刹那/菊田
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「・・・は?」
「・・・え。」
出会いは唐突だった。菊田が街を歩いていると、突然目の前に見知らぬ女が現れた。意味が分からないだろうが、本当に突然、居なかったはずの人間が姿を現したのだ。地面にへたり込んでいる彼女は、洋服の様な、それにしても不思議な服装をしていた。
運が良いのかよく分からないが、そこは路地裏であり、菊田以外に人は居ない。彼女自身も訳がわかっていない様で、茫然自失といった様子。そんな彼女と菊田は目が合うと、訳が分からず見つめ合う。
「・・・あー、大丈夫か?」
「あ、はい、すみません・・・。」
相手に敵意が見られず、丸腰なのを確認すると、菊田は彼女に手を差し出した。彼女はおずおずとその手を取ると、菊田に手を引かれて立ち上がる。
この差し出した手が、全ての始まりだったと菊田は思う。一番初めに自分の目の前に現れてくれて、ありがとうと。
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