短編
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———温かい。
ふわふわと心地よい温もりの中、律はゆっくりと瞼を持ち上げる。
日曜日の朝、柔らかな陽の光。
さらりとした白のリネンに包まれている。
律の目の前には向かい合うようにして、菊田が静かな寝息を立てている。
柔らかな光を受けるその顔は、安心し切った子供のように穏やかで、あどけなくて。
律はその愛しい寝顔に手を伸ばし、起こさぬよう、なるべく優しくその髪を撫でた。
律は暫く菊田の髪を撫でながら、その寝顔を眺める。
「好きよ。」
眠る菊田に堪らなくなって、律は声には出さず、小さな吐息だけで呟いた。
ぴくりと瞼が動いたかと思うと、ぎゅっと口を結んだ菊田はおずおずと目を開けた。優しく慈愛に満ちた律の目と目が合うと、何か言いたげに眉を下げる。
「ごめん、起こしちゃった?」
律は優しく柔らかな声で囁いた。菊田はその声に引き寄せられるように、律の胸元に顔を埋め、その腰を抱き締めた。
「おはよう。」
自分よりもずっと大きく体格の良い菊田が甘えてくるのを、律は堪らなく愛しく感じる。甘えるように抱きつく菊田を抱き締め返すと、律は見下ろす位置にある愛しい彼の後頭部を優しく撫でた。
「おはよう。」
菊田はくぐもった声で返すと、律の腰を抱く腕に力を込めた。そしてゆっくりと身体を離すと、もぞもぞと動いて律の目線と合う位置まで来る。
「俺も好きだよ。」
少し困ったような顔で上目遣いに律を見ると、菊田は彼女に口付けた。まだどこか
「いつから起きてたの?」
唇が離れると、律は口付けの余韻に浸っているのか、
「律が愛の告白をするちょっと前。」
律の頬を親指で撫でると、菊田は悪戯っぽく微笑む。
「やっぱり起きてたの。」
「やっぱり?」
「照れた顔してた。」
「・・・照れた顔?」
困った様な顔をする菊田に、律は「それそれ」と可笑しそうに笑った。自分では隠していたつもりの感情がばれていたことに恥ずかしくなって、菊田はむすっとする。
「杢太郎さん照れる時、困った顔するの。」
更に眉を下げた菊田は片手で顔を覆い、はぁ、と溜息をついた。
「格好つかねぇな。」
「そういうところ好き。」
菊田は拗ねた様な顔で律を見る。
「格好良いところも見せなきゃな。」
ふと不敵な笑みを浮かべると、菊田は律に覆い被さった。菊田は律の指に自身の指を絡めると、シーツに縫い留める。菊田を見つめる大きく開かれた律の目は、淡い光を受けて透き通っている。その美しい瞳は自分のものなのだと、菊田は堪らなくなった。
「綺麗だな。」
律を組み敷いたまま、菊田は彼女に口付ける。菊田は何度か味わう様に角度を変えて口付けを落とすと、律の薄く開いた唇へなぞる様に舌を這わせた。そのまま舌を押し進めて、律の口内を侵していく。わざとねっとりと厭らしく舌を動かす菊田に、律の呼吸は荒くなっていく。菊田が満足して律の口内から出ていく頃には、彼女の瞳は熱を帯び、潤んでいた。
「杢太郎さん。」
「いいだろ?日曜なんだから。」
抗議の目を向ける律の耳元で「その気になったろ?」と囁くと、菊田は彼女の服の裾に手を滑り込ませる。菊田は掌に吸い付く柔らかい肌の感触を愉しみながら、自身の手に甘く落ちてゆく律を、じっくりと味わった。
昨晩も肌を重ね合わせたが、何度だって欲しくなってしまうのだから仕方がない。休日くらい思う存分、愛する彼女を感じていたい。そう思う菊田は、大切に、大切に、しかし欲望のままに、律の心身を自身で満たした。
それは昨晩の激しく求めるようなものとは違い、