主人公は女性です
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チョイスに負けた
ボンゴレリングを持って私も白蘭のところに行かないといけないのか…
イヤだな…
バシッ
『…………』
「な!?
いつの間に!?」
「10年後のリナさん!?」
『な、に……?』
さっきの音……姿現わしか……
ゴオッ!!!
私の全身に灯る虹色の炎
「虹の炎…?
まさか…!!」
《魔力の補充と心臓の治療にきた
このままだと魔力回復と心臓の自己治癒のために数十年間の昏睡モードに入ってしまうからね
そうなるといろいろと困る》
どうやら未来の私が治療をしているようだ
『…ありがとう…
ところでなんで私が昏睡モードに入ると困るの?』
《私とあんたは同一人物だから繋がってるんだよ
だからあんたが数十年間の昏睡モードに入ると私も強制的に数十年間の昏睡モードに入ることになる
そうなると私がミルフィオーレにした加護とあんたがボンゴレにした加護の効果が切れる
ボンゴレにした加護はこれからの戦いにとても必要な鍵の1つだからね
なんとしても加護が切れるのは避けたい》
『これからの戦い?
必要な鍵?』
《そ
この時代の戦いはチョイスだけじゃない
まだ続くんだよ
ボンゴレは白蘭様にそう簡単にボンゴレリングとアルコバレーノのおしゃぶりを渡すファミリーじゃないでしょ?》
『まぁそうだね…
簡単に渡す奴らだったらこの時代のボンゴレリングはすでに白蘭の手にあるはずだし…
って未来の私って記憶がないんじゃ…?』
《あんたと出会って少し戻った
まぁまだ白蘭様の支配下だけどね》
『なるほどね……』
《はい、これで治療は終わり
心臓に空いた穴はふさがったし、魔力もある程度は戻った
あとは純粋な晴の炎とこの時代の医療で治療することだね
あんたの不死が過去のボンゴレに知られたくなかったらね》
そう言って未来の私は虹の炎の放射を止めた
「う…」
《裏切り者が気が付いたみたいだね》
「正一君っ!!」
「ほら…メガネだぜ…」
そう言って獄寺は入江にメガネをかける
「……チョイスは…どう、なった…?」
「「!」」
「…………」
『負けたよ
私とあんたの“標的の炎 ”が消えたからね』
「なんだって!?」
ガバッと起き上がる入江
お腹の出血は止まったようだ
「そんなことは許されない!!
勝たなきゃ……!!
勝つんだ!!
まだだ!!
戦うんだ!!」
「おいお前っ
動くな入江!!」
「チョイスバトルが終了致しましたので、全通話回線を開放します」
淡々と進行をするチェルベッロ
感情がないのか疑ってしまう……
「白蘭サン!!
僕はまだ戦える!!」
『……終わりだよ、ミルフィオーレの裏切り者』
入江の真っ正面に立つ未来の私
「!!
リナ、さん……
なぜここに……」
入江の顔には負傷によってではない冷や汗が流れる
『気まぐれ
あんたは白蘭様には勝てない
過去の虹があんたの命を救ったようだけど、このまま戦ったらあんたは死ぬよ』
「死んだっていいさ!!
白蘭サンに勝てるなら喜んで死ぬ!!」
「「……」」
『そう……
なら白蘭様に伝える《じゃあね……過去の私》』
バシッ
姿くらまし……
余裕でできてる……
流石未来の私……
「喜んで……」
「(正一君…何、言ってるんだ…)
……わからない
……わからないよ
なぜこんなになってまで白蘭を倒すことに執念を燃やすのか
わからないよ!!」
『私も、同感……
救われた命を捨ててでも白蘭を倒すことに執念を燃やす理由を教えて欲しいね』
「確かに白蘭は悪い奴だし、7³(トゥリニセッテ)と虹であるリナさんを奪われたら大変だって言葉ではわかるけど……
しっくりこないんだ……」
「!!」
「人類のためとかいくら理屈を聞いても…
自分には遠い話のようで、ついていけなくなる時があるんだ…」
「…………」
『それにも同感
この時代の問題を解決するために選ばれた人間が過去の……それも中学生のガキ達ってのはなんかね……
まあ、この時代でのコイツらの成長とボンゴレ匣 、XANXAS 兄様の言ってた言葉からしたらなんとなく私はわかったけど……』
「……そうか……
そうだったね……
僕はこの10日間、忙しさにかまけて話すことを放棄してた
いや…君達ならわかってくれると勝手に思い込んで甘えていたのかもしれない……」
『だったら彼らにわかるように教えてくれないか?
どうして白蘭を倒したいのか……
白蘭と何があったのかを……』
「……ああ……
聞いてほしい……」
そう言って入江は自分の過去を話始めた
11年前にランボを助けたことによってランボのファミリーからもらった木箱に入っていたランボ宛の10年バズーカの弾
それが何かは知らないまま掃除をして、その最中に10年バズーカの弾を誤って落としてしまい被弾して10年後の入江(アメリカ工科系大学生)と入れ替わり、そこで「ただの人」だった白蘭にぶつかって会話をしたこと
タイムトラベルしたことに興奮する一方、自分の夢だったミュージシャンになってなかったことにひどく落ち込んだこと
それがきっかけとなり、自分のなりたい夢を叶えるため、過去の行動を変えて未来を変えようとしたことを……
『「パラレルワールドだな」』
この声は…
『リボーンさん……』
「みんな!!
早く正一君とリナさんの処置を!!」
『私は大丈夫……不死だし未来の私が治してくれたから……』
「え…でも……出血が……
あ…スパナは!?」
「もう向こうで毒サソリ達が処置をしている!」
「正一とリナはオレが見てやる
まあ、お前の処置は未来のお前が先手を打っているからやりやすいが……
いくら不死の呪いで死なない体質だろうが攻撃を受けた場所が場所だからな……」
『……すまない……
あ、そうだ…
入江は私の炎である程度は治療済み
本当は完治させたかったけど…桔梗戦ではしゃぎ過ぎたのと、この場所が私の力を弱めているようで出来なかった
ごめんね』
「気にすんな
あとは晴属性のオレらに任せろ」
そう言ってリボーンは入江の治療を始めた
その入江は治療をしている時間を使ってパラレルワールドと自分の過去(その2)を話した
パラレルワールドとは世界がどんどん枝分かれしていっていろんなパターンの未来が存在するって考えであること
「もしも」の数だけ…無数の分岐から無数のパラレルワールドが存在すると考えられること
そこから自分がミュージシャンになっている未来のパラレルワールドもあるはずだと思い、もう一度10年後に行こうと決めたこと
そのために学校の教科書全て燃やし、進路指導の用紙に「ミュージシャンになれなきゃ死んでやる!!」と記入してタイムトラベルしたこと
2回目のタイムトラベルは確かに1回目とは違ってミュージシャン(外国の町外れの廃れた飲み屋で活動)として働いていたが客はヤバそうな奴らが多く、金銭トラブルを抱えており、ギャングに追われていたこと
一目散に店から飛び出し、人通りの多い大通りに出たところで運命の悪戯 なのか、また、白蘭にぶつかってしまったこと
この世界の白蘭サンは自分と初めて会ったわけで、自分を知らないはずだからそのまま去ろうとしたが、白蘭サンは自分を見て会ったことがあると言い出したこと
自分は勘違いだろうと思って離れようとしたが白蘭サンは違う世界…大学で自分にあったことと名前を言い当てたこと
入江の話を聞いてその場にいた全員が驚愕の表情を浮かべた
「僕は気味が悪くなって走り出した
とにかく走って走った…
気付いたら…過去に戻っていたよ…」
「!?
え?
ど…どういうこと!?」
「この時は僕も何がなんだかわからなかったさ……
白蘭サンが、この時手に入れた能力は、この後のタイムトラベルでわかることになる」
「後って…
また行ったの……?」
『ミュージシャンの未来が許せなかったんでしょ』
「ああ……だから夢をあきらめて再び大学を目指したんだ
そして、1年後にどうしても未来を確認したくなったんだ…
……ところがだ……
3回目のタイムトラベルで見た未来は僕の想像をまたもや裏切った
世界は荒廃し…戦争で焼け野原となっていた……
携帯端末から流れてくるのは、この戦争を起こし、世界征服を成し遂げた独裁者の演説だけだった……
白蘭という男のね」
「!!
そんな!!」
「なぜ奴が!!」
「僕も何かの間違いだと思ったよ……
悪い夢だとね……
だからその後も出来る限りの変化を起こして何度もタイムトラベルを試みた
……だが…
何度試してもわずかな違いこそあれ、全ての未来が白蘭サンに支配されてしまっていたんだ…」
「白蘭の奴、何をしたんだ?」
「僕が目覚めさせてしまった能力を……己の欲のために悪用したんだ……
彼は…どのパラレルワールドでも誰よりも知識を有し、先端技術を獲得し、強力な軍隊を作った……」
「そ…そんなこと…
白蘭の能力ってなんなの!?」
『ああ……
なるほどね……
本来、パラレルワールドは現実と平行して存在している独立した別の世界だからどんな人間も他のパラレルワールドにいる自分のことは知る術もないし、交わったり関わったりすることが出来ない
でも……白蘭は違った』
「ああ……白蘭サンは違う……
白蘭サンは同時刻のパラレルワールドにいる全ての自分の知識と思惟を共有できるんだ」
「わからん!!
極限にわからんぞ!!
パラレルワールドの知識を共有できるとはどーいうことだ!?
白蘭の何が一体スゴイんだ!?」
『「もしも」で分岐するパラレルワールドには色々なパターンの未来が考えられるんだよ
軍事技術の発達した未来、古代文明の発掘に成功した未来、医療科学の発達した未来……
本来、人はどれか1つの世界でしか生きられないし体験できない
でも、白蘭は、それらの未来全部を体験して知っているってこと
つまり、色々な未来のいいとこどりができるってわけ』
「いいとこどり?」
「全ての「もしも」を体験できるんだぞ
その知識と体験を入る他のパラレルワールドで使ってみろ
この世の中、情報に勝る武器はねぇ
誰よりも有利に生きられる」
「…誰よりも……有利に…」
「ありえねえことも起こせるってわけだ」
「リボーンさんの言うとおり…
その通りだ……
白蘭サンはその力を使って、この世界ではまだ発見されていないワクチンの知識を知っていたり、日陰の身で姿を隠していた王族を発見したり、何百という“偶然”の発明なくしては生まれえない兵器の開発に技術を提供して、猛スピードで完成させたりしたんだ…」
なるほどね……
やっぱり桔梗の解毒剤は白蘭からの情報だったか……
「だが、白蘭が能力に気づいたのはほんの少し前ということになるぞ
わずかな時間でこれだけのことをするのは不可能だぞ」
「…それは…
タイムトラベルで行き来するうちに、僕が過去の白蘭サンにまで能力に気づかせてしまったからなんだ…」
「!?
過去の!?」
「え?
ど…どーいうこと?」
「僕が過去に戻る時に白蘭サンの手のものに発信装置を仕掛けられて、過去の白蘭サンにメッセージを伝えてしまったんだ……」
「ってことは白蘭は10年前からその能力を使えたの?」
「ああ」
『はぁ……
なんてことを……』
「入江!!
その間、お前は何をしておったのだ!!
白蘭の悪事を知りながら放っておいたのか!?」
「お兄さん!!」
『知りながら放っておいたんじゃなくて、知らなかったんじゃない?
過去の入江は』
「ああ…リナさんの言うとおり…
僕は記憶を失っていたんだ」
「え!」
「!?」
『やっぱりね……
知っていたらこんなことにはならなかったはずだよ』
「8度目のタイムトラベルで未来へ行った時、10年後の世界で未来の僕が仕掛けた装置によって、タイムトラベルと白蘭サンについての記憶を抹消されたんだ…
5年間ね…」
「ごっ5年も!?
未来の正一君はなんでそんなことを?」
「もちろん、白蘭サンを倒すためさ」
入江のその一言に沢田は息を飲んだ
『へぇ…』
「未来の世界では白蘭サンを倒せないと考えた未来の僕は、過去にさかのぼって白蘭サンを消そうとしたんだ…
過去の僕をつかってね…
未来の僕は、過去の僕が白蘭サンに余計な敵意などをもって怪しまれないように記憶を消してから、白蘭サンに近づけようとした…
過去に戻った僕には未来の僕の残した手紙が置いてあってね…
やるべきことの指示が書いてあるんだ…
バラされたくないことも書いてあるので従うしかない…」
『まあ……黒歴史暴露なら従うしかないね』
「君達に10年バズーカを当てたのも、その手紙の指示に従ってだ……」
へぇ……
リボーンは10年バズーカで来たんだ…
「何も知らずにオレ達を?」
「ああ…
そして僕は手紙のススメの通り、海外の大学へ進み、白蘭サンと友達になる」
『皮肉だな……』
「ああ……
皮肉なことに人生で一番楽しい時だったよ…
チョイスもこの頃つくったんだ…
だが、5年がたち…
僕は全てを思い出す
あの恐ろしいタイムトラベルと荒れ果てたいくつもの未来をね…
更に、その元凶が白蘭サンで、自分の使命が彼を阻止することだとわかり、パニックにおちいったよ……
しばらくして、スパイとしてやっていく覚悟はできたが、自分の記憶と、この世界で起きている出来事を整理して、今いる自分の世界の状況を把握して再び愕然としたんだ…
なぜなら、考えられる全てのパラレルワールドの中で、今いる、この世界だけが白蘭サンに滅ぼされていない世界だったからだ」
「え!?」
「なんだって!?」
『わお』
このカミングアウトには私も驚いた
ここ以外は全て白蘭の手に落ちていること知ってしまったのだから……
『ねぇ…
その話だと、ここ以外の全てのパラレルワールドが白蘭の手に落ちたってことになるよね?』
「その通りだ…
5年前の段階で、白蘭サンの能力による、世界征服を阻止できる確率は少なく見積もって8兆分の1…」
「はっちょう!?」
「言いかえれば、世界征服をされていないパラレルワールドの存在する確率でもある…
そして、その奇跡的条件を満たす世界が…
8兆分の1の世界がここだったんだよ…
つまり、無数のパラレルワールドの中でも、この世界だけが、唯一、白蘭サンを倒すチャンスのある未来なんだ!!」
「そんなことって……」
「それは未来のお前が過去のお前に指示してつくった未来だからなんだな」
「それだけじゃない……
僕と綱吉君が唯一、偶然出会った世界でもあるんだ」
「オ…オレと!?」
「中3になった君の自転車のパンクを僕が直すんだ……
だからこそこの世界はこの後……
奇跡的にボンゴレ匣がつくられる未来になるんだ…」
「!!」
「それでお前は白蘭を倒すにはこの時代しかねえって言ってたんだな」
「ああ」
なるほどね……
だから入江は白蘭討伐に躍起になっていて、未来の私は白蘭の支配下にありながらも私の治療をして、私が沢田らにした加護が戦いに必要な鍵とも言ってたのか
「他のどのパラレルワールドでも7³(トゥリニセッテ)と虹であるリナさんは奪われ、ボンゴレファミリーも壊滅しているだろう……」
入江の話を聞いてクロームと笹川は冷や汗を流す
「そーいや
ヴァリアーとの戦いで現れた20年後のランボが……
「あなた達にまた会えるとは…
懐かしい…なんて懐かしい面々…」って言ってたな…」
20年後…?
10年バズーカは使用した人間を10年後の人間と入れ換える道具のはず……
20年後と入れ替わるなんてそんなことが……
まさか……!
10年後の人間が10年バズーカを使用した?
「そ…そっか…
あれは20年後のパラレルワールドでオレ達が死んでいるから…!!
!
って…この世界のオレも結局殺されてるんだった……」
そういえばXANXUS兄様が言ってたな
「それは、ちがうよ綱吉君」
「!!」
「ミルフィオーレに射殺された時に使われたのは“特殊弾”だ
僕がすり替えた“死ぬ気弾”のような弾で、未来の君は仮死状態だったんだ」
「!!
じゃあ、あの棺桶は……」
「敵の目を欺くためのカモフラージュだ……」
へぇ…だったら兄様達に伝えないとな……
未来の沢田は生きてるって
また戦えるって……
まあ……この会場から帰れたらの話だけど……
「!!」
「……10代目は、生きてた…………」
「仮死状態ではあったが、彼は棺桶の中で綱吉君が来るのを楽しみに待ってたはずだ」
「!」
「彼は処刑の前日に言ってたよ
「もうすぐ、一番可能性を持っていた頃のオレが来る」ってね」
「え!?」
へぇ……流石10年後の沢田……
「たしかに、経験も体力も知力も今の自分よりはるかにおとる……」
過去の自分に対してボロクソに言うな……未来の沢田……
「でも、あの時の自分が仲間との毎日の中で成長力と意外性がある
白蘭を倒せる一番の可能性をもった自分だって」
「それならオレも同感だぞ
お前らの伸び盛りっぷりは何度もミラクルをやってのけてきたからな」
そのミラクルに骸の討伐と兄様達ヴァリアーとの戦いが含まれてるんだよね……
「…じゃあ、未来のオレは本気で…
この…10年前の…オレ達を…?」
「そうだ…
君達を待ってたのは、ボンゴレリング目的の白蘭サンだけじゃない…
むしろ、白蘭サンを倒せる君達を誰より待ってたのは、この時代の綱吉君や僕だ!!」
「……選ばれたツナ達と……」
『選ばれた時代ね……』
「…難しくてよくわからない所もあったけど………
それだけはしっかりわかった
なのに……
負けちゃった…
そんな大きな意味や想いがあるなんて知らずに……」
「そ、君達の負け♪」
もう、来たのか……
『……白蘭……』
「僕の事こんなによくわかっているのに、残念だったね
正チャン」
「白蘭!!」
「結局どの世界でも、ぼくには勝てないのさ
約束は守ってもらうよ
ボンゴレリングは全ていただいて……
リナもこっちに来てもらうよ」
『ひっ…!!』
笑顔が…怖い…!!
あいつ……トム・リドルと同じ闇の笑顔をしやがった……
イヤだ……
「君達はどうしよーかなー」
「待ってください!
約束なら僕らにもあったはずだ…」
「?」
「覚えていますよね……
大学時代、僕とあなたがやった最後のチョイスで僕が勝った……
だが、支払うものがなくなったあなたはこう言った……
「次にチョイスで遊ぶ時はハンデとして正チャンの好きな条件を何でものんであげるよ」って……
……今それを執行します」
「……」
「僕はチョイスの再戦を希望する!!」
「「!」」
『再戦……』
もう一回戦える……?
「うーん
悪いけど、そんな話覚えてないなあ」
「!
嘘だ!!
あなたが勝負事を忘れるなんて!!」
「ムシがよすぎるよ」
「でも、約束は約束だ!
あなたはチョイスには誠実だったはずだ……」
「だからそんな話なかったって
ない話は受けられないよ
ミルフィオーレのボスとして正式に、お断り♪」
「くっ……」
『はあ?ふざk「私は、反対です」!?』
「!」
コオォ……
『おしゃぶりが……
まさか……!』
「!?」
「白蘭」
「「!!」」
「ミルフィオーレのブラックスペルのボスである私にも……」
「…お前は」
「決定権の半分はあるはずです」
現れたのはルーチェの帽子をかぶり、大空のアルコバレーノのおしゃぶりを首から下げ、左頬に5弁花のマークがある少女
『まさか……』
「ユニ……
貴様……!!」
『あの子がアリアさんの手紙に書いてあった娘……
ジッリョネロのボスを継いでたんだ…』
「ニュ…
動いてる…」
動いてる…?
「ユニが…
自ら口をきいた……」
口をきいた……?
まさか……ユニも未来の私と同じように白蘭に支配されてたの……?
「えー!?
あの娘 がミルフィオーレのもう一人のボスーーー!?」
驚きすぎだろ、沢田のやつ……
「やはり、お前のことだったんだな
でかくなったな、ユニ」
リボーンさん、知ってたんだ……
「はい
リボーンおじさま」
あ、ユニも知ってたんだ…
「!!
リボーンの知り合い!?
っていうか……おじさまーーー!?
この赤ん坊のことをおじさまーーー!?」
「うるせーぞ」
そう言ってリボーンは沢田の右手人差し指をグキッと折り曲げる
「いっで~~!!」
『ツッコミ、いちいちうるさいよ…』
「だ……誰だよ、あの子!?」
「オレの知り合いの孫だ」
「ま…………孫ーーー!?」
リアクション、デカいな……
「あ……首におしゃぶりさげてる……
赤ん坊でもないのに??」
「はじめまして
リナさんとボンゴレのみなさん」
ニコッと笑うユニ
めちゃくちゃかわいい…
アリアさんの娘なだけあって似てるな……
ルーチェとアリアさんに……
「ハハハッ
これは一本とられたよ
いやあ、ビックリしたなー
すっかり顔色もよくなっちゃって
元気を取り戻したみたいだね
ユニちゃん♪」
「?」
「……病気でもしていたのか?」
「ちがうよ……
白蘭サンの手によって……
魂を壊されていたんだ」
「『!!』」
魂を……壊されていた……?
は?
『何で…?』
「白蘭サンはブラックスペルの指揮権を手に入れるため、彼女を口利けぬ体にしたんだ…」
『はあ!?』
「人聞きの悪いこと言うなよ、正チャン
ユニちゃんが怖がりだから精神安定剤をあげてただけだよ」
「いいや
あなたはブラックスペルの前身であるジッリョネロファミリーのボスだったユニとの会談で、無理矢理、劇薬を投与して、彼女を操り人形にしたんだ
そうだろ?
ユニさん……」
「……」
『は?
何、それ……
ふざけてんの?』
「でもその間、私の魂は、ずっと遠くへ避難していたので無事でした」
「「?」」
『遠く……?
どういうこと……?』
「白蘭
あなたと同じように、私も他の世界へ翔べるようです」
「!!」
『翔べる……?』
大空のアルコバレーノと大空のマーレリング所持者にしかできない技か……?
「話を戻します
私はミルフィオーレファミリー、ブラックスペルのボスとしてボンゴレとの再戦に賛成です
あの約束は……
白蘭と入江さんとの再戦の約束は本当にあったからです」
「なんでそんなことがわかんのよ!」
ユニの言葉に頬を膨らますブルーベル
どうやら彼女はユニが嫌いなようだ
「元気一杯になってくれたのは嬉しいんだけど、ユニちゃん
僕の決断に君が口出しをする権利はないな」
「!」
「僕が迷った時は相談するけど、君はあくまでナンバー2だ
全ての最終決定権は僕にあるんだ」
「……」
「この話は終わりだよ」
それってナンバー2の意味ないじゃん
ただの飾りじゃん
「……そうですね……
わかりました……
では私は、ミルフィオーレファミリーを脱会します」
「!」
うん、それがいいよ
ボスなのに決定権が与えられてないファミリーにいたって意味がないからね
「沢田綱吉さん…
お願いがあります」
「え!?
お…お願い…!?」
沢田に?
「私を守ってください」
「え゛ぇーーーーー!?」
まじか…
「ま……守るって……
ブラックスペルのボスなんじゃ…?」
「私だけじゃありません……
このーーーーー」
コートの内ポケットからなにかを取り出すユニ
取り出したのは
「仲間のおしゃぶりと共に」
輝きを失った4つのアルコバレーノのおしゃぶりだった
大空のアルコバレーノであるユニの手の中にあるためか輝きを失ったアルコバレーノのおしゃぶりが誰のものか感じとれた
嵐の風 、雷のヴェルデ、雲のスカル、霧のバイパーだ
『バイパー達も白蘭に捕まってたのか……』
「勝手に持ち出しちゃだめじゃない、ユニちゃん
それは僕の7³(トゥリニセッテ)コレクションだ」
『ちg「違います」ユニ…』
「これは私が預かったものです…
それに、あなたが持っていてもそれは7³とは言えません」
「ん?」
「なぜなら…」
コオオ……
ユニの言葉にあわせて光を放ち始める4つのおしゃぶり
パアアアッ
「!!」
「!!!」
「わあ」
その光はアルコバレーノ同士が近づいた時に発せられる光よりも強く、目が眩みそうになるほど輝いていた
「おしゃぶりは、魂なくしては存在意義を示さないのです」
キュアアア……!
『!!
おしゃぶりが……』
《……共鳴……
だが、私は白蘭の支配下だから光が弱いな……》
未来の私の言うとおり、私のおしゃぶりは光が強く、未来の私のおしゃぶりはアルコバレーノ同士が近づいた時に発せられる光と同じ強さだった
「…あんなに!
あんなに輝くものなのか!?」
「ど…どうなってんの?
なんであの子が光らせられるの!?
それにリナさんと未来のリナさんのおしゃぶりも!?」
「…………
なるほど……
そういうわけか!!
すごいよ、ユニちゃん!
やればできるじゃない!!
やはり、僕には君が必要だ
さあ、仲直りしよう
ユニちゃん」
そう言ってユニに歩み寄ろうとする白蘭
それをユニは拒絶し、おしゃぶりの光を消した
それに共鳴して私と未来の私のおしゃぶりの光も消えた
「もう、あなたには、私達の魂を預けるわけにはいきません」
うん、そうだね
おしゃぶりはアルコバレーノの魂だからね
さっきの光を見て態度を変える奴には預けたくないわ
「なーに勝手なこと言ってんの?
それ持って逃げるんなら、世界の果てまで追いかけて奪うだけだよ」
脅しか……
最低だな、白蘭……
「さぁ、帰ろう
僕のところへ戻っておいで
ほら♪」
ズガンッ
シャッ
「っ!」
リボーンの狙撃に間髪いれずに私は白蘭の喉元に三叉槍の切っ先を向けた
「あ!!
リボーン!!」
「おじさま!
リナさん!」
『ユニに、近づくな』
「図にのんなよ白蘭
テメーが誰でどんな状況だろうと、アルコバレーノのボスに手を出すんなら、オレが黙っちゃいねーぞ」
『オレが…じゃなくて私たちでしょーが』
「えーーーーー!?
あの娘 、アルコバレーノのボスなのーーー!?」
「ナイト気取りかい?
“最強の赤ん坊 ”リボーン、リナ」
あ、私のこと婚約者からアルコバレーノになった
「白蘭様
ご安心ください
ユニ様は我々がすぐにお連れします」
ダンッ
桔梗の発言が終わったと同時に桔梗、ザクロ、トリカブトが動いた
「ハハン」
ババッ
『雲桔梗 か……!
させるか!!』
ダンッ
私は素早く白蘭から離れユニの前に立ち
ボウッ
三叉槍に嵐の炎を灯した
シャッ
ビュッ
ドガガッ
「!!」
『!
チッ…』
少ししか燃やせなかった
『もう来たのか……』
「う゛お゛ぉい!!
てめーの相手はオレだぁ!
暴れたくてウズウズしてんだぁ!!」
「じゃまだよ」
『スクアーロに雲雀……』
雲桔梗のほとんどがスクアーロが剣から飛ばした火薬によって破壊された
初動が遅すぎた……
「リナ、チョイスのヘマは見なかったことにしてやる
体、大丈夫か?」
『見逃してくれてありがと
それはそれで助かるわ
体は未来の私が治療してくれたら大丈夫』
「未来の……
う゛お゛ぉい!
この世界のリナ!!
さっきぶりだが……まだ白蘭に従ってんのか?
さっさとオレやボスのこと思い出して帰ってこい!!
んで……なんだてめぇさっきから!
つつくな!!」
あーそういえばさっきからトンファーでめっちゃスクアーロを小突いてたな雲雀のやつ
「僕の獲物だ」
『いや、桔梗は私の獲物だから
横取りしないで』
「ハハン
懲りない連中だ」
これで懲りたらヴァリアーやアルコバレーノなんてやっていけねーよ
『リボーンさん
ユニを頼みます』
「ああ」
『桔梗、さっさとさっきの続きを始めようよ』
「ハハン
いいでしょう」
「なにげにみんな闘う気になってるーーー!!
ってかリナさんは重症なんだから動いちゃダメじゃん!!」
「まあ、落ちつこうよ桔梗ちゃん
ユニちゃんは病気でずっと眠ってたも同然だったんだ
急に目覚めて気が動転してるんだよ」
そう言う白蘭に桔梗は従い、戦闘態勢を解く
「じゃあ、こうしよう
ユニちゃん」
「!」
「チョイスに勝利して僕がもらえるはずの7³(トゥリニセッテ)と虹は手に入れるまでにとても苦労したし、すごく大事な物だよ
でも、もしユニちゃんがミルフィオーレに帰ってきてくれるんなら、ボンゴレリングと虹はボンゴレファミリーに返してあげてもいい
それにこの世界の虹も自由にしてあげるよ」
「「「!!」」」
「え!?
で…でも白蘭て、ボンゴレリングと虹であるリナさんをメチャクチャ欲しがってたんじゃ!!」
白蘭の野郎……
ユニの力を見て態度を変えやがった……!!
ってことは虹の私と大空のアルコバレーノしか知らない大空のアルコバレーノの力が白蘭にバレた……
これはユニが奪われないように警戒しないと……
それに、私の本当の虹の力のことも知られないようにしないと……
大変なことになる……
「白蘭
なぜ、あなたが私を欲しているかは、わかっています」
ユニの言葉に私と未来の私、白蘭以外疑問の表情をする
「わかっているからこそ、あなたの元へ帰るわけにはいきません」
「ふぅん
じゃあ、やっぱりボンゴレリングと虹は僕らのものだ
ユニちゃんが逃げ込もうとする連中に、ミスミス武器を渡すつもりはない
っといっても……
かんじんの白馬の王子はユニちゃんの願いにビビってるけどね」
「い゛っ」
図星だな、あれは……
「ボンゴレリングと虹はあなたのものじゃないです、白蘭」
「ん?」
「おしゃぶりはアルコバレーノのもの
ボンゴレリングはボンゴレファミリーのもの
虹は魔女や魔法使いのもの
それは真理です
なのにあなたは、7³(トゥリニセッテ)と虹を手っ取り早く安全に手に入れるために、無理矢理チョイスを開催し、7³と虹を賞品にしました
私の魂があるかぎり7³と虹の一角をになう大空のアルコバレーノとしてそれは許しません
すなわち7³・虹争奪戦は認めません
チョイスは無効とします!!」
「む……無効!!」
「……って……」
「ボンゴレリングは渡さなくていいし、リナさんは白蘭のところに行かなくていいです!」
「プ…ハハハ!!
確かに大空のアルコバレーノには7³と虹の運用について特権が与えられているらしいけど『白蘭、訂正だ』なに…」
『虹の運用についての特権は虹にしかない
大空のアルコバレーノに与えられている虹の運用の特権は虹が何らかの理由で機能しなくなった時のみ与えられる緊急措置みたいなもの
今はこの時代の虹がお前の支配によって機能しなくなったから、ユニに…大空のアルコバレーノにこの時代の虹の運用の特権を与えられただけだよ』
「「!!」」
私の言葉にその場にいる全員が驚きの表情をした
この時代の虹である私を除いて
『で、私は支配されてないから、自分で虹の運用について決めることができる
ってことで勝負に負けていようがお前のところになんか行かないし、私が持っている虹のボンゴレリング、虹のおしゃぶりと虹の力はてめーになんか渡さない
勝者の賞品にするだけ無駄だったね』
「っ…」
『ユニが来てくれたおかげで私の魂に刻まれた7³と虹の運用についてのことを思い出すことができた
君が来てくれなかったら私は白蘭のところに行ってた
来てくれてありがとう』
「リナさん……」
「リナの言っていることがそうだとしても……
僕を怒らせるのはどうかと思うな
ボスのユニちゃんが裏切ったとして……
残されたブラックスペルがどうなってもいいのかい?」
「!!」
「まあ、奴らはユニちゃんにゾッコンみたいだから、煮られようが、焼かれようが、大喜びかもしれないけどね」
「な
それって…人質ってこと!?」
『ちっ…
最低だな』
「……みんなは……
わかってくれます」
「え
でも、それって……!!
仲間を見殺s『沢田!!』!!」
『言うな
それはユニもわかってる
お前はさっさと決めろ
ユニに守ってほしいと頼まれたんだろ
どうするんだ』
「だ……だって……
この子の仲間が……
!!」
やっと沢田は気づいたようだ
ユニが覚悟していること
ユニはこうなるとわかってたことを……
「…っ!!」
どうやら沢田も覚悟を決めたようだ
ガッ
ユニの右腕を優しくも強く握って
「くるんだ!!
オレ達と一緒に!!」
力強くそう言った
ユニの目にはうっすらと涙が浮かんでいた
「みんな!!
この子を守ろう!!」
「よし!
よく言ったぞ!!」
「ああ」
「ハイッ」
沢田の一言でボンゴレの士気が高まった
「ありがとうございます」
ユニは満面の笑みでお礼を言った
「白蘭様」
『!』
「ユニ様をつれ戻すための攻撃許可を」
「……
うん」
『させるかよ!!
火炎の弾 (死ぬ気の炎を火球状にし、それを数十個作り前方に発射する技…今回は右手に作成)からのエクスプロード !!』
ドガガガン
「!!」
「ぐっ」
ゴアアア
「そうこなくっちゃなあ!!」
爆煙の中から特攻をするスクアーロとスクアーロの匣兵器……暴雨鮫
「ちっ」
『おい、沢田!!』
「な、何ですか!?」
『私とスクアーロで時間を稼ぐから、さっさとこの場から退いて態勢を立て直せ!』
「えー!?
退くっていっても…
ここ、どこまで行ってもビルなんじゃ!?」
『この会場じゃねぇ!
並盛だ!!
火炎の弾!!』
ドガガッ
「並盛って……
どうやって……」
「でしたら
みなさんをここへ運んだ超炎リング転送システムが近くにきてるはずです」
「え!?
並盛からワープしてきた?」
『ユニが言った通り、それが今ボンゴレ基地ユニットの上空にきてる
そいつを使え!!
さっさとしろ!!』
「そうはいきません」
ブワッ
『また雲桔梗!!
お前、しつこい!!』
ボッ
「SISTEMA C.A.I !!」
ドオッ
『!
嵐の炎の盾 ……』
「リナ!
盾を作れるのはお前だけじゃねぇ!!
それに……
今度はぜってー止めてやるぜ」
『獄寺か……
なら防御は頼んだ』
「ああ
10代目!!
今のうちに転送システムへ!!」
「わっ、わかった!!
ごめん獄寺君、リナさん!!
いこう、みんな!!」
そう言って沢田らは転送システムが来ているボンゴレ基地に向かった
『さてと……
雲の守護者』
「…なに」
『お前のことだから雲属性のアニマル匣持ってるよね』
「……それが?」
『それを一気に増殖させてバリケード的なものを作ってほしい
タイミングはあんたにまかせる
成功したら骸と再戦させてあげる』
「!
わかった」
『んじゃ……頼んだ
スクアーロ!』
「ああ」
ボウッ
「いくよ……」
カチッ
ドシュッ
「キュウッ」
ボンゴレ匣から出てきたのは雲ハリネズミ
かわいい
ボウッ
「キュウウウウウ!!」
ボボボボボ……!!
雲雀の膨大な雲の炎に反応して雲ハリネズミの針が白蘭らを取り囲むように爆発的に増殖した
動きにくくなったのを確認して私達はスクアーロの暴雨鮫に乗ってその場を離れた
ボンゴレ基地ユニット
『沢田!!』
「リナさん!!」
『みんな揃った!
出して!!』
「やったんだね!
獄寺君!!」
「オレじゃねーっス」
「?」
『今、雲雀のハリネズミの針が増殖して足止めしてる
長くは持たないから急いで!』
「!
ボス!」
「あっ」
「!!」
「白蘭!!」
もうあの針を攻略したのか……
早すぎるだろ……!!
『しつこい!!
執念深すぎるんだよ!!』
「お前達は先に行け
今度はオレが時間をかせぐ」
「でも、ディーノさんだけ取り残されちゃうんじゃ!!」
「誰かがやんねーとな……
真 7弔花もすぐ来るぜ!
行け!」
『は?
ふざけんな跳ね馬
お前の今の力じゃ足止めなんかできない
出来るのは……』
シュワアァァ……
『!!』
クロームの槍から霧の炎……
あ、この感じは……
「誰が相手だろうと、僕を止めることはできないよ!」
「あっ」
クロームも気づいた
『来てくれた…』
「クフフフ……
それは、どうでしょうねえ」
この独特な笑い声と口調……
ドクッ
そして左目の微かな疼き
「僕に限って」
『六道…骸……』
「!!」
「……骸様」
霧から現れた骸(有幻覚)は髪が伸びていた
あり得るとしたらこの時代の骸だろう
クロームは骸に会えて嬉しそうだ
「あれれ?」
ボウッ
マーレリングに炎を灯す白蘭
純粋なオレンジ…大空の死ぬ気の炎を灯している
ガキィと組み合う白蘭と骸
「クフフフ〈リナ、力を借ります〉」
《了解
遠慮せず使って》
〈ありがとうございます
では、遠慮なく…〉
ヴヴ…ン
視界に一瞬映った数字は“一”
地獄道が発動する
ピシッ!
ドウッ
白蘭の足元から発生した火柱には蓮の花と蓮の葉、茎も絡まっていた
『!!
マジか…
威力がえげつないことになってる……』
「ひいい
スゲーーー!!」
「お久しぶりです
沢田綱吉」
「か…髪が伸びてる!!
10年後の骸!?」
え、今気づいたの!?
おっそ!
「でも…怪我とか大丈夫なの?」
怪我…?
どーゆーこと?
「綱吉君の言う通りだよ
骸クン」
『!
…効いてない…』
「僕の部下に憑依した君は、あの時、精神ごと消したはずなんだけどな
少なくともこんな幻覚は、もうつくれないほどにね」
『え…』
「クフフフフ
たしかに
あなたの策略にはまり、密閉された空間に閉じ込められた時はもうダメかと思いましたよ
一人でしたらね」
精神体の骸を閉じ込めることができるなんて…どんな科学力だよ…
「ん
あっ、そっかーーー
お仲間に外から穴を開けてもらったのね」
「アレは僕の仲間というには出来の悪すぎる子供ですが」
子供…?
ああ!
フランか…
「どちらにせよ
あなたにもらったダメージは、とても大きかったですよ
つい先刻までこんなことはできなかったほどにね」
ドドドド
これでもかっ!ってくらいに火柱を発生させ、蓮の茎で白蘭の体を拘束する骸
「ハハハ
ダメダメ骸君」
私の瞳の力で強化された骸の幻術を受けてもなお涼しい顔をする白蘭
「これじゃ僕には勝てないよ
いくら本物に近い幻覚とは言っても所詮、君はニセの作り物だ
僕に勝ちたいんなら、少なくとも復讐者 の牢獄から抜け出して、君自身の肉体で戦わないとね」
骸……まだ牢獄にいるんだ
「クフフフ
ご心配なく
僕が自らの手で直接あなたを倒す日も遠くはない」
「ん!?」
白蘭のやつ…
骸の言葉に少し驚いた表情をみせたな…
「我々はすでに動きだしている……とだけ言っておきましょう
それに、今この場では足止めさえ出来れば僕の勝ちですよ〈リナ、あなたには先に伝えます
僕はもうすぐ牢獄から出ます
フラン達が動いてくれてますからね
僕が出てきたらまた、頼みますよ〉」
《フラン達がね……
了解
楽しみに待ってるよ》
「さあ、大空のアルコバレーノとリナを並盛町へ連れていくのです
沢田綱吉」
「!
骸……!」
「ツナ
ここは骸にまかせた方がよさそうだ」
『跳ね馬の意見に同意
この場にいれば邪魔になる』
「でも…
骸様!」
『クローム
骸のそばにいたいのはわかる
でも今はこの場を離れることを優先してほしい
骸にはまた会えるから
そうだろ?』
「ええ、当然です
僕以外の人間に世界を取られるのは面白くありませんからね」
クロームの方を向いてクフフと笑う骸
その骸を白蘭は睨んでいた
「いいですか?
沢田綱吉
絶対に、大空のアルコバレーノ、ユニと虹のアルコバレーノ、リナを白蘭に渡してはいけない」
「黙って♪」
ズバッ
「ぐっ」
白蘭の左手が骸の体を貫いた
そのことにより、骸の体は崩壊を始めた
「……さあ早く
転送システムに炎を」
「わ…わかった……
クローム!
み…みんな!!」
ボッ
沢田の号令で雷を除く私をいれて守護者6人と門外顧問のバジルがリングに炎を灯す
すると行きと同じように炎の結界が発生し、私が穴を開けると炎の柱が転送システムに注入され、並盛に転送された
ボンゴレリングを持って私も白蘭のところに行かないといけないのか…
イヤだな…
バシッ
『…………』
「な!?
いつの間に!?」
「10年後のリナさん!?」
『な、に……?』
さっきの音……姿現わしか……
ゴオッ!!!
私の全身に灯る虹色の炎
「虹の炎…?
まさか…!!」
《魔力の補充と心臓の治療にきた
このままだと魔力回復と心臓の自己治癒のために数十年間の昏睡モードに入ってしまうからね
そうなるといろいろと困る》
どうやら未来の私が治療をしているようだ
『…ありがとう…
ところでなんで私が昏睡モードに入ると困るの?』
《私とあんたは同一人物だから繋がってるんだよ
だからあんたが数十年間の昏睡モードに入ると私も強制的に数十年間の昏睡モードに入ることになる
そうなると私がミルフィオーレにした加護とあんたがボンゴレにした加護の効果が切れる
ボンゴレにした加護はこれからの戦いにとても必要な鍵の1つだからね
なんとしても加護が切れるのは避けたい》
『これからの戦い?
必要な鍵?』
《そ
この時代の戦いはチョイスだけじゃない
まだ続くんだよ
ボンゴレは白蘭様にそう簡単にボンゴレリングとアルコバレーノのおしゃぶりを渡すファミリーじゃないでしょ?》
『まぁそうだね…
簡単に渡す奴らだったらこの時代のボンゴレリングはすでに白蘭の手にあるはずだし…
って未来の私って記憶がないんじゃ…?』
《あんたと出会って少し戻った
まぁまだ白蘭様の支配下だけどね》
『なるほどね……』
《はい、これで治療は終わり
心臓に空いた穴はふさがったし、魔力もある程度は戻った
あとは純粋な晴の炎とこの時代の医療で治療することだね
あんたの不死が過去のボンゴレに知られたくなかったらね》
そう言って未来の私は虹の炎の放射を止めた
「う…」
《裏切り者が気が付いたみたいだね》
「正一君っ!!」
「ほら…メガネだぜ…」
そう言って獄寺は入江にメガネをかける
「……チョイスは…どう、なった…?」
「「!」」
「…………」
『負けたよ
私とあんたの“
「なんだって!?」
ガバッと起き上がる入江
お腹の出血は止まったようだ
「そんなことは許されない!!
勝たなきゃ……!!
勝つんだ!!
まだだ!!
戦うんだ!!」
「おいお前っ
動くな入江!!」
「チョイスバトルが終了致しましたので、全通話回線を開放します」
淡々と進行をするチェルベッロ
感情がないのか疑ってしまう……
「白蘭サン!!
僕はまだ戦える!!」
『……終わりだよ、ミルフィオーレの裏切り者』
入江の真っ正面に立つ未来の私
「!!
リナ、さん……
なぜここに……」
入江の顔には負傷によってではない冷や汗が流れる
『気まぐれ
あんたは白蘭様には勝てない
過去の虹があんたの命を救ったようだけど、このまま戦ったらあんたは死ぬよ』
「死んだっていいさ!!
白蘭サンに勝てるなら喜んで死ぬ!!」
「「……」」
『そう……
なら白蘭様に伝える《じゃあね……過去の私》』
バシッ
姿くらまし……
余裕でできてる……
流石未来の私……
「喜んで……」
「(正一君…何、言ってるんだ…)
……わからない
……わからないよ
なぜこんなになってまで白蘭を倒すことに執念を燃やすのか
わからないよ!!」
『私も、同感……
救われた命を捨ててでも白蘭を倒すことに執念を燃やす理由を教えて欲しいね』
「確かに白蘭は悪い奴だし、7³(トゥリニセッテ)と虹であるリナさんを奪われたら大変だって言葉ではわかるけど……
しっくりこないんだ……」
「!!」
「人類のためとかいくら理屈を聞いても…
自分には遠い話のようで、ついていけなくなる時があるんだ…」
「…………」
『それにも同感
この時代の問題を解決するために選ばれた人間が過去の……それも中学生のガキ達ってのはなんかね……
まあ、この時代でのコイツらの成長とボンゴレ
「……そうか……
そうだったね……
僕はこの10日間、忙しさにかまけて話すことを放棄してた
いや…君達ならわかってくれると勝手に思い込んで甘えていたのかもしれない……」
『だったら彼らにわかるように教えてくれないか?
どうして白蘭を倒したいのか……
白蘭と何があったのかを……』
「……ああ……
聞いてほしい……」
そう言って入江は自分の過去を話始めた
11年前にランボを助けたことによってランボのファミリーからもらった木箱に入っていたランボ宛の10年バズーカの弾
それが何かは知らないまま掃除をして、その最中に10年バズーカの弾を誤って落としてしまい被弾して10年後の入江(アメリカ工科系大学生)と入れ替わり、そこで「ただの人」だった白蘭にぶつかって会話をしたこと
タイムトラベルしたことに興奮する一方、自分の夢だったミュージシャンになってなかったことにひどく落ち込んだこと
それがきっかけとなり、自分のなりたい夢を叶えるため、過去の行動を変えて未来を変えようとしたことを……
『「パラレルワールドだな」』
この声は…
『リボーンさん……』
「みんな!!
早く正一君とリナさんの処置を!!」
『私は大丈夫……不死だし未来の私が治してくれたから……』
「え…でも……出血が……
あ…スパナは!?」
「もう向こうで毒サソリ達が処置をしている!」
「正一とリナはオレが見てやる
まあ、お前の処置は未来のお前が先手を打っているからやりやすいが……
いくら不死の呪いで死なない体質だろうが攻撃を受けた場所が場所だからな……」
『……すまない……
あ、そうだ…
入江は私の炎である程度は治療済み
本当は完治させたかったけど…桔梗戦ではしゃぎ過ぎたのと、この場所が私の力を弱めているようで出来なかった
ごめんね』
「気にすんな
あとは晴属性のオレらに任せろ」
そう言ってリボーンは入江の治療を始めた
その入江は治療をしている時間を使ってパラレルワールドと自分の過去(その2)を話した
パラレルワールドとは世界がどんどん枝分かれしていっていろんなパターンの未来が存在するって考えであること
「もしも」の数だけ…無数の分岐から無数のパラレルワールドが存在すると考えられること
そこから自分がミュージシャンになっている未来のパラレルワールドもあるはずだと思い、もう一度10年後に行こうと決めたこと
そのために学校の教科書全て燃やし、進路指導の用紙に「ミュージシャンになれなきゃ死んでやる!!」と記入してタイムトラベルしたこと
2回目のタイムトラベルは確かに1回目とは違ってミュージシャン(外国の町外れの廃れた飲み屋で活動)として働いていたが客はヤバそうな奴らが多く、金銭トラブルを抱えており、ギャングに追われていたこと
一目散に店から飛び出し、人通りの多い大通りに出たところで運命の
この世界の白蘭サンは自分と初めて会ったわけで、自分を知らないはずだからそのまま去ろうとしたが、白蘭サンは自分を見て会ったことがあると言い出したこと
自分は勘違いだろうと思って離れようとしたが白蘭サンは違う世界…大学で自分にあったことと名前を言い当てたこと
入江の話を聞いてその場にいた全員が驚愕の表情を浮かべた
「僕は気味が悪くなって走り出した
とにかく走って走った…
気付いたら…過去に戻っていたよ…」
「!?
え?
ど…どういうこと!?」
「この時は僕も何がなんだかわからなかったさ……
白蘭サンが、この時手に入れた能力は、この後のタイムトラベルでわかることになる」
「後って…
また行ったの……?」
『ミュージシャンの未来が許せなかったんでしょ』
「ああ……だから夢をあきらめて再び大学を目指したんだ
そして、1年後にどうしても未来を確認したくなったんだ…
……ところがだ……
3回目のタイムトラベルで見た未来は僕の想像をまたもや裏切った
世界は荒廃し…戦争で焼け野原となっていた……
携帯端末から流れてくるのは、この戦争を起こし、世界征服を成し遂げた独裁者の演説だけだった……
白蘭という男のね」
「!!
そんな!!」
「なぜ奴が!!」
「僕も何かの間違いだと思ったよ……
悪い夢だとね……
だからその後も出来る限りの変化を起こして何度もタイムトラベルを試みた
……だが…
何度試してもわずかな違いこそあれ、全ての未来が白蘭サンに支配されてしまっていたんだ…」
「白蘭の奴、何をしたんだ?」
「僕が目覚めさせてしまった能力を……己の欲のために悪用したんだ……
彼は…どのパラレルワールドでも誰よりも知識を有し、先端技術を獲得し、強力な軍隊を作った……」
「そ…そんなこと…
白蘭の能力ってなんなの!?」
『ああ……
なるほどね……
本来、パラレルワールドは現実と平行して存在している独立した別の世界だからどんな人間も他のパラレルワールドにいる自分のことは知る術もないし、交わったり関わったりすることが出来ない
でも……白蘭は違った』
「ああ……白蘭サンは違う……
白蘭サンは同時刻のパラレルワールドにいる全ての自分の知識と思惟を共有できるんだ」
「わからん!!
極限にわからんぞ!!
パラレルワールドの知識を共有できるとはどーいうことだ!?
白蘭の何が一体スゴイんだ!?」
『「もしも」で分岐するパラレルワールドには色々なパターンの未来が考えられるんだよ
軍事技術の発達した未来、古代文明の発掘に成功した未来、医療科学の発達した未来……
本来、人はどれか1つの世界でしか生きられないし体験できない
でも、白蘭は、それらの未来全部を体験して知っているってこと
つまり、色々な未来のいいとこどりができるってわけ』
「いいとこどり?」
「全ての「もしも」を体験できるんだぞ
その知識と体験を入る他のパラレルワールドで使ってみろ
この世の中、情報に勝る武器はねぇ
誰よりも有利に生きられる」
「…誰よりも……有利に…」
「ありえねえことも起こせるってわけだ」
「リボーンさんの言うとおり…
その通りだ……
白蘭サンはその力を使って、この世界ではまだ発見されていないワクチンの知識を知っていたり、日陰の身で姿を隠していた王族を発見したり、何百という“偶然”の発明なくしては生まれえない兵器の開発に技術を提供して、猛スピードで完成させたりしたんだ…」
なるほどね……
やっぱり桔梗の解毒剤は白蘭からの情報だったか……
「だが、白蘭が能力に気づいたのはほんの少し前ということになるぞ
わずかな時間でこれだけのことをするのは不可能だぞ」
「…それは…
タイムトラベルで行き来するうちに、僕が過去の白蘭サンにまで能力に気づかせてしまったからなんだ…」
「!?
過去の!?」
「え?
ど…どーいうこと?」
「僕が過去に戻る時に白蘭サンの手のものに発信装置を仕掛けられて、過去の白蘭サンにメッセージを伝えてしまったんだ……」
「ってことは白蘭は10年前からその能力を使えたの?」
「ああ」
『はぁ……
なんてことを……』
「入江!!
その間、お前は何をしておったのだ!!
白蘭の悪事を知りながら放っておいたのか!?」
「お兄さん!!」
『知りながら放っておいたんじゃなくて、知らなかったんじゃない?
過去の入江は』
「ああ…リナさんの言うとおり…
僕は記憶を失っていたんだ」
「え!」
「!?」
『やっぱりね……
知っていたらこんなことにはならなかったはずだよ』
「8度目のタイムトラベルで未来へ行った時、10年後の世界で未来の僕が仕掛けた装置によって、タイムトラベルと白蘭サンについての記憶を抹消されたんだ…
5年間ね…」
「ごっ5年も!?
未来の正一君はなんでそんなことを?」
「もちろん、白蘭サンを倒すためさ」
入江のその一言に沢田は息を飲んだ
『へぇ…』
「未来の世界では白蘭サンを倒せないと考えた未来の僕は、過去にさかのぼって白蘭サンを消そうとしたんだ…
過去の僕をつかってね…
未来の僕は、過去の僕が白蘭サンに余計な敵意などをもって怪しまれないように記憶を消してから、白蘭サンに近づけようとした…
過去に戻った僕には未来の僕の残した手紙が置いてあってね…
やるべきことの指示が書いてあるんだ…
バラされたくないことも書いてあるので従うしかない…」
『まあ……黒歴史暴露なら従うしかないね』
「君達に10年バズーカを当てたのも、その手紙の指示に従ってだ……」
へぇ……
リボーンは10年バズーカで来たんだ…
「何も知らずにオレ達を?」
「ああ…
そして僕は手紙のススメの通り、海外の大学へ進み、白蘭サンと友達になる」
『皮肉だな……』
「ああ……
皮肉なことに人生で一番楽しい時だったよ…
チョイスもこの頃つくったんだ…
だが、5年がたち…
僕は全てを思い出す
あの恐ろしいタイムトラベルと荒れ果てたいくつもの未来をね…
更に、その元凶が白蘭サンで、自分の使命が彼を阻止することだとわかり、パニックにおちいったよ……
しばらくして、スパイとしてやっていく覚悟はできたが、自分の記憶と、この世界で起きている出来事を整理して、今いる自分の世界の状況を把握して再び愕然としたんだ…
なぜなら、考えられる全てのパラレルワールドの中で、今いる、この世界だけが白蘭サンに滅ぼされていない世界だったからだ」
「え!?」
「なんだって!?」
『わお』
このカミングアウトには私も驚いた
ここ以外は全て白蘭の手に落ちていること知ってしまったのだから……
『ねぇ…
その話だと、ここ以外の全てのパラレルワールドが白蘭の手に落ちたってことになるよね?』
「その通りだ…
5年前の段階で、白蘭サンの能力による、世界征服を阻止できる確率は少なく見積もって8兆分の1…」
「はっちょう!?」
「言いかえれば、世界征服をされていないパラレルワールドの存在する確率でもある…
そして、その奇跡的条件を満たす世界が…
8兆分の1の世界がここだったんだよ…
つまり、無数のパラレルワールドの中でも、この世界だけが、唯一、白蘭サンを倒すチャンスのある未来なんだ!!」
「そんなことって……」
「それは未来のお前が過去のお前に指示してつくった未来だからなんだな」
「それだけじゃない……
僕と綱吉君が唯一、偶然出会った世界でもあるんだ」
「オ…オレと!?」
「中3になった君の自転車のパンクを僕が直すんだ……
だからこそこの世界はこの後……
奇跡的にボンゴレ匣がつくられる未来になるんだ…」
「!!」
「それでお前は白蘭を倒すにはこの時代しかねえって言ってたんだな」
「ああ」
なるほどね……
だから入江は白蘭討伐に躍起になっていて、未来の私は白蘭の支配下にありながらも私の治療をして、私が沢田らにした加護が戦いに必要な鍵とも言ってたのか
「他のどのパラレルワールドでも7³(トゥリニセッテ)と虹であるリナさんは奪われ、ボンゴレファミリーも壊滅しているだろう……」
入江の話を聞いてクロームと笹川は冷や汗を流す
「そーいや
ヴァリアーとの戦いで現れた20年後のランボが……
「あなた達にまた会えるとは…
懐かしい…なんて懐かしい面々…」って言ってたな…」
20年後…?
10年バズーカは使用した人間を10年後の人間と入れ換える道具のはず……
20年後と入れ替わるなんてそんなことが……
まさか……!
10年後の人間が10年バズーカを使用した?
「そ…そっか…
あれは20年後のパラレルワールドでオレ達が死んでいるから…!!
!
って…この世界のオレも結局殺されてるんだった……」
そういえばXANXUS兄様が言ってたな
「それは、ちがうよ綱吉君」
「!!」
「ミルフィオーレに射殺された時に使われたのは“特殊弾”だ
僕がすり替えた“死ぬ気弾”のような弾で、未来の君は仮死状態だったんだ」
「!!
じゃあ、あの棺桶は……」
「敵の目を欺くためのカモフラージュだ……」
へぇ…だったら兄様達に伝えないとな……
未来の沢田は生きてるって
また戦えるって……
まあ……この会場から帰れたらの話だけど……
「!!」
「……10代目は、生きてた…………」
「仮死状態ではあったが、彼は棺桶の中で綱吉君が来るのを楽しみに待ってたはずだ」
「!」
「彼は処刑の前日に言ってたよ
「もうすぐ、一番可能性を持っていた頃のオレが来る」ってね」
「え!?」
へぇ……流石10年後の沢田……
「たしかに、経験も体力も知力も今の自分よりはるかにおとる……」
過去の自分に対してボロクソに言うな……未来の沢田……
「でも、あの時の自分が仲間との毎日の中で成長力と意外性がある
白蘭を倒せる一番の可能性をもった自分だって」
「それならオレも同感だぞ
お前らの伸び盛りっぷりは何度もミラクルをやってのけてきたからな」
そのミラクルに骸の討伐と兄様達ヴァリアーとの戦いが含まれてるんだよね……
「…じゃあ、未来のオレは本気で…
この…10年前の…オレ達を…?」
「そうだ…
君達を待ってたのは、ボンゴレリング目的の白蘭サンだけじゃない…
むしろ、白蘭サンを倒せる君達を誰より待ってたのは、この時代の綱吉君や僕だ!!」
「……選ばれたツナ達と……」
『選ばれた時代ね……』
「…難しくてよくわからない所もあったけど………
それだけはしっかりわかった
なのに……
負けちゃった…
そんな大きな意味や想いがあるなんて知らずに……」
「そ、君達の負け♪」
もう、来たのか……
『……白蘭……』
「僕の事こんなによくわかっているのに、残念だったね
正チャン」
「白蘭!!」
「結局どの世界でも、ぼくには勝てないのさ
約束は守ってもらうよ
ボンゴレリングは全ていただいて……
リナもこっちに来てもらうよ」
『ひっ…!!』
笑顔が…怖い…!!
あいつ……トム・リドルと同じ闇の笑顔をしやがった……
イヤだ……
「君達はどうしよーかなー」
「待ってください!
約束なら僕らにもあったはずだ…」
「?」
「覚えていますよね……
大学時代、僕とあなたがやった最後のチョイスで僕が勝った……
だが、支払うものがなくなったあなたはこう言った……
「次にチョイスで遊ぶ時はハンデとして正チャンの好きな条件を何でものんであげるよ」って……
……今それを執行します」
「……」
「僕はチョイスの再戦を希望する!!」
「「!」」
『再戦……』
もう一回戦える……?
「うーん
悪いけど、そんな話覚えてないなあ」
「!
嘘だ!!
あなたが勝負事を忘れるなんて!!」
「ムシがよすぎるよ」
「でも、約束は約束だ!
あなたはチョイスには誠実だったはずだ……」
「だからそんな話なかったって
ない話は受けられないよ
ミルフィオーレのボスとして正式に、お断り♪」
「くっ……」
『はあ?ふざk「私は、反対です」!?』
「!」
コオォ……
『おしゃぶりが……
まさか……!』
「!?」
「白蘭」
「「!!」」
「ミルフィオーレのブラックスペルのボスである私にも……」
「…お前は」
「決定権の半分はあるはずです」
現れたのはルーチェの帽子をかぶり、大空のアルコバレーノのおしゃぶりを首から下げ、左頬に5弁花のマークがある少女
『まさか……』
「ユニ……
貴様……!!」
『あの子がアリアさんの手紙に書いてあった娘……
ジッリョネロのボスを継いでたんだ…』
「ニュ…
動いてる…」
動いてる…?
「ユニが…
自ら口をきいた……」
口をきいた……?
まさか……ユニも未来の私と同じように白蘭に支配されてたの……?
「えー!?
あの
驚きすぎだろ、沢田のやつ……
「やはり、お前のことだったんだな
でかくなったな、ユニ」
リボーンさん、知ってたんだ……
「はい
リボーンおじさま」
あ、ユニも知ってたんだ…
「!!
リボーンの知り合い!?
っていうか……おじさまーーー!?
この赤ん坊のことをおじさまーーー!?」
「うるせーぞ」
そう言ってリボーンは沢田の右手人差し指をグキッと折り曲げる
「いっで~~!!」
『ツッコミ、いちいちうるさいよ…』
「だ……誰だよ、あの子!?」
「オレの知り合いの孫だ」
「ま…………孫ーーー!?」
リアクション、デカいな……
「あ……首におしゃぶりさげてる……
赤ん坊でもないのに??」
「はじめまして
リナさんとボンゴレのみなさん」
ニコッと笑うユニ
めちゃくちゃかわいい…
アリアさんの娘なだけあって似てるな……
ルーチェとアリアさんに……
「ハハハッ
これは一本とられたよ
いやあ、ビックリしたなー
すっかり顔色もよくなっちゃって
元気を取り戻したみたいだね
ユニちゃん♪」
「?」
「……病気でもしていたのか?」
「ちがうよ……
白蘭サンの手によって……
魂を壊されていたんだ」
「『!!』」
魂を……壊されていた……?
は?
『何で…?』
「白蘭サンはブラックスペルの指揮権を手に入れるため、彼女を口利けぬ体にしたんだ…」
『はあ!?』
「人聞きの悪いこと言うなよ、正チャン
ユニちゃんが怖がりだから精神安定剤をあげてただけだよ」
「いいや
あなたはブラックスペルの前身であるジッリョネロファミリーのボスだったユニとの会談で、無理矢理、劇薬を投与して、彼女を操り人形にしたんだ
そうだろ?
ユニさん……」
「……」
『は?
何、それ……
ふざけてんの?』
「でもその間、私の魂は、ずっと遠くへ避難していたので無事でした」
「「?」」
『遠く……?
どういうこと……?』
「白蘭
あなたと同じように、私も他の世界へ翔べるようです」
「!!」
『翔べる……?』
大空のアルコバレーノと大空のマーレリング所持者にしかできない技か……?
「話を戻します
私はミルフィオーレファミリー、ブラックスペルのボスとしてボンゴレとの再戦に賛成です
あの約束は……
白蘭と入江さんとの再戦の約束は本当にあったからです」
「なんでそんなことがわかんのよ!」
ユニの言葉に頬を膨らますブルーベル
どうやら彼女はユニが嫌いなようだ
「元気一杯になってくれたのは嬉しいんだけど、ユニちゃん
僕の決断に君が口出しをする権利はないな」
「!」
「僕が迷った時は相談するけど、君はあくまでナンバー2だ
全ての最終決定権は僕にあるんだ」
「……」
「この話は終わりだよ」
それってナンバー2の意味ないじゃん
ただの飾りじゃん
「……そうですね……
わかりました……
では私は、ミルフィオーレファミリーを脱会します」
「!」
うん、それがいいよ
ボスなのに決定権が与えられてないファミリーにいたって意味がないからね
「沢田綱吉さん…
お願いがあります」
「え!?
お…お願い…!?」
沢田に?
「私を守ってください」
「え゛ぇーーーーー!?」
まじか…
「ま……守るって……
ブラックスペルのボスなんじゃ…?」
「私だけじゃありません……
このーーーーー」
コートの内ポケットからなにかを取り出すユニ
取り出したのは
「仲間のおしゃぶりと共に」
輝きを失った4つのアルコバレーノのおしゃぶりだった
大空のアルコバレーノであるユニの手の中にあるためか輝きを失ったアルコバレーノのおしゃぶりが誰のものか感じとれた
嵐の
『バイパー達も白蘭に捕まってたのか……』
「勝手に持ち出しちゃだめじゃない、ユニちゃん
それは僕の7³(トゥリニセッテ)コレクションだ」
『ちg「違います」ユニ…』
「これは私が預かったものです…
それに、あなたが持っていてもそれは7³とは言えません」
「ん?」
「なぜなら…」
コオオ……
ユニの言葉にあわせて光を放ち始める4つのおしゃぶり
パアアアッ
「!!」
「!!!」
「わあ」
その光はアルコバレーノ同士が近づいた時に発せられる光よりも強く、目が眩みそうになるほど輝いていた
「おしゃぶりは、魂なくしては存在意義を示さないのです」
キュアアア……!
『!!
おしゃぶりが……』
《……共鳴……
だが、私は白蘭の支配下だから光が弱いな……》
未来の私の言うとおり、私のおしゃぶりは光が強く、未来の私のおしゃぶりはアルコバレーノ同士が近づいた時に発せられる光と同じ強さだった
「…あんなに!
あんなに輝くものなのか!?」
「ど…どうなってんの?
なんであの子が光らせられるの!?
それにリナさんと未来のリナさんのおしゃぶりも!?」
「…………
なるほど……
そういうわけか!!
すごいよ、ユニちゃん!
やればできるじゃない!!
やはり、僕には君が必要だ
さあ、仲直りしよう
ユニちゃん」
そう言ってユニに歩み寄ろうとする白蘭
それをユニは拒絶し、おしゃぶりの光を消した
それに共鳴して私と未来の私のおしゃぶりの光も消えた
「もう、あなたには、私達の魂を預けるわけにはいきません」
うん、そうだね
おしゃぶりはアルコバレーノの魂だからね
さっきの光を見て態度を変える奴には預けたくないわ
「なーに勝手なこと言ってんの?
それ持って逃げるんなら、世界の果てまで追いかけて奪うだけだよ」
脅しか……
最低だな、白蘭……
「さぁ、帰ろう
僕のところへ戻っておいで
ほら♪」
ズガンッ
シャッ
「っ!」
リボーンの狙撃に間髪いれずに私は白蘭の喉元に三叉槍の切っ先を向けた
「あ!!
リボーン!!」
「おじさま!
リナさん!」
『ユニに、近づくな』
「図にのんなよ白蘭
テメーが誰でどんな状況だろうと、アルコバレーノのボスに手を出すんなら、オレが黙っちゃいねーぞ」
『オレが…じゃなくて私たちでしょーが』
「えーーーーー!?
あの
「ナイト気取りかい?
“
あ、私のこと婚約者からアルコバレーノになった
「白蘭様
ご安心ください
ユニ様は我々がすぐにお連れします」
ダンッ
桔梗の発言が終わったと同時に桔梗、ザクロ、トリカブトが動いた
「ハハン」
ババッ
『
させるか!!』
ダンッ
私は素早く白蘭から離れユニの前に立ち
ボウッ
三叉槍に嵐の炎を灯した
シャッ
ビュッ
ドガガッ
「!!」
『!
チッ…』
少ししか燃やせなかった
『もう来たのか……』
「う゛お゛ぉい!!
てめーの相手はオレだぁ!
暴れたくてウズウズしてんだぁ!!」
「じゃまだよ」
『スクアーロに雲雀……』
雲桔梗のほとんどがスクアーロが剣から飛ばした火薬によって破壊された
初動が遅すぎた……
「リナ、チョイスのヘマは見なかったことにしてやる
体、大丈夫か?」
『見逃してくれてありがと
それはそれで助かるわ
体は未来の私が治療してくれたら大丈夫』
「未来の……
う゛お゛ぉい!
この世界のリナ!!
さっきぶりだが……まだ白蘭に従ってんのか?
さっさとオレやボスのこと思い出して帰ってこい!!
んで……なんだてめぇさっきから!
つつくな!!」
あーそういえばさっきからトンファーでめっちゃスクアーロを小突いてたな雲雀のやつ
「僕の獲物だ」
『いや、桔梗は私の獲物だから
横取りしないで』
「ハハン
懲りない連中だ」
これで懲りたらヴァリアーやアルコバレーノなんてやっていけねーよ
『リボーンさん
ユニを頼みます』
「ああ」
『桔梗、さっさとさっきの続きを始めようよ』
「ハハン
いいでしょう」
「なにげにみんな闘う気になってるーーー!!
ってかリナさんは重症なんだから動いちゃダメじゃん!!」
「まあ、落ちつこうよ桔梗ちゃん
ユニちゃんは病気でずっと眠ってたも同然だったんだ
急に目覚めて気が動転してるんだよ」
そう言う白蘭に桔梗は従い、戦闘態勢を解く
「じゃあ、こうしよう
ユニちゃん」
「!」
「チョイスに勝利して僕がもらえるはずの7³(トゥリニセッテ)と虹は手に入れるまでにとても苦労したし、すごく大事な物だよ
でも、もしユニちゃんがミルフィオーレに帰ってきてくれるんなら、ボンゴレリングと虹はボンゴレファミリーに返してあげてもいい
それにこの世界の虹も自由にしてあげるよ」
「「「!!」」」
「え!?
で…でも白蘭て、ボンゴレリングと虹であるリナさんをメチャクチャ欲しがってたんじゃ!!」
白蘭の野郎……
ユニの力を見て態度を変えやがった……!!
ってことは虹の私と大空のアルコバレーノしか知らない大空のアルコバレーノの力が白蘭にバレた……
これはユニが奪われないように警戒しないと……
それに、私の本当の虹の力のことも知られないようにしないと……
大変なことになる……
「白蘭
なぜ、あなたが私を欲しているかは、わかっています」
ユニの言葉に私と未来の私、白蘭以外疑問の表情をする
「わかっているからこそ、あなたの元へ帰るわけにはいきません」
「ふぅん
じゃあ、やっぱりボンゴレリングと虹は僕らのものだ
ユニちゃんが逃げ込もうとする連中に、ミスミス武器を渡すつもりはない
っといっても……
かんじんの白馬の王子はユニちゃんの願いにビビってるけどね」
「い゛っ」
図星だな、あれは……
「ボンゴレリングと虹はあなたのものじゃないです、白蘭」
「ん?」
「おしゃぶりはアルコバレーノのもの
ボンゴレリングはボンゴレファミリーのもの
虹は魔女や魔法使いのもの
それは真理です
なのにあなたは、7³(トゥリニセッテ)と虹を手っ取り早く安全に手に入れるために、無理矢理チョイスを開催し、7³と虹を賞品にしました
私の魂があるかぎり7³と虹の一角をになう大空のアルコバレーノとしてそれは許しません
すなわち7³・虹争奪戦は認めません
チョイスは無効とします!!」
「む……無効!!」
「……って……」
「ボンゴレリングは渡さなくていいし、リナさんは白蘭のところに行かなくていいです!」
「プ…ハハハ!!
確かに大空のアルコバレーノには7³と虹の運用について特権が与えられているらしいけど『白蘭、訂正だ』なに…」
『虹の運用についての特権は虹にしかない
大空のアルコバレーノに与えられている虹の運用の特権は虹が何らかの理由で機能しなくなった時のみ与えられる緊急措置みたいなもの
今はこの時代の虹がお前の支配によって機能しなくなったから、ユニに…大空のアルコバレーノにこの時代の虹の運用の特権を与えられただけだよ』
「「!!」」
私の言葉にその場にいる全員が驚きの表情をした
この時代の虹である私を除いて
『で、私は支配されてないから、自分で虹の運用について決めることができる
ってことで勝負に負けていようがお前のところになんか行かないし、私が持っている虹のボンゴレリング、虹のおしゃぶりと虹の力はてめーになんか渡さない
勝者の賞品にするだけ無駄だったね』
「っ…」
『ユニが来てくれたおかげで私の魂に刻まれた7³と虹の運用についてのことを思い出すことができた
君が来てくれなかったら私は白蘭のところに行ってた
来てくれてありがとう』
「リナさん……」
「リナの言っていることがそうだとしても……
僕を怒らせるのはどうかと思うな
ボスのユニちゃんが裏切ったとして……
残されたブラックスペルがどうなってもいいのかい?」
「!!」
「まあ、奴らはユニちゃんにゾッコンみたいだから、煮られようが、焼かれようが、大喜びかもしれないけどね」
「な
それって…人質ってこと!?」
『ちっ…
最低だな』
「……みんなは……
わかってくれます」
「え
でも、それって……!!
仲間を見殺s『沢田!!』!!」
『言うな
それはユニもわかってる
お前はさっさと決めろ
ユニに守ってほしいと頼まれたんだろ
どうするんだ』
「だ……だって……
この子の仲間が……
!!」
やっと沢田は気づいたようだ
ユニが覚悟していること
ユニはこうなるとわかってたことを……
「…っ!!」
どうやら沢田も覚悟を決めたようだ
ガッ
ユニの右腕を優しくも強く握って
「くるんだ!!
オレ達と一緒に!!」
力強くそう言った
ユニの目にはうっすらと涙が浮かんでいた
「みんな!!
この子を守ろう!!」
「よし!
よく言ったぞ!!」
「ああ」
「ハイッ」
沢田の一言でボンゴレの士気が高まった
「ありがとうございます」
ユニは満面の笑みでお礼を言った
「白蘭様」
『!』
「ユニ様をつれ戻すための攻撃許可を」
「……
うん」
『させるかよ!!
ドガガガン
「!!」
「ぐっ」
ゴアアア
「そうこなくっちゃなあ!!」
爆煙の中から特攻をするスクアーロとスクアーロの匣兵器……
「ちっ」
『おい、沢田!!』
「な、何ですか!?」
『私とスクアーロで時間を稼ぐから、さっさとこの場から退いて態勢を立て直せ!』
「えー!?
退くっていっても…
ここ、どこまで行ってもビルなんじゃ!?」
『この会場じゃねぇ!
並盛だ!!
火炎の弾!!』
ドガガッ
「並盛って……
どうやって……」
「でしたら
みなさんをここへ運んだ超炎リング転送システムが近くにきてるはずです」
「え!?
並盛からワープしてきた?」
『ユニが言った通り、それが今ボンゴレ基地ユニットの上空にきてる
そいつを使え!!
さっさとしろ!!』
「そうはいきません」
ブワッ
『また雲桔梗!!
お前、しつこい!!』
ボッ
「
ドオッ
『!
嵐の炎の
「リナ!
盾を作れるのはお前だけじゃねぇ!!
それに……
今度はぜってー止めてやるぜ」
『獄寺か……
なら防御は頼んだ』
「ああ
10代目!!
今のうちに転送システムへ!!」
「わっ、わかった!!
ごめん獄寺君、リナさん!!
いこう、みんな!!」
そう言って沢田らは転送システムが来ているボンゴレ基地に向かった
『さてと……
雲の守護者』
「…なに」
『お前のことだから雲属性のアニマル匣持ってるよね』
「……それが?」
『それを一気に増殖させてバリケード的なものを作ってほしい
タイミングはあんたにまかせる
成功したら骸と再戦させてあげる』
「!
わかった」
『んじゃ……頼んだ
スクアーロ!』
「ああ」
ボウッ
「いくよ……」
カチッ
ドシュッ
「キュウッ」
ボンゴレ匣から出てきたのは
かわいい
ボウッ
「キュウウウウウ!!」
ボボボボボ……!!
雲雀の膨大な雲の炎に反応して雲ハリネズミの針が白蘭らを取り囲むように爆発的に増殖した
動きにくくなったのを確認して私達はスクアーロの暴雨鮫に乗ってその場を離れた
ボンゴレ基地ユニット
『沢田!!』
「リナさん!!」
『みんな揃った!
出して!!』
「やったんだね!
獄寺君!!」
「オレじゃねーっス」
「?」
『今、雲雀のハリネズミの針が増殖して足止めしてる
長くは持たないから急いで!』
「!
ボス!」
「あっ」
「!!」
「白蘭!!」
もうあの針を攻略したのか……
早すぎるだろ……!!
『しつこい!!
執念深すぎるんだよ!!』
「お前達は先に行け
今度はオレが時間をかせぐ」
「でも、ディーノさんだけ取り残されちゃうんじゃ!!」
「誰かがやんねーとな……
行け!」
『は?
ふざけんな跳ね馬
お前の今の力じゃ足止めなんかできない
出来るのは……』
シュワアァァ……
『!!』
クロームの槍から霧の炎……
あ、この感じは……
「誰が相手だろうと、僕を止めることはできないよ!」
「あっ」
クロームも気づいた
『来てくれた…』
「クフフフ……
それは、どうでしょうねえ」
この独特な笑い声と口調……
ドクッ
そして左目の微かな疼き
「僕に限って」
『六道…骸……』
「!!」
「……骸様」
霧から現れた骸(有幻覚)は髪が伸びていた
あり得るとしたらこの時代の骸だろう
クロームは骸に会えて嬉しそうだ
「あれれ?」
ボウッ
マーレリングに炎を灯す白蘭
純粋なオレンジ…大空の死ぬ気の炎を灯している
ガキィと組み合う白蘭と骸
「クフフフ〈リナ、力を借ります〉」
《了解
遠慮せず使って》
〈ありがとうございます
では、遠慮なく…〉
ヴヴ…ン
視界に一瞬映った数字は“一”
地獄道が発動する
ピシッ!
ドウッ
白蘭の足元から発生した火柱には蓮の花と蓮の葉、茎も絡まっていた
『!!
マジか…
威力がえげつないことになってる……』
「ひいい
スゲーーー!!」
「お久しぶりです
沢田綱吉」
「か…髪が伸びてる!!
10年後の骸!?」
え、今気づいたの!?
おっそ!
「でも…怪我とか大丈夫なの?」
怪我…?
どーゆーこと?
「綱吉君の言う通りだよ
骸クン」
『!
…効いてない…』
「僕の部下に憑依した君は、あの時、精神ごと消したはずなんだけどな
少なくともこんな幻覚は、もうつくれないほどにね」
『え…』
「クフフフフ
たしかに
あなたの策略にはまり、密閉された空間に閉じ込められた時はもうダメかと思いましたよ
一人でしたらね」
精神体の骸を閉じ込めることができるなんて…どんな科学力だよ…
「ん
あっ、そっかーーー
お仲間に外から穴を開けてもらったのね」
「アレは僕の仲間というには出来の悪すぎる子供ですが」
子供…?
ああ!
フランか…
「どちらにせよ
あなたにもらったダメージは、とても大きかったですよ
つい先刻までこんなことはできなかったほどにね」
ドドドド
これでもかっ!ってくらいに火柱を発生させ、蓮の茎で白蘭の体を拘束する骸
「ハハハ
ダメダメ骸君」
私の瞳の力で強化された骸の幻術を受けてもなお涼しい顔をする白蘭
「これじゃ僕には勝てないよ
いくら本物に近い幻覚とは言っても所詮、君はニセの作り物だ
僕に勝ちたいんなら、少なくとも
骸……まだ牢獄にいるんだ
「クフフフ
ご心配なく
僕が自らの手で直接あなたを倒す日も遠くはない」
「ん!?」
白蘭のやつ…
骸の言葉に少し驚いた表情をみせたな…
「我々はすでに動きだしている……とだけ言っておきましょう
それに、今この場では足止めさえ出来れば僕の勝ちですよ〈リナ、あなたには先に伝えます
僕はもうすぐ牢獄から出ます
フラン達が動いてくれてますからね
僕が出てきたらまた、頼みますよ〉」
《フラン達がね……
了解
楽しみに待ってるよ》
「さあ、大空のアルコバレーノとリナを並盛町へ連れていくのです
沢田綱吉」
「!
骸……!」
「ツナ
ここは骸にまかせた方がよさそうだ」
『跳ね馬の意見に同意
この場にいれば邪魔になる』
「でも…
骸様!」
『クローム
骸のそばにいたいのはわかる
でも今はこの場を離れることを優先してほしい
骸にはまた会えるから
そうだろ?』
「ええ、当然です
僕以外の人間に世界を取られるのは面白くありませんからね」
クロームの方を向いてクフフと笑う骸
その骸を白蘭は睨んでいた
「いいですか?
沢田綱吉
絶対に、大空のアルコバレーノ、ユニと虹のアルコバレーノ、リナを白蘭に渡してはいけない」
「黙って♪」
ズバッ
「ぐっ」
白蘭の左手が骸の体を貫いた
そのことにより、骸の体は崩壊を始めた
「……さあ早く
転送システムに炎を」
「わ…わかった……
クローム!
み…みんな!!」
ボッ
沢田の号令で雷を除く私をいれて守護者6人と門外顧問のバジルがリングに炎を灯す
すると行きと同じように炎の結界が発生し、私が穴を開けると炎の柱が転送システムに注入され、並盛に転送された