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他ジャンル単発

大きくなれるわけないのに、あいつはいつも言ってた

「大きくなるんやで」







太陽が痛いくらい眩しいこの季節、俺はスペインのトマト収穫を手伝ってやっていた

「こんな・・・・・の・・・・ぉ・・・・、重くねぇ・・・・・ぞ」

スペインのやつを見返してやろうとがむしゃらにかごの中にトマトを入れていたら、いつの間にか自分でも持てないくらいの重さになっていた

「ほんまロマーノ大丈夫か?さっきから手伝うゆーとるやん」

「くっそ~こ、こんなの俺がもっとおっきかったら余裕だぞコノヤロー・・・・」

「ええよ 親分が運んだる」

そう言ってスペインは、俺が引きずっていたかごをひょいと持ち上げた

「な・・・・なにすん・・・・・」



(がばっっ)










気付いたときには体が宙に浮いていた
スペインが抱きあげやがった

「な・・、おろせ!!このやろ!!」

「うぁ!ロマーノ!!暴れんな!うひゃぁぁぁぁぁ!!!!」







(どっしーーーーーん!!!)







持っていたトマトのカゴごと盛大に転んだ。散らばった大事な売り物のトマトも心配だし、転んだ衝撃で手が痛かったけどなにより下敷きになったスペインが心配でとっさに髪を握ってしまった
「いっててててて…転んでしもうたわ。せっかくのトマトが散らばってしもうたな…っていったたたた!ロマーノ!髪の毛掴んどる!!!離しぃや!」

「こんなの一人でも運べたんだぞ!!」
目には生理的な涙が浮かぶ。痛さより、まだ国として未熟で小さい自分の情けなさが悔しい。
そんなロマーノの赤く染まった目元を見るとスペインはクスリと笑って

「ごめんなぁ、転んでしもうて。親分小っさいロマーノを急に抱きたくなってしもたんやを
それにロマーノには色々と親分みたいな無理させたくないしなぁ」

「…なぁ俺が小っさくなかったら、持たせてくれるか?とまと」
普段あまり目を合わせないロマーノが、真っ直ぐスペインの目を見据えた。

「ええっ!親分はロマーノがトマト抱えとるん見とるより、小っさいロマーノを抱いてたいんやけどなー」

「あっ!!小っさくなんかないんだぞコノヤロー!!」

「あ やっと気付いた てか今のロマーノ顔めっさトマトみたいやな!!」

「う・・・うるさいぞ!!コノヤロー!!」

自分に問いかける。あいつに太刀打ちできるくらいでっかくなれるのか?

「ほんま、かわええなぁ」
スペインの顔が、何気ない幸せな日常に綻ぶ。




これからどんな困難が降りかかろうともこの何気ない日常は絶対に守り通そう。
あいつを超すくらいの大国になり、もう、誰にも負けないようになる事をスペインのめいいっぱいの笑顔のもとに俺は誓った。
これが精一杯の恩がえしになるようにと願いながら
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