ｺﾞｳﾝ…ｺﾞｳﾝ…と不気味で無機質な機会音が反響する。常日頃鳴り響く騒音も私達が子供の頃はもっとマシだったかもしれない。いや、今もまだ15歳だから子供と言われればそうだ…が、時代が違えば元服で大人扱いだから私が幼い頃を子供の頃と言ったとしてもなんの問題もないだろう。
とにかくこの10年程で世界はあっという間に変わってしまったのだ。
いや、そもそも産まれた時から既に過去の面影などなかったようだった。
裏山、瀬戸内海、土、自然､その他諸々。
三度目に目を覚ましたときもう世界は姿を変え終わりへと歩み始めていた。
それを比較するは前世の記憶。
数奇なことに私には前世の記憶があるのだ。
最初の私の記憶には溢れんばかりの緑や、美しく光る水や、生き物、貧しいながら力強くたくましく生き抜いていた人々、そんなものが当たり前に溢れていた。とは言っても人は争いばかりでドドメ色の土煙の中に何度赤を見てきた事だろうか。
そんなこと嫌と言うほど思い知らされた後、待っていたのは二度目の記憶、平穏の記憶である。
そこには誰も死なない、平和な日常が待っていた。確かに辛い事も、友人の死に目に会えないこともあったがそれでも私は老衰で死ぬまで不自由なく生きられたのだ。最初、いつ死ぬか分からない日々を生きていたのがまるで嘘のように。


しかし、そこから、まさに天から突き落とされたかのように世界は変わっていた。
私、立花仙蔵は2×××年のこのドブと汚物と灰にまみれた世界に転生した。