ラビ「どうなんさ？分かりそ？」





「･･･恐らく、神田君と同じ東洋人だね」と言って、一口コーヒーを飲む。





コムイ「髪色も目も、僕やリナリーと同じだけど、僕達の言葉は彼女には分からないし、彼女の言葉も分からないからね。

見た目的には神田君みたいな日本人らしいから、彼に会ってみるといいかもしれない」



ラビ「･･･なるほど。じゃあ、ユウを呼んだ方が良さそうさね」



コムイ「そうだね。ラビ、神田君を連れてきてくれる？」



ラビ「イエッサー」





「僕はちょっと用事を思い出したから」と言って彼は、研究室へ入っていく。

そんな彼に向かって笑いながら見送るラビをちらりと盗み見つつ、他の声に耳を立てる。

彼らの会話に耳を傾けながら、なんて言っているのかを聞き取ろうとしたけど。





千代(･･････授業、ちゃんと聞いてれば良かった←泣)





こういう時に英語は役立つって誰かが言ってたし。

何もかも不器用すぎだと自分で落ち込む。

ただ、わかることは、コムイさんがラビに何かを伝えて、ラビが部屋から出ようとしていることだけ。

すると、あの光景がフラッシュバックのように頭の中を遮る。





ラビ「んじゃ、ここで待っててさ？」







―――――「千代。ここで待ってろよ？」―――――








千代(い、嫌･･････っ、嫌だ･･････置いてかないで･･･)





あの時･･････身を挺して守ろうとした彼の最後の笑顔が、偶然にもラビと似ていて青ざめた顔で彼の名を叫んでいた。





千代「―――――和真っ！！･･････ぁ、っ･･･」



ラビ「･･･ん？どうしたんさ？」





笑顔で私の頭を撫でてから、部屋を出て行こうとするラビの袖を、私は無意識のうちに掴んでいたらしい。





千代「･････あっ、えと･･･その･････」



ラビ「(か、可愛いさぁ～)･･････あ、もしかして寂しいンか？･･･いいさよ、一緒に行こ？」





驚いた様子の彼に少しだけ怖じ気づきながら、何とか弁解しようと必死になって頭をフル回転させるけど、咄嗟のことでパニックを起こしたらしい。

自分でも驚くくらい頭が真っ白になって、何も考えられなくなってしまって、何を言ったらいいのか分からずに顔を背ける。

そんな私を、彼はどう見たのだろう。

優しく頭をなでながら、私と同じ目線になって･･････まるで小さな子供を安心させるような、そんな笑みを向けたまま私の手を掴んで、室長室を後にした。