主人公は女性です
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白蘭の技にその場にいた皆全員が息をのんだ…
私だってそうだ…
あの高エネルギーの塊である火球を掌の圧力だけでかき消すなんて…
「ハハハッ
ボンゴレ匣 敗れたり〜♪」
白蘭はニコニコと笑いながら白拍手はどんな攻撃も絶対粉砕する無敵の防御技とその場にいる全員に聞こえるように言った
攻撃を絶対粉砕の無敵の防御技ってチートじゃん
魔法でさえ絶対はないし無敵もない
禁止された魔法でさえ反射したり打ち消す魔法があるのに…
「どうだい綱吉クン?
いまだかつてこれほどの圧倒的な力の差を感じた戦いはないんじゃない?
…怖いだろう」
白蘭の言っていることはごもっともだ…
今までの沢田はここまではっきりとわかる力の差を見せつけられる敵とはあった事がない…
沢田が戦ったマフィアは同い年の少年と壊滅したマフィアの関係者とボンゴレの関係者のみ
力の差はあれど成長期である沢田の持つ力で何とかなっていたのは確かだ
この世界で確実に思い知らせる
自分が足を突っ込んでいるマフィアの闇と身近にある命のやりとりを
まだ中学2年生の小さな身体に刻まれる恐怖
今の沢田にとって白蘭は史上最強の敵だろう…
それにいつもなら近くにいる指導者であるリボーンがいない
自分で切り開くしかない…
『沢田!
しっかりしろ!!』
「リナ…」
「さて…ここからは僕と綱吉クンとの戦いだ
君は邪魔だ」
ゴッ
『がっ』
白蘭の鋭く重い回し蹴りが私の腹部に直撃し
ドンッ
地面に叩きつけられた
「リナ!!」
『ゲホッ…ゴホッ…
バカ…沢、田…!
白蘭を、見ろ…!!』
「遅い♪」
ドッ
白蘭は一瞬で沢田との距離を詰めて沢田の腹部に右ストレートを入れる
「ぐっ」
「まあ、マフィアのボスといっても、まだ中学生なんだもん
別に恥じることはない
ここでちびったっていい」
ドッ
「がっ」
ドンッ
白蘭のとてつもなく重い回し蹴りが沢田の左頬に当たり、沢田は地面に叩き付けれられた
「死んだって…いいんだよ♪」
ガキッ
「っ!!」
白蘭は立ち上がろうとする沢田の首に腕を回し思い切り首を絞めた
「かっ」
「ハハハッ
綱吉クン!!
なんて君は非力なんだろう
こんな細い首、カンタンに折れちゃうよ♪」
グググッと白蘭はさらに沢田の首を絞めていく
「ぐあっ」
沢田は苦しいようで出来る限り首が締まらないように白蘭の左腕を掴み、外そうと抵抗する
『沢、田…!!』
「動くな」
『!』
「今動いたら綱吉クンの首、折るよ」
声のトーンは今までと一緒だが…何かが違う…
従わないといけない…そんな声だった…
「あーあ…
もう少しいい勝負になると思ったんだけど、つまんないなぁ
リングから放たれる炎の大きさは、覚悟の大きさだよ
君の、みんなを過去に帰そうとする覚悟はこんなものかい?」
「ぐっ」
白蘭に覚悟を聞かれた沢田はリングに力強い炎を灯す
白蘭を倒してみんなで過去に帰る…その覚悟が炎に宿る
それに合わせて白蘭はさらに炎を灯す
そこからは炎の応酬
死ぬ気の炎は熱くないのに熱く感じてしまうほどの凄まじい量の炎が両者のリングから放たれる
炎のエネルギーが凄まじく空気がビリビリと揺れる
カァァァン
「きた♪」
「!?」
白蘭と沢田のリングから聞こえる鐘の音
私は10年後の私の肩を借りてゆっくり立ち上がった
『この音…』
『ああ…始まった…』
リングの共鳴
これは7³(トゥリニセッテ)にしかおきない奇跡
7³の大空のどれか二柱が近くにあり、かつ、7³の大空がリングに灯す事ができる最高炎圧が同じになった時に起こる7³大空の儀式
その儀式が始まると炎を灯していなかろうが強制的に残りの7³の大空も呼ばれる
獄寺達はユニが近づいていることに気付き、何とか離そうとユニが入っている炎の球体を匣兵器で攻撃する
だが、球体は壊れることなく沢田と白蘭が入った炎の球体に近づき、合体
7³大空の儀式用炎のドームが完成した
ドームの中に入ったユニはゆっくりと地面に着地し、それと同時にリボーンと入江達がやってきた
ユニのことを追ってきたのだろう
白蘭は沢田の首をゆっくりと絞めながらユニに話かける
相手は、絶対に勝ち目のない白蘭と知っておきながら、自分を守らせるためにボンゴレに命をかけさせ、何のあてもなく逃げまくってやみくもに犠牲者を増やすだけの逃走劇を仕組んだのはユニ自身だと
それなのに今更やめてとは自分勝手すぎる、と…
その話をしている最中、ユニのマントの中が一瞬光った
「何かをマントの内側にかくしているね」
「駄目です…まだ…」
ユニは何かが出てくるのを抑えるかのように自分の身体を抱きしめる
しかし、マントの中にあるものはユニの意志を無視してモゾモゾと動き…
「あ…」
ゴドゴトゴト…
ユニの足元に落ちた
それは5つのおしゃぶり
各おしゃぶりからはアルコバレーノのモチーフの一部が飛び出している
赤のおしゃぶりからはおさげ髪
青のおしゃぶりからはバンダナ
紫のおしゃぶりからはヘルメット
緑のおしゃぶりからはメガネ
藍のおしゃぶりからはローブ
それはアルコバレーノの肉体の再構成が始まっていることをあらわしている
わかりやすくいえば復活
ユニがチョイスの後からずっとおしゃぶりに炎を灯していたのはそのため…
リボーンが沢田達にアルコバレーノの復活に関することを説明した
それは大空のアルコバレーノの力を持ってすれば仮死状態にあるアルコバレーノを生き返らせることができること…
でもこのままだとアルコバレーノ完全復活までには時間がかかる
白蘭にそのことを指摘されてユニは一瞬たじろぐ
その姿を見逃さなかった白蘭は不敵な笑みを浮かべて沢田の首を思いっきり絞め…
ゴキッと嫌な音と共に沢田の額の死ぬ気の炎は消え、地面にドサッ…と倒れ込んだ
「誰が復活しようと負けっこないけど、時間がもったいないだろ?
この頑丈な結界の中にはもう誰も来やしないよ
これで君は僕のもの♪
んで、その後には虹であるリナだ」
「……!」
『ふざけんな…』
「泣いても、叫んでも無駄だよ
もう、アルコバレーノも僕を倒してはくれない」
「その通りだ」
「!」
「!」
「お前を倒すのはアルコバレーノじゃねぇ
オレの生徒…ツナだ」
「あはは!
なにを言ってるんだい?
綱吉クンは今完全に壊したよ♪」
殺したじゃなくて壊した…
なら復活する可能性はあるってことだ
なら私はこれからのためにやることをやらないとね…
リボーンは気絶している沢田にも聞こえるようにユニがこれからやろうとしていること…沢田達を平和な過去に戻すために、アルコバレーノ復活のために命を捧げることを伝えた
「ふーん
そんなバカげたことますますやめさせなきゃね
ユニちゃんの命は、僕のためにあるんだもん♪」
『ふざけんな
ユニの命はユニのものだ!』
「げほっ」
『沢田?』
沢田は意識を取り戻しゆっくりと体を起こす
まだ体と心の状態が合ってないためか声と体が震えている
それを白蘭は笑い、沢田の不運な人生を語り始め、沢田の最大の不運はこの時代に来たことと言い切った
「それは…少し…違う気がする…」
『お…?』
「…そりゃ…たしかに…
未来は…恐くて…痛くて…不安ばかりで、心から嬉しい時間なんてほんのちょっとだったけど…
今なら少し…わかってきた気がするんだ…
…いいとか悪いとかじゃない…
…未来 でのことは……
全部、大事なオレの時間だって…」
『へぇ…』
「へー
君は変わった物事の捉え方をするねー
でも、よーく考えてみてほしいな
殺されちゃったらそんなの負けおしみだよ♪」
白蘭は笑いながら匣兵器の白龍を出し小型化する
「んん
そーだなぁ
今の綱吉クンなら、このミニ白龍を心臓に一突きすれば、充分♪」
「ひいっ
ま、まっt「またないっ!!」」
沢田の言葉を聞かずに白蘭は白龍を沢田の心臓向けて放つ
白龍は沢田の左胸に刺さり沢田は後ろに倒れた
ユニ、獄寺、山本ら戦いを経験している者は冷や汗をかきながら沢田の名前を呼び、非戦闘員である女子中学生2人は涙を浮かべながら沢田の名前を呼ぶ
「さあユニちゃん
君の救世主はいなくなったよ」
白蘭は両手を広げ、ユニにおいでのサインをするもユニの表情は固まったまま
「いっ…
いってー!!」
「!」
沢田の大声に驚きの表情をする白蘭
ユニ達には安堵の表情がでる
起き上がった沢田は服をちぎり、自分を守ってくれたモノ…
白龍が刺さったランチアからもらったリングを取り出す
なんていう豪運…
あの感じは殺られたと思ったよ…
「やっぱり…そうなんだ…
オレは全部に支えられてる…」
「?」
「この未来にきて、なくてよかったものなんて、一つもないんだ
つらいことも…苦しいことも…楽しかったことも…
そして、みんながいたから…
オレは…ここにいるんだ…
未来 で手に入れた技も武器も…ただ、じっとしていたら完成しなかったし…
みんながいなきゃ完成しなかった…
オレ…
不運どころか…ついてるよ…
みんなと未来 にいた時間は…オレの宝だ…
オレの炎は…
お前が支配するこの時代だからこそ生まれた、みんなの炎だ!!
むやみに人を傷つけたために倒されることを、後悔しろ!!」
ボッと沢田が再び額とリングに力強い炎を灯し、白蘭を睨む
「ハハハ!!
いい気分のところ悪いけど、何の解決もしてないよ、綱吉クン!!
結局、僕と君の力の差は君が倒された時から何も変わってない!!」
「どうだろうな」
『!』
この声…記憶の中にある…
なんて懐かしい…
声が聞こえたと同時に虹を除く7つのボンゴレリングが光を放ち、ホログラムのように初代ボンゴレファミリーの各守護者の姿を投影する
初代雷の守護者、ランポウ
初代雨の守護者、浅利雨月
初代晴の守護者、ナックル
初代霧の守護者、D ・スペード
初代雲の守護者、アラウディ
初代嵐の守護者、G
各々が思っていることを話し、最後にはボンゴレファミリーの初代のボス…ボンゴレⅠ世 が投影…いやリングからボンゴレの紋章と共に姿を現した
「オレの真の後継者に力を貸してやりたいが、あいにく、それは、できない
そのかわり…枷をはずしてやろう」
枷?
どういうこと?
「なんの遊びだい?
綱吉クンのソレは
誰なのかな、その男は?」
白蘭はⅠ世が現れたことに少し動揺している
『彼はボンゴレファミリーの初代のボス…ボンゴレⅠ世』
「Ⅰ世?
ハハハ
からかうのもいい加減にしてくれる?
そんな大昔のご先祖様をホログラムで投射するなんて、悪趣味にも程があるよ」
「ホログラムではないです
あなたもそう感じているはずです」
ユニそう言われ白蘭の表情がもとに戻る
白蘭も理解したようだ
「これは7³(トゥリニセッテ)の中でもあなたのマーレリングにも、私のおしゃぶりにも、起きない
ボンゴレリングの“縦の時空軸の奇跡”」
「縦の時空軸の…」
「奇跡…」
それからユニは生まれた時から刻まれているある記憶の話を始めた
【海はその広がりに限りを知らず】
【貝は代を重ねその姿、受け継ぎ】
【虹は時折現れはかなく消える】
これ7³の各大空のあり方を示す詩
マーレとは「海」
ボンゴレとは「あさり貝」
アルコバレーノは「虹」
どこまでも広がる「海」は横の時空軸…平行に広がる平行世界 に生きる
ボンゴレリングの枷が外されたことでパワーアップした沢田は戦いを再開し、白蘭と激しく衝突する
アイツら…
ユニがいるってこと忘れてんじゃねぇだろうな…?
ユニの近くでドンパチしやがって…
『さてと……』
私と10年後の私は結界内にいるユニの後ろのところまで歩き、ユニに話かける
『ユニ…もう君がそれをする必要はないんだよ』
「!」
『ユニ様…あなたなら私達の言ってる意味…わかりますよね?』
「……」
「リナ、お前、何考えている?」
『リボーンさん
まあ、見てればわかりますよ』
ボッ!!!
私はおしゃぶりとボンゴレリングに最大出力の炎を灯し、10年後の私はおしゃぶりとマーレリングに同じく最大出力の炎を灯した
『そろそろ私達も中に入れてもらいますね』
「何…言ってるんだ?」
「そうです
あのドームは我々の炎、攻撃を弾いてしまう
入るのは不可能です
あなたも見たでしょう?」
『ん?ああ…それはそうだよ
これは7³の大空の奇跡の儀式だからね
7³の大空以外は排除される』
『でも特別に別世界の7³全てとこの世界の礎と融合した呪われた虹の魔女は…』
私と10年後の私は大空の炎のドームに右手を当て
『『その条件が免除され入ることができる』』
スッと中に入った
『ユニ様』
『もう、大丈夫です』
「リナさん……」
ユニの目にはうっすらと光るものが見える
炎を込めている間に死の恐怖を感じたんだろう…
無理もない…
「へぇ…
虹ってそんなことも出来るんだね
どの世界線を覗いてもそれは分からなかったなぁ」
『当たり前じゃん
この技は私をアルコバレーノにした奴が私に与えた特権だからね
この特権の存在を知っていたのは私が一番最初に守護者として支えた同じアルコバレーノの大空…ルーチェだけ』
『ユニ様、そのおしゃぶり達を私達に預けていただけませんか?』
「え」
『私達の力があればアルコバレーノは早く復活する
これを幼い君が背負う必要はないんだ』
『そう…
ここは最年長である私達に任せてくれませんか?』
「……」
『ま、そう言われて大人しく任せてくれる子じゃないよね…
君達一族は…』
「ユニ様!」
「γ !」
『ナイスタイミング、γさん』
『イモビラス 』
「なにを!?」
『手荒なマネで、すみません、ユニ様
でもこれはあなたのためなんです』
私は魔法で動けなくしたユニをお姫様抱っこして、未来の私が魔法でこじ開けて作った穴から少しだけ出てγに引き渡し、硬直の魔法を解く
『アクシオ・パーシファイア・オブ・ザ・トゥリニセッテ 』
魔法でユニの持つ大空のおしゃぶりと再生中の5つのおしゃぶりを私の手元に引き寄せる
「あっ!!
ダメッ!!」
ユニの手がおしゃぶりに届くと同時に魔法で出来た穴が閉じユニの手が炎の壁に弾かれた
『強引で申し訳ないけど…確かに受け取ったよ』
私は大空のおしゃぶりを首に下げ、大空の炎も灯す
そして私と未来の私は最大出力の大空と虹の炎を再生中の5つのおしゃぶりに注ぐ
「二人とも、やめて!!」
『それは無理』
『さて…
この際だからネタバレしとくよ
私達はね…いや…私はね…本当はこの世界には存在してはいけない人間なんだ
あっちの世界で魔法の衝突があってこの世界に飛ばされた
その時にこの世界のシステムがさらに壊れたんだろうね
だからこの世界には過去の私と未来の私が同時に存在することになってしまっている
これはね…この世界のシステムを元に戻す大事なことなんだ
私が消えることでこの世界のシステムは元に戻る』
「そんなこと、僕が許さないよ」
『それは無理だね
この修正はもう始まってる
マーレリングの正統保持者 のお前の力でもこれは止められない
ま、翼をもがれてドス黒い悪魔の翼しか生やせないお前はそこまでの男で、完全にマーレリングを使いこなせなかったってだけだよ』
ゴオッ
私達はさらに炎の出力を上げ、おしゃぶりに炎を注ぎ込む
コオオ…っとおしゃぶりに少しずつ色が灯りはじめ、肉体の再生も受け取った時よりも進んでいる
『さて…
そろそろかな…』
『うん』
私は沢田の方を見て笑みを浮かべる
私の異変に気付いたのか沢田がこちらに飛んでくる
『沢田!あとは頼んだよ…』
私はニッコリと笑って意識を手放した
ーー リナ Side end ーー
ーー 沢田 Side ーー
おしゃぶりに炎を注ぐリナと目があった
オレの超直感が警鐘をならす
今行かないと後悔すると
「!!
リナ!!」
オレは急いで2人のリナのところに向かう
『沢田!あとは頼んだよ…』
笑みを浮かべたリナに触れたと同時に2人の身体が消えた
ゴドゴトゴト…
オレの足元に2人が着ていたローブと使っていた匣兵器、ユニの大空のおしゃぶり、再生中の5つのおしゃぶり、色の失った2つの虹のおしゃぶり、大空以外のマーレリング、虹のボンゴレリング、虹のヴァリアーリングが落ちた
「そんな…」
オレが色の失った2人のおしゃぶりに触れようとした瞬間…
パリンッ
10年後のリナが持っていたおしゃぶりが砕け散り、おしゃぶりから溢れ出た虹の炎がオレのボンゴレリングに吸収された
「リナ…」
オレは静かにゆっくりと色を失った虹のおしゃぶりを手にとる
名前を呼んでもリナからの返事はない…
「アルコバレーノが復活しないよ!!」
「いいや、炎はちゃんと注入されたぞ
ただまだ時間がかかる」
風太の嘆きにリボーンは淡々と答える
アルコバレーノ5人の復活にこれほどの代償が必要だったなんて…
「ねぇ…
どうしてくれんのさ…
やっとみつけたパズルの一ピースが死んじゃったよ…
全ておじゃん じゃないか…
7³(トゥリニセッテ)と虹を覚醒させ、時空を超えた覇者になる僕の夢は…
君達のくだらないお友達ごっこのせいで散ったんだ…
この意味が…
わかっているのか!!」
くだらないお友達ごっこ…?
世界を戻すためにとったリナ行動が…?
許さない…
「誰が、リナを殺したと思っているんだ」
オレはリナのおしゃぶりを優しく復活中のアルコバレーノのおしゃぶり達の中心に置き、ゆっくりと立ち上がる
「お前がこんな世界にしたから…
リナは…死んだんだ!!
オレは、お前を許さない!!!
白蘭!!!」
オレは白蘭を鋭く睨み、炎圧を上げる
「んー?
許さない?」
白蘭はオレの言葉に眉を歪め、そして笑った
「ナンセンスだよ!!
君という人間は、なんて茶番なんだ!!
あの娘に装置としての強烈な意味を見出すのならわかる!!
なんせリナは、僕が、全知全能フルオプション付きの神になるためのスーパーアイテムだったのだからね!!」
リナをアイテム扱いするなんて…
「だが、リナをあたかも1人の女の子として扱い、尊び、ヒューマニズムで僕に盾突こうなんてのは、一時のホルモン分泌に踊らされた陶酔だよ
人のつくる利己的な社会に生きる子供の答えとしては5重ペケさ!!
寄せ集めの偽善より個人のドス黒い欲望や執着の方が強い
この世界はそうできている!!」
白蘭はそう言いながらドス黒い死ぬ気の炎を手に収束している
なら…
「…オペレーションX …」
キュイイン…
オレのヘッドホンから発射シークエンスが聞こえ、コンタクトレンズに映るモニターで目標座標を固定する
「まったく無意味なことをしてくれた!!
あの、おしゃぶり付きの魔法人形は僕に最高のオモチャを与えてくれたのに!!」
「それ以上リナを侮辱するな!!」
リナをおもちゃと呼ぶなんて…
「白蘭、お前だけは!!」
オレは拳にありったけの死ぬ気の炎を込める
「消えろ!!」
「くらえ!!」
オレと白蘭は同時に自分が持つ最高の技を放った
「らああああ!!」
「うおおおお!!!!」
オレと白蘭の中央でお互いの最大出力の炎が衝突する
ズギャギャギャ…!!!!
オレは…絶対に負けない!!!!
オレはさらに炎圧を上げる
ゴアッ!!
オレの炎が白蘭の放った炎を飲み込み、白蘭に接近する
「うぎゃあああ…!!」
オレの炎が直撃した白蘭はパラパラと塵のように炎の中に消え、大空のマーレリングが地面にカラン…と乾いた音を出して転がった
「白蘭、様…」
オレは超 死ぬ気モードを解くとどっと疲れが押し寄せてきた
それと同時に喪失感と悲しみに襲われた
白蘭を倒しても…
リナはもういない…
獄寺君達は白蘭が倒されて喜んでるけど…
「よくやったな、ツナ」
「リボーン…
でも…
リナは…」
彼女はいないんだ…
「リナさん…」
ユニはリナのおしゃぶりを握りしめポロポロと涙を流し、γ はユニの肩に手を添えて俯いている
「ユニ…」
ユニの姿を見て京子ちゃん、ハルも泣いてる…
ビアンキも…
「この戦いは多くの人が傷つきすぎたよ…」
ガスッ
「グハッ」
声がした方を見るとヴァリアーが桔梗を蹴り飛ばしていた
「ししし
てめーのボスはくたばっちまったぜー」
ドカッ
「ぐあっ…」
「次は貴様の番だ
よくもボスの妹様を…」
「殺され方の希望とかあれば聞きますけどー
まあ、ミーは白蘭と同じ死ぬ気の炎をぶつけられて完全消滅を勧めますけどねー」
「ちょっ
何をしてるの?
もうこれ以上犠牲者はいらないよ!!」
「こんなカスをかばってどうする気だ
こいつは殺ししかできぬ怪物だぞ」
ヴァリアーの桔梗を見る目は冷たく、強い憎しみを含んでいる
「それは違う…
彼らは元々一般人だ…」
「え!?」
「なぬ!?」
一般人…?
あんなに強かったのに…?
「入江…正一…」
「僕はミルフィオーレの幹部時代に強力な人材を引き入れるため、世界各国のマフィア・軍人・殺し屋・学者…
全てのデータをチェックしていたが彼らを見たことがない
考えられるとすれば、リストアップされない一般人だということだ…」
「……ハハン…
一般人とは…安い言われようですね…
我々は、世が世 なら、各分野で天下をとった人間だ!!
だが…この世界ではくだらぬ不運により、それは叶わなかった…
白蘭様はそんな我々の憤りを力に変えて下さったのだ!!」
また、パラレルワールド…
「黙れ」
ズガンッ
「XANXUS !!」
XANXUSが桔梗の頭部を銃で撃ち抜いた
リボーンと骸はその行動にやれやれ…とため息をつき
「は〜い
大丈夫よ〜♪」
ルッスーリアが早業で晴の匣を開匣 し桔梗に晴の炎を当てる
「命は私がつなぐわ〜」
その言葉を聞いてオレは力が抜け、その場に座り込んだ
「この戦いでたくさんの人が傷ついて…
山本のお父さんも他のパラレルワールドでも…多くの人が死んじゃって…
勝ったは勝ったけど…もうこんなめちゃくちゃで…
本当に…勝った意味なんて…あったのかな…?」
ねえ…リナさん…
「ツナ…」
「大ありに決まってんだろ、コラ!!!」
「!」
この声…!
ピカーッ
「っつ…」
おしゃぶりから眩しい光が発生し、辺りを照らす
「よくやったな、沢田!!コラ!!」
「この声!!」
おしゃぶりの光が落ち着くとユニの両隣には復活した5人のアルコバレーノが立っていた
「皆さん…」
涙を浮かべながら復活したアルコバレーノを見る大空のアルコバレーノ・ユニ
「ま、待たせたな!」
フルフェイスヘルメットをかぶっている、雲のアルコバレーノ・スカル
「調子に乗ってるんじゃねぇぞ、スカル
オメーら、おせーぞ」
最強の殺し屋 、晴のアルコバレーノ・リボーン
アルコバレーノの復活にアルコバレーノと関わりがある者達は嬉しそうにしていた
「ユニ…リナから事情は聞いてます
私達の復活の為に命の炎を注いでくれたそうで…
どうも、ありがとう」
ペコっとユニに中国武術のお辞儀をする、嵐のアルコバレーノ・風
「いえ…
私は…」
「全ての炎を注ぎ込めなかった…とでも言いたいのかね?」
クイッと眼鏡を上げながら話す、雷のアルコバレーノ・ヴェルデ
「っ!!」
「そんな必要なくない?
生きているだけで儲けものだと僕は思うけど…?」
フードを深くかぶったヴァリアー幹部、霧のアルコバレーノ・マーモン…またの名をバイパー
「でも…」
「ヴェルデ、マーモン…あんまりユニに迫るんじゃねぇよ
困ってるじゃねぇか、コラ!」
COMSUBIN の最強兵士、雨のアルコバレーノ・コロネロ
これで7人
「ユニ…
お前の気持ちはよくわかる
だがあいつの気持ちもわかってやれ」
「おじさま…」
ユニは唇をぎゅっと噛み締め、涙をぬぐった
「沢田さん…皆さん…」
「ユニ?」
「白蘭を倒していただき、ありがとうございました」
ユニは俺達の方を向いて深々とお辞儀をした
「これによって、持ち主を失ったマーレリングの力は無効化され、白蘭がマーレリングによって引き起こした出来事は全て…全パラレルワールドのあらゆる過去に遡 り抹消されました」
「抹消…?」
「つまり、白蘭のやった悪事は、昔のこともきれいさっぱり、跡形もなくなくなるんだぜ、コラ!!」
「え!?
そ…それって…ミルフィオーレに殺された人達や山本のお父さんも!?」
「はい…
死んだ事自体がなかったことになります」
「!!」
「オヤジが…」
「ちょ…ちょっとごめんよ
水をさすつもりはないんだが…
そんな時空の法則を無視したことが起こりうるのかな…
計算が合うのかな?
なんて…
アハハハ」
「正一くん…」
「愚か者め
7³(トゥリニセッテ)が起こす現象は人知を遥かに超えているのだ
人間がコンピューターでピコピコ計算している内は答え合わせなど無意味なのだよ
7³を語るに限っては、現在の我々の持ち合わせる言葉では、「奇跡」か「何者かの意志」がいまだ適当なのだ
現に別次元から来た今は亡きリナの存在がそうだ
彼女は貴様らよりもかなり昔の次元から来た存在だったのだから」
「は…
はあ…」
かなり昔…だからあんなに…
っていうか…あの赤ん坊…リナさんよりも老けてる…
「あ
…でもまた、白蘭みたいな奴が出てきて、マーレリングを使いだしたらどうしよう…」
「それを防ぐ為にリナさんは命をかけたのです」
「え!?」
「これは私と虹のアルコバレーノにしか使えない技で…
自分のおしゃぶりに宿した“命の炎”を、復活したアルコバレーノ全員の最大奥義により永久発火させ、過去の…つまり、沢田さん達の時代のマーレリングを永遠に封印させるのです…」
「過去のマーレリングを…封印?
そんなこと…」
「その奥義をリナがオレ達に託してくれたんだぜ」
「彼女は命がけで永遠の平和をつくり、そして私の代わりに私の願いを…あなた方を“平和な過去”に帰えれるようにしてくれました…」
「リナさん…」
ありがとう…
オレは空を見上げてそう心でつぶやいた
「さあ!
今度は君達の願いを叶える番だよ!」
「あっ
…そ…
そっか!!」
「沢田!!」
「10代目!!」
「ツナ君!」
「ツナさん!」
オレは過去から来たみんなの顔を見て頷き…
「過去へ帰ろう!!」
そう宣言した
私だってそうだ…
あの高エネルギーの塊である火球を掌の圧力だけでかき消すなんて…
「ハハハッ
ボンゴレ
白蘭はニコニコと笑いながら白拍手はどんな攻撃も絶対粉砕する無敵の防御技とその場にいる全員に聞こえるように言った
攻撃を絶対粉砕の無敵の防御技ってチートじゃん
魔法でさえ絶対はないし無敵もない
禁止された魔法でさえ反射したり打ち消す魔法があるのに…
「どうだい綱吉クン?
いまだかつてこれほどの圧倒的な力の差を感じた戦いはないんじゃない?
…怖いだろう」
白蘭の言っていることはごもっともだ…
今までの沢田はここまではっきりとわかる力の差を見せつけられる敵とはあった事がない…
沢田が戦ったマフィアは同い年の少年と壊滅したマフィアの関係者とボンゴレの関係者のみ
力の差はあれど成長期である沢田の持つ力で何とかなっていたのは確かだ
この世界で確実に思い知らせる
自分が足を突っ込んでいるマフィアの闇と身近にある命のやりとりを
まだ中学2年生の小さな身体に刻まれる恐怖
今の沢田にとって白蘭は史上最強の敵だろう…
それにいつもなら近くにいる指導者であるリボーンがいない
自分で切り開くしかない…
『沢田!
しっかりしろ!!』
「リナ…」
「さて…ここからは僕と綱吉クンとの戦いだ
君は邪魔だ」
ゴッ
『がっ』
白蘭の鋭く重い回し蹴りが私の腹部に直撃し
ドンッ
地面に叩きつけられた
「リナ!!」
『ゲホッ…ゴホッ…
バカ…沢、田…!
白蘭を、見ろ…!!』
「遅い♪」
ドッ
白蘭は一瞬で沢田との距離を詰めて沢田の腹部に右ストレートを入れる
「ぐっ」
「まあ、マフィアのボスといっても、まだ中学生なんだもん
別に恥じることはない
ここでちびったっていい」
ドッ
「がっ」
ドンッ
白蘭のとてつもなく重い回し蹴りが沢田の左頬に当たり、沢田は地面に叩き付けれられた
「死んだって…いいんだよ♪」
ガキッ
「っ!!」
白蘭は立ち上がろうとする沢田の首に腕を回し思い切り首を絞めた
「かっ」
「ハハハッ
綱吉クン!!
なんて君は非力なんだろう
こんな細い首、カンタンに折れちゃうよ♪」
グググッと白蘭はさらに沢田の首を絞めていく
「ぐあっ」
沢田は苦しいようで出来る限り首が締まらないように白蘭の左腕を掴み、外そうと抵抗する
『沢、田…!!』
「動くな」
『!』
「今動いたら綱吉クンの首、折るよ」
声のトーンは今までと一緒だが…何かが違う…
従わないといけない…そんな声だった…
「あーあ…
もう少しいい勝負になると思ったんだけど、つまんないなぁ
リングから放たれる炎の大きさは、覚悟の大きさだよ
君の、みんなを過去に帰そうとする覚悟はこんなものかい?」
「ぐっ」
白蘭に覚悟を聞かれた沢田はリングに力強い炎を灯す
白蘭を倒してみんなで過去に帰る…その覚悟が炎に宿る
それに合わせて白蘭はさらに炎を灯す
そこからは炎の応酬
死ぬ気の炎は熱くないのに熱く感じてしまうほどの凄まじい量の炎が両者のリングから放たれる
炎のエネルギーが凄まじく空気がビリビリと揺れる
カァァァン
「きた♪」
「!?」
白蘭と沢田のリングから聞こえる鐘の音
私は10年後の私の肩を借りてゆっくり立ち上がった
『この音…』
『ああ…始まった…』
リングの共鳴
これは7³(トゥリニセッテ)にしかおきない奇跡
7³の大空のどれか二柱が近くにあり、かつ、7³の大空がリングに灯す事ができる最高炎圧が同じになった時に起こる7³大空の儀式
その儀式が始まると炎を灯していなかろうが強制的に残りの7³の大空も呼ばれる
獄寺達はユニが近づいていることに気付き、何とか離そうとユニが入っている炎の球体を匣兵器で攻撃する
だが、球体は壊れることなく沢田と白蘭が入った炎の球体に近づき、合体
7³大空の儀式用炎のドームが完成した
ドームの中に入ったユニはゆっくりと地面に着地し、それと同時にリボーンと入江達がやってきた
ユニのことを追ってきたのだろう
白蘭は沢田の首をゆっくりと絞めながらユニに話かける
相手は、絶対に勝ち目のない白蘭と知っておきながら、自分を守らせるためにボンゴレに命をかけさせ、何のあてもなく逃げまくってやみくもに犠牲者を増やすだけの逃走劇を仕組んだのはユニ自身だと
それなのに今更やめてとは自分勝手すぎる、と…
その話をしている最中、ユニのマントの中が一瞬光った
「何かをマントの内側にかくしているね」
「駄目です…まだ…」
ユニは何かが出てくるのを抑えるかのように自分の身体を抱きしめる
しかし、マントの中にあるものはユニの意志を無視してモゾモゾと動き…
「あ…」
ゴドゴトゴト…
ユニの足元に落ちた
それは5つのおしゃぶり
各おしゃぶりからはアルコバレーノのモチーフの一部が飛び出している
赤のおしゃぶりからはおさげ髪
青のおしゃぶりからはバンダナ
紫のおしゃぶりからはヘルメット
緑のおしゃぶりからはメガネ
藍のおしゃぶりからはローブ
それはアルコバレーノの肉体の再構成が始まっていることをあらわしている
わかりやすくいえば
ユニがチョイスの後からずっとおしゃぶりに炎を灯していたのはそのため…
リボーンが沢田達にアルコバレーノの復活に関することを説明した
それは大空のアルコバレーノの力を持ってすれば仮死状態にあるアルコバレーノを生き返らせることができること…
でもこのままだとアルコバレーノ完全復活までには時間がかかる
白蘭にそのことを指摘されてユニは一瞬たじろぐ
その姿を見逃さなかった白蘭は不敵な笑みを浮かべて沢田の首を思いっきり絞め…
ゴキッと嫌な音と共に沢田の額の死ぬ気の炎は消え、地面にドサッ…と倒れ込んだ
「誰が復活しようと負けっこないけど、時間がもったいないだろ?
この頑丈な結界の中にはもう誰も来やしないよ
これで君は僕のもの♪
んで、その後には虹であるリナだ」
「……!」
『ふざけんな…』
「泣いても、叫んでも無駄だよ
もう、アルコバレーノも僕を倒してはくれない」
「その通りだ」
「!」
「!」
「お前を倒すのはアルコバレーノじゃねぇ
オレの生徒…ツナだ」
「あはは!
なにを言ってるんだい?
綱吉クンは今完全に壊したよ♪」
殺したじゃなくて壊した…
なら復活する可能性はあるってことだ
なら私はこれからのためにやることをやらないとね…
リボーンは気絶している沢田にも聞こえるようにユニがこれからやろうとしていること…沢田達を平和な過去に戻すために、アルコバレーノ復活のために命を捧げることを伝えた
「ふーん
そんなバカげたことますますやめさせなきゃね
ユニちゃんの命は、僕のためにあるんだもん♪」
『ふざけんな
ユニの命はユニのものだ!』
「げほっ」
『沢田?』
沢田は意識を取り戻しゆっくりと体を起こす
まだ体と心の状態が合ってないためか声と体が震えている
それを白蘭は笑い、沢田の不運な人生を語り始め、沢田の最大の不運はこの時代に来たことと言い切った
「それは…少し…違う気がする…」
『お…?』
「…そりゃ…たしかに…
未来は…恐くて…痛くて…不安ばかりで、心から嬉しい時間なんてほんのちょっとだったけど…
今なら少し…わかってきた気がするんだ…
…いいとか悪いとかじゃない…
…
全部、大事なオレの時間だって…」
『へぇ…』
「へー
君は変わった物事の捉え方をするねー
でも、よーく考えてみてほしいな
殺されちゃったらそんなの負けおしみだよ♪」
白蘭は笑いながら匣兵器の白龍を出し小型化する
「んん
そーだなぁ
今の綱吉クンなら、このミニ白龍を心臓に一突きすれば、充分♪」
「ひいっ
ま、まっt「またないっ!!」」
沢田の言葉を聞かずに白蘭は白龍を沢田の心臓向けて放つ
白龍は沢田の左胸に刺さり沢田は後ろに倒れた
ユニ、獄寺、山本ら戦いを経験している者は冷や汗をかきながら沢田の名前を呼び、非戦闘員である女子中学生2人は涙を浮かべながら沢田の名前を呼ぶ
「さあユニちゃん
君の救世主はいなくなったよ」
白蘭は両手を広げ、ユニにおいでのサインをするもユニの表情は固まったまま
「いっ…
いってー!!」
「!」
沢田の大声に驚きの表情をする白蘭
ユニ達には安堵の表情がでる
起き上がった沢田は服をちぎり、自分を守ってくれたモノ…
白龍が刺さったランチアからもらったリングを取り出す
なんていう豪運…
あの感じは殺られたと思ったよ…
「やっぱり…そうなんだ…
オレは全部に支えられてる…」
「?」
「この未来にきて、なくてよかったものなんて、一つもないんだ
つらいことも…苦しいことも…楽しかったことも…
そして、みんながいたから…
オレは…ここにいるんだ…
みんながいなきゃ完成しなかった…
オレ…
不運どころか…ついてるよ…
みんなと
オレの炎は…
お前が支配するこの時代だからこそ生まれた、みんなの炎だ!!
むやみに人を傷つけたために倒されることを、後悔しろ!!」
ボッと沢田が再び額とリングに力強い炎を灯し、白蘭を睨む
「ハハハ!!
いい気分のところ悪いけど、何の解決もしてないよ、綱吉クン!!
結局、僕と君の力の差は君が倒された時から何も変わってない!!」
「どうだろうな」
『!』
この声…記憶の中にある…
なんて懐かしい…
声が聞こえたと同時に虹を除く7つのボンゴレリングが光を放ち、ホログラムのように初代ボンゴレファミリーの各守護者の姿を投影する
初代雷の守護者、ランポウ
初代雨の守護者、浅利雨月
初代晴の守護者、ナックル
初代霧の守護者、
初代雲の守護者、アラウディ
初代嵐の守護者、G
各々が思っていることを話し、最後にはボンゴレファミリーの初代のボス…ボンゴレ
「オレの真の後継者に力を貸してやりたいが、あいにく、それは、できない
そのかわり…枷をはずしてやろう」
枷?
どういうこと?
「なんの遊びだい?
綱吉クンのソレは
誰なのかな、その男は?」
白蘭はⅠ世が現れたことに少し動揺している
『彼はボンゴレファミリーの初代のボス…ボンゴレⅠ世』
「Ⅰ世?
ハハハ
からかうのもいい加減にしてくれる?
そんな大昔のご先祖様をホログラムで投射するなんて、悪趣味にも程があるよ」
「ホログラムではないです
あなたもそう感じているはずです」
ユニそう言われ白蘭の表情がもとに戻る
白蘭も理解したようだ
「これは7³(トゥリニセッテ)の中でもあなたのマーレリングにも、私のおしゃぶりにも、起きない
ボンゴレリングの“縦の時空軸の奇跡”」
「縦の時空軸の…」
「奇跡…」
それからユニは生まれた時から刻まれているある記憶の話を始めた
【海はその広がりに限りを知らず】
【貝は代を重ねその姿、受け継ぎ】
【虹は時折現れはかなく消える】
これ7³の各大空のあり方を示す詩
マーレとは「海」
ボンゴレとは「あさり貝」
アルコバレーノは「虹」
どこまでも広がる「海」は横の時空軸…平行に広がる
ボンゴレリングの枷が外されたことでパワーアップした沢田は戦いを再開し、白蘭と激しく衝突する
アイツら…
ユニがいるってこと忘れてんじゃねぇだろうな…?
ユニの近くでドンパチしやがって…
『さてと……』
私と10年後の私は結界内にいるユニの後ろのところまで歩き、ユニに話かける
『ユニ…もう君がそれをする必要はないんだよ』
「!」
『ユニ様…あなたなら私達の言ってる意味…わかりますよね?』
「……」
「リナ、お前、何考えている?」
『リボーンさん
まあ、見てればわかりますよ』
ボッ!!!
私はおしゃぶりとボンゴレリングに最大出力の炎を灯し、10年後の私はおしゃぶりとマーレリングに同じく最大出力の炎を灯した
『そろそろ私達も中に入れてもらいますね』
「何…言ってるんだ?」
「そうです
あのドームは我々の炎、攻撃を弾いてしまう
入るのは不可能です
あなたも見たでしょう?」
『ん?ああ…それはそうだよ
これは7³の大空の奇跡の儀式だからね
7³の大空以外は排除される』
『でも特別に別世界の7³全てとこの世界の礎と融合した呪われた虹の魔女は…』
私と10年後の私は大空の炎のドームに右手を当て
『『その条件が免除され入ることができる』』
スッと中に入った
『ユニ様』
『もう、大丈夫です』
「リナさん……」
ユニの目にはうっすらと光るものが見える
炎を込めている間に死の恐怖を感じたんだろう…
無理もない…
「へぇ…
虹ってそんなことも出来るんだね
どの世界線を覗いてもそれは分からなかったなぁ」
『当たり前じゃん
この技は私をアルコバレーノにした奴が私に与えた特権だからね
この特権の存在を知っていたのは私が一番最初に守護者として支えた同じアルコバレーノの大空…ルーチェだけ』
『ユニ様、そのおしゃぶり達を私達に預けていただけませんか?』
「え」
『私達の力があればアルコバレーノは早く復活する
これを幼い君が背負う必要はないんだ』
『そう…
ここは最年長である私達に任せてくれませんか?』
「……」
『ま、そう言われて大人しく任せてくれる子じゃないよね…
君達一族は…』
「ユニ様!」
「
『ナイスタイミング、γさん』
『
「なにを!?」
『手荒なマネで、すみません、ユニ様
でもこれはあなたのためなんです』
私は魔法で動けなくしたユニをお姫様抱っこして、未来の私が魔法でこじ開けて作った穴から少しだけ出てγに引き渡し、硬直の魔法を解く
『
魔法でユニの持つ大空のおしゃぶりと再生中の5つのおしゃぶりを私の手元に引き寄せる
「あっ!!
ダメッ!!」
ユニの手がおしゃぶりに届くと同時に魔法で出来た穴が閉じユニの手が炎の壁に弾かれた
『強引で申し訳ないけど…確かに受け取ったよ』
私は大空のおしゃぶりを首に下げ、大空の炎も灯す
そして私と未来の私は最大出力の大空と虹の炎を再生中の5つのおしゃぶりに注ぐ
「二人とも、やめて!!」
『それは無理』
『さて…
この際だからネタバレしとくよ
私達はね…いや…私はね…本当はこの世界には存在してはいけない人間なんだ
あっちの世界で魔法の衝突があってこの世界に飛ばされた
その時にこの世界のシステムがさらに壊れたんだろうね
だからこの世界には過去の私と未来の私が同時に存在することになってしまっている
これはね…この世界のシステムを元に戻す大事なことなんだ
私が消えることでこの世界のシステムは元に戻る』
「そんなこと、僕が許さないよ」
『それは無理だね
この修正はもう始まってる
マーレリングの正統
ま、翼をもがれてドス黒い悪魔の翼しか生やせないお前はそこまでの男で、完全にマーレリングを使いこなせなかったってだけだよ』
ゴオッ
私達はさらに炎の出力を上げ、おしゃぶりに炎を注ぎ込む
コオオ…っとおしゃぶりに少しずつ色が灯りはじめ、肉体の再生も受け取った時よりも進んでいる
『さて…
そろそろかな…』
『うん』
私は沢田の方を見て笑みを浮かべる
私の異変に気付いたのか沢田がこちらに飛んでくる
『沢田!あとは頼んだよ…』
私はニッコリと笑って意識を手放した
ーー リナ Side end ーー
ーー 沢田 Side ーー
おしゃぶりに炎を注ぐリナと目があった
オレの超直感が警鐘をならす
今行かないと後悔すると
「!!
リナ!!」
オレは急いで2人のリナのところに向かう
『沢田!あとは頼んだよ…』
笑みを浮かべたリナに触れたと同時に2人の身体が消えた
ゴドゴトゴト…
オレの足元に2人が着ていたローブと使っていた匣兵器、ユニの大空のおしゃぶり、再生中の5つのおしゃぶり、色の失った2つの虹のおしゃぶり、大空以外のマーレリング、虹のボンゴレリング、虹のヴァリアーリングが落ちた
「そんな…」
オレが色の失った2人のおしゃぶりに触れようとした瞬間…
パリンッ
10年後のリナが持っていたおしゃぶりが砕け散り、おしゃぶりから溢れ出た虹の炎がオレのボンゴレリングに吸収された
「リナ…」
オレは静かにゆっくりと色を失った虹のおしゃぶりを手にとる
名前を呼んでもリナからの返事はない…
「アルコバレーノが復活しないよ!!」
「いいや、炎はちゃんと注入されたぞ
ただまだ時間がかかる」
風太の嘆きにリボーンは淡々と答える
アルコバレーノ5人の復活にこれほどの代償が必要だったなんて…
「ねぇ…
どうしてくれんのさ…
やっとみつけたパズルの一ピースが死んじゃったよ…
全て
7³(トゥリニセッテ)と虹を覚醒させ、時空を超えた覇者になる僕の夢は…
君達のくだらないお友達ごっこのせいで散ったんだ…
この意味が…
わかっているのか!!」
くだらないお友達ごっこ…?
世界を戻すためにとったリナ行動が…?
許さない…
「誰が、リナを殺したと思っているんだ」
オレはリナのおしゃぶりを優しく復活中のアルコバレーノのおしゃぶり達の中心に置き、ゆっくりと立ち上がる
「お前がこんな世界にしたから…
リナは…死んだんだ!!
オレは、お前を許さない!!!
白蘭!!!」
オレは白蘭を鋭く睨み、炎圧を上げる
「んー?
許さない?」
白蘭はオレの言葉に眉を歪め、そして笑った
「ナンセンスだよ!!
君という人間は、なんて茶番なんだ!!
あの娘に装置としての強烈な意味を見出すのならわかる!!
なんせリナは、僕が、全知全能フルオプション付きの神になるためのスーパーアイテムだったのだからね!!」
リナをアイテム扱いするなんて…
「だが、リナをあたかも1人の女の子として扱い、尊び、ヒューマニズムで僕に盾突こうなんてのは、一時のホルモン分泌に踊らされた陶酔だよ
人のつくる利己的な社会に生きる子供の答えとしては5重ペケさ!!
寄せ集めの偽善より個人のドス黒い欲望や執着の方が強い
この世界はそうできている!!」
白蘭はそう言いながらドス黒い死ぬ気の炎を手に収束している
なら…
「…オペレーション
キュイイン…
オレのヘッドホンから発射シークエンスが聞こえ、コンタクトレンズに映るモニターで目標座標を固定する
「まったく無意味なことをしてくれた!!
あの、おしゃぶり付きの魔法人形は僕に最高のオモチャを与えてくれたのに!!」
「それ以上リナを侮辱するな!!」
リナをおもちゃと呼ぶなんて…
「白蘭、お前だけは!!」
オレは拳にありったけの死ぬ気の炎を込める
「消えろ!!」
「くらえ!!」
オレと白蘭は同時に自分が持つ最高の技を放った
「らああああ!!」
「うおおおお!!!!」
オレと白蘭の中央でお互いの最大出力の炎が衝突する
ズギャギャギャ…!!!!
オレは…絶対に負けない!!!!
オレはさらに炎圧を上げる
ゴアッ!!
オレの炎が白蘭の放った炎を飲み込み、白蘭に接近する
「うぎゃあああ…!!」
オレの炎が直撃した白蘭はパラパラと塵のように炎の中に消え、大空のマーレリングが地面にカラン…と乾いた音を出して転がった
「白蘭、様…」
オレは
それと同時に喪失感と悲しみに襲われた
白蘭を倒しても…
リナはもういない…
獄寺君達は白蘭が倒されて喜んでるけど…
「よくやったな、ツナ」
「リボーン…
でも…
リナは…」
彼女はいないんだ…
「リナさん…」
ユニはリナのおしゃぶりを握りしめポロポロと涙を流し、
「ユニ…」
ユニの姿を見て京子ちゃん、ハルも泣いてる…
ビアンキも…
「この戦いは多くの人が傷つきすぎたよ…」
ガスッ
「グハッ」
声がした方を見るとヴァリアーが桔梗を蹴り飛ばしていた
「ししし
てめーのボスはくたばっちまったぜー」
ドカッ
「ぐあっ…」
「次は貴様の番だ
よくもボスの妹様を…」
「殺され方の希望とかあれば聞きますけどー
まあ、ミーは白蘭と同じ死ぬ気の炎をぶつけられて完全消滅を勧めますけどねー」
「ちょっ
何をしてるの?
もうこれ以上犠牲者はいらないよ!!」
「こんなカスをかばってどうする気だ
こいつは殺ししかできぬ怪物だぞ」
ヴァリアーの桔梗を見る目は冷たく、強い憎しみを含んでいる
「それは違う…
彼らは元々一般人だ…」
「え!?」
「なぬ!?」
一般人…?
あんなに強かったのに…?
「入江…正一…」
「僕はミルフィオーレの幹部時代に強力な人材を引き入れるため、世界各国のマフィア・軍人・殺し屋・学者…
全てのデータをチェックしていたが彼らを見たことがない
考えられるとすれば、リストアップされない一般人だということだ…」
「……ハハン…
一般人とは…安い言われようですね…
我々は、
だが…この世界ではくだらぬ不運により、それは叶わなかった…
白蘭様はそんな我々の憤りを力に変えて下さったのだ!!」
また、パラレルワールド…
「黙れ」
ズガンッ
「
XANXUSが桔梗の頭部を銃で撃ち抜いた
リボーンと骸はその行動にやれやれ…とため息をつき
「は〜い
大丈夫よ〜♪」
ルッスーリアが早業で晴の匣を
「命は私がつなぐわ〜」
その言葉を聞いてオレは力が抜け、その場に座り込んだ
「この戦いでたくさんの人が傷ついて…
山本のお父さんも他のパラレルワールドでも…多くの人が死んじゃって…
勝ったは勝ったけど…もうこんなめちゃくちゃで…
本当に…勝った意味なんて…あったのかな…?」
ねえ…リナさん…
「ツナ…」
「大ありに決まってんだろ、コラ!!!」
「!」
この声…!
ピカーッ
「っつ…」
おしゃぶりから眩しい光が発生し、辺りを照らす
「よくやったな、沢田!!コラ!!」
「この声!!」
おしゃぶりの光が落ち着くとユニの両隣には復活した5人のアルコバレーノが立っていた
「皆さん…」
涙を浮かべながら復活したアルコバレーノを見る大空のアルコバレーノ・ユニ
「ま、待たせたな!」
フルフェイスヘルメットをかぶっている、雲のアルコバレーノ・スカル
「調子に乗ってるんじゃねぇぞ、スカル
オメーら、おせーぞ」
最強の
アルコバレーノの復活にアルコバレーノと関わりがある者達は嬉しそうにしていた
「ユニ…リナから事情は聞いてます
私達の復活の為に命の炎を注いでくれたそうで…
どうも、ありがとう」
ペコっとユニに中国武術のお辞儀をする、嵐のアルコバレーノ・
「いえ…
私は…」
「全ての炎を注ぎ込めなかった…とでも言いたいのかね?」
クイッと眼鏡を上げながら話す、雷のアルコバレーノ・ヴェルデ
「っ!!」
「そんな必要なくない?
生きているだけで儲けものだと僕は思うけど…?」
フードを深くかぶったヴァリアー幹部、霧のアルコバレーノ・マーモン…またの名をバイパー
「でも…」
「ヴェルデ、マーモン…あんまりユニに迫るんじゃねぇよ
困ってるじゃねぇか、コラ!」
これで7人
「ユニ…
お前の気持ちはよくわかる
だがあいつの気持ちもわかってやれ」
「おじさま…」
ユニは唇をぎゅっと噛み締め、涙をぬぐった
「沢田さん…皆さん…」
「ユニ?」
「白蘭を倒していただき、ありがとうございました」
ユニは俺達の方を向いて深々とお辞儀をした
「これによって、持ち主を失ったマーレリングの力は無効化され、白蘭がマーレリングによって引き起こした出来事は全て…全パラレルワールドのあらゆる過去に
「抹消…?」
「つまり、白蘭のやった悪事は、昔のこともきれいさっぱり、跡形もなくなくなるんだぜ、コラ!!」
「え!?
そ…それって…ミルフィオーレに殺された人達や山本のお父さんも!?」
「はい…
死んだ事自体がなかったことになります」
「!!」
「オヤジが…」
「ちょ…ちょっとごめんよ
水をさすつもりはないんだが…
そんな時空の法則を無視したことが起こりうるのかな…
計算が合うのかな?
なんて…
アハハハ」
「正一くん…」
「愚か者め
7³(トゥリニセッテ)が起こす現象は人知を遥かに超えているのだ
人間がコンピューターでピコピコ計算している内は答え合わせなど無意味なのだよ
7³を語るに限っては、現在の我々の持ち合わせる言葉では、「奇跡」か「何者かの意志」がいまだ適当なのだ
現に別次元から来た今は亡きリナの存在がそうだ
彼女は貴様らよりもかなり昔の次元から来た存在だったのだから」
「は…
はあ…」
かなり昔…だからあんなに…
っていうか…あの赤ん坊…リナさんよりも老けてる…
「あ
…でもまた、白蘭みたいな奴が出てきて、マーレリングを使いだしたらどうしよう…」
「それを防ぐ為にリナさんは命をかけたのです」
「え!?」
「これは私と虹のアルコバレーノにしか使えない技で…
自分のおしゃぶりに宿した“命の炎”を、復活したアルコバレーノ全員の最大奥義により永久発火させ、過去の…つまり、沢田さん達の時代のマーレリングを永遠に封印させるのです…」
「過去のマーレリングを…封印?
そんなこと…」
「その奥義をリナがオレ達に託してくれたんだぜ」
「彼女は命がけで永遠の平和をつくり、そして私の代わりに私の願いを…あなた方を“平和な過去”に帰えれるようにしてくれました…」
「リナさん…」
ありがとう…
オレは空を見上げてそう心でつぶやいた
「さあ!
今度は君達の願いを叶える番だよ!」
「あっ
…そ…
そっか!!」
「沢田!!」
「10代目!!」
「ツナ君!」
「ツナさん!」
オレは過去から来たみんなの顔を見て頷き…
「過去へ帰ろう!!」
そう宣言した