それを聞いた私とラビは顔を見合わせる。

それと今回の奇怪と何の関係があるのだろうか。

じっとそのファインダーの方を見ると、一つ咳払いをしながら続けた。





？「仲間の情報によると、以前、その街は人が多く賑わっていたらしいのですが、ある日突然･･････街中の人が消えていったそうなのです。

様子を見に行った何人かの仲間も、いつの間にか消えているとの話で･･････」



ラビ「･･････それが、イノセンスの奇怪現象かも知れないって事さね？」



？「ええ。資料、３ページ目を見て下さい」




ファインダーの指示に従って、資料をめくっていると、まだ人が賑わう時間に撮られたモノらしい写真があった。

どこもかしこもお店は準備万端な筈なのに、今が儲け時（どき）なのに、誰もいない。





？「その写真が、今回向かう神隠しの街です」



千代「･･････っ」





その写真を見た途端、頭の何処かがズキリと痛み出した時、フラッシュバックのように映像が浮かび上がってきた。





――――――　み･･･け･･･た　――――――







千代「――――っ！？」



ラビ「？、どうした？」





びくり、と肩を振るわす私に気付いたラビが声をかけてくる。

上手く声に出せなくて、どうしたらいいのか分からなくなっていると、また同じ映像が流れてくる。

ただ、少し違うのは･･････誰かの･･･憎悪に満ちた声が聞こえてきた事ぐらいだろうか。





千代「あ･･････、何でもない、ちょっと眩暈がしただけ」



ラビ「････････本当に、それだけか？」



千代「うん、･･････心配かけてごめんね？」





そう言って誤魔化すけれど、人の些細な変化に敏感だから、私が何かを感じ取ったことに気付いているのかもしれない。

ラビは何か言おうとしたけれど、私がそれ以上話したがらないことに気付いて、何も言わないでくれた。





千代「･･･････(まさか、この世界でも････この力（・・・）は通用するのね)」





あの映像に映っていたのは、血の海と化した場所、着ていたであろう服とその中から溢れ出る砂、血がべっとりと付いたアメ玉。


そして――――――









あの禍々しい唸り声と、何かを探していたらしい声。

でも･･･ほとんど、断片的でよく分からなかった。








《･･････小娘ェ･･････》










千代(あの声は･･････一体、何？)





まるで、地獄から這い出るかのような、不気味な声だった。

そんな考え事をしていると、ガラリと扉が開き、私と同じぐらいの小柄な男の人がペコリと挨拶してきた。





ルク「･･･申し遅れました。私は今回、お二人のお供をするファインダーのルクです」





その時、彼の顔を見た途端･･･私は息を呑んだ。





千代(あの、顔は･･････っ！！)



ルク「？････私の顔に、何か･･･････？」



千代「っ、あ････ご、ごめんなさい。こちらこそよろしくね！」





さっき見た映像に、彼の死に顔がはっきりと鮮明に写っていたからか、震えも冷や汗も止まらなくて、思わず自分の腕を掴んでいた。