主人公は女性です
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グラウンド
『兄様!!』
ガッ
私が着いた時には兄様は沢田の手を掴んでいた
カッ
『くっ』
一瞬のまぶしい光とゴオオオオオ……という音
そして視界を遮る煙
『兄様!?』
私はXANXAS 兄様がいたであろう場所に向かう
『いた!
兄様!!』
兄様はその場所に立っていた
『よかった、兄様!!』
「リナ」
『!!
兄様……手が……』
私は気付いた
「そんな
バカな……」
兄様も気付いた
兄様の両手が凍らされていることに……
「こんなことが!!」
この現象……
見たことがある……
あの日……『ゆりかご』の日……
私は凍った兄様を見た
まさか、これが……原因だったなんて……
「なぜだ!!
ありえん!!
お前みてぇなカスにボンゴレの奥義など…!!」
「そのキズ……
お前が前にも全身に零 地点突破を受けた証拠」
零地点突破とは…初代ボンゴレが編み出した技
死ぬ気の炎とは逆の冷気で死ぬ気の炎を封じる技
まさか沢田が初代の技を使うなんて……
「もう、お前の拳に炎が灯されることはない……
お前の負けだ、XANXUS」
「ふふふ
何を言い出すかと思えば!
ふざけやがって!!」
バギャン
兄様は自分の両膝を使って両手を封じる氷を砕いた
だが、砕けるのはほんの少し
「これごときで!!」
兄様は無理やり手に憤怒の炎を灯そうとする
「無駄だ、XANXUS
これ以上やるのなら…
9代目につけられたその傷ではすまないぞ」
「だまれ!!
オレは名にX の称号を二つ持つ男、XANXUS!!!
てめーごときに屈すると思うか!!
勝つのはオレだ!!」
このままじゃ兄様はまた封印される
何とかして沢田の零地点突破を止めなければ……!
『沢田!!』
私は今にも沢田に殴りかかろうとする兄様の前に立った
「リナ!!
邪魔するな!!」
『兄様!!
あなたはまず両手の封印を解くのが先です!!
沢田!
これ以上お前の好きにはさせない
その技も使わせない!!
ボンゴレの10代目は、兄様だ!!』
ダッ!!
ガッ
「くっ……」
『私は認めない!!
例えお前が……』
シャキン
私は三叉の槍を展開する
『初代の血縁だったとしても!!
うけてみろ!』
「!」
クルクル…
ダンッ!!
『火炎弾 (死ぬ気の炎を火球状にし、それを数十個作り前方に発射する技)!!』
「!」
『先に言っとく
油断したら、死ぬよ』
『爆発 (敵に当たらず地面に着弾した火炎弾を一斉に爆発させ敵にさらにダメージを与える技)!!』
ドーーーーーーン
「ぐ…!!」
私の技は沢田に直撃し周囲に爆風が立ち込める
ボッ
私は足に再び炎を灯し沢田がいる場所に向かって飛ぶ
『くらえっ!』
私は沢田がいる場所に向かって思いっきりかかと落としを決めた
ガッ
『!?』
「……捕まえた」
バキンッ
『!!』
私の耳に届く嫌な音
左足と左手の感覚がなくなっていく感じ……
『くっ!!』
バッと私は後ろに飛んでその場所を離れる
『クソっ……』
私の左足と左手は沢田の技、零地点突破で凍らされていた……
「リナ、お前の左の手足はもう使えない……
オレは貴女がXANXUSと同じ運命を辿って欲しくない……
だから……」
『……るな……』
「?」
『ふざけるな!!!』
「!」
『初代の血縁で、リボーンさんに導かれてボス候補になったお前に私の何がわかる!!
私の運命は私が決める!
私の夢の邪魔をするな!!!』
「リナ……」
『許さない……
兄様の邪魔をするお前を…!!!』
ぶちっと私は左目の眼帯を右手で外す
『私は……許さない!!』
ブスッ
私は右手を左目にぶっ指した
第五の道、人間道を発動するためだ
「!
リナ、やめろ!」
私は眼球を動かし能力 を五にする
『もう、遅い…っ』
ズリュ…ッと指を引き抜く
ゴウッ
私の体からどす黒い…ではなく虹色の闘気 が吹き出す
「な…!?」
『オーラが変わっていて驚いた?
あの日のオーラは瞳から発せられたオーラ
あの日まではおしゃぶりとの相性最悪のスキルだったから拒絶反応がでた
でも、あの日お前が浄化してくれたおかげで拒絶反応が消え、このオーラを身に付けた』
「!」
『君には感謝してるよ
でも、これは別
兄様の邪魔をするお前をこの世から消してやる』
バギャン
私は右手で左手を封じる氷を砕く
『くらえ…氷の弾 (砕いた零地点突破の氷を死ぬ気の炎でコーティングし前方に放つ)』
「(オレの技を利用した?
それに…さっきよりはやい!!
ならば……)」
シャッと沢田はグローブの炎を使って右に避ける
『甘いね』
ダッ
「!!」
バキッ
「ぐあっ!!
(は、はやい……)」
『アルコバレーノの動体視力とこのスキルをなめんじゃねぇよ
そう簡単に逃がすわけねぇだろ……?』
「ぐ…」
『本気を出せよ、沢田綱吉!』
ゴウッ
私の体からさらに吹き出すオーラ
「!!
リナ、やめろ!
これ以上やるとお前の体が…!!」
『それがどうした!
お前には関係ないだr〈僕には、ありますよ…リナ…〉!!』
頭に響く声
『骸…?』
〈ええ、そうです
リナ、貴女、両目と鼻から血が出ていることに気付いてます?〉
『え…?』
骸に言われ私は右手で鼻を拭ってその手を見る
『マジか……』
手にはベットリと血が着いていた
〈いくら浄化されたからって人間道を使いすぎです
瞳で繋がっている僕の体力も根こそぎ使うつもりですか?
それに、沢田綱吉は僕の獲物です
殺すのは遠慮してもらいたい〉
『……』
〈貴女には申し訳ありませんが僕の野望のため、ここで一端リタイアしてもらいます〉
『なっ!?』
「リナ」
『!
兄様!!もう大丈b「どけ」!』
バキッ
『!!?』
え……?
私…
殴られた……?
「XANXUS、お前……!」
『兄、様…?』
左頬が痛い……
「リナ、時間稼ぎご苦労だった
あとはオレがやる
オレの邪魔をするな」
『ですが!!』
「邪魔をするな」
『!!
……はい……』
私は深く息を吐いて人間道のスキルを解除する
兄様の目……本気 だった
今邪魔したら殺される…
でも……
「沢田綱吉……
さっきも言ったが……
ボンゴレの10代目は、このオレだ!!」
ダッと沢田のところに走る兄様
よく見たらまだ両手の封印は解けてない
『兄様……』
ボボッ
沢田の額の炎が瞬く
やる気だ……
ドス
「ぐあっ」
沢田の拳を兄様は腹部にくらい、膝をつく
「くっ」
兄様の前に立つ沢田
額に炎が灯っておらずグローブも手袋に戻っている
「いくぞ」
その言葉とともにシュウウウウ……と手袋がグローブに変化する
「零地点突破初代 エディション」
ビキビキ
「ぐおぉ!!」
沢田が触れている両腕から徐々に凍っていく兄様
ダメだ
こんな結末、許せない!!
『兄様……!!!』
ダッ
私は沢田のところに走る
「……なぜだ……
なんでお前は……」
「うるせぇ!!!!
老いぼれと同じことをほざくな!!」
「9代目と…?」
『沢田ーーー!!!!』
「リナ!?」
ガシッと私は沢田の右手を掴む
『兄様から手を離せ……』
バキッ
「リナ、やめろ
お前まで凍りつくぞ!
それにもう……!」
『うるさい……!
私はこんな結末は許さない……
お前に……ガキに兄様が封印されるなんて許さない!!!』
バキバキッ
『っ!!』
「リナ……」
『!
兄様…!』
ビキィッ
『兄、様……』
兄様は私の名前を呼んで凍りつき、私は右手から右肩までが凍結し、止まった
ボウッと額に炎を灯し超 死ぬ気モードに戻る沢田
左手には完成した大空のリング
沢田が技を止めたことにリングを見て気づいた
「もう、これが溶けることはない」
『…………』
「ハァハァ…
XANXUS…」
ガクッと沢田は膝を着いた
『沢田は…気力の限界か……
はぁ……なんでこんなガキに私たちは負けたんだろ……
ねぇ…兄様…?
ああ……封印されてるから聞こえないか……
アハハ……』
私は凍りついた兄様を見て笑う
『あ、そうか……魔法、使わなかったから負けたんだ……
そうだよね……私は魔女だから、魔法を使わないとね……?
魔法を使えば兄様をそこから出せるよね…?
待ってて、兄様……』
「……リナ」
『あ…れ?
なんで両手が凍ってるんだろ?
あ……零地点突破か……
忘れてた……
アハハハ……』
「今がチャンスね!」
どこからともなく姿を現す無傷ルッスーリアとレヴィ・ア・タン(幻覚)
『邪魔、するんじゃねぇよ……バイパー!!』
「っ!」
私の声に怯んだのかバイパーはすぐ幻覚を消した
『……何か用?
私、これから兄様を助けるんだけど……』
「ムダだ……
XANXUSは眠りについた…………」
「それはどうかな?」
「!!」
「むしろ、ボスが次期ボンゴレの後継者になるための儀式の準備がととのったのさ」
「な……?」
「ボスは再び復活する」
バイパーの手には6つの守護者のリングがあった
『回収、出来たんだ……』
「なぜ、リングを半分ずつ保管するのか…
そしてボンゴレの正統後継者にしか授与されないのかわかるかい?
それはリング自身にも秘められた力があるからさ」
秘められた力、ね……
「ボスにかけられた9代目の零地点突破が溶かされた床には7つの小さな焦げ跡とすぐそばに鎖の一欠片を溶かした跡と焦げ跡が残されていたという…
誰がやったかはさだかではないが、この形跡は一つの仮説を立てるに充分だ」
ボウッ
「思ったとおりだ」
沢田とバイパーが持つリングから炎が吹き出る
「見るがいいさ」
バイパーはリングの炎を兄様を閉じ込める氷に近づける
ジュウ…
『マジか…』
リングの炎に触れた氷は徐々に溶け始めた
兄様の近くにいた私もリングの炎に触れ、手足を拘束する氷が溶けた
ポウッ
『!』
私の拘束が溶けたと同時に右手中指に着けていたリングに炎が灯る
「これだけではないよ
7つの完全なるボンゴレリングが継承されし時、リングは大いなる力を新たなるブラッド・オブ・ボンゴレに授けると言われる
そして、魔女しか持てない8つ目の虹のボンゴレリングを7つのボンゴレリングと同時に継承するとき、新たなるブラッド・オブ・ボンゴレには……」
『虹の加護が与えられ、ボンゴレの更なる繁栄が約束される……』
「!
ボンゴレの…血に……?」
キンッ
「返してもらうぜ」
沢田の背後に現れたのはベルフェゴール
その手にはナイフに引っ掛かった大空のリング
「これは正統後継者のリングだし」
「ボンゴレリング、全部コンプ!」
「こっちも準備できたよ」
零地点突破の氷が全て溶けその場に倒れる兄様
「おかえりボス!」
「いよいよだよ」
ベルとバイパーの言葉にピクッと反応する兄様
ゆっくりだが呼吸もしている
『兄様…』
私はゆっくり兄様の上体を起こす
「リングを…よこせ…」
「もっちろん
これは、あんな亜流のニセモノじゃなくて、9代目直系のボスにこそふさわしいからね」
「!
ま……
ハァ…
まて……」
「結局、最初からこうなるって決まっていたのさ」
バイパーは兄様の腰につけているチェーン型のリングフォルダーに手に入れたリングを嵌めていく
ああ……ついに……
私達兄妹の長年の夢が叶う……
これで……兄様はボスになれる……
「10代目!」
「ツナ!」
『ん?』
いつの間にかグラウンドにはチェルベッロと沢田の守護者が集まっていた
「どいつもこいつも新ボス誕生のために立会いごくろーさん」
『兄様……やっとですね……
バイパー!』
私は虹のボンゴレリングを指から外し、バイパーに渡す
「わかったよ……
受け継がれしボンゴレの至宝よ」
カチッとバイパーは虹のボンゴレリングをリングフォルダーに嵌める
「若きブラッド・オブ・ボンゴレに大いなる力を!」
バイパーの言葉と同時にベルは持っていた大空のリングを兄様の右手中指に嵌めた
カアア……
キュアアアアアア……
兄様の指に嵌められた大空のリングが光を放ち、それと同時に虹を含む守護者のリングが光を放った
「こ……
これは…!!」
リングの光に引っ張られるかのように兄様は右手を天高く上げ、立ち上がる
「力だ!!!
とめどなく力があふれやがる!!!」
へぇ……それがリングが与える大いなる力か……
「リナ、オレに虹の加護を!!」
『はい
では兄様、右手を前に出してください』
私にそう言われた兄様は右手をスッと前に出した
『では……
新たなるブラッド・オブ・ボンゴレに虹の加護を与えます…』
私は兄様の右手を両手で包み込み魔力を注ぐ
ちなみに虹の加護とは魔力をボンゴレボスが受け取ったことにより、ボンゴレボスの自己治癒能力、戦闘力、直感力、包容力、指導力、魅力、ボス力、適応力が向上することである
『これで終わりです、兄様』
私はそう言って手を話す
「これがボンゴレ後継者の証!!
ついに!!
ついに叶ったぞ!!」
『おめでとうございます、兄様』
「これでオレはボンゴレの10代目に…〝ドクンッ〟!!」
『?』
兄様…一瞬、動きが止まった……?
「がっ」
ゴパッ
『!?
兄様!?』
突然、兄様は吐血し、全身から血が吹き出した
「がはぁ!!」
『大丈夫ですか!?』
私は倒れこんだ兄様に近づく
「く…るな……」
『!』
ああ……
あのとき見たあの書類に書いていたのは本当だったんだ……
ボンゴレボスはボンゴレの血筋にしか継げない……
血縁関係じゃない兄様は何があってもボンゴレボスにはなれない
血なんてただ赤い液体にしか過ぎないのに……
でも、リング自身が兄様の血を拒んだことでボンゴレボスになれないという決定的な証拠になってしまった……
兄様の……いや、私達兄妹のボンゴレボスの夢は諦めないといけないのか……
だとしたら…
私がそう考えている間に兄様は自分と私は9代目と血が繋がっていないことを告げていた
そして死んだと思われたスクアーロからの回線
スクアーロは兄様の過去をその場にいる全員に告げた
XANXUSは下町に生まれ、生まれながら炎を宿していたこと
そしてその炎を見たXANXUSの母親がXANXUSが自分とボンゴレ9代目の間に生まれた子どもだという妄想にとりつかれたこと
XANXUSの母親は何も知らないXANXUSを9代目と面会させ、XANXUSは9代目の言葉を信じて疑わなかったこと
ひきとられたXANXUSは9代目の息子としてふてぶてしくでかくなり、XANXUSは威厳・実力ともに9代目の息子として後継者として文句のない男に成長したこと
そしてある時、自分の母親は9代目とは何の繋がりもなく、養子としてひきとられたこと
自分はボンゴレとは何の血の繋がりがないこと
しかも、ブラッド・オブ・ボンゴレなくしては後継者として認められぬ掟を知ったこと
それから半年……
XANXUSの怒りは揺りかごにつながった
『だとしたら……』
「?」
『だとしたら……9代目に育てられた私達兄妹の存在意味はなに?
アルコバレーノになって絶望していた私を救ってくれたのは9代目だった
9代目の息子……XANXUS様の妹として生きる使命をくれた……
兄様は9代目の実子として育ち、後継者に必要な力も身につけた
9代目の跡を継げると信じていた
私も兄様がボスになれるって信じてた
なのに……
今さら、血を受け継いでない人間はボスになれません?
戦って手に入れたリングは血を拒みました?
ふざけんじゃねぇよ……
これじゃまるで……
私達兄妹はお前がボスになるためのお膳立てをするためだけに存在したバカな駒じゃん…
こんな結末になるくらいなら、あの日、外に出るんじゃなかった……
だったら一緒にクーデターを起こして9代目に殺してもらえたのに……』
「リナ……(違う……オレがあの日を選んだのはお前を死なせたくなかったからだ……
オレのクーデターに巻き込みたくなかったから……)」
「9代目が……
裏切られてもXANXUSを殺さなかったのは……
最後までXANXUSを受け入れようとしてたからじゃないのか……?」
『は……?』
「9代目は血も掟も関係なく誰よりXANXUSを認めていたはずだよ
9代目はXANXUSのことを……いや、おまえ達兄妹のことを本当の子どものように……」
「っるせぇ!!」
『!!』
「気色の悪い無償の愛など!!
クソの役にも立つか!!
オレが欲しいのはボスの座だけだ!!
カスはオレを崇 めてりゃいい!!
オレを讃 えてりゃいいんだ!!」
『兄様…』
「かっきー」
「ぐぁっ」
ゴパッと吐血をする兄様
『兄様!!』
拒絶反応がまだ続いてるんだ……
『ごめんなさい、兄様……』
私は兄様の手をとり、指輪を外した
「XANXUS様!
あなたにリングが適正か、協議する必要があります」
チェルベッロはそう言うけど、協議なんて必要ないじゃん
リングは兄様を拒絶してるんだから
「だ……だまれ!!
叶わねーなら道連れだ!!
どいつもぶっ殺してやる!!」
「XANXUS様!!」
チェルベッロが焦ってる……
「大さんせーだ
ボス、やろーぜ」
「当初の予定通りだよ」
ベルとバイパーが戦闘体制をとる
『仕方ないか……』
私は杖を取り出す
「リナさま!?」
『チェルベッロの皆さん、すみません
あなた達との約束破ります
ベル、バイパー!』
「「ん?」」
『エピスキー 』
私は二人に向けて呪文を放つ
「「!?」」
『今二人にしたのは治癒の魔法
疲労とケガを癒したから暴れたいなら暴れなよ
私は兄様の治療をする』
「ししっ
すっげー……体が軽くなった」
「これが治癒魔法か……
うん、いい経験だ……」
『沢田は動けないし、沢田の守護者達は疲労とケガであまり動けない
今の二人ならあっという間でしょ?』
「そうだね」
「ししし
こりゃ1000%間違いなし
お前ら死んだわ」
私は二人の返事を聞いて兄様の方を向く
『兄様、すぐ治しますからね』
私は目を閉じ集中する
人体に使う治癒魔法は外から見える傷はすぐ使えるけど、外から見えない傷は集中して探し、そして、治す場所が体内の場合は勢い良く治らないようにゆっくり治さないといけないからだ(勢い良く治ると場所によっては痛みを伴うため)
「ゲホッ……
リナ…」
『はい、何でしょう?』
私は目を開けて兄様を見る
「オレのことはいい……
さっさと奴らを…殺って、こい……」
『それは無理ですね』
「な……」
『血は繋がっていなくても私は兄様の妹です
兄妹は助け合って生きるもの
今は兄様の治療に力を使います
まあ、兄様がここで死ぬような器ではないでしょうが……
あ、今から動かないでくださいね?』
「な?」
『エピスキー 』
私は杖先を兄様の腹部に向けて呪文を放つ
「……これは……」
『治癒魔法です
リングの拒絶反応で傷ついた内臓を順番に治しています
兄様の生命力だったら2日も経たずに完治するでしょう』
「……さすがだな……
リナ、すまない……」
『いいえ、兄様
気にしないでください』
私は小さく笑ってまた呪文を放つ
兄様に治癒魔法を繰り返すこと計6回
『よし……
兄様、これで体の治癒は完了です
ですが流血と吐血で血が減っているので、あまり動かないでくださいね?』
「ああ……」
『では、私は……』
「お、ボスの治療終わったんだ」
『うん
まだしばらくは動けないけどね
で、何で二人はまだ暴れてないのかな?』
「ああ……
リナは知らないんだったね
あいつらにも言ったけど、総勢50名の生 えぬきのヴァリアー隊がまもなくここに到着するのさ」
『は?
何言ってるの、バイパー?』
「ボスは勝利後に連中の関わりのある者全てを片付ける要因を向かわせておいたんだ
僕ら幹部クラスの次に戦闘力の高い精鋭をね」
「お……お待ち下さい!
戦闘中の外部の干渉は認めるわけには……」
「ん?
知らねーよ」
スパンッ
「かっ」
ベルを止めようとしたチェルベッロがベルによって首と腹を切られて倒れた
『うわっ……
今するかね~
暴れるならこの人を移動させてからにしてよね?』
私は倒れたチェルベッロのところに向かう
うわぁ……
おもいっきり殺ってくれてんじゃん……
「……かっ…」
『おっ?』
まだ息がある
なら……
『エピスキー 』
私はチェルベッロの首と腹に向けて呪文を放つ
これで応急処置は完了
あとはこの人の生命力にかけるか……
『ウィンガーディアム・レビオーサ 』
私の呪文でチェルベッロの体が宙に浮く
早く見つけないと乱闘に巻き込まれちゃうな……
特にアルコバレーノ同士の戦いには巻き込まれたくないし……
おっ!!
あそこにしよう
私が見つけた場所は校舎前の芝生でできた坂
私はゆっくりとその場所まで運び、その場に寝かした
『よし、これで大丈夫
さてと……参戦しますか……』
私は杖をしまい三叉の槍を展開する
ベルがチェルベッロに攻撃したことによってヴァリアーは失格
ヴァリアーの暴走を止めるため観覧席にいるリボーン達が戦いに参加ーーーーーーーーーーー……
出来なかった
そのわけはバイパーが観覧席にした細工
チェルベッロのスイッチでは解除されない仕組みになっていた
これでアルコバレーノ二人による攻撃の心配はなくなった
「報告します」
現れたのは個性的な格好をした3人
あれが、生えぬきのヴァリアー隊か……
バイパーが言ってた人数よりもかなり少ない
それに何か様子がおかしい……
「我々以外のヴァリアー隊、全滅!!!!」
『ぶっ!!』
マジかよ……
「奴は強すぎます!!
鬼神のごとき男がまもなく……」
ギュオッ
「!!!」
「げげ!!」
この音に、鬼神のような男……
「暴蛇烈覇 !!」
そしてこの声……
『ランチア……』
まさかここに来るなんて……
「取り違えるなよ、ボンゴレ
オレはおまえを助けにきたのではない
礼を言いにきた」
「ランチアさん!!」
「なんれあいつが?」
「……」
犬 と千種 もランチアが来るなんて思ってなかったんだろうな……
「あいつ、何者?」
『北イタリア最強と恐れられた……ファミリー惨殺事件のランチア
自分の意志で戦うあいつは迷いがないぶん、さらに強い』
「!
お前、骸と一緒にいた、ガキ……?」
「リナ、知り合い?」
『人違いです
私はあなたをみたことがありません』
「そうか……」
「ふーん……
……そんじゃあ……
とっとと済まそっと♪」
ビッ
ベルは沢田に向けてナイフを投げた
まあこの距離なら今の沢田は避けることは出来ないだろう
キキキキンッ
「おっと
そーはいかねーぜ」
『ちっ…』
沢田の前に刀を展開して現れたのは山本
沢田に向けて放ったベルのナイフを全て弾き落とした
「ムム…
こうなってくると……」
ボゴッ
ドンッ
「ムギャ」
バイパーはクロームの幻覚を食らう
「逃がさない」
「ねえ、決着をつけようよ」
ベルにそう話かけるのは、雲雀
トンファーを構えて殺 る気満々だ
「いかせんぞ」
ザッと沢田の守護者達が兄様と私達を逃げないように取り囲んだ
カララン……
ベルは持っているナイフを落とし、両手を上げる
降参だ
バイパーもあきらめた
「役立たずのカス共が……
くそ!
ちくしょう!
てめーら全員!!!呪い殺してやる!!!
リナ」
『任せて!って言いたいけど…兄様ごめんなさい……
闇の魔術は専門外だから……』
「くそっ……
くそっ!!」
「XANXUS様」
『!?』
いつの間にか兄様の頭元にはチェルベッロの1人が座っていた
そして兄様の周囲にはチェルベッロが3人
「あなたを失格とし、ボンゴレリングを没収します」
「チェル…ベロ…
おま…え達の……
望み通りだ……
予言が、当たり……
満足か……」
「お言葉ですが……
これは我々の望みでも予言でもありません」
チェルベッロはソッと優しく兄様の右頬に手を当てる
「全ては決まっていた事……
あなたは役割を終えたのです」
「…………タヌ…キ…が……
うう…」
兄様はチェルベッロにそう言って気を失った
「お疲れ様でした」
「それでは、リング争奪戦を終了し全ての結果を発表します」
『…』
「XANXUS様の失格により、大空戦の勝者は沢田綱吉氏
よって、ボンゴレの次期後継者となるのは沢田綱吉氏とその守護者6名と虹であるリナ様です」
こうしてリング争奪戦はヴァリアーの敗北に終わった
私は傷ついた兄様を魔法を使って浮かしアジトまで連れて帰った
ヴァリアーアジト(自室)
終わった……
最強のアルコバレーノである私が……
魔女である私が……
この世界に存在しない力を持っている私が…
兄様の夢すら果たせなかったなんて……
その上、沢田の守護者になるだなんて……
屈辱だ…!!
グッと私はチェルベッロの1人から受け取った虹のボンゴレリングを握りしめた
他のボンゴレリングも今日中に沢田達に届けられるだろう
よし、決めた
次はこのリングの力も使って兄様の夢を叶えてみせよう
大丈夫
だって私は魔女なのだから
『兄様!!』
ガッ
私が着いた時には兄様は沢田の手を掴んでいた
カッ
『くっ』
一瞬のまぶしい光とゴオオオオオ……という音
そして視界を遮る煙
『兄様!?』
私は
『いた!
兄様!!』
兄様はその場所に立っていた
『よかった、兄様!!』
「リナ」
『!!
兄様……手が……』
私は気付いた
「そんな
バカな……」
兄様も気付いた
兄様の両手が凍らされていることに……
「こんなことが!!」
この現象……
見たことがある……
あの日……『ゆりかご』の日……
私は凍った兄様を見た
まさか、これが……原因だったなんて……
「なぜだ!!
ありえん!!
お前みてぇなカスにボンゴレの奥義など…!!」
「そのキズ……
お前が前にも全身に
零地点突破とは…初代ボンゴレが編み出した技
死ぬ気の炎とは逆の冷気で死ぬ気の炎を封じる技
まさか沢田が初代の技を使うなんて……
「もう、お前の拳に炎が灯されることはない……
お前の負けだ、XANXUS」
「ふふふ
何を言い出すかと思えば!
ふざけやがって!!」
バギャン
兄様は自分の両膝を使って両手を封じる氷を砕いた
だが、砕けるのはほんの少し
「これごときで!!」
兄様は無理やり手に憤怒の炎を灯そうとする
「無駄だ、XANXUS
これ以上やるのなら…
9代目につけられたその傷ではすまないぞ」
「だまれ!!
オレは名に
てめーごときに屈すると思うか!!
勝つのはオレだ!!」
このままじゃ兄様はまた封印される
何とかして沢田の零地点突破を止めなければ……!
『沢田!!』
私は今にも沢田に殴りかかろうとする兄様の前に立った
「リナ!!
邪魔するな!!」
『兄様!!
あなたはまず両手の封印を解くのが先です!!
沢田!
これ以上お前の好きにはさせない
その技も使わせない!!
ボンゴレの10代目は、兄様だ!!』
ダッ!!
ガッ
「くっ……」
『私は認めない!!
例えお前が……』
シャキン
私は三叉の槍を展開する
『初代の血縁だったとしても!!
うけてみろ!』
「!」
クルクル…
ダンッ!!
『
「!」
『先に言っとく
油断したら、死ぬよ』
『
ドーーーーーーン
「ぐ…!!」
私の技は沢田に直撃し周囲に爆風が立ち込める
ボッ
私は足に再び炎を灯し沢田がいる場所に向かって飛ぶ
『くらえっ!』
私は沢田がいる場所に向かって思いっきりかかと落としを決めた
ガッ
『!?』
「……捕まえた」
バキンッ
『!!』
私の耳に届く嫌な音
左足と左手の感覚がなくなっていく感じ……
『くっ!!』
バッと私は後ろに飛んでその場所を離れる
『クソっ……』
私の左足と左手は沢田の技、零地点突破で凍らされていた……
「リナ、お前の左の手足はもう使えない……
オレは貴女がXANXUSと同じ運命を辿って欲しくない……
だから……」
『……るな……』
「?」
『ふざけるな!!!』
「!」
『初代の血縁で、リボーンさんに導かれてボス候補になったお前に私の何がわかる!!
私の運命は私が決める!
私の夢の邪魔をするな!!!』
「リナ……」
『許さない……
兄様の邪魔をするお前を…!!!』
ぶちっと私は左目の眼帯を右手で外す
『私は……許さない!!』
ブスッ
私は右手を左目にぶっ指した
第五の道、人間道を発動するためだ
「!
リナ、やめろ!」
私は眼球を動かし
『もう、遅い…っ』
ズリュ…ッと指を引き抜く
ゴウッ
私の体からどす黒い…ではなく虹色の
「な…!?」
『オーラが変わっていて驚いた?
あの日のオーラは瞳から発せられたオーラ
あの日まではおしゃぶりとの相性最悪のスキルだったから拒絶反応がでた
でも、あの日お前が浄化してくれたおかげで拒絶反応が消え、このオーラを身に付けた』
「!」
『君には感謝してるよ
でも、これは別
兄様の邪魔をするお前をこの世から消してやる』
バギャン
私は右手で左手を封じる氷を砕く
『くらえ…
「(オレの技を利用した?
それに…さっきよりはやい!!
ならば……)」
シャッと沢田はグローブの炎を使って右に避ける
『甘いね』
ダッ
「!!」
バキッ
「ぐあっ!!
(は、はやい……)」
『アルコバレーノの動体視力とこのスキルをなめんじゃねぇよ
そう簡単に逃がすわけねぇだろ……?』
「ぐ…」
『本気を出せよ、沢田綱吉!』
ゴウッ
私の体からさらに吹き出すオーラ
「!!
リナ、やめろ!
これ以上やるとお前の体が…!!」
『それがどうした!
お前には関係ないだr〈僕には、ありますよ…リナ…〉!!』
頭に響く声
『骸…?』
〈ええ、そうです
リナ、貴女、両目と鼻から血が出ていることに気付いてます?〉
『え…?』
骸に言われ私は右手で鼻を拭ってその手を見る
『マジか……』
手にはベットリと血が着いていた
〈いくら浄化されたからって人間道を使いすぎです
瞳で繋がっている僕の体力も根こそぎ使うつもりですか?
それに、沢田綱吉は僕の獲物です
殺すのは遠慮してもらいたい〉
『……』
〈貴女には申し訳ありませんが僕の野望のため、ここで一端リタイアしてもらいます〉
『なっ!?』
「リナ」
『!
兄様!!もう大丈b「どけ」!』
バキッ
『!!?』
え……?
私…
殴られた……?
「XANXUS、お前……!」
『兄、様…?』
左頬が痛い……
「リナ、時間稼ぎご苦労だった
あとはオレがやる
オレの邪魔をするな」
『ですが!!』
「邪魔をするな」
『!!
……はい……』
私は深く息を吐いて人間道のスキルを解除する
兄様の目……
今邪魔したら殺される…
でも……
「沢田綱吉……
さっきも言ったが……
ボンゴレの10代目は、このオレだ!!」
ダッと沢田のところに走る兄様
よく見たらまだ両手の封印は解けてない
『兄様……』
ボボッ
沢田の額の炎が瞬く
やる気だ……
ドス
「ぐあっ」
沢田の拳を兄様は腹部にくらい、膝をつく
「くっ」
兄様の前に立つ沢田
額に炎が灯っておらずグローブも手袋に戻っている
「いくぞ」
その言葉とともにシュウウウウ……と手袋がグローブに変化する
「零地点突破
ビキビキ
「ぐおぉ!!」
沢田が触れている両腕から徐々に凍っていく兄様
ダメだ
こんな結末、許せない!!
『兄様……!!!』
ダッ
私は沢田のところに走る
「……なぜだ……
なんでお前は……」
「うるせぇ!!!!
老いぼれと同じことをほざくな!!」
「9代目と…?」
『沢田ーーー!!!!』
「リナ!?」
ガシッと私は沢田の右手を掴む
『兄様から手を離せ……』
バキッ
「リナ、やめろ
お前まで凍りつくぞ!
それにもう……!」
『うるさい……!
私はこんな結末は許さない……
お前に……ガキに兄様が封印されるなんて許さない!!!』
バキバキッ
『っ!!』
「リナ……」
『!
兄様…!』
ビキィッ
『兄、様……』
兄様は私の名前を呼んで凍りつき、私は右手から右肩までが凍結し、止まった
ボウッと額に炎を灯し
左手には完成した大空のリング
沢田が技を止めたことにリングを見て気づいた
「もう、これが溶けることはない」
『…………』
「ハァハァ…
XANXUS…」
ガクッと沢田は膝を着いた
『沢田は…気力の限界か……
はぁ……なんでこんなガキに私たちは負けたんだろ……
ねぇ…兄様…?
ああ……封印されてるから聞こえないか……
アハハ……』
私は凍りついた兄様を見て笑う
『あ、そうか……魔法、使わなかったから負けたんだ……
そうだよね……私は魔女だから、魔法を使わないとね……?
魔法を使えば兄様をそこから出せるよね…?
待ってて、兄様……』
「……リナ」
『あ…れ?
なんで両手が凍ってるんだろ?
あ……零地点突破か……
忘れてた……
アハハハ……』
「今がチャンスね!」
どこからともなく姿を現す無傷ルッスーリアとレヴィ・ア・タン(幻覚)
『邪魔、するんじゃねぇよ……バイパー!!』
「っ!」
私の声に怯んだのかバイパーはすぐ幻覚を消した
『……何か用?
私、これから兄様を助けるんだけど……』
「ムダだ……
XANXUSは眠りについた…………」
「それはどうかな?」
「!!」
「むしろ、ボスが次期ボンゴレの後継者になるための儀式の準備がととのったのさ」
「な……?」
「ボスは再び復活する」
バイパーの手には6つの守護者のリングがあった
『回収、出来たんだ……』
「なぜ、リングを半分ずつ保管するのか…
そしてボンゴレの正統後継者にしか授与されないのかわかるかい?
それはリング自身にも秘められた力があるからさ」
秘められた力、ね……
「ボスにかけられた9代目の零地点突破が溶かされた床には7つの小さな焦げ跡とすぐそばに鎖の一欠片を溶かした跡と焦げ跡が残されていたという…
誰がやったかはさだかではないが、この形跡は一つの仮説を立てるに充分だ」
ボウッ
「思ったとおりだ」
沢田とバイパーが持つリングから炎が吹き出る
「見るがいいさ」
バイパーはリングの炎を兄様を閉じ込める氷に近づける
ジュウ…
『マジか…』
リングの炎に触れた氷は徐々に溶け始めた
兄様の近くにいた私もリングの炎に触れ、手足を拘束する氷が溶けた
ポウッ
『!』
私の拘束が溶けたと同時に右手中指に着けていたリングに炎が灯る
「これだけではないよ
7つの完全なるボンゴレリングが継承されし時、リングは大いなる力を新たなるブラッド・オブ・ボンゴレに授けると言われる
そして、魔女しか持てない8つ目の虹のボンゴレリングを7つのボンゴレリングと同時に継承するとき、新たなるブラッド・オブ・ボンゴレには……」
『虹の加護が与えられ、ボンゴレの更なる繁栄が約束される……』
「!
ボンゴレの…血に……?」
キンッ
「返してもらうぜ」
沢田の背後に現れたのはベルフェゴール
その手にはナイフに引っ掛かった大空のリング
「これは正統後継者のリングだし」
「ボンゴレリング、全部コンプ!」
「こっちも準備できたよ」
零地点突破の氷が全て溶けその場に倒れる兄様
「おかえりボス!」
「いよいよだよ」
ベルとバイパーの言葉にピクッと反応する兄様
ゆっくりだが呼吸もしている
『兄様…』
私はゆっくり兄様の上体を起こす
「リングを…よこせ…」
「もっちろん
これは、あんな亜流のニセモノじゃなくて、9代目直系のボスにこそふさわしいからね」
「!
ま……
ハァ…
まて……」
「結局、最初からこうなるって決まっていたのさ」
バイパーは兄様の腰につけているチェーン型のリングフォルダーに手に入れたリングを嵌めていく
ああ……ついに……
私達兄妹の長年の夢が叶う……
これで……兄様はボスになれる……
「10代目!」
「ツナ!」
『ん?』
いつの間にかグラウンドにはチェルベッロと沢田の守護者が集まっていた
「どいつもこいつも新ボス誕生のために立会いごくろーさん」
『兄様……やっとですね……
バイパー!』
私は虹のボンゴレリングを指から外し、バイパーに渡す
「わかったよ……
受け継がれしボンゴレの至宝よ」
カチッとバイパーは虹のボンゴレリングをリングフォルダーに嵌める
「若きブラッド・オブ・ボンゴレに大いなる力を!」
バイパーの言葉と同時にベルは持っていた大空のリングを兄様の右手中指に嵌めた
カアア……
キュアアアアアア……
兄様の指に嵌められた大空のリングが光を放ち、それと同時に虹を含む守護者のリングが光を放った
「こ……
これは…!!」
リングの光に引っ張られるかのように兄様は右手を天高く上げ、立ち上がる
「力だ!!!
とめどなく力があふれやがる!!!」
へぇ……それがリングが与える大いなる力か……
「リナ、オレに虹の加護を!!」
『はい
では兄様、右手を前に出してください』
私にそう言われた兄様は右手をスッと前に出した
『では……
新たなるブラッド・オブ・ボンゴレに虹の加護を与えます…』
私は兄様の右手を両手で包み込み魔力を注ぐ
ちなみに虹の加護とは魔力をボンゴレボスが受け取ったことにより、ボンゴレボスの自己治癒能力、戦闘力、直感力、包容力、指導力、魅力、ボス力、適応力が向上することである
『これで終わりです、兄様』
私はそう言って手を話す
「これがボンゴレ後継者の証!!
ついに!!
ついに叶ったぞ!!」
『おめでとうございます、兄様』
「これでオレはボンゴレの10代目に…〝ドクンッ〟!!」
『?』
兄様…一瞬、動きが止まった……?
「がっ」
ゴパッ
『!?
兄様!?』
突然、兄様は吐血し、全身から血が吹き出した
「がはぁ!!」
『大丈夫ですか!?』
私は倒れこんだ兄様に近づく
「く…るな……」
『!』
ああ……
あのとき見たあの書類に書いていたのは本当だったんだ……
ボンゴレボスはボンゴレの血筋にしか継げない……
血縁関係じゃない兄様は何があってもボンゴレボスにはなれない
血なんてただ赤い液体にしか過ぎないのに……
でも、リング自身が兄様の血を拒んだことでボンゴレボスになれないという決定的な証拠になってしまった……
兄様の……いや、私達兄妹のボンゴレボスの夢は諦めないといけないのか……
だとしたら…
私がそう考えている間に兄様は自分と私は9代目と血が繋がっていないことを告げていた
そして死んだと思われたスクアーロからの回線
スクアーロは兄様の過去をその場にいる全員に告げた
XANXUSは下町に生まれ、生まれながら炎を宿していたこと
そしてその炎を見たXANXUSの母親がXANXUSが自分とボンゴレ9代目の間に生まれた子どもだという妄想にとりつかれたこと
XANXUSの母親は何も知らないXANXUSを9代目と面会させ、XANXUSは9代目の言葉を信じて疑わなかったこと
ひきとられたXANXUSは9代目の息子としてふてぶてしくでかくなり、XANXUSは威厳・実力ともに9代目の息子として後継者として文句のない男に成長したこと
そしてある時、自分の母親は9代目とは何の繋がりもなく、養子としてひきとられたこと
自分はボンゴレとは何の血の繋がりがないこと
しかも、ブラッド・オブ・ボンゴレなくしては後継者として認められぬ掟を知ったこと
それから半年……
XANXUSの怒りは揺りかごにつながった
『だとしたら……』
「?」
『だとしたら……9代目に育てられた私達兄妹の存在意味はなに?
アルコバレーノになって絶望していた私を救ってくれたのは9代目だった
9代目の息子……XANXUS様の妹として生きる使命をくれた……
兄様は9代目の実子として育ち、後継者に必要な力も身につけた
9代目の跡を継げると信じていた
私も兄様がボスになれるって信じてた
なのに……
今さら、血を受け継いでない人間はボスになれません?
戦って手に入れたリングは血を拒みました?
ふざけんじゃねぇよ……
これじゃまるで……
私達兄妹はお前がボスになるためのお膳立てをするためだけに存在したバカな駒じゃん…
こんな結末になるくらいなら、あの日、外に出るんじゃなかった……
だったら一緒にクーデターを起こして9代目に殺してもらえたのに……』
「リナ……(違う……オレがあの日を選んだのはお前を死なせたくなかったからだ……
オレのクーデターに巻き込みたくなかったから……)」
「9代目が……
裏切られてもXANXUSを殺さなかったのは……
最後までXANXUSを受け入れようとしてたからじゃないのか……?」
『は……?』
「9代目は血も掟も関係なく誰よりXANXUSを認めていたはずだよ
9代目はXANXUSのことを……いや、おまえ達兄妹のことを本当の子どものように……」
「っるせぇ!!」
『!!』
「気色の悪い無償の愛など!!
クソの役にも立つか!!
オレが欲しいのはボスの座だけだ!!
カスはオレを
オレを
『兄様…』
「かっきー」
「ぐぁっ」
ゴパッと吐血をする兄様
『兄様!!』
拒絶反応がまだ続いてるんだ……
『ごめんなさい、兄様……』
私は兄様の手をとり、指輪を外した
「XANXUS様!
あなたにリングが適正か、協議する必要があります」
チェルベッロはそう言うけど、協議なんて必要ないじゃん
リングは兄様を拒絶してるんだから
「だ……だまれ!!
叶わねーなら道連れだ!!
どいつもぶっ殺してやる!!」
「XANXUS様!!」
チェルベッロが焦ってる……
「大さんせーだ
ボス、やろーぜ」
「当初の予定通りだよ」
ベルとバイパーが戦闘体制をとる
『仕方ないか……』
私は杖を取り出す
「リナさま!?」
『チェルベッロの皆さん、すみません
あなた達との約束破ります
ベル、バイパー!』
「「ん?」」
『
私は二人に向けて呪文を放つ
「「!?」」
『今二人にしたのは治癒の魔法
疲労とケガを癒したから暴れたいなら暴れなよ
私は兄様の治療をする』
「ししっ
すっげー……体が軽くなった」
「これが治癒魔法か……
うん、いい経験だ……」
『沢田は動けないし、沢田の守護者達は疲労とケガであまり動けない
今の二人ならあっという間でしょ?』
「そうだね」
「ししし
こりゃ1000%間違いなし
お前ら死んだわ」
私は二人の返事を聞いて兄様の方を向く
『兄様、すぐ治しますからね』
私は目を閉じ集中する
人体に使う治癒魔法は外から見える傷はすぐ使えるけど、外から見えない傷は集中して探し、そして、治す場所が体内の場合は勢い良く治らないようにゆっくり治さないといけないからだ(勢い良く治ると場所によっては痛みを伴うため)
「ゲホッ……
リナ…」
『はい、何でしょう?』
私は目を開けて兄様を見る
「オレのことはいい……
さっさと奴らを…殺って、こい……」
『それは無理ですね』
「な……」
『血は繋がっていなくても私は兄様の妹です
兄妹は助け合って生きるもの
今は兄様の治療に力を使います
まあ、兄様がここで死ぬような器ではないでしょうが……
あ、今から動かないでくださいね?』
「な?」
『
私は杖先を兄様の腹部に向けて呪文を放つ
「……これは……」
『治癒魔法です
リングの拒絶反応で傷ついた内臓を順番に治しています
兄様の生命力だったら2日も経たずに完治するでしょう』
「……さすがだな……
リナ、すまない……」
『いいえ、兄様
気にしないでください』
私は小さく笑ってまた呪文を放つ
兄様に治癒魔法を繰り返すこと計6回
『よし……
兄様、これで体の治癒は完了です
ですが流血と吐血で血が減っているので、あまり動かないでくださいね?』
「ああ……」
『では、私は……』
「お、ボスの治療終わったんだ」
『うん
まだしばらくは動けないけどね
で、何で二人はまだ暴れてないのかな?』
「ああ……
リナは知らないんだったね
あいつらにも言ったけど、総勢50名の
『は?
何言ってるの、バイパー?』
「ボスは勝利後に連中の関わりのある者全てを片付ける要因を向かわせておいたんだ
僕ら幹部クラスの次に戦闘力の高い精鋭をね」
「お……お待ち下さい!
戦闘中の外部の干渉は認めるわけには……」
「ん?
知らねーよ」
スパンッ
「かっ」
ベルを止めようとしたチェルベッロがベルによって首と腹を切られて倒れた
『うわっ……
今するかね~
暴れるならこの人を移動させてからにしてよね?』
私は倒れたチェルベッロのところに向かう
うわぁ……
おもいっきり殺ってくれてんじゃん……
「……かっ…」
『おっ?』
まだ息がある
なら……
『
私はチェルベッロの首と腹に向けて呪文を放つ
これで応急処置は完了
あとはこの人の生命力にかけるか……
『
私の呪文でチェルベッロの体が宙に浮く
早く見つけないと乱闘に巻き込まれちゃうな……
特にアルコバレーノ同士の戦いには巻き込まれたくないし……
おっ!!
あそこにしよう
私が見つけた場所は校舎前の芝生でできた坂
私はゆっくりとその場所まで運び、その場に寝かした
『よし、これで大丈夫
さてと……参戦しますか……』
私は杖をしまい三叉の槍を展開する
ベルがチェルベッロに攻撃したことによってヴァリアーは失格
ヴァリアーの暴走を止めるため観覧席にいるリボーン達が戦いに参加ーーーーーーーーーーー……
出来なかった
そのわけはバイパーが観覧席にした細工
チェルベッロのスイッチでは解除されない仕組みになっていた
これでアルコバレーノ二人による攻撃の心配はなくなった
「報告します」
現れたのは個性的な格好をした3人
あれが、生えぬきのヴァリアー隊か……
バイパーが言ってた人数よりもかなり少ない
それに何か様子がおかしい……
「我々以外のヴァリアー隊、全滅!!!!」
『ぶっ!!』
マジかよ……
「奴は強すぎます!!
鬼神のごとき男がまもなく……」
ギュオッ
「!!!」
「げげ!!」
この音に、鬼神のような男……
「
そしてこの声……
『ランチア……』
まさかここに来るなんて……
「取り違えるなよ、ボンゴレ
オレはおまえを助けにきたのではない
礼を言いにきた」
「ランチアさん!!」
「なんれあいつが?」
「……」
「あいつ、何者?」
『北イタリア最強と恐れられた……ファミリー惨殺事件のランチア
自分の意志で戦うあいつは迷いがないぶん、さらに強い』
「!
お前、骸と一緒にいた、ガキ……?」
「リナ、知り合い?」
『人違いです
私はあなたをみたことがありません』
「そうか……」
「ふーん……
……そんじゃあ……
とっとと済まそっと♪」
ビッ
ベルは沢田に向けてナイフを投げた
まあこの距離なら今の沢田は避けることは出来ないだろう
キキキキンッ
「おっと
そーはいかねーぜ」
『ちっ…』
沢田の前に刀を展開して現れたのは山本
沢田に向けて放ったベルのナイフを全て弾き落とした
「ムム…
こうなってくると……」
ボゴッ
ドンッ
「ムギャ」
バイパーはクロームの幻覚を食らう
「逃がさない」
「ねえ、決着をつけようよ」
ベルにそう話かけるのは、雲雀
トンファーを構えて
「いかせんぞ」
ザッと沢田の守護者達が兄様と私達を逃げないように取り囲んだ
カララン……
ベルは持っているナイフを落とし、両手を上げる
降参だ
バイパーもあきらめた
「役立たずのカス共が……
くそ!
ちくしょう!
てめーら全員!!!呪い殺してやる!!!
リナ」
『任せて!って言いたいけど…兄様ごめんなさい……
闇の魔術は専門外だから……』
「くそっ……
くそっ!!」
「XANXUS様」
『!?』
いつの間にか兄様の頭元にはチェルベッロの1人が座っていた
そして兄様の周囲にはチェルベッロが3人
「あなたを失格とし、ボンゴレリングを没収します」
「チェル…ベロ…
おま…え達の……
望み通りだ……
予言が、当たり……
満足か……」
「お言葉ですが……
これは我々の望みでも予言でもありません」
チェルベッロはソッと優しく兄様の右頬に手を当てる
「全ては決まっていた事……
あなたは役割を終えたのです」
「…………タヌ…キ…が……
うう…」
兄様はチェルベッロにそう言って気を失った
「お疲れ様でした」
「それでは、リング争奪戦を終了し全ての結果を発表します」
『…』
「XANXUS様の失格により、大空戦の勝者は沢田綱吉氏
よって、ボンゴレの次期後継者となるのは沢田綱吉氏とその守護者6名と虹であるリナ様です」
こうしてリング争奪戦はヴァリアーの敗北に終わった
私は傷ついた兄様を魔法を使って浮かしアジトまで連れて帰った
ヴァリアーアジト(自室)
終わった……
最強のアルコバレーノである私が……
魔女である私が……
この世界に存在しない力を持っている私が…
兄様の夢すら果たせなかったなんて……
その上、沢田の守護者になるだなんて……
屈辱だ…!!
グッと私はチェルベッロの1人から受け取った虹のボンゴレリングを握りしめた
他のボンゴレリングも今日中に沢田達に届けられるだろう
よし、決めた
次はこのリングの力も使って兄様の夢を叶えてみせよう
大丈夫
だって私は魔女なのだから