短編
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「つ、疲れた...」
仕事から帰ってくるなりソファに沈む律は、そのまま目を閉じ、暫く動かなくなった。
先に帰っていた尾形が食事を作っている音をなんとなく聞いているうちに、意識が沈んでいく。
暫くまどろんでいると、背後からするりと手が伸びて来て、ソファ越しに肩を抱きしめられた。
意識が完全に浮上しないまま顔を後ろに向けると、尾形の端正な顔がそこにあり、口付けを落とされる。尾形の舌が律の唇にそっと割って入ってくると、蕩けるような甘さが口に広がった。
「んっ」
その甘さに驚く律をよそに、尾形は丁寧に口内を侵していく。身体の倦怠感と、その甘みと、そして尾形の舌の熱く柔らかい感触に、律は脳が蕩けたようになりつつも口付けに応える。そのうち満足したのか、尾形はゆっくりと唇を離した。
「甘...」
やや上気して蕩けた表情の律に、尾形はその頬を優しく撫でてやり、「ははっ」と目尻の下がった、してやったり顔で笑った。
律も同じように頬を撫でてやると、尾形は目を細める。
「ん。」
尾形は持っていたチョコレートを一粒、律の口に入れてやる。
「んー、沁みる・・・」
目を閉じてチョコレートを味わう律に尾形はまた唇を寄せようとするが、彼女はふいっとそれを避けた。
「だめ、あげない。味わわせて。」
「あ?」
眉間に皺を寄せ明らかに不機嫌そうな顔になる尾形は、次の瞬間にはニヤリと笑い、ソファを超えて律を押し倒した。
「チョコレートに負けるのか、俺は。妬けるな。」
「え、何と張り合ってるの...」
そんなやりとりをしているうちにも、尾形は律の両手首をソファに縫い止める。上目遣いに近づいてくるその瞳は、先ほどよりも熱を帯びているように見える。(あ、変なスイッチ入れちゃったな)と律が思う頃には、唇を押し当てられ、最初のよりも激しく口内を犯される。
「ん、はっ」
息継ぎをしようと喘ぐ律に気をよくしてニヤリと笑うと、尾形は律の太腿に手をやった。
「ちょ、待ってシャワー浴びてない!」
「いい」
律が制止するも気に留めず、尾形は太腿を撫でながら律の首筋に顔を埋める。
「あっ、待ってってば!」
肩を押し返されると、尾形はむすっと不貞腐れた顔をした。
「仕方ねぇな。」
やれやれと上体を起こすと、尾形は律を横抱きにして立ち上がった。
「えっ」
驚いてしがみ付く律を余所目に、尾形は歩き出す。
「風呂入れてやる。」
「ははぁ」と楽しそうに笑う尾形は、迷いなく風呂場へ足を進める。
「え、ちょっと待って、水飲みたいっ」
「我儘だなァ」
腕の中で慌てる律を横目にニヤニヤと笑う尾形は、その頬に口付けを落とした。冷蔵庫に寄り道してペットボトルの水を取り出すと、そのまま律を下ろすことはなく、脱衣所に消えていった。
二人はその後、冷めた食事を温め直さなければならなかったとか。