ファミリー・コンプレックス
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何度か・・・うんざりするような義兄弟らとの仲良しごっこを続けていたところ、駐屯地に俺宛の手紙が届いた
消印が見当たらないのでおそらく聯隊の門番に直接手渡したものなのだろう
差出人は花沢ルナ
義妹からのものだった
百之介お兄さまへ
日差しが日に日に強くなってまいりましたが、ご体調は崩されておりませんか?
よろしければ私と氷水などいかがでしょう
一度百之介お兄さまと二人でゆっくりとお話してみたくなり文をしたためました
9つも年下の12の子供とは思えないような優雅で美しい字で書かれた短い手紙
頻繁にやり取りをしている勇作ではなく、わざわざ自分宛てに文を寄越したのはどういう了見だろうか
考えを巡らせてみるがしっくり来る答えは浮かばない
“良好な関係を構築するため”に必要と判断してた俺は、机の引き出しから簡素な便箋を取り出した
義妹からの返信は驚くほど早く返ってきた
次の休みなら、朝食事と外出の手続きを済ませたら宿屋へ迎えに行くと書いた一方的な手紙
業務終了後に外出許可をとり、義妹の宿泊する宿屋へ届け、煙草を買って早々に帰隊した・・・・というのが昨日の俺の記憶だ
ところが翌日の点呼後には、寝ずの門番の者から義妹からの文を受取って・・・・今に至る
それほど自分との接触を望む理由は?
誰かの企みか・・・?
なんとなく手紙を開ける気にならず、少し乱暴に懐に手紙を突っ込み、午前の訓練のため部屋を出た
「もぉ~!!!お前らのせいで僕までこんなドロドロに!!鬼軍曹ホント容赦無い!!」
食堂で大きな声で文句を言ったのは、向かいに座る宇佐美
向かい側で宇佐美の怒りを宥めようとヘラヘラと笑っている〇〇はきっとこのまま食事にありつけず昼休憩が終わることだろう
御愁傷様
宇佐美の怒りの原因は、5人一組で突然行われた陸戦訓練
隊員を置き去りにして首位で帰還した宇佐美と俺は月島軍曹にしこたま叱られ、3回も拳骨を食らった上に連帯責任を問わた
なんと、全員で訓練場から隊舎までのほふく前進を言い渡されたのだ
あり得ないだろ
どんだけ距離があると思っているんだ
上着が汚れるのは感心しないといって、月島軍曹が預かり隊舎の前で仁王立ちにしている感じ腕に5枚の上着をかけて待っていたが、もう着替えが必要なほどシャツやズボンだけでなく体中ホコリまみれだった
これを洗濯してシワを伸ばすまでが一連の罰則ということだろう
喚く宇佐美を面倒くさそうにチラリと一瞥し、俺は味噌汁を啜った