第五章 目覚める力
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今回の場合、水精の水牢 では、この量のアクマ達を閉じ込める事は出来ないだろう。
ギュッと、未だに光を放つペンダントを握りしめる。
千代「(・・・・・・どうにかして、これだけの量を閉じ込めれればいいのだけれど・・・・・・)
――――【変獣の武器 】・山羊座の前足 」
だが今は、彼らから距離を保ちながら結界を張ることに専念するべきだと思った私は、ビースト・リングで呼び出した動物の特長を生かした靴で建物を駆け上る。
勿論、アクマ達もバカではない。獲物が逃げようとしているのだ、追いかけるのは本能だろう。
・・・・・・ただ、それが罠だったとは気づきもしないのだろうが。
下を見下ろす高さまで上って、奴に声をかける。
千代(フェンリル、力を貸して)
《・・・ケッ、今回だけだぞ、小娘》
ニヤリと不気味に笑うその顔が目に浮かぶようで、内から感じるドス黒い感覚に気が狂いそうになるが、それを体内に溜め込むように気を集中させる。
千代「(・・・・・・大きい、水の結界・・・)・・・っ、【大海精の水牢 】」
私を一気に仕留めようと、あの高さから飛びかかってきたアクマ達を前に、目をギュッと瞑りながらペンダントを握りしめる。
すると、突風が巻き起こる。
まるで、洗濯機のようにぐるぐるとアクマ達を巻き込みながら、空気中の水分が巨大な水の渦を創りだした。
その規模は巨大も何も・・・・・・、ひとつの湖のごとく、廃街と化した場所にぽっかりと浮かんでいた。
けれど、それだけで終わらせるわけにはいかない。
千代「“悪しき力に囚われ、眠れぬと嘆く亡霊よ。母なる海に抱かれ、心安らかに眠るがよい”
海の底に眠りし墓の守人 よ、迷える霊 を連れて還りたまえ。
────【水精 】」
弓から溢れ出た光と同調するかのように、閉じ込めた水牢の真下から、水の波紋が浮かび上がる。
その波紋に続くように、左右から噴水のごとく吹き上がる水柱が牢を取り囲む。
千代「【深海の墓碑 】」
矢を空に向かって射ると、射った場所から巨大な魚の骸骨が優雅に泳ぎながら姿を現した。
その大きさはあの有名な“空飛ぶ白い鯨”よりも大きく、骨でしかない体躯には肉体の代わりに、透明な水の膜を纏っていた。
それは“エサ”を見つけたのか、ゆっくりと水球に近づき、ばくりと丸呑みしながら波紋拡がる地中へと還っていく。
それを見届けた途端、糸が切れたかのように、がくりと崩れ落ちる。
《………時間切れ、だな》
はぁ、はぁ、と短く息を吐く。額から玉のように流れ落ちる汗を拭う力さえなく、グラリと揺らぐ視界に目を凝らす。
貧血の症状とも言える、震えと悪寒が一気に押し寄せてきた。
千代(………吐き気、が……)
痛い、苦しい、怖い、辛い。身体中の筋肉も骨も神経も、あちこちから悲鳴をあげている。
元より運動神経は良いとは言えないし、戦闘経験なんて、そんなもの……一度もしたことがない。
だからこそ、その分の反動が酷すぎた。
頭の中がごちゃごちゃで、もう何も考えられないほど、意識も朦朧としてきた。
ギュッと、未だに光を放つペンダントを握りしめる。
千代「(・・・・・・どうにかして、これだけの量を閉じ込めれればいいのだけれど・・・・・・)
――――【
だが今は、彼らから距離を保ちながら結界を張ることに専念するべきだと思った私は、ビースト・リングで呼び出した動物の特長を生かした靴で建物を駆け上る。
勿論、アクマ達もバカではない。獲物が逃げようとしているのだ、追いかけるのは本能だろう。
・・・・・・ただ、それが罠だったとは気づきもしないのだろうが。
下を見下ろす高さまで上って、奴に声をかける。
千代(フェンリル、力を貸して)
《・・・ケッ、今回だけだぞ、小娘》
ニヤリと不気味に笑うその顔が目に浮かぶようで、内から感じるドス黒い感覚に気が狂いそうになるが、それを体内に溜め込むように気を集中させる。
千代「(・・・・・・大きい、水の結界・・・)・・・っ、【
私を一気に仕留めようと、あの高さから飛びかかってきたアクマ達を前に、目をギュッと瞑りながらペンダントを握りしめる。
すると、突風が巻き起こる。
まるで、洗濯機のようにぐるぐるとアクマ達を巻き込みながら、空気中の水分が巨大な水の渦を創りだした。
その規模は巨大も何も・・・・・・、ひとつの湖のごとく、廃街と化した場所にぽっかりと浮かんでいた。
けれど、それだけで終わらせるわけにはいかない。
千代「“悪しき力に囚われ、眠れぬと嘆く亡霊よ。母なる海に抱かれ、心安らかに眠るがよい”
海の底に眠りし墓の
────【
弓から溢れ出た光と同調するかのように、閉じ込めた水牢の真下から、水の波紋が浮かび上がる。
その波紋に続くように、左右から噴水のごとく吹き上がる水柱が牢を取り囲む。
千代「【
矢を空に向かって射ると、射った場所から巨大な魚の骸骨が優雅に泳ぎながら姿を現した。
その大きさはあの有名な“空飛ぶ白い鯨”よりも大きく、骨でしかない体躯には肉体の代わりに、透明な水の膜を纏っていた。
それは“エサ”を見つけたのか、ゆっくりと水球に近づき、ばくりと丸呑みしながら波紋拡がる地中へと還っていく。
それを見届けた途端、糸が切れたかのように、がくりと崩れ落ちる。
《………時間切れ、だな》
はぁ、はぁ、と短く息を吐く。額から玉のように流れ落ちる汗を拭う力さえなく、グラリと揺らぐ視界に目を凝らす。
貧血の症状とも言える、震えと悪寒が一気に押し寄せてきた。
千代(………吐き気、が……)
痛い、苦しい、怖い、辛い。身体中の筋肉も骨も神経も、あちこちから悲鳴をあげている。
元より運動神経は良いとは言えないし、戦闘経験なんて、そんなもの……一度もしたことがない。
だからこそ、その分の反動が酷すぎた。
頭の中がごちゃごちゃで、もう何も考えられないほど、意識も朦朧としてきた。