主人公は女性です
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『さ、沢田?』
「こんなことされるのはイヤかもしれないが許してくれ」
『は?
ってか、ナッツは?
これ、なに?』
「これはナッツが……匣 アニマルが武器そのものに変化したものだ
ボンゴレが独自に改造した匣兵器で、その武器は初代ボンゴレファミリーのものになる」
『なるほどね……
ってことは……』
「ああ……」
『すべてに染まりつつ、すべてを飲み込み、包容する大空…と謂われた初代ボンゴレの……』
「Ⅰ世のマント !!!」
バサァッとマントを広げる沢田
するとバラバラ…と大量の石化したウミヘビが落下していく
『うわ…こんなに刺さってたのか……
ありがとう、沢田とナッツ』
ってか……沢田のマント姿……
マジで初代そっくりだわ……
「ああ」
「ガウッ」
「次はオレの番だ」
ボウッと炎を両手に灯しトリカブトに向かう沢田
『助けてくれたお礼だ
エピスキー 』
私は沢田とナッツに向けて魔法をかける
「!
ありがとう、リナ」
「哀しき者達よ」
「『お前がな』」
ビチッと魚が泳ぐように動くトリカブト
彼にとても失礼になるがとても気持ち悪い
しかも気のせいかもしれないが、トリカブトの面の牙が伸びている気がする
ガチッ
ダンッ
トリカブトに軽く接触した沢田はビルの側面に着地し、トリカブトの後ろを取る
ドウッ
ガキッ
沢田の左手の手刀がトリカブトのうなじに入る
「怪物ならば」
キュオオ
お、右手の炎圧上がってる
「加減はなしだ」
ボギャッ
うわっ……すげぇ音…
ドッ
ズボッ
ドオン
沢田に後頭部をぶん殴られたトリカブトはビルを貫通し、地面に叩きつけられた
「ボンゴレ、虹と交戦中の敵の炎反応消滅」
「よくやった、綱吉君!
リナさん!」
「だが、標的を倒さなければ勝利とはならないんだな」
『ああ』
「うん」
「そのとおりです
標的ルールでは、先に敵の標的 の胸に灯る“標的の炎 ”を消した方が勝ちとなります
入江正一氏もリナ様もデイジー氏も健在なのでバトル続行です」
「このまま空中から敵の標的に向かう」
「それはダメだ!!」
『沢田、お前はやめておけ』
「!」
「敵が二人以上残っている限り、はさみうちにされる危険がある
炎を消してバイクで向かうんだ!」
『入江の言うとおりだね
このチョイスに使われているレーダーは死ぬ気の炎を検知してモニターに表示されるタイプだから、今の私みたいに炎を出していたら敵に居場所がバレる
でも、お前らは戦闘の時だけ炎を灯すタイプだから、炎を灯さないうちは敵にバレることはない
つまり、奇襲することが出来るんだ
移動もバイクがあるんだしね』
「……わかった」
『んじゃ私はこのまま空中から囮になりつつ、桔梗を叩きに行くわ
もう1人の霧の術師のところに行きたいけど距離があるからね……
お前らに任せるわ』
「ああ、わかった」
『んじゃ、よろしくー』
私はそう沢田に言って桔梗を追った
『入江、今の桔梗の位置は?』
「そこから東南東に2㎞先にいる
僕の囮 に翻弄 されてる」
『了解』
囮に翻弄されてる、ね……
真 7弔花がこんな簡単な囮に騙されるものかね…?
何かあるな……
警戒した方がいいかもね……
『ましろ、しばらく移動するから君は匣に戻って休憩ね』
私はポーチから蓋の開いた匣を取り出す
「ガウ…」
『ここに来てから大技連発してるでしょ?
休憩は大事だよ
ピンチになったら君を出すから、その時はよろしくね』
「…ガウ!」
『ありがとう』
シュンッ
カチッ
私はましろが匣に戻ったのを確認して再びポーチにしまう
『さてと…待ってろよ、桔梗!!』
私は入江が言っていた場所に向かう
「幻騎士!!」
突然耳に入った山本の通信
『え!?』
今、幻騎士って聞こえた……
幻騎士は沢田に倒されたんじゃ……?
でも、さっきの山本の声からしたら……
本物……
倒されてなかった……
だとしたら、聞けるかも知れない
何でジッリョネロが白蘭のファミリーと合併したのか……
『悪い、入江……
幻騎士の場所、わかる?』
「え?
幻騎士はそこから北東の方角、距離3㎞の場所にいるよ
幻騎士がどうかしたのかい?」
『私、あいつに聞きたいことがあってさ……
今から会いに行く』
「えっ!?」
『ああ……桔梗のことは大丈夫
足止めするから』
「足止め?
そんな事、出来るのかい?」
『もちろん
私は魔女でアルコバレーノで術者だからね』
「……わかった
なら、終わり次第出来るだけ早くこちらに向かってくれ」
『了解
んじゃ今から始めるから話しかけないでね』
「わかった」
『んじゃ、始めますか……』
まずは私の虹の炎を入れるケースを作る
形は……おしゃぶりでいいか
ボンッ
次に出来たケースに標的の炎から出ている炎を少し移す
最後に……
『開匣 』
カチカチッ
ドシュッ
『虹狐 』
匣から出した虹狐に私が作ったおしゃぶりを首にかける
『よし……
これで準備完了
君たち』
「「?」」
『今から桔梗って奴の足止めをしてほしいんだ
私は用事があってしばらく君たちのそばにはいられない
だから、君たちの判断で攻撃や防御をして欲しい
炎については安心して
君たちの首に下げているおしゃぶりが炎を供給してくれるから』
「キューン?(桔梗って?)」
「キューン…(誰だよ…)」
『あ、ごめんよ…
これが桔梗だよ』
私は二匹の狐に桔梗の写真を見せる
「キューン(ふーん)」
「クーン(なるほどね)」
『わかったかな?
桔梗はこの方角の先にいるから、お願いね?
私は終わり次第すぐ飛んで来るから』
「「ワン!(わかった!)」」
『それじゃ……行ってらっしゃい!!』
ドンッ
私の号令で二匹は桔梗がいる東南東の方角に向かって走っていった
私は二匹を見送ってから幻騎士のいる場所に向かう
『いた…!
幻騎士!!』
あの姿は……匣兵器を装備してるな……
山本ももうボンゴレ匣を開匣してるし……
『その戦い、ちょっと待ったー!!』
「!?」
「な…!?」
スタッ
シュンッ
私は幻騎士と山本の間に降り立ち、箒をキーホルダーサイズに縮める
『幻騎士!
私はお前に聞きたいことがある!!
何でジッリョネロが白蘭のファミリーと合併したのか!
何でジッリョネロの幹部だったお前が白蘭の命令に従っているのか!!
私が納得できるように説明しろ!』
「キサマは……アリアと一緒に話をしていたガキ……
ボンゴレの人間だったのか……
ボンゴレに話すことはない!!!
戦いの邪魔をするな!!!」
ザンッ
霧属性の斬撃……
だったら……
『プロテゴ 』
ドンッ
『邪魔をしたのは悪かった!
でも、説明してくれてもいいだろーが!!
それにお前!
自分のファミリーのボスのことを呼び捨てにするなんて…!
昔はそんな呼び方してなかっただろーが!!』
「黙れ!!
これ以上邪魔をするならお前もたたっきる!!」
『あーそうかい!
だったら私もお前をぶっ飛ばす!
そのあとに説明してもらおうじゃないか!!
山本!加勢してやる!』
「え…?」
『安心しろ
これでも私は剣術を使える
幻騎士にリベンジするお前の邪魔はしない
同じ剣士に教えてもらったからね
それに、リング争奪戦でお前の刀の型は理解している』
「そっか……
なら、頼んだぜ」
『ああ』
チャキッ
私はローブからナイフを取り出し構える
「魔女のクセに…剣術をかじった程度でこのオレをぶっ飛ばす…だと…?
図にのるな!」
ビュッ
『術で隠してるんだろうが…
私には見えてるんだよ!!
山本!!
霧の匣兵器の攻撃だ!』
「ああ…!」
チャッ
ボッ
山本は刀身のついていない柄と鍔だけの武器を握り炎を灯し、後ろに飛んで逃げる
『へぇ…沢田と同じ原理で飛べるのか…
やるじゃん』
「くっ」
『よそ見、してんじゃねーよ!
幻騎士!!!』
ダンッ
ビュッ
「ちっ」
ガキッ
『私もいるってこと忘れんな
山本だけに集中してたら痛い目見るぞ』
「くそっ!」
ブンッ
『うわっ
やっぱり大人は違うね…
私を押し退けるなんてね』
「っ!」
ギャキィン
『でもそのせいで次の反応が遅れた』
山本の一撃を間一髪で受け止める幻騎士
ブシャッ
「!!」
だが、受け止め切れなかった斬撃が幻騎士の顔を襲った
「(この男……!)」
カッ
『「!!」』
私と山本を覆うように地面から蔦が伸びる
また匣兵器の幻術か……!
めんどくせぇ!
しかも一匹じゃないからなおさらたちが悪い!
燃やすか?
でも燃やしたら山本のリベンジにならないからなぁ
だったら……
降ってくる幻海牛 の動きを止めるか
『山本、幻騎士の匣兵器は私に任せてお前は本体を叩け
リベンジの相手だろ』
「……サンキュ」
ヒュヒュヒュ…
バッ
『くらえ!スクアーロ直伝、鮫の牙 !!(ナイフによる超高速で繰り出される突き攻撃)』
ガガガガ……!!!
『くっ……
的が小さい分掠りやすい…!
くそ…これだったら爆破した方が速いな……』
山本は……
ガキィ
幻騎士と一緒に外にでたな…
『んじゃ……』
スッ
私は左手で杖を取り出し構える
『エクスパルソ !!』
ドガァン!!!
『おお……
久しぶりに使ってみたけど……すげぇ威力……ってそんなこといってる場合じゃなかった
さっさと出ないとね……』
私は走って外に出た
『ん?
雨?』
幻騎士の頭上にだけ降り注ぐ雨
空をよく見てみると、一匹の雨燕 が優雅に空を旋回していた
『……あーなるほどね』
雨属性の炎の特徴は“鎮静”
鎮静の炎を浴びた幻海牛の活動は鈍くなり遅くなる
通常の速さの幻覚と鈍化していく幻覚が合わさったらズレができる
術者対策がよくできてる
「言っとっけど、こっからだぜ
オレ達の本気は」
『!』
山本の奴…リング争奪戦の時よりも剣への覚悟ができてる
やっぱりスクアーロだな……
剣士だから新米剣士に剣への覚悟を教えることができた……
山本武は野球を大切にしてたけど剣か野球かどちらを選ぶかを試されたはず……
そこで剣を選んだ
そういや二択を迫られ、剣を選ぶってやつは初代の雨の守護者と同じだな……
初代雨の剣は世紀無双と言われ、その才能は誰もが認めるところだった
でも彼は何よりも音楽を愛し、自分の剣を一本も持たなかった
だがある時、異国の友であったボンゴレⅠ世 のピンチを聞きつけた彼は、なんの躊躇もなく、命より大事な楽器を売って武器と旅費にかえて助けに向かった
友のために、全てを捨てることをいとわなかった彼に……
彼の武器は3本の小刀と1本の長刀だったから山本のボンゴレ匣は……
「小次郎、形態変化 #」
小次郎と呼ばれた雨燕はまっすぐ山本の長刀…時雨金時に向かって飛び、合体した
『やっぱり、そうくるか……』
形態変化の終わった山本の武器は…
全てを洗い流す恵みの村雨と謳われた
朝利雨月の変則四刀
山本が武器を朝利雨月の変則四刀に変えてすぐ、幻騎士がヘルリングを使って変身した
幻騎士の肉体は骨だけになった
不気味だ
フランもヘルリングを持っていたが、こんな使い方があるとは思わなかった
それから幻騎士はなぜ自分が霧の真7弔花ではないのか
何で自分が部下なのか等愚痴り出した
『幻騎士のやつ……
理性を失ってる……』
これがヘルリングの代償か……
私には扱えないな……
『幻騎士!
お前ほどの人間がなぜ沢田綱吉に負けた!?』
「沢田綱吉
沢田綱吉に負けたのはオレの実力ではない!!
あの時は、奴の瞳 に惑わされ力の半分も出していないのだからな!!」
『なるほどね……』
だとしたら幻騎士が負けた理由に納得がいくわ……
沢田の瞳は……アリアやルーチェと同じ覚悟の瞳だから……
気圧されたんだ
『だとしたら今のお前が本気ってことか』
「そうこなくっちゃ、面白くねーって」
「グヌウゥ
減らず口の青二才が!!」
まだ中学生だからね
「剣撃と幻海牛の二重攻撃を喰らえ!!」
ゴアアアっと幻騎士の背後に広がる幻海牛
「ハアァア!!」
「次郎は隠れてろ」
「ワンッ」
山本の言葉に従って匣に戻る雨犬
日本犬をモデルにしてるからか主人に従順だ
「幻剣舞 (幻剣と幻海牛により、霧の炎でできた斬撃とミサイルを固めて相手に飛ばす技)!!!」
ドギャギャギャ
『大量の斬撃と幻海牛の幻覚ミサイルの合わせ技か……
私の敵じゃないな…』
私は杖を取り出し、杖先を幻騎士の技に向ける
『イモビラス !』
カッと杖先が光ったと同時に私に当たるはずだった斬撃と幻海牛の動きが停止した
「魔女が!!
調子にのるな!!」
ズババババ
『だーかーらー』
「リナ
わりぃがここはオレにやらせてくれ」
『……はいよ
お前の時雨蒼燕流 を叩き込んでこい』
「ああ」
コオオ……
「時雨蒼燕流、守式四の型…」
ピシャッ
「五風十雨 (敵の呼吸に合わせて剣をかわす回避奥義)」
へぇ……この大量の斬撃と幻覚のミサイルの中をボンゴレ匣の推進力を使って超高速でかわしてる……
やるじゃん、山本
「甘いわ!!
更に10倍だ!!!」
そう言って幻騎士は10人に分裂し
「ドリャリャリャリャリャリャ!!」
全員が斬撃と幻覚ミサイルの攻撃を放った
「究極幻剣舞 (幻剣と幻海牛により、霧の炎でできた斬撃とミサイルを固めて相手に飛ばす技の上位技)!!!」
幻騎士の放った技は幻騎士を中心に円形に広がり、巨大な炎エネルギーの塊になった
『へぇ…やるじゃん
でも…数を増やせばいいってことじゃないんだよ……
なんで気が付かない……』
やっぱりヘルリングのせいだろうか……
ヘルリングに精神を喰われ続けて思考をやられたのだろうか……
哀しいな……
『幻騎士…』
「……
時雨蒼燕流、総集奥義」
『総集…すべてのまとめ、か……』
「時雨之化 (相手の攻撃全てに沈静の効果を持つ雨の炎を当てることで、攻撃のスピードを停止に近づけることが出来る技)」
カッと青色の光が幻騎士の技をつつみこみ、光が収まると攻撃が停止に近づいていた
「なに!?」
これには幻騎士も驚きを隠せなかったようだ
「おのれ
小癪な!!
あのガキ、どこへ消えやがった!!」
自分が出した剣撃の中では剣撃が邪魔で雨の守護者を探しにくいのだろう
幻騎士は分裂するのをやめてパワーを戻した
「たしかに、オレはあんたに一回負けた」
「!」
「だがそれは、オレの未熟さのせいで、親父のくれた時雨蒼燕流はいつだって」
コオォォ…
「完全無欠、最強無敵だ!!!」
山本は匣兵器の推進力を使って幻騎士との距離をつめる
幻騎士は自分の剣撃からつたってくる雨の炎を浴びて動きが鈍化
「時雨蒼燕流、攻式八の型…篠突く雨(相手の懐に飛び込み鋭い斬撃で突き上げる技)」
ザンッ
幻騎士は武器を構えるひまもなく真正面からまともに受け、ヘルリングの力が解除された
「ヒュ~
おつかれ、小次郎」
山本は匣アニマルの武器化モードを解除して空中に停滞する
「山本…勝ったんだね!」
「へっ」
『おつかれ、山本』
「なぜだ」
「!」
「ボンゴレといい、貴様といい…
なぜ、トドメをささない……」
落下した衝撃と力を使いすぎたせいか、幻騎士はうつぶせのままでその場を動かない
「オレ達は人殺しじゃねーからな」
「…………」
まあ…沢田達はつい最近までマフィアを知らない普通の中学生だったからな……
「後悔、するな……
おれば白蘭様のために、いずれ必ず目的は遂行する」
「ああ
望むところだ」
『幻騎士…お前が持ってる霧の呪いのリングを私に渡せ』
「な、んだと…」
『私はヘルリングの力に頼って狂っていくお前を見たくないだけ
それにお前はヘルリングの力を使っても本来の力を使えず弱体化するだけだ
戦闘スタイルにあってないものを使っても意味ないだろ』
「……
!
桔梗か…」
『桔梗…?』
このタイミングで通信…?
「当然のこと…
白蘭様は全てを見通しておられる
だからこそオレに奇跡をお与えになった
誰よりもオレを奇跡に値する人間として信頼して織られるのだ」
『奇跡、ね……
だから白蘭に忠誠を誓ってたのか……』
パキッ
『!!』
突然幻騎士の鎧から何かが芽吹いた
そしてそれは葉を広げ雲属性の炎を灯した
『この葉の形…桔梗の葉!?』
雲属性の炎は増殖の力がある…
まさか……!!
『幻騎士!
今すぐその鎧を外せ!
お前の鎧に雲の炎で増殖する雲桔梗 が仕込まれてる!!
お前、消されるぞ!!』
「嘘をつくな
桔梗」
『幻騎士!』
桔梗との通信に意識を集中しているのか私の声が幻騎士に届いていない
『くそ!!』
だとしたら雨の鎮静で増殖を抑えて魔法を使って鎧を破壊するしかない
ボウッ
『幻騎士、今助けるから!!』
「ありえん!!
白蘭様がオレを消すはずがない!!
白蘭様と話がしたい!!
通信をつなげ!!」
バキバキ…
「それはなりません
チョイスバトル参加戦士と観覧者の通信は禁止されています」
パキッ
『鎮静の炎が追い付かない…!
チェルベッロ!
幻騎士をこのバトルから今すぐ外させて!
このままじゃ…!』
「それもできません
チョイスで選ばれた戦士は戦闘で死ぬかチョイスの勝敗が決まるまで離脱することはできないルールとなっています」
『は!?』
「戯れ言をぬかすな!!
白蘭様が、オレを、見捨てることなどありえん!!
絶対にない!!」
『幻騎士、お前……!
こんな状態になってるのにまだ白蘭を信じるの!?
何がお前をそうする!?』
「白蘭様は…
オレを絶望の淵から救ってくれたあの方が……
オレを死の恐怖から救ってくれたあの方が!!」
ボウッ
ーーー「感染レベル5だ…」ーーー
『!!』
これは……
幻騎士の記憶……?
ーーー「残念だがこの患者も…」ーーー
ーーー「ああ…
旅行者とは気の毒に…」ーーー
ああ…そうか……
幻騎士はこの世界軸では不治の病に分類されるウイルスに感染していたのか
それを治したのが白蘭
この世界軸では作られてないワクチンを幻騎士に使用した
まあ、そんな事されたら神と崇めるしかないよな
メキャメキャメキャ
「がっ」
『くそっ
ここで増殖のスピードをあげてくるのかよ!!』
メキャキャキャ
「ぐああああ!!!」
「おい、幻騎士!!
何だ!?
どうしたんだ!?」
「山本君!
幻騎士に一体何が起こってるんだい!?」
「身体中に草が生えてる…
殺気がねーし
…幻騎士の幻覚じゃねえ!」
「何だって!?」
『桔梗の仕業だ!
幻騎士の鎧に雲桔梗が仕込まれてる
私の力で抑えてるけど…!』
「ぐああっ」
『くそっ!!
何で!
増殖が止まらないんだよ!!』
おしゃぶりにもリングにも雨の炎を限界量を灯して注いでいるのに!!
何で!?
「白蘭様がオレを殺すはずはない!!
桔梗!!
図ったな!!」
ズキュメキャ
『っ!!』
桔梗の根が全身に…!
「残念だな桔梗!!
白蘭様は必ず、またオレを救ってくださる!!
この、幻騎士こそが白蘭様の最も忠実なる僕 !!」
『何で!!!
何で抑えられない!!』
まさか…
私の力が抑えられてる…?
「我は白蘭様と共にあり!!」
バキャッ
「がっ」
この音って茎が頭蓋を砕いて出てきた音、だよね……
「ぐ……
がは…」
『っ……』
幻騎士の左頭部と左ほほから桔梗の茎が出てきてる…
「……フッ…」
『!』
心音が…
ドッ
『!!!』
心音が止まると同時に幻騎士は木っ端みじんに消し飛んだ
「幻騎士ーーー!」
『あ……う……うぅ……』
救えなかった……
私の炎が……
七属性すべての特性を使える炎が……
雲属性の死ぬ気の炎でしか咲けないただの花に負けた……
「……幻騎士の炎反応が……
消えた…」
「!
そん…な…」
「これが……
僕達が戦っているミルフィオーレの……
白蘭サンの正体だ…」
「……勝とう
世界のためとか……
7³(トゥリニセッテ)とか虹とかいわれてもピンとこなかったけど……
白蘭が、みんなをひどい目に遭わせてるのは間違いないんだ!!」
「…綱吉君」
『……』
「よし!!
一気にたたみかけよう!!
標的 を先に倒しさえすれば勝ちなんだ!!
現在僕らと奴らは6対2!!
数的に3対1で標的と戦える僕らの方が『入江』何だい、リナさん」
『私は桔梗を殺るから標的討伐はしない』
「わ、わかったよ
だとしたら2対1で標的と戦える僕らの方が1対4で戦わなければならない敵より早く倒せる!!
しかも敵の攻撃者 である桔梗は、まだ囮に翻弄されて僕の位置を把握できていない」
まだ囮に翻弄……
演技じゃないことを願うか……
「獄寺君は守備を続行してくれ!!
綱吉君と山本君で一気に空中なら敵標的を撃破する!!」
「「「おお!!」」」
「リナさんは……」
『私は私なりのやり方で桔梗に接触する
それと私はもう通信をしないから』
「わかった」
『じゃ』
私は耳に着けた通信機を外しポケットにしまう
『さてと……
幻騎士……今からお前を殺した桔梗を殺ってくるから……
見てて』
スッ
私は幻騎士がつけていたヘルリングを左手中指に付け杖を握る
幻騎士が最期に遺してくれた桔梗への道しるべとなる桔梗の花……
これで桔梗のところに翔べる……
『ポータス 』
私は桔梗の花に呪文をかけ、桔梗の目の前に着くようにイメージする
『##RUBY#ポートキー#移動キー##』
これで道が出来た
『桔梗、必ず殺す』
私は杖をしまって桔梗の花に触れる
バシュッ
バシッ
「なっ!!!?」
桔梗は目の前に急に私が現れたことに目を見開き、驚愕の声を出した
『よお、桔梗…
お前を殺しに来たよ』
「瞬間移動ですか…
なるほど…こんな感じで出てくるのですね…
おや?あなたがつけているそのヘルリング…
その感じだと幻騎士は処分できたみたいですね」
『ああ…
白蘭が助けてくれると信じて死んだ
私は幻騎士を助けれなかった自分が許せない
でもそれ以上に私は幻騎士を殺したあんたを許せない』
私はましろの匣を開匣した
ドシュッ
出てきたましろは私の左側に立ち、桔梗を睨んでいる
『ましろ
今からこいつを閉じ込めるドームを作るから、あなたは大空の咆哮を最大出力で頼むね』
「ガウッ」
『んじゃ』
私は三叉の槍と杖を取り出し水魔法の発動と同時に幻覚で桔梗を幻覚のドームに閉じ込める
『##RUBY#アグアメンティ#水よ##』
バシャー!!
私の杖先から勢いよく水が発射され、水は私の展開している幻術の上を伝いドーム状になる
「ガオオオオオオオ!!!!」
ましろは私が作ったドームが水によって見えたと同時に大空の咆哮を当てた
ピシッ
ピシピシ…
咆哮が当たった場所から大空属性の特徴、“調和”によってビルと調和し、石化した
『よし、これで観客側は大丈夫
あとはじわじわと……』
ヴゥン……
『死への恐怖を味わってもらわないとね……』
クルクル……
タンッ
『第三の道…畜生道、発動』
私はドームの中にいる桔梗に向けてスキルを放つ
『んじゃ私は中に入って桔梗と戦ってくるから、ましろは匣に戻って体力回復してね』
「ガウ…」
パシュッ
私はましろが匣に戻ったのを確認してから移動する時に使った桔梗の花弁を取り出し…
バシュッ
桔梗のいるドームの中に移動した
「くっ!」
『おーおー……
私が召喚した毒虫をもう倒してる
さすがだね』
「召喚……
これも六道輪廻の瞳の力か……」
『ご名答
ん?そういえば幻術から抜け出してるね…?
いつの間に?』
「召喚された毒虫に刺された痛みで覚めました
解毒剤は始まる前から用意してたので大事になりませんでしたがね」
『白蘭からの情報か……』
「ハハン…
さあ、どうでしょう?」
『ムカつく』
ブスッ
私は左目に指をぶっ指した
第五の道、人間道を発動させるためだ
グチュ
「!」
グリッ
ズプッ……
『さて、と……
第2ラウンドといこうか……』
ボウッ
私は全身に人間道特有の闘気 を纏い、足には虹の炎をプラスで灯す
「瞳に灯す死ぬ気の炎…
それも六道輪廻の瞳の力ですか…」
『ご名答
んじゃ、死ぬ気で戦ってね…』
シュッ
「!!」
バキッ
「ぐっ…!」
『おっ!?
よく止めたね
んじゃ次!』
シュッ
ブンッ
ガッ
「くっ…(白蘭様から聞いてはいましたがリナ様の棒術の1撃1撃がこんなに重いとは……)」
ブンッ
ガッ
「どうやら私の考えが甘かったようですね」
ポウッ
『!!(雲の炎!)』
バッ!
「白蘭様、申し訳ありませんが、貴方様の婚約者 を倒させていただきます」
『誰が白蘭の婚約者じゃ
それにお前に倒されてたまるか
私がお前を倒す
幻騎士を殺ったのはお前だからな』
「ハハン」
シュッ
バシッ
私は桔梗が投げてきたなにかを三叉槍を使って叩き落とした
ポッ
叩き落とされた何かは芽吹き花開いた
『また雲桔梗ね…』
これも匣兵器のハズなのに開ける動作が見えなかった……
「ハハン
我々ぐらいになるとこれくらい造作もないこと」
ボウッ
「さあ…まだまだいきますよ」
シュッ
『ちっ
めんどくさい!!』
バシッ
ビシッ
シャッ
バシッ
ポポッ…
「ハハン
まだまだ」
シャッ
シャッ
『ちっ…!!』
ポポポ……
叩き落としたらそこから桔梗の花が咲くし雲の炎で増殖する
めんどくさい!!
ってことで嵐の炎で焼くか…
ボウッ
私は嵐の炎を三叉槍にコーティングした
「嵐の炎……
私の雲桔梗を焼くつもりですね
出来ますか?」
『やってみないとわかんないでしょ?』
クルクル……
ダンッ
『炎の渦 (激しく渦をまく死ぬ気の炎の中に相手を閉じ込めて攻撃する技※自分に使用することも可能で使用した際は自分の周囲にあるものに死ぬ気の炎を灯し、その属性の効果を与える)』
ゴオォォォ…
ボッ
ボッ…
私を中心に嵐の炎が激しく渦を巻き、周囲に生えていた雲桔梗を燃やし始めた
「くっ…」
『さて、これでお前の雲桔梗単体の攻撃は効かなくなった
でも、ダメ押しでもう一つ』
タンッ
『炎の領域 (自分を中心に死ぬ気の炎を地面に最大直径5㎞まで灯し、死ぬ気の炎に触れた匣兵器のみを触れた死ぬ気の炎の属性の効果によって破壊または活動を停止させたり、強化する技)』
ボオッ
地面に生えていた雲桔梗がフィールドが展開されたと同時に全て燃えた
『この空間を嵐の炎のフィールドにした
見てわかるけど、フィールドから吹き出ている死ぬ気の炎は人体には反応しないけど匣兵器には反応する
頭のいいあんたならどういうことかわかるよね?』
「匣兵器封じ、ですね…」
『そーゆーこと
人体を貫通するほどの威力がある植物の匣なんて厄介だからね』
「ハハン
でも残念」
『?』
「対策が遅かった」
ボウッ
ズキッ
『ッ!?』
右腕と右足に突然走った痛み
メキメキ…
『い゛っ!!』
「貴女様から最初に一撃をもらった時に雲桔梗の種を仕込ませて頂きました
バレやしないか心配したのですが…
余計な心配でしたね」
メキョッ
『ぐ…ぅ…』
「ああ…
安心してください
貴女様に仕込んだ雲桔梗には人を殺す能力は備わっていません
捕まえて動けなくしたあと“標的の炎”の炎を強制的に放射させて消すだけです」
ボウッ
『“標的の炎”を強制的に、ね……
“標的の炎”使った勝負になるって[ズキッ]ッ…わかってた言い分じゃん…』
「たまたま…ですよ
さて、そろそろ裏切り者のところにいかないと…
では、私はこれで…」
ボウッ
桔梗は雲のマーレリングと自身の靴に一際大きな炎を灯し、ドームの天井に向かった
メキメキ…
『ぐ…ああああ!!!!』
痛い痛い痛い…!!!!
不死だけど…痛さで死ぬ!!
雲のマーレリングに灯った死ぬ気の炎に雲桔梗が反応し増殖を始め、桔梗に触れてない左半身からも雲桔梗が芽を出した
それに“標的の炎”の出力が自分の意志に反してじわじわと上がっている
メキメキ…
『あ゛ぁ゛ぁぁ…!!』
ヤバいヤバいヤバいヤバい…!!!!
まじで…
ドガァン
『!!』
ドームが…壊された……
このままじゃ、逃げられる……
入江の所に行っちゃう……
まだ殺してないのに……!
負ける
このままじゃ……最強の赤ん坊 なんて名乗れない……
最強の魔女じゃなくなる……
ヴァリアーの名が廃る……
イヤだ
イヤだ
イヤだイヤだイヤだイヤだ…!!!!
私は…アルコバレーノだ…
この世界で最強の魔女だ…
あんなガキに…こんなオモチャに…負けるなんて、イヤだ!!
かませ犬なんかになりたくない…!!
ボウッ
全身に灯る真紅の炎
ボッ
サアアア…
一瞬で全身の雲桔梗に真紅の炎が灯り、一瞬で灰になって消えた
早く行かなきゃ…
桔梗を殺さなきゃ……
入江を助けないと……
負けたくない……
白蘭のところに行きたくない……
負けたくない……
負けるなんていやだ…!
『入江…待ってて…』
ボウッ
私は全身に灯った炎を足元に収束し、空を飛んだ
ドガァン
『!』
飛行中、右側からと通信機から聞こえた音
通信機の音声が乱れてる
『攻撃されてる…!!』
早く行かなきゃ
鍵を使ってる暇はない
試験を受けてないものは使ってはならないと決められている魔法
“姿くらまし”と“姿現わし”
失敗したら身体がバラける
でもそんな事で尻込みしていられない
昔使える魔女に聞いたことがある
この魔法を使うためには、「Destination 」「Determination 」「Deliberation 」という3Dを強く意識する必要があるって
私ならできる
入江のところへ行くんだ
入江を守るために
絶対、できる!!!!
バシッ
「フィニッシュです」
バシッ
『入江!!』
ドスッ
『か…!!!!』
え…?
「グッドタイミングです…リナ様
一輪の雲桔梗で貴女様と裏切り者を仕留めることができました」
フッ……
ヒュー…
ドシャッ
『ん…』
地面……
ああ…意識が飛んで死ぬ気の炎が消えて落ちたのか……
んで心臓が痛いのは雲桔梗に射ぬかれたから……
うわぁ…
めっちゃ血がでてる…
不死の呪いがなかったら死んでるな、これ……
でもこのままじゃあれだから止血しないと…
会場が血の海って中学生にはキツいからな…
『ゴフッ……』
ああ……
口の中が鉄の味がする……
「正一!!
リナ!!」
沢田の声がする……
『入、江…』
入江を助けないと……
私のお守りで致命傷じゃないけど……
傷を塞がなきゃ、出血多量で死んじゃう……
『入江…今、助ける…』
ズ…ズ……ッ
「お待ちください」
『な、に……』
「入江氏の標的の炎とリナ様の標的の炎を厳密にチェックいたします
その場でお待ちください」
『…だったら…
私を入江の隣に座らせろ
近くにいた方が…手っ取り早くチェック、できるでしょ……』
「……わかりました
では、お連れします」
私はチェルベッロの肩を借りて入江のところに向かった
『ありがと…』
「いえ…」
チェルベッロは私が座ったのを確認して入江の標的の炎をチェックする
「野球バカにしては…
よくやったじゃねーか」
「獄寺君
ぶじだったんだね!!」
「申し訳ありません、10代目!!」
「よかった!!
本当によかった!!」
「オレなんかより……
入江の野郎と虹の魔女が……」
「!!
……」
「標的の炎は体内の全生命エネルギーが2%以下になると消滅します
リナ様の標的の炎は3%のためバトル続行とし、入江氏の標的の炎は2%を大きく下回り下降し続けているため、消滅と認めます」
「そんな……
正一君!!
しっかりして!!
死んじゃだめだ!!」
「こちらもです」
チェルベッロの声……
「デイジー氏の標的の炎も消滅と認めます」
ああ…もう一人の審判の声は会場に隠されてるスピーカーから聞こえているのか
入江とデイジーはこのままいけば引き分け
でもミルフィオーレのことだ……
何かするに違いない
だから早めに入江を助けないと……
『大丈夫…入江は死なない…』
「え?」
『入江にはお守りを持たせてるから…アクシオ 』
私は左手を前に出して呪文を唱える
ガサゴソと入江の上着の右ポケットが動き…
ヒュッと私が渡した炎の水晶がでてきた
パシッ
『いくよ…』
バキッ
私は今出せる力でおもいっきり炎の水晶を握りつぶし、欠片を入江にかける
ブワァッ
入江の身体に触れた欠片から虹色の炎が吹き出し、入江を包み込んだ
『これで、大丈夫……
虹の炎が治療して…体力も回復して、くれる……』
「あ、ありがとう!
リナさん!!」
『どう、いたしまして……』
ドサッ
「リナさん!?」
『ハハ…血、出しすぎた……』
「!!
リナの標的の炎に変化がありましたので訂正します
リナの標的の炎が2%を下回ったことを確認しましたので消滅とします」
「な!?」
「こちらも訂正いたします
先ほどデイジー氏の標的の炎が消滅と報告しましたが、発火を確認しました」
「デイジーは“不死身の肉体 ”を有していましてね
死ねないのが悩みだという、変わった男なのです」
「!!」
デイジーが不死身……?
私と同じ呪いを持ってるのか?
いや、私をこの身体にしたあいつは何も言ってなかった
それにデイジーに初めてあった時、魔力も呪いの波動も感じなかった……
「おわかりいただけましたか?
これが真7弔花の真の力 なのです」
真7弔花の真の力、ね……
どこが?って言いたいけど……
心に秘めておこう……
「これにより、チョイスバトルの勝者が決まりました
勝者は……ミルフィオーレファミリーです!!」
チェルベッロは私達の心に敗北という事実が突き刺さるように声高々に宣言した
「こんなことされるのはイヤかもしれないが許してくれ」
『は?
ってか、ナッツは?
これ、なに?』
「これはナッツが……
ボンゴレが独自に改造した匣兵器で、その武器は初代ボンゴレファミリーのものになる」
『なるほどね……
ってことは……』
「ああ……」
『すべてに染まりつつ、すべてを飲み込み、包容する大空…と謂われた初代ボンゴレの……』
「
バサァッとマントを広げる沢田
するとバラバラ…と大量の石化したウミヘビが落下していく
『うわ…こんなに刺さってたのか……
ありがとう、沢田とナッツ』
ってか……沢田のマント姿……
マジで初代そっくりだわ……
「ああ」
「ガウッ」
「次はオレの番だ」
ボウッと炎を両手に灯しトリカブトに向かう沢田
『助けてくれたお礼だ
私は沢田とナッツに向けて魔法をかける
「!
ありがとう、リナ」
「哀しき者達よ」
「『お前がな』」
ビチッと魚が泳ぐように動くトリカブト
彼にとても失礼になるがとても気持ち悪い
しかも気のせいかもしれないが、トリカブトの面の牙が伸びている気がする
ガチッ
ダンッ
トリカブトに軽く接触した沢田はビルの側面に着地し、トリカブトの後ろを取る
ドウッ
ガキッ
沢田の左手の手刀がトリカブトのうなじに入る
「怪物ならば」
キュオオ
お、右手の炎圧上がってる
「加減はなしだ」
ボギャッ
うわっ……すげぇ音…
ドッ
ズボッ
ドオン
沢田に後頭部をぶん殴られたトリカブトはビルを貫通し、地面に叩きつけられた
「ボンゴレ、虹と交戦中の敵の炎反応消滅」
「よくやった、綱吉君!
リナさん!」
「だが、標的を倒さなければ勝利とはならないんだな」
『ああ』
「うん」
「そのとおりです
標的ルールでは、先に敵の
入江正一氏もリナ様もデイジー氏も健在なのでバトル続行です」
「このまま空中から敵の標的に向かう」
「それはダメだ!!」
『沢田、お前はやめておけ』
「!」
「敵が二人以上残っている限り、はさみうちにされる危険がある
炎を消してバイクで向かうんだ!」
『入江の言うとおりだね
このチョイスに使われているレーダーは死ぬ気の炎を検知してモニターに表示されるタイプだから、今の私みたいに炎を出していたら敵に居場所がバレる
でも、お前らは戦闘の時だけ炎を灯すタイプだから、炎を灯さないうちは敵にバレることはない
つまり、奇襲することが出来るんだ
移動もバイクがあるんだしね』
「……わかった」
『んじゃ私はこのまま空中から囮になりつつ、桔梗を叩きに行くわ
もう1人の霧の術師のところに行きたいけど距離があるからね……
お前らに任せるわ』
「ああ、わかった」
『んじゃ、よろしくー』
私はそう沢田に言って桔梗を追った
『入江、今の桔梗の位置は?』
「そこから東南東に2㎞先にいる
僕の
『了解』
囮に翻弄されてる、ね……
何かあるな……
警戒した方がいいかもね……
『ましろ、しばらく移動するから君は匣に戻って休憩ね』
私はポーチから蓋の開いた匣を取り出す
「ガウ…」
『ここに来てから大技連発してるでしょ?
休憩は大事だよ
ピンチになったら君を出すから、その時はよろしくね』
「…ガウ!」
『ありがとう』
シュンッ
カチッ
私はましろが匣に戻ったのを確認して再びポーチにしまう
『さてと…待ってろよ、桔梗!!』
私は入江が言っていた場所に向かう
「幻騎士!!」
突然耳に入った山本の通信
『え!?』
今、幻騎士って聞こえた……
幻騎士は沢田に倒されたんじゃ……?
でも、さっきの山本の声からしたら……
本物……
倒されてなかった……
だとしたら、聞けるかも知れない
何でジッリョネロが白蘭のファミリーと合併したのか……
『悪い、入江……
幻騎士の場所、わかる?』
「え?
幻騎士はそこから北東の方角、距離3㎞の場所にいるよ
幻騎士がどうかしたのかい?」
『私、あいつに聞きたいことがあってさ……
今から会いに行く』
「えっ!?」
『ああ……桔梗のことは大丈夫
足止めするから』
「足止め?
そんな事、出来るのかい?」
『もちろん
私は魔女でアルコバレーノで術者だからね』
「……わかった
なら、終わり次第出来るだけ早くこちらに向かってくれ」
『了解
んじゃ今から始めるから話しかけないでね』
「わかった」
『んじゃ、始めますか……』
まずは私の虹の炎を入れるケースを作る
形は……おしゃぶりでいいか
ボンッ
次に出来たケースに標的の炎から出ている炎を少し移す
最後に……
『
カチカチッ
ドシュッ
『
匣から出した虹狐に私が作ったおしゃぶりを首にかける
『よし……
これで準備完了
君たち』
「「?」」
『今から桔梗って奴の足止めをしてほしいんだ
私は用事があってしばらく君たちのそばにはいられない
だから、君たちの判断で攻撃や防御をして欲しい
炎については安心して
君たちの首に下げているおしゃぶりが炎を供給してくれるから』
「キューン?(桔梗って?)」
「キューン…(誰だよ…)」
『あ、ごめんよ…
これが桔梗だよ』
私は二匹の狐に桔梗の写真を見せる
「キューン(ふーん)」
「クーン(なるほどね)」
『わかったかな?
桔梗はこの方角の先にいるから、お願いね?
私は終わり次第すぐ飛んで来るから』
「「ワン!(わかった!)」」
『それじゃ……行ってらっしゃい!!』
ドンッ
私の号令で二匹は桔梗がいる東南東の方角に向かって走っていった
私は二匹を見送ってから幻騎士のいる場所に向かう
『いた…!
幻騎士!!』
あの姿は……匣兵器を装備してるな……
山本ももうボンゴレ匣を開匣してるし……
『その戦い、ちょっと待ったー!!』
「!?」
「な…!?」
スタッ
シュンッ
私は幻騎士と山本の間に降り立ち、箒をキーホルダーサイズに縮める
『幻騎士!
私はお前に聞きたいことがある!!
何でジッリョネロが白蘭のファミリーと合併したのか!
何でジッリョネロの幹部だったお前が白蘭の命令に従っているのか!!
私が納得できるように説明しろ!』
「キサマは……アリアと一緒に話をしていたガキ……
ボンゴレの人間だったのか……
ボンゴレに話すことはない!!!
戦いの邪魔をするな!!!」
ザンッ
霧属性の斬撃……
だったら……
『
ドンッ
『邪魔をしたのは悪かった!
でも、説明してくれてもいいだろーが!!
それにお前!
自分のファミリーのボスのことを呼び捨てにするなんて…!
昔はそんな呼び方してなかっただろーが!!』
「黙れ!!
これ以上邪魔をするならお前もたたっきる!!」
『あーそうかい!
だったら私もお前をぶっ飛ばす!
そのあとに説明してもらおうじゃないか!!
山本!加勢してやる!』
「え…?」
『安心しろ
これでも私は剣術を使える
幻騎士にリベンジするお前の邪魔はしない
同じ剣士に教えてもらったからね
それに、リング争奪戦でお前の刀の型は理解している』
「そっか……
なら、頼んだぜ」
『ああ』
チャキッ
私はローブからナイフを取り出し構える
「魔女のクセに…剣術をかじった程度でこのオレをぶっ飛ばす…だと…?
図にのるな!」
ビュッ
『術で隠してるんだろうが…
私には見えてるんだよ!!
山本!!
霧の匣兵器の攻撃だ!』
「ああ…!」
チャッ
ボッ
山本は刀身のついていない柄と鍔だけの武器を握り炎を灯し、後ろに飛んで逃げる
『へぇ…沢田と同じ原理で飛べるのか…
やるじゃん』
「くっ」
『よそ見、してんじゃねーよ!
幻騎士!!!』
ダンッ
ビュッ
「ちっ」
ガキッ
『私もいるってこと忘れんな
山本だけに集中してたら痛い目見るぞ』
「くそっ!」
ブンッ
『うわっ
やっぱり大人は違うね…
私を押し退けるなんてね』
「っ!」
ギャキィン
『でもそのせいで次の反応が遅れた』
山本の一撃を間一髪で受け止める幻騎士
ブシャッ
「!!」
だが、受け止め切れなかった斬撃が幻騎士の顔を襲った
「(この男……!)」
カッ
『「!!」』
私と山本を覆うように地面から蔦が伸びる
また匣兵器の幻術か……!
めんどくせぇ!
しかも一匹じゃないからなおさらたちが悪い!
燃やすか?
でも燃やしたら山本のリベンジにならないからなぁ
だったら……
降ってくる
『山本、幻騎士の匣兵器は私に任せてお前は本体を叩け
リベンジの相手だろ』
「……サンキュ」
ヒュヒュヒュ…
バッ
『くらえ!スクアーロ直伝、
ガガガガ……!!!
『くっ……
的が小さい分掠りやすい…!
くそ…これだったら爆破した方が速いな……』
山本は……
ガキィ
幻騎士と一緒に外にでたな…
『んじゃ……』
スッ
私は左手で杖を取り出し構える
『
ドガァン!!!
『おお……
久しぶりに使ってみたけど……すげぇ威力……ってそんなこといってる場合じゃなかった
さっさと出ないとね……』
私は走って外に出た
『ん?
雨?』
幻騎士の頭上にだけ降り注ぐ雨
空をよく見てみると、一匹の
『……あーなるほどね』
雨属性の炎の特徴は“鎮静”
鎮静の炎を浴びた幻海牛の活動は鈍くなり遅くなる
通常の速さの幻覚と鈍化していく幻覚が合わさったらズレができる
術者対策がよくできてる
「言っとっけど、こっからだぜ
オレ達の本気は」
『!』
山本の奴…リング争奪戦の時よりも剣への覚悟ができてる
やっぱりスクアーロだな……
剣士だから新米剣士に剣への覚悟を教えることができた……
山本武は野球を大切にしてたけど剣か野球かどちらを選ぶかを試されたはず……
そこで剣を選んだ
そういや二択を迫られ、剣を選ぶってやつは初代の雨の守護者と同じだな……
初代雨の剣は世紀無双と言われ、その才能は誰もが認めるところだった
でも彼は何よりも音楽を愛し、自分の剣を一本も持たなかった
だがある時、異国の友であったボンゴレ
友のために、全てを捨てることをいとわなかった彼に……
彼の武器は3本の小刀と1本の長刀だったから山本のボンゴレ匣は……
「小次郎、
小次郎と呼ばれた雨燕はまっすぐ山本の長刀…時雨金時に向かって飛び、合体した
『やっぱり、そうくるか……』
形態変化の終わった山本の武器は…
全てを洗い流す恵みの村雨と謳われた
朝利雨月の変則四刀
山本が武器を朝利雨月の変則四刀に変えてすぐ、幻騎士がヘルリングを使って変身した
幻騎士の肉体は骨だけになった
不気味だ
フランもヘルリングを持っていたが、こんな使い方があるとは思わなかった
それから幻騎士はなぜ自分が霧の真7弔花ではないのか
何で自分が部下なのか等愚痴り出した
『幻騎士のやつ……
理性を失ってる……』
これがヘルリングの代償か……
私には扱えないな……
『幻騎士!
お前ほどの人間がなぜ沢田綱吉に負けた!?』
「沢田綱吉
沢田綱吉に負けたのはオレの実力ではない!!
あの時は、奴の
『なるほどね……』
だとしたら幻騎士が負けた理由に納得がいくわ……
沢田の瞳は……アリアやルーチェと同じ覚悟の瞳だから……
気圧されたんだ
『だとしたら今のお前が本気ってことか』
「そうこなくっちゃ、面白くねーって」
「グヌウゥ
減らず口の青二才が!!」
まだ中学生だからね
「剣撃と幻海牛の二重攻撃を喰らえ!!」
ゴアアアっと幻騎士の背後に広がる幻海牛
「ハアァア!!」
「次郎は隠れてろ」
「ワンッ」
山本の言葉に従って匣に戻る
日本犬をモデルにしてるからか主人に従順だ
「
ドギャギャギャ
『大量の斬撃と幻海牛の幻覚ミサイルの合わせ技か……
私の敵じゃないな…』
私は杖を取り出し、杖先を幻騎士の技に向ける
『
カッと杖先が光ったと同時に私に当たるはずだった斬撃と幻海牛の動きが停止した
「魔女が!!
調子にのるな!!」
ズババババ
『だーかーらー』
「リナ
わりぃがここはオレにやらせてくれ」
『……はいよ
お前の
「ああ」
コオオ……
「時雨蒼燕流、守式四の型…」
ピシャッ
「
へぇ……この大量の斬撃と幻覚のミサイルの中をボンゴレ匣の推進力を使って超高速でかわしてる……
やるじゃん、山本
「甘いわ!!
更に10倍だ!!!」
そう言って幻騎士は10人に分裂し
「ドリャリャリャリャリャリャ!!」
全員が斬撃と幻覚ミサイルの攻撃を放った
「
幻騎士の放った技は幻騎士を中心に円形に広がり、巨大な炎エネルギーの塊になった
『へぇ…やるじゃん
でも…数を増やせばいいってことじゃないんだよ……
なんで気が付かない……』
やっぱりヘルリングのせいだろうか……
ヘルリングに精神を喰われ続けて思考をやられたのだろうか……
哀しいな……
『幻騎士…』
「……
時雨蒼燕流、総集奥義」
『総集…すべてのまとめ、か……』
「
カッと青色の光が幻騎士の技をつつみこみ、光が収まると攻撃が停止に近づいていた
「なに!?」
これには幻騎士も驚きを隠せなかったようだ
「おのれ
小癪な!!
あのガキ、どこへ消えやがった!!」
自分が出した剣撃の中では剣撃が邪魔で雨の守護者を探しにくいのだろう
幻騎士は分裂するのをやめてパワーを戻した
「たしかに、オレはあんたに一回負けた」
「!」
「だがそれは、オレの未熟さのせいで、親父のくれた時雨蒼燕流はいつだって」
コオォォ…
「完全無欠、最強無敵だ!!!」
山本は匣兵器の推進力を使って幻騎士との距離をつめる
幻騎士は自分の剣撃からつたってくる雨の炎を浴びて動きが鈍化
「時雨蒼燕流、攻式八の型…篠突く雨(相手の懐に飛び込み鋭い斬撃で突き上げる技)」
ザンッ
幻騎士は武器を構えるひまもなく真正面からまともに受け、ヘルリングの力が解除された
「ヒュ~
おつかれ、小次郎」
山本は匣アニマルの武器化モードを解除して空中に停滞する
「山本…勝ったんだね!」
「へっ」
『おつかれ、山本』
「なぜだ」
「!」
「ボンゴレといい、貴様といい…
なぜ、トドメをささない……」
落下した衝撃と力を使いすぎたせいか、幻騎士はうつぶせのままでその場を動かない
「オレ達は人殺しじゃねーからな」
「…………」
まあ…沢田達はつい最近までマフィアを知らない普通の中学生だったからな……
「後悔、するな……
おれば白蘭様のために、いずれ必ず目的は遂行する」
「ああ
望むところだ」
『幻騎士…お前が持ってる霧の呪いのリングを私に渡せ』
「な、んだと…」
『私はヘルリングの力に頼って狂っていくお前を見たくないだけ
それにお前はヘルリングの力を使っても本来の力を使えず弱体化するだけだ
戦闘スタイルにあってないものを使っても意味ないだろ』
「……
!
桔梗か…」
『桔梗…?』
このタイミングで通信…?
「当然のこと…
白蘭様は全てを見通しておられる
だからこそオレに奇跡をお与えになった
誰よりもオレを奇跡に値する人間として信頼して織られるのだ」
『奇跡、ね……
だから白蘭に忠誠を誓ってたのか……』
パキッ
『!!』
突然幻騎士の鎧から何かが芽吹いた
そしてそれは葉を広げ雲属性の炎を灯した
『この葉の形…桔梗の葉!?』
雲属性の炎は増殖の力がある…
まさか……!!
『幻騎士!
今すぐその鎧を外せ!
お前の鎧に雲の炎で増殖する
お前、消されるぞ!!』
「嘘をつくな
桔梗」
『幻騎士!』
桔梗との通信に意識を集中しているのか私の声が幻騎士に届いていない
『くそ!!』
だとしたら雨の鎮静で増殖を抑えて魔法を使って鎧を破壊するしかない
ボウッ
『幻騎士、今助けるから!!』
「ありえん!!
白蘭様がオレを消すはずがない!!
白蘭様と話がしたい!!
通信をつなげ!!」
バキバキ…
「それはなりません
チョイスバトル参加戦士と観覧者の通信は禁止されています」
パキッ
『鎮静の炎が追い付かない…!
チェルベッロ!
幻騎士をこのバトルから今すぐ外させて!
このままじゃ…!』
「それもできません
チョイスで選ばれた戦士は戦闘で死ぬかチョイスの勝敗が決まるまで離脱することはできないルールとなっています」
『は!?』
「戯れ言をぬかすな!!
白蘭様が、オレを、見捨てることなどありえん!!
絶対にない!!」
『幻騎士、お前……!
こんな状態になってるのにまだ白蘭を信じるの!?
何がお前をそうする!?』
「白蘭様は…
オレを絶望の淵から救ってくれたあの方が……
オレを死の恐怖から救ってくれたあの方が!!」
ボウッ
ーーー「感染レベル5だ…」ーーー
『!!』
これは……
幻騎士の記憶……?
ーーー「残念だがこの患者も…」ーーー
ーーー「ああ…
旅行者とは気の毒に…」ーーー
ああ…そうか……
幻騎士はこの世界軸では不治の病に分類されるウイルスに感染していたのか
それを治したのが白蘭
この世界軸では作られてないワクチンを幻騎士に使用した
まあ、そんな事されたら神と崇めるしかないよな
メキャメキャメキャ
「がっ」
『くそっ
ここで増殖のスピードをあげてくるのかよ!!』
メキャキャキャ
「ぐああああ!!!」
「おい、幻騎士!!
何だ!?
どうしたんだ!?」
「山本君!
幻騎士に一体何が起こってるんだい!?」
「身体中に草が生えてる…
殺気がねーし
…幻騎士の幻覚じゃねえ!」
「何だって!?」
『桔梗の仕業だ!
幻騎士の鎧に雲桔梗が仕込まれてる
私の力で抑えてるけど…!』
「ぐああっ」
『くそっ!!
何で!
増殖が止まらないんだよ!!』
おしゃぶりにもリングにも雨の炎を限界量を灯して注いでいるのに!!
何で!?
「白蘭様がオレを殺すはずはない!!
桔梗!!
図ったな!!」
ズキュメキャ
『っ!!』
桔梗の根が全身に…!
「残念だな桔梗!!
白蘭様は必ず、またオレを救ってくださる!!
この、幻騎士こそが白蘭様の最も忠実なる
『何で!!!
何で抑えられない!!』
まさか…
私の力が抑えられてる…?
「我は白蘭様と共にあり!!」
バキャッ
「がっ」
この音って茎が頭蓋を砕いて出てきた音、だよね……
「ぐ……
がは…」
『っ……』
幻騎士の左頭部と左ほほから桔梗の茎が出てきてる…
「……フッ…」
『!』
心音が…
ドッ
『!!!』
心音が止まると同時に幻騎士は木っ端みじんに消し飛んだ
「幻騎士ーーー!」
『あ……う……うぅ……』
救えなかった……
私の炎が……
七属性すべての特性を使える炎が……
雲属性の死ぬ気の炎でしか咲けないただの花に負けた……
「……幻騎士の炎反応が……
消えた…」
「!
そん…な…」
「これが……
僕達が戦っているミルフィオーレの……
白蘭サンの正体だ…」
「……勝とう
世界のためとか……
7³(トゥリニセッテ)とか虹とかいわれてもピンとこなかったけど……
白蘭が、みんなをひどい目に遭わせてるのは間違いないんだ!!」
「…綱吉君」
『……』
「よし!!
一気にたたみかけよう!!
現在僕らと奴らは6対2!!
数的に3対1で標的と戦える僕らの方が『入江』何だい、リナさん」
『私は桔梗を殺るから標的討伐はしない』
「わ、わかったよ
だとしたら2対1で標的と戦える僕らの方が1対4で戦わなければならない敵より早く倒せる!!
しかも敵の
まだ囮に翻弄……
演技じゃないことを願うか……
「獄寺君は守備を続行してくれ!!
綱吉君と山本君で一気に空中なら敵標的を撃破する!!」
「「「おお!!」」」
「リナさんは……」
『私は私なりのやり方で桔梗に接触する
それと私はもう通信をしないから』
「わかった」
『じゃ』
私は耳に着けた通信機を外しポケットにしまう
『さてと……
幻騎士……今からお前を殺した桔梗を殺ってくるから……
見てて』
スッ
私は幻騎士がつけていたヘルリングを左手中指に付け杖を握る
幻騎士が最期に遺してくれた桔梗への道しるべとなる桔梗の花……
これで桔梗のところに翔べる……
『
私は桔梗の花に呪文をかけ、桔梗の目の前に着くようにイメージする
『##RUBY#ポートキー#移動キー##』
これで道が出来た
『桔梗、必ず殺す』
私は杖をしまって桔梗の花に触れる
バシュッ
バシッ
「なっ!!!?」
桔梗は目の前に急に私が現れたことに目を見開き、驚愕の声を出した
『よお、桔梗…
お前を殺しに来たよ』
「瞬間移動ですか…
なるほど…こんな感じで出てくるのですね…
おや?あなたがつけているそのヘルリング…
その感じだと幻騎士は処分できたみたいですね」
『ああ…
白蘭が助けてくれると信じて死んだ
私は幻騎士を助けれなかった自分が許せない
でもそれ以上に私は幻騎士を殺したあんたを許せない』
私はましろの匣を開匣した
ドシュッ
出てきたましろは私の左側に立ち、桔梗を睨んでいる
『ましろ
今からこいつを閉じ込めるドームを作るから、あなたは大空の咆哮を最大出力で頼むね』
「ガウッ」
『んじゃ』
私は三叉の槍と杖を取り出し水魔法の発動と同時に幻覚で桔梗を幻覚のドームに閉じ込める
『##RUBY#アグアメンティ#水よ##』
バシャー!!
私の杖先から勢いよく水が発射され、水は私の展開している幻術の上を伝いドーム状になる
「ガオオオオオオオ!!!!」
ましろは私が作ったドームが水によって見えたと同時に大空の咆哮を当てた
ピシッ
ピシピシ…
咆哮が当たった場所から大空属性の特徴、“調和”によってビルと調和し、石化した
『よし、これで観客側は大丈夫
あとはじわじわと……』
ヴゥン……
『死への恐怖を味わってもらわないとね……』
クルクル……
タンッ
『第三の道…畜生道、発動』
私はドームの中にいる桔梗に向けてスキルを放つ
『んじゃ私は中に入って桔梗と戦ってくるから、ましろは匣に戻って体力回復してね』
「ガウ…」
パシュッ
私はましろが匣に戻ったのを確認してから移動する時に使った桔梗の花弁を取り出し…
バシュッ
桔梗のいるドームの中に移動した
「くっ!」
『おーおー……
私が召喚した毒虫をもう倒してる
さすがだね』
「召喚……
これも六道輪廻の瞳の力か……」
『ご名答
ん?そういえば幻術から抜け出してるね…?
いつの間に?』
「召喚された毒虫に刺された痛みで覚めました
解毒剤は始まる前から用意してたので大事になりませんでしたがね」
『白蘭からの情報か……』
「ハハン…
さあ、どうでしょう?」
『ムカつく』
ブスッ
私は左目に指をぶっ指した
第五の道、人間道を発動させるためだ
グチュ
「!」
グリッ
ズプッ……
『さて、と……
第2ラウンドといこうか……』
ボウッ
私は全身に人間道特有の
「瞳に灯す死ぬ気の炎…
それも六道輪廻の瞳の力ですか…」
『ご名答
んじゃ、死ぬ気で戦ってね…』
シュッ
「!!」
バキッ
「ぐっ…!」
『おっ!?
よく止めたね
んじゃ次!』
シュッ
ブンッ
ガッ
「くっ…(白蘭様から聞いてはいましたがリナ様の棒術の1撃1撃がこんなに重いとは……)」
ブンッ
ガッ
「どうやら私の考えが甘かったようですね」
ポウッ
『!!(雲の炎!)』
バッ!
「白蘭様、申し訳ありませんが、貴方様の
『誰が白蘭の婚約者じゃ
それにお前に倒されてたまるか
私がお前を倒す
幻騎士を殺ったのはお前だからな』
「ハハン」
シュッ
バシッ
私は桔梗が投げてきたなにかを三叉槍を使って叩き落とした
ポッ
叩き落とされた何かは芽吹き花開いた
『また雲桔梗ね…』
これも匣兵器のハズなのに開ける動作が見えなかった……
「ハハン
我々ぐらいになるとこれくらい造作もないこと」
ボウッ
「さあ…まだまだいきますよ」
シュッ
『ちっ
めんどくさい!!』
バシッ
ビシッ
シャッ
バシッ
ポポッ…
「ハハン
まだまだ」
シャッ
シャッ
『ちっ…!!』
ポポポ……
叩き落としたらそこから桔梗の花が咲くし雲の炎で増殖する
めんどくさい!!
ってことで嵐の炎で焼くか…
ボウッ
私は嵐の炎を三叉槍にコーティングした
「嵐の炎……
私の雲桔梗を焼くつもりですね
出来ますか?」
『やってみないとわかんないでしょ?』
クルクル……
ダンッ
『
ゴオォォォ…
ボッ
ボッ…
私を中心に嵐の炎が激しく渦を巻き、周囲に生えていた雲桔梗を燃やし始めた
「くっ…」
『さて、これでお前の雲桔梗単体の攻撃は効かなくなった
でも、ダメ押しでもう一つ』
タンッ
『
ボオッ
地面に生えていた雲桔梗がフィールドが展開されたと同時に全て燃えた
『この空間を嵐の炎のフィールドにした
見てわかるけど、フィールドから吹き出ている死ぬ気の炎は人体には反応しないけど匣兵器には反応する
頭のいいあんたならどういうことかわかるよね?』
「匣兵器封じ、ですね…」
『そーゆーこと
人体を貫通するほどの威力がある植物の匣なんて厄介だからね』
「ハハン
でも残念」
『?』
「対策が遅かった」
ボウッ
ズキッ
『ッ!?』
右腕と右足に突然走った痛み
メキメキ…
『い゛っ!!』
「貴女様から最初に一撃をもらった時に雲桔梗の種を仕込ませて頂きました
バレやしないか心配したのですが…
余計な心配でしたね」
メキョッ
『ぐ…ぅ…』
「ああ…
安心してください
貴女様に仕込んだ雲桔梗には人を殺す能力は備わっていません
捕まえて動けなくしたあと“標的の炎”の炎を強制的に放射させて消すだけです」
ボウッ
『“標的の炎”を強制的に、ね……
“標的の炎”使った勝負になるって[ズキッ]ッ…わかってた言い分じゃん…』
「たまたま…ですよ
さて、そろそろ裏切り者のところにいかないと…
では、私はこれで…」
ボウッ
桔梗は雲のマーレリングと自身の靴に一際大きな炎を灯し、ドームの天井に向かった
メキメキ…
『ぐ…ああああ!!!!』
痛い痛い痛い…!!!!
不死だけど…痛さで死ぬ!!
雲のマーレリングに灯った死ぬ気の炎に雲桔梗が反応し増殖を始め、桔梗に触れてない左半身からも雲桔梗が芽を出した
それに“標的の炎”の出力が自分の意志に反してじわじわと上がっている
メキメキ…
『あ゛ぁ゛ぁぁ…!!』
ヤバいヤバいヤバいヤバい…!!!!
まじで…
ドガァン
『!!』
ドームが…壊された……
このままじゃ、逃げられる……
入江の所に行っちゃう……
まだ殺してないのに……!
負ける
このままじゃ……
最強の魔女じゃなくなる……
ヴァリアーの名が廃る……
イヤだ
イヤだ
イヤだイヤだイヤだイヤだ…!!!!
私は…アルコバレーノだ…
この世界で最強の魔女だ…
あんなガキに…こんなオモチャに…負けるなんて、イヤだ!!
かませ犬なんかになりたくない…!!
ボウッ
全身に灯る真紅の炎
ボッ
サアアア…
一瞬で全身の雲桔梗に真紅の炎が灯り、一瞬で灰になって消えた
早く行かなきゃ…
桔梗を殺さなきゃ……
入江を助けないと……
負けたくない……
白蘭のところに行きたくない……
負けたくない……
負けるなんていやだ…!
『入江…待ってて…』
ボウッ
私は全身に灯った炎を足元に収束し、空を飛んだ
ドガァン
『!』
飛行中、右側からと通信機から聞こえた音
通信機の音声が乱れてる
『攻撃されてる…!!』
早く行かなきゃ
鍵を使ってる暇はない
試験を受けてないものは使ってはならないと決められている魔法
“姿くらまし”と“姿現わし”
失敗したら身体がバラける
でもそんな事で尻込みしていられない
昔使える魔女に聞いたことがある
この魔法を使うためには、「
私ならできる
入江のところへ行くんだ
入江を守るために
絶対、できる!!!!
バシッ
「フィニッシュです」
バシッ
『入江!!』
ドスッ
『か…!!!!』
え…?
「グッドタイミングです…リナ様
一輪の雲桔梗で貴女様と裏切り者を仕留めることができました」
フッ……
ヒュー…
ドシャッ
『ん…』
地面……
ああ…意識が飛んで死ぬ気の炎が消えて落ちたのか……
んで心臓が痛いのは雲桔梗に射ぬかれたから……
うわぁ…
めっちゃ血がでてる…
不死の呪いがなかったら死んでるな、これ……
でもこのままじゃあれだから止血しないと…
会場が血の海って中学生にはキツいからな…
『ゴフッ……』
ああ……
口の中が鉄の味がする……
「正一!!
リナ!!」
沢田の声がする……
『入、江…』
入江を助けないと……
私のお守りで致命傷じゃないけど……
傷を塞がなきゃ、出血多量で死んじゃう……
『入江…今、助ける…』
ズ…ズ……ッ
「お待ちください」
『な、に……』
「入江氏の標的の炎とリナ様の標的の炎を厳密にチェックいたします
その場でお待ちください」
『…だったら…
私を入江の隣に座らせろ
近くにいた方が…手っ取り早くチェック、できるでしょ……』
「……わかりました
では、お連れします」
私はチェルベッロの肩を借りて入江のところに向かった
『ありがと…』
「いえ…」
チェルベッロは私が座ったのを確認して入江の標的の炎をチェックする
「野球バカにしては…
よくやったじゃねーか」
「獄寺君
ぶじだったんだね!!」
「申し訳ありません、10代目!!」
「よかった!!
本当によかった!!」
「オレなんかより……
入江の野郎と虹の魔女が……」
「!!
……」
「標的の炎は体内の全生命エネルギーが2%以下になると消滅します
リナ様の標的の炎は3%のためバトル続行とし、入江氏の標的の炎は2%を大きく下回り下降し続けているため、消滅と認めます」
「そんな……
正一君!!
しっかりして!!
死んじゃだめだ!!」
「こちらもです」
チェルベッロの声……
「デイジー氏の標的の炎も消滅と認めます」
ああ…もう一人の審判の声は会場に隠されてるスピーカーから聞こえているのか
入江とデイジーはこのままいけば
でもミルフィオーレのことだ……
何かするに違いない
だから早めに入江を助けないと……
『大丈夫…入江は死なない…』
「え?」
『入江にはお守りを持たせてるから…
私は左手を前に出して呪文を唱える
ガサゴソと入江の上着の右ポケットが動き…
ヒュッと私が渡した炎の水晶がでてきた
パシッ
『いくよ…』
バキッ
私は今出せる力でおもいっきり炎の水晶を握りつぶし、欠片を入江にかける
ブワァッ
入江の身体に触れた欠片から虹色の炎が吹き出し、入江を包み込んだ
『これで、大丈夫……
虹の炎が治療して…体力も回復して、くれる……』
「あ、ありがとう!
リナさん!!」
『どう、いたしまして……』
ドサッ
「リナさん!?」
『ハハ…血、出しすぎた……』
「!!
リナの標的の炎に変化がありましたので訂正します
リナの標的の炎が2%を下回ったことを確認しましたので消滅とします」
「な!?」
「こちらも訂正いたします
先ほどデイジー氏の標的の炎が消滅と報告しましたが、発火を確認しました」
「デイジーは“
死ねないのが悩みだという、変わった男なのです」
「!!」
デイジーが不死身……?
私と同じ呪いを持ってるのか?
いや、私をこの身体にしたあいつは何も言ってなかった
それにデイジーに初めてあった時、魔力も呪いの波動も感じなかった……
「おわかりいただけましたか?
これが真7弔花の
真7弔花の真の力、ね……
どこが?って言いたいけど……
心に秘めておこう……
「これにより、チョイスバトルの勝者が決まりました
勝者は……ミルフィオーレファミリーです!!」
チェルベッロは私達の心に敗北という事実が突き刺さるように声高々に宣言した