湧かないし、そもそもそんな話聞いたことがない。
というよりも、こんな奴と運命共同体になんかなりたくもない。
千代「……意味分かんない。なんなのそれ。
それがもし本当なら、ちゃんとした文献か何か残ってるはずなのに。そんなの、一つも……」
《そりゃそうだろうよ、千年以上前のモノだからな。
時代の流れで口伝していくうちに、だんだんと言葉が言い換えられていくんだろ。
……たとえば、“呪いの代償”……とかな》
千代「……っ、呪い……」
それを聞いただけで、私は青ざめた。
じゃあ、本当に永久契約ってやつを千年以上も前にしていたってこと……?
術者がそのことを忘れていたとしても、契約上……彼は私の中に生れる前からずっと居続けたことになる。
そんなの、いくらなんでも無茶苦茶すぎる。
千代(……水龍神を祀る巫女の一族だったはず。契約を結ぶのであれば、自身達が祀る氏神様を選ぶのに……)
なんで、自分達が祀る神ではない他の奴と契約を他の奴と結ぶのだろう。
大体、もしそれが本当だとして………何で、誰も知らないふりをしていたの?
一体、何のために………?
《その痣がある限り、お前は俺様をここに留めることができるわけだが……一つ提案してやろう。
俺様にお前の身体を寄越せ。そうすれば、お前の願いを叶えてやる》
千代「……私の、願い……?」
《そうだ。小娘、お前にとって悪い話ではあるまい?
誰が憎い…?お前が呪う奴らは誰だ…?
俺様がお前を助けてやる》
ゾクリと背筋が凍るほどの不敵な笑みを浮かべる彼から、ただただ強い憎しみが痛いぐらいに伝わってくる。
どれくらい長い時間の中、ここに閉じ込められていたのだろう。
どれだけの間、怒りや憎しみを溜め込んで、苦しんでいたんだろう。
誰にも助けてもらえず、誰にも見つけてもらえず……ずっとこの檻の中で。
千代(……っ、同じ、じゃないの。私も、こいつも……)
彼の憎しみが……怒りが、かつての私と重なって見えて、「余計なお世話だってばさ」と私は彼から顔を背ける。
《何……?》
千代「たとえ、憎んでいた人がいたとしても、私はあんたを呼び出すつもりはないよ。
あんたが手を出す必要はない。それは私自身の問題だから」
《何故だ?散々悩まされていただろう?
化け物だと、忌み子だと蔑まれ、疎まれていたじゃないか。それだと言うのに、お前はあいつらを赦すとでも?》
千代「…………。さあ、どうなんだろ」
彼の問いに少しだけ言葉を濁す。
本当の意味で赦せる人なんて、数百万人に一人いるかいないかだろう。
それでも、………例えそうだったとしても、私は赦せない…のだと思う。
簡単に割り切れれるほど、お人好しでもバカでもない。
された屈辱はずっと覚えている。
あの頃にされたことをなかったことなんて、できないし、されたくもない。
けれど、彼と出会わなければ、今の私はいなかったかもしれない。
そう考えたら、あの頃は辛くても必要な時間だったんじゃないだろうか。
私にとって必要なことだったのかもしれないと………やっと、そう思えてきたところなのだから。
それをなかったことにしたくなくて、口をきゅっ、と固く結ぶ。
お前ら人間は、本当に愚かな奴らだ》
千代「うっさいってばさ!」
《まあ、その痣は俺様達との契約の証だからな。簡単にゃあ消せねェぜ?》
その答えが、見当違いなものだったのか、噴飯に耐えれなかったらしい。
くつくつと嗤う彼を睨みつけながら「………それって、どういう事?」と問い出す。
ただの落書きだと思っていたものが、そう簡単に消えないってどういうことなんだろう。
そう思っていたら、彼はさらに私を嘲笑う。
《本当に何にも知らされてないとはな。
それは魂に刻まれた封印で、禁術の一種さ。互いの魂を共有させ、永遠に使役させるためのな。
お前が死ねば、中にいる俺様も消滅するが、次の転生で俺様の復活時期が長引く。
逆に、生き延びようと俺様を別の場所に封印したところで、どのみちお前は一日もしないうちにお陀仏さ。
早い話が、“運命共同体”ってやつだろうよ》
魂共有の封印?
運命共同体といわれたところで、実感が湧かないし、そもそもそんな話聞いたことがない。
というよりも、こんな奴と運命共同体になんかなりたくもない。
千代「……意味分かんない。なんなのそれ。
それがもし本当なら、ちゃんとした文献か何か残ってるはずなのに。そんなの、一つも……」
《そりゃそうだろうよ、千年以上前のモノだからな。
時代の流れで口伝していくうちに、だんだんと言葉が言い換えられていくんだろ。
……たとえば、“呪いの代償”……とかな》
千代「……っ、呪い……」
それを聞いただけで、私は青ざめた。
じゃあ、本当に永久契約ってやつを千年以上も前にしていたってこと……?
術者がそのことを忘れていたとしても、契約上……彼は私の中に生れる前からずっと居続けたことになる。
そんなの、いくらなんでも無茶苦茶すぎる。
千代(……水龍神を祀る巫女の一族だったはず。契約を結ぶのであれば、自身達が祀る氏神様を選ぶのに……)
なんで、自分達が祀る神ではない他の奴と契約を他の奴と結ぶのだろう。
大体、もしそれが本当だとして………何で、誰も知らないふりをしていたの?
一体、何のために………?
《その痣がある限り、お前は俺様をここに留めることができるわけだが……一つ提案してやろう。
俺様にお前の身体を寄越せ。そうすれば、お前の願いを叶えてやる》
千代「……私の、願い……?」
《そうだ。小娘、お前にとって悪い話ではあるまい?
誰が憎い…?お前が呪う奴らは誰だ…?
俺様がお前を助けてやる》
ゾクリと背筋が凍るほどの不敵な笑みを浮かべる彼から、ただただ強い憎しみが痛いぐらいに伝わってくる。
どれくらい長い時間の中、ここに閉じ込められていたのだろう。
どれだけの間、怒りや憎しみを溜め込んで、苦しんでいたんだろう。
誰にも助けてもらえず、誰にも見つけてもらえず……ずっとこの檻の中で。
千代(……っ、同じ、じゃないの。私も、こいつも……)
彼の憎しみが……怒りが、かつての私と重なって見えて、「余計なお世話だってばさ」と私は彼から顔を背ける。
《何……?》
千代「たとえ、憎んでいた人がいたとしても、私はあんたを呼び出すつもりはないよ。
あんたが手を出す必要はない。それは私自身の問題だから」
《何故だ?散々悩まされていただろう?
化け物だと、忌み子だと蔑まれ、疎まれていたじゃないか。それだと言うのに、お前はあいつらを赦すとでも?》
千代「…………。さあ、どうなんだろ」
彼の問いに少しだけ言葉を濁す。
本当の意味で赦せる人なんて、数百万人に一人いるかいないかだろう。
それでも、………例えそうだったとしても、私は赦せない…のだと思う。
簡単に割り切れれるほど、お人好しでもバカでもない。
された屈辱はずっと覚えている。
あの頃にされたことをなかったことなんて、できないし、されたくもない。
けれど、彼と出会わなければ、今の私はいなかったかもしれない。
そう考えたら、あの頃は辛くても必要な時間だったんじゃないだろうか。
私にとって必要なことだったのかもしれないと………やっと、そう思えてきたところなのだから。
それをなかったことにしたくなくて、口をきゅっ、と固く結ぶ。