マギ
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こいつが……チーシャンの領主?
どーみても器が真っ黒じゃん……
ああ…こいつがチーシャンの闇の根源か…
まあ、こいつにアマを聞いてもわかんねーだろーし、大柄な男は喉をやってるから喋れない
少女に関しては領主のせいで喋れらないだろう……
見てわかった
こいつが下等な人間だと
人を物として扱う外道だと
さて……こいつをどうしようか……
アラジンがマギだとしたらこいつに渡したらヤバイ
こいつは手に入れた力を自分のためだけに使うだろーし、アラジンも自分の所有物として扱うだろう
だとしたらアラジンを渡さないようにしないとな……
運良くこいつはアラジンをマギだと思い込んでるし…
それを使うか……
「やあ……怪我なんかしてないかい?」
領主は眠っているアラジンに話しかける
『ご安心ください、チーシャンの領主よ
マギは怪我などしておりません』
オレは攻略者の証が見えないように杖を持ち、領主に話しかける
「……きみは?」
領主は疑い深くオレをみる
あぁ…この目……嫌いだな……
『私はマギの側近である魔導師です
今はマギを護衛しております
マギもあなた様に会うことを心待にしておりました
ですがマギはまだ幼いため疲れて今は眠っておられます』
オレは歯が浮くような言葉遣いをする
オレの言葉に領主はうっすらと喜ぶ顔をする
「そっか
わかったよ
だったら君は帰ってもいいよ
後はゴルタスが守るからね
ゴルタス!」
ジャラ……
領主の言葉に反応し男が動く
『それはなりませぬ』
バチィ
オレの〈防御魔法〉はアラジンに触れるゴルタスの手を弾いた
「…………」
「……ちっ……」
『マギはあなた様のような人間の力だけでは守れません
マギは魔法使いの中の王!
あなた様のような方々とは違って同じ魔法使いが側にいないと力を発揮できません
つまり、あなた様が大業を果たしたとしても王にすることができないのです!』
よくこんな嘘が言えるな、オレ……
まあ、いっか……
人を物として扱わないやつにはこれくらい
「……ちっ……」
『マギを連れていくなら私も連れて行きなさい
それが出来ないのならばマギと話すこと、触れることを禁止します!』
「……わかったよ……
でも、邪魔したら側近であろうと殺す……!!」
『わかりました
では、私がマギを連れていきます
あなた様は攻略を進めてください
私が後ろからサポートいたします』
「それじゃあよろしく頼むよ」
『はい』
よし、同行作戦成功!
あとは……アリババか……
いい方向に転がることを願うよ……
と言ったけど …
修羅場来たーーーーーーー!!!!!
ほんの数分で何故戦闘に変わる?
ってか、一般市民はテメーも同じだろーが!!!!!
“待てっつってんだよ”だけでキレるのはあり得ないって…
どんだけ温室育ちなんだよ…
あー…ここにいるのがこいつとオレだけだったら魔法で攻撃して大人しくすることが出来たのに…
はあ…
おっ!
紙一重で攻撃をよけた!
すっげー反射神経だな!
「いきなり何すんだよ!?」
アリババ、今めっちゃカッコいいぞ!!
アリババはゴルタスの右腕を後ろに回し、ナイフをゴルタスに向ける
鋭い目付きでアリババは領主を見る
パチパチパチ…
領主は敬意を表するような笑みでアリババに拍手を贈る
「すごいじゃないか、君ィ!
子供が今のをよけるなんて…見直してしまったよ!」
アハハハ、と笑いながら領主はアリババ達に近付く
それにつられてアリババはひきつった笑いをする
ドスッ
『!!
マジかよ…』
「に比べて…
お前…
使えないね…」
ドスドス
領主は無表情でゴルタスの腹に剣を突き刺す
「労働は、人間の責務だよ…
君……」
グリグリ……
グチャグチャ……
オイオイ……やりすぎだって!
こいつ、マジでイカれてる!!
こんなやつにアラジンなんて渡せない!
それにアリババもだ!
奴隷でも人間だろうが!
マジでこいつ人間じゃねぇ……
「そうだ!君
僕の役に立ちたいと言っていたね
見直したから働かせてあげるよ」
領主はゴルタスを痛め付けた剣の先をアリババに向ける
「先頭を歩き、僕らの罠避けになってくれよ
それだったら連れていくけど、やるのかやらないのか
俺の目を見て…答えろ!!」
血の気の引いた顔をしたアリババ
よく見ると震えている
『あの…領主様?』
「ん?」
『隣の男を治療しても…?』
オレは腹から血を流すゴルタスの前に立つ
「…は?
奴隷に治療なんていらない
治療するならオレだけにしろ!」
領主は冷たい目でオレをにらむ
『は、はい…
かしこまりました…』
あの目には敵わない…
オレは仕方なく諦めた
しかし、それは表面上
『…ルフ達よ…
血止めだけでもいい…できる者は彼を治療してくれ…』
オレは領主達に聞こえないようにルフ達に伝えた
すると素早く2つのルフがゴルタスの腹部で輝いた
『ありがとう…』
“どうってことないさ!”
ルフはそう答えた
「…で、どうすんだ?
罠避け…するの?しないの?」
「……し、しま…す
やらせてください…」
「そうこなくっちゃ!
んじゃ、罠避けお願いね」
「…はい…」
あっちは話が着いたようだ
『…アリババ…?』
オレは片付けをするアリババに話しかける
「…気にすんな…
あいつがお前らを人質にされてる限り、俺は従うフリしか出来ねぇからな…」
『悪いな…
アラジンを守るためのウソがお前の行動を阻む枷になっちまってさ…』
「いや…
俺にとっての枷は領主の登場だから気にすんな
さ、行くぞ」
『そうだな…』
「お待たせしました、領主様」
アリババは営業顔で領主に話しかける
『さて、参りましょう
領主様、よろしいですか?』
「ああ」
アリババ、少女、領主、ゴルタス、オレとアラジンの順番に穴から出る
歩く順番もそう
【迷宮】の中は嫌な空気でいっぱいだ
その根源は領主から
アラジン達三人で攻略するときは明るかったのに、今では暗いし重い
それにアラジンの笛は領主に取られてしまった…いや、盗られた
預かるとは言っていたが顔がそう言ってなかった
歩くこと数十分
地面が岩肌からレンガに変わった
「やあ~!
いよいよ【迷宮】らしくなってきたじゃないかー!」
おー…今すぐ探検したい!
入り口が竜の顔!
食べられる感じか!!
「いかにも“宝物庫へ”って感じの門だよね
ちょっと品がないシュミだけど…」
品がないって…
かっこいいじゃん!
お前が美的センスないんじゃね?
「おやおや、何か文字が掘ってあるね…
古代文字が何かかな?」
古代文字!?
それは興味がそそる!
オレは静かに領主の隣に立ち石板を見る
『ん?』
あれ?
これどこかで見たよーな…
どこでだっけ?
うーん…
〈カイ、これは“トラン語”だ〉
《トラン語?》
〈ああ…【迷宮】は全てトラン語が使われている
この土地ができる前からとある民族が使っていた言葉だ〉
《へぇ~》
「“トラン語”…
現在も南部の少数部族で使われてるアレかな?」
〈まだ使われてるのか…〉
《訳、できるか…?》
〈ああ〉
《やってくれないか…?》
〈それは無理だ〉
《なんで》
〈読めるやつがいるだろ?
そいつに聞け〉
《…ケチだな…》
〈なんとでもいえ〉
「えーと…
訳は…」
あ、読めるやついた…
「“この道は、竜の…
真実点…”
…?
いや、ちがうな…」
前言撤回
こいつは読めない…
「“竜の牙を越え”
“真実へ辿り着け”
“すべては竜の尾にあり”じゃないスかね!?」
すっげー…アリババ…読めるんだ…
ザクッ
うわっアレは痛い!
二の腕にかなり刺さったよ、アレ!
「今からそれ言おうと思ってたの」
領主は読めなかったことを隠すかのようにアリババにあたった
『アリババ、大丈夫か?』
「ああ…大丈夫だ…」
『なあ、お前、トラン語読めるんだな』
「まぁな…
あ、そうだ
お前に教えてやるよ、あのトラン語」
『えっまじか!』
「ああ…実はな…ゴニョゴニョ…」
『!!
マジで!?』
「ああ」
『さすがだな、アリババ!
やることはえげつないけど…』
「領主を騙すにはサイコーだろ!?」
『そうだな!』
オレとアリババはハイタッチをする
ちなみにアラジンは背中におぶってるから大丈夫だ!
石板からまた歩くこと数十分
見るからに罠だとわかる場所に着いた
「……領主様……これは?」
「ははっ!
この時のための罠役だろう、君ィ!
今度はでしゃばってもいいぞー」
「………………」
これはヤバイな
これがいわゆる剣山か……
一回でも当たれば致命傷か……
アリババに何も起きないことを願うよ
「がんばれー」
そう思ってないだろ、領主よ
さっさと消えろって思ってるのがバレバレだって
「スゥ…」
ダッ!
行ったーーーーー!!
領主を睨んでる間にスタートしたぁぁぁ!!
ドドドドドドド
何本もの剣が地面に刺さる
それを素早いステップでかわす
『おーーー…すげぇ…』
これにはすげぇとしか言えない
「ゴールだっ!!!」
『カッコいいぞアリババ!』
「は~っ……!
助かったっ…」
ガコン!
『!!
アリババ!』
いきなりアリババが地面の中に消えた
オレは走ってアリババが落ちた場所に向かう
剣?
んなの〈防御魔法〉があるから大丈夫だ
『アリババ!!
……くそっ……穴が消えた……』
いや……アリババが地面の中に消える前、音がした……
と言うことは穴のふたが開いたってことか……
アリババ、生きてることを願うぜ!
そのころ領主達はというとゴルタスを盾にして剣山を通過しているところだった
うん、やっぱり領主は下等だな…
「魔導師って不思議な技を使うね
どうだい?マギなんかじゃなくて僕のもとでその力を使わないかい?
心配いらない、マギも僕のもとで使うからさ……」
『下等が…』
「ん?何か言ったかい?」
『いえ、何も?
私の力を領主様に使えるのは有難いことです
ですが…私は生まれた時からマギとマギが選んだ王に力を使うように教えられましたゆえ…
まだ王になられてない方には力を使えないのです…』
「……ふぅ~ん……」
『では、参りましょう?
マギの体力も戻り始めてますので途中で目を覚ますでしょう
目が覚めましたら教えて差し上げます』
「必ずだよ」
『はい』
うん、やっぱりこいつはオレもアラジンも道具として扱う最低なヤツだな
ここのジンはわかるのかな……
王にはむいてないって……
歩いてて気づいた
先頭を歩く女の子が穴を避けて歩いていることを
オレはルフが教えてくれるからわかるけど……
何かで察知してるのかな……
ああ…古い死臭か…
って、死臭!?
ぜんぜんわかんねぇよ?
あの子の嗅覚は犬並みなの!?
ある意味すげーよ!
なんか、勿体ないなぁ…
領主のせいで二人の持ち味が半減してる気がする……
「ぅ……ん…?」
『お目覚めですか、マギよ』
「?
カイくん?」
『話は後だ
今、オレはお前の付き人役してるから
あと、変な呼び方してるけど、気にするな』
「うん…
あれ?アリババくんは?」
『……アリババは…』
ヤベェ…なんて言ったらいい?
罠に落ちて行方不明とは言えない…
「?」
『悪いけど、それもあとからでいいか?』
「?
わかったよ」
『ありがとうな…
アラジン、オレの隣に立ってくれ』
「うん」
オレはアラジンをゆっくりと下ろす
『領主様、マギがお目覚めになられました!』
オレはアラジンが隣に立ったのをみて領主に聞こえるよう言った
ピタッ
オレの声を聞いた領主は立ち止まりアラジンに笑顔をむける
「やあ、お目覚めのようだね」
領主は裏のありげな笑顔でいった
オレはアラジンが眠っている間のことを伝えた
「へえ、お兄さんが倒れていた僕を助けてくれたのかい
えと…りょ…りょ…」
「りょ…?」
「領主さま」
「そう
チーシャンの町の領主、ジャミルだよ!」
うわぁ…あの笑顔、裏がありそうで嫌いだ…
「僕の仕事は、主に町の安全・興業・インフラを整えて町民の生活を守ること………つまり人助け!」
どこが町民の生活を守るだ
守れてねぇーよ
「君を助けたのも領主として当然のことだよ~」
ウソつけ
自分のモノにしたいだけだろ
「先に行ってしまってはぐれてしまった君の友達も、必ず助け出してあげるからね」
「う、うん…」
ウソつけ
助ける気なんてないだろ
「とにかく、彼の後を追いつつ出口を探そうじゃないか」
【迷宮】の出口は攻略しないと出てこないよ
『?
マギよ、どうしましたか?』
アラジンは先頭を歩く二人のことを気にしている
「あ、うん………」
「この二人が気になるのかな?
彼らは僕の…奴隷だよ
大きいほうがゴルタス
彼は北方の遊牧民族出身で…
かつての怪我で口はきけないけれど、とっても丈夫で怪力だ」
丈夫な人間なんていねーよ!
無理してんだよ
「そして、小さい方はモルジアナ
なんと、あの南方の“暗黒大陸”に住んでいたという狩猟民族の末裔だ!
とても鼻がきくし、強靭な脚力も持っているんだよ」
へぇ~……だから古い死臭がわかったのか……
「二人とも高かったんだよ~
思いきって買っちゃった!」
「へぇ……」
興味がないような反応するな、アラジン……
「そうだ!
今度、君の奴隷も見せてくれるかな?
ホラ…あの笛の巨人の…
今は、君の友人が持って行ってしまってないけれど……」
嘘つくなや!
てめぇが持ってるだろーが!!
「ウーゴくんは…
奴隷じゃなくて僕の友達だよ?」
『!!』
や、ヤバイ……あれはかなり怒ってる
『アラジン』
オレは領主に聞こえないように話しかける
「大丈夫…だよ…」
返ってきた言葉はかなり冷たかった…
「そうかそうか」
ハハハと笑う領主は謝る気もない
そしてアラジンが不機嫌になったのも気づいていない
「まあ、そんなことよりこの迷宮も、いよいよ大詰めだ
君の寝ている間に、宝物庫への道がわかったんだよ
一緒に行こうじゃないか」
いや、それはアリババから聞いたからだろ?
てめぇの力じゃねぇじゃん
「うん……
ところでおにいさん、アリババくんは、本当に先に行ったのかい?」
「そうだよ!」
即答…
嘘ついてるの分かるわ…
アラジンは領主を冷たい目で見る
うん、そーとー嫌ってるな…
〈カイ……
お前……領主に会ってから黒くなったな……〉
《気のせいだよ
ただ領主が嫌いなだけさ……
ライズ、心が読める魔法あるか?》
〈…いや…
魔法はないがルフなら出来るだろう…〉
『《わかった
聞いてみる》ルフ達の中で心が読める子はいるか?オレに力を貸してほしいんだ』
チチッ
「私なら読めるよ!」
『そうか
なら領主の心を読んでくれ
誰かはわかるか?』
チチッ
「もちろん
黒い服の男でしょ?」
『ああ、よろしく頼む』
心を読めるルフはオレの右肩に止まった
しばらく歩くと広い場所に着いた
目の前には穴が三つ
「あれ~~っ
横穴が三つもあるじゃないか…
竜の食道は三本もあるってことかな…
(「全ては竜の尾に存在する!」ってガキが言ってたな…
どうする~
翻訳によればこの先が宝物庫で間違いないが…
正しい道をどうやって探そうかな?)」
ルフのおかげで領主の心がわかる
かなり迷っているようだ
オレは何があっても領主を助けない
こいつの罠避けなんてまっぴらごめんだ!
「(モルジアナを使うか?
だが、この先に先人の死体すらなかったら、あいつの鼻は使えない…
ゴルタスじゃ何か見つけても声が出せないからな~~)
う゛~~~~ん
(マギの付き人は僕に力を貸そうとしないだろうから…)」
おっ、わかってんじゃねーか!
「(チッ…
どいつもこいつも使えねーな
やはり僕が自分で行くしかないか!
ゴルタスを罠避けに使えば大丈夫だろう!)
ゴホン」
チチッ
「こんな感じで良かったかしら?」
『ああ…バッチリだ
ありがとう』
チチッ
「どういたしまして」
『さあ、みんなの所にもどりなさい…』
「君たち!
この先は危険だ!
領主たる僕が直々に調査してくるから、女・子供はここで待ってるんだよ
こいつら見張っとけ、モルジアナ」
「……」
領主はゴルタスを連れて穴のなかに入っていった
オレはアリババが持ってきた布を広げてその上にアラジンを座らせる
しーーーーーーん…………
かなりの静けさ……
ここにアリババがいればな……
「やあ!
おねえさん、また会ったね」
「…………(ムスーーン」
む、無視!!
「……」
ミヨーーーン
『ブッ!あ、アラジン……!!』
か、顔が……ww
アラジンは顔を横に引っ張ったり縦に引っ張ったりしている
「…………(ムスーーン」
す、すごい…………
これを無視出来るなんて…………ww
『ア、アラジンw
や、止めてくれ………ww
腹筋がwww』
わ、笑いが止まらないwww
ぐるぐる
アラジンはターバンを回す
ま、まだあるのか……!!
これにはモルジアナも気付いた
「領主さま!」
アラジンはターバンを使って領主の髪形を真似て、だらけた体制を取る
『ブッwww』
「くっ…」
はっ!っと自分の今さっきの反応に気付いたモルジアナは両手で口を押さえる
あ、笑ったな、これは…………
「わーーい
やっと少し笑ったね~おねいさん」
「笑ってません…………」
「笑ったよ?」
「笑ってません!」
『いや、確実に笑ったよ?
笑うことはいいことだよ?』
「だから……笑ってません!」
『そう?』
「おねえさんって~~笑うと美人さんだよね~」
「…………」
『ああ……笑みを見せないのが勿体無いくらいだ……』
「でも、ちょっと変わったお顔をしているね……
“あんこくたいりく”から来たからかい?
“あんこくたいりく”ってどこの国だい?」
「…………(ムスーーン」
あら?
「……国じゃない……」
あ、答えてくれた
「“暗黒大陸”は…“レーム帝国南方属州以南は未開発だ”ーー…という意味で付けられた…私の故郷カタルゴの蔑称です…
やめてください(ムスーーン」
「へぇ……未開発の土地なのかい?」
「み、未開発なんかじゃほんとはないです…………
国もあるし、村もあるし……
太陽はきれいだし…大地は広いし、大きな動物たくさん
おいしい果物もたくさんあるんですから……」
『いいな、そこ…
行ってみたいよ…』
「そうだねぇ
いいなあ!
太陽に果物に動物かぁ…
おねえさんの故郷って、何だかとっても楽しそうなところだね…」
「…………」
ぎゅう…
『!』
あれ…?
もしかしてこの子……
あまり覚えてないのか…?
オレと同じだな……
オレも家はあったけど本当の家じゃないって感覚があったし、故郷じゃないって感覚があった
オレの故郷って何処だろう……
「はー、よのなかは知らないことがいっぱいだねぇ」
『!』
「僕の知らないどこか遠い国で、きれいな太陽と、広い大地で、楽しく暮らしている人たちがいるんだね……」
「……」
「会ってみたいなぁ~…
行きたいな……
おねえさん、つれて行ってよ」
「それは…」
ギュッ…
「無理です…」
「どうして?」
アラジンの頭上には?マークが浮かんでいる(のがわかる)
「どうしてって……
私は奴隷ですので……逃げられません」
「逃げられるよ
この間みたいに鎖を切れば
二本の足で、おねえさんの故郷まで行けるじゃないか」
ああ……鎖を切った犯人はアラジンだったのか……
納得
「……………
あなたは何もわかっていない
鎖を切ったぐらいでは領主様からは逃げられない」
うん、それはごもっとも
「あの人は怖い人…
絶対に逃げることなどできない…」
うん、それはわかるよ
アイツの笑顔には変な感じがするからさ……
「え?
できるよ」
「できません」
即答だな……
「なんで?」
「なんでも…」
即答その2
「なんで?
なんで?」
「なんでも!!
できないものは、できないんですっ!!」
………子供同士の言い合いか!
って思ってしまった………
「でも僕は……
逃げられると思うけどな……
おねえさんにそこまで言わせる見えない鎖を、領主様がもっているんだね………」
ここまでくるとアラジンの無知が恐ろしい…
「……知ったようなことを……」
モルジアナは再び両手を後ろに組む
「あなたの言うことは意味不明です…
領主様をなめているとご友人と同じ目に遭いますよ…?」
「えっ、それって……」
アリババのことだな……
「一緒にいたもう一人の男の子ですよ…
彼…領主様に罠避けにされて…」
うん、アリババのことだな
アラジンはどうなったのかドキドキしながら聞いてる(のがわかる)
ガコッ…
『ん?』
オレの頭上からした石が動く音
モルジアナとアラジンは気付いていない
オレは音がした方を見る
「ご友人は…」
パラ……
石屑が落ちてきたことに気づくアラジン
オレにつられてアラジンも見る
いまだにモルジアナは気付いていない
「ご友人は……」
にゅっ
頭上にある石枠から顔を出した人物
「死んでしまいましたよ!!」
モルジアナは力一杯言い切った
顔を出した人物は
死んだはずのアリババ
『「……………」』
アリババの登場の驚きで声がでないオレとアラジン
「………生きてるよ」
小さく聞こえる懐かしいアリババの声
どういったらいいのかわからなくなるオレとアラジン
モルジアナはそんなことを知らず同じフレーズをいう
それにアラジンはオロオロする
「“立ち場”をわきまえずに領主様の気分を害したから……!
あなたたちも……“立ち場”に気をつけないと………」
くるっ
「死んでしまぷっ」
モルジアナの顔に布が被さる
もぞもぞ………
「!?
あれっ?いない!?」
『ナイスタイミングだな、アラジン』
「えっ!?」
バサッ……
風の起きない場所で起こった強風
モルジアナの手にあった布は吹き飛ばされた
「そうでもないよ、おねえさん」
「え……っ!!?」
バサバサ……
モルジアナは今目の前で起こっている事が信じられないような目をしている
ヒュゴオオオオ…
ターバンに乗って宙に浮くアラジンとアリババ
そのとなりで宙に浮くオレ
ターバンによる力で風が吹き荒れる
「ごめんね、おねえさん
僕ら、もう行くけど…
また会おう…
見えない鎖が切れる頃…
一緒に太陽を見に行こう!」
「知ったふうなことを言わないで…」
ザワァ…
『あ、これは……』
ヤバイ……
ダンッ
メリィ……
『!!』
あ、足がめり込んでる……( ; ゜Д゜)
「私たち、奴隷の人生がどんなものか……少しも知らないくせに!! 」
ビキビキ……
怒ってる!
めっさ怒ってるよ!!
「おいおいおい……」
アリババもビビってる
ズシャズシャズシャ……
『「ひいいい!!」』
怖い怖い怖い!!
壁登ってる!
走って登ってる!!
壁ヒビいってる!
「アラジン上!上!」
アリババは半泣き状態でアラジンに指示する
これにはアラジンも焦る
「待て!!」
ばっ!!
モルジアナは一蹴りで壁跳びをする
スカッ
モルジアナの伸ばした手はターバンを掴めなかった
「くそっ!!」
ダァァン
『せ、セーフ……』
モルジアナがしたに着いたのを確認して安堵の息をつく
「おまえら、走るぞ!!」
『あ、うん!!』
いつのまにターバンを巻いたのか準備万端のアラジン
オレはそれに苦笑いを浮かべつつも走る
「わあああ
アリババくん生きててよかったぁ~!
もう、どうしたの?
なんか血ィ出てるよ~」
キャーとかウフフフとかよくわからない感情を出しながらポコポコ叩くアラジン
「うはは
超痛え
触んな!!」
それをアリババは涙目で言い返す
かなり痛いのだろう
それをオレは苦笑いで見る
『でも、なんでそんな怪我してんだ?
落ちたとこになんか罠でもあったのか?』
「その説明は後だ
スゲーもん見つけたんだ!
行くぞ!!」
説明を後回しにするほどすごいものってなんだ?
ってか、どうやってあそこまで来たんだ?
オレは道案内されながらそう思った
何故なら、穴になっているところを降りたりしたからだ
「ここだ!!」
「!!?
この扉は……!?」
『すっげぇな……』
目の前には巨大な石の扉
ゴールが近づいていることがわかった気がした