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「シャンクスが来てるんだな?」
ウタワールド内でルフィの言葉を聞いたコビーはハッとルナの事が脳裏によぎった
そしてすぐさまルナへの交信を再び試みる
どうして今回の任務では一人で現実世界に残ったルナの事を気にかけずにいるのだろうか
ルナは僕の大切な・・・・
・・・・大切な?
そう、僕の、僕らの大切な同期だ
僕ら3人の中で1番強いのに甘えん坊で守ってあげたい気持ちにさせる可愛い妹のような存在
僕はルナより強くなってルナを守れるようになりたいと思っている
まだまだ鍛錬が足りず、自分の目標すら忘れて無意識にルナ頼りにしていた
ルナは大丈夫だと安心していた事を恥じたコビーはプルプルと頭を振った後、意識を集中させた
“「ルナ?ルナ?」”
ベックマンのマントの中に隠れていたルナの頭にコビーの声が響いた
“『!コビーー!?私は赤髪海賊団と合流して、ウタに接触したよ!そっちは?大丈夫?』”
ピクッと腕の中でルナの体が跳ねたのでそちらへ視線を向けたベックマンだったが、ルナの柔らかい雰囲気を見るに、ウタワールドにいるという同期との交信ができたのだろうと推察する
仲間の方へ視線を戻すと、ヤソップが人差し指を眉間にあてながら唸っていた
こちらはもう少しかかりそうだなと苦笑して無意識にルナの身体へ腕を回した
ルナから直ぐに返答がきて、指示通りに赤髪海賊団と共闘体制が整っていてコビーはホッとする
“「こちらもルフィさん達と共闘体制が整った。ウタを説得出来ればいいんだけど、ネズキノコのせいで性格が凶暴になっていて話し合いが難しい状況だよ。今のところ皆さんに大きな怪我はないから安心して」”
素早くウタワールドの状況を伝えたコビーは、バルトロメオのバリバリのバリアを閉じ込められたウタを悲しそうな目で見つめた
作戦の直前、ルナから歌姫ウタがもしかしたら幼馴染かもしれない事を聞いたコビーとヘルメッポ
ウタワールドで合流した、ルフィの話からも彼らが故郷での友人関係である事が確実なものとなった
友人を救うため、そして任務完遂のために1人で四皇海賊団の中に身を投じているルナがいまさら心配になってきた
「ルナちゃん大丈夫そうか?」
コビーを覗き込むようにして気遣うような表情のヘルメッポが声を掛けた
ヘルメッポは感受性が強く、2人の、特に四六時中一緒にいるコビーの事は本当になんでもわかってしまう
コビーもあまりの察しの良さに「見聞色の覇気、開花してます?」等と真剣な顔で言ってきたりするくらいだ
そうなれるならどんな努力でもするつもりだが、今のところ、恐らく開花には至っていない
そんな事を考えていたヘルメッポはコビーの顔を見ながらサングラスをずらして視線をしっかり合わせて回答を催促する
「うん、赤髪海賊団の協力も得られたようで、無事にウタとも接触しているみたい」
ヘルメッポに心配掛けまいといつも通りを装ってコビーは答える
「・・・どうした?ルナちゃん、赤髪とヤバい取引させられたか?」
ヘルメッポがサングラスをくいっと上げてコビーを覗き込んだ
コビーの様子がおかしい原因を探ろうと尋問するような鋭い目つきでコビーをながめまわした
「ヤバい?!そ、そんな話はしてなかったよ?ルナを1人で四皇との交渉に行かせてしまった事は心配しているけど、彼女なら大丈夫。しっかり役目を全うしてくれているよ」
コビーは自身の心配を悟られた事を少し恥ずかしく感じながら、ヘルメッポに弁明した
「ならいいが・・・じゃぁまずは現実世界に戻ることを考えるぞ!他の心配事はそれからだ」
バシッと確実に手形がついたであろう衝撃がコビーの背中を襲い、ヘルメッポに激を入れられたことを悟った
「はい!必ずこのウタワールドから皆を助け出しましょう!」
『ヤソップさん、ウソップさんとは交信できそうですか?』
コビーとの短いやり取りの後、ベックマンのマントの影からルナがヤソップに声を掛けた
交信中にベックマンが肩を引き寄せてくれたのは海軍側に何か動きがあったのだろうかと一瞬心配になったが、未だ膠着状態
目下の敵はトットムジカという共通認識で問題はなさそうだ
「ぃや〜〜〜〜・・・・うちのバカ息子はバタバタバタバタ走り回って騒いでて、こっちにゃ全く気づきもしねぇ!もう少し時間をくれ」
ヤソップは困った困ったと言いながらとても楽しそうにそう言った
絶対に困っていない顔だ
別々の海賊団にいたらきっと何年も会っていなかったのだろう
早く解決して彼らの再会を見届けてあげたいとルナはこっそりと親子の再会現場を想像してクスっと、笑いが漏れた
『必要があればコビーからウソップさんへ伝えてもらいますので教えてくださいね!』
世界が滅ぶかもしれない緊迫した状況の中、ルナ
はいつもと変わらず元気な声でヤソップに答えた
「・・・ルナと英雄は本当にただの同期なのか?」
ベックマンはずっと気になっていた疑問をルナに投げかけた
ルナが海軍に入ったのはここ2.3年の事のはずだ
そこで出会った、ただの同期とそれだけ深い結び付きを得ていることを不思議に思っていた
やはり、シャンクスの懸念通り恋人なのではないか・・・と自身の脳裏をよぎった言葉にベックマンは自身の秘めた想いに気がついた
『私とコビーは見聞色の覇気に特化していますし、お休みの日も予定が合えばもう一人の同期と3人で1日中自主練していたり、大目付のお家でご飯を食べたりしていますので、もう家族です!』
少し考えるような素振りをしてルナはサラリとそう答えた
事実だった
理由は違えど3人に休日に帰省する家や親が近くにいない
そしてそんな目標に邁進する3人が休日に鍛錬のために集まるのはもう必然だった
祖父や親代わりがいるルナを通じてセンゴクやガープをはじめとした将校たちは、3人をよく気にかけて最近では休日が重なった時にはセンゴクの夕ご飯を食べるのが休みの締め括り行事のようになっている
中将たちも鍛錬場で声を掛けて手合わせをしてくれたりして各々確実に
「仏のセンゴクのメシ食ってる3人か・・・ルフィが最悪の世代のルーキーならお前らは海軍の星だな、末恐ろしいぜ」
ベックマンはポンポンとルナのあたまを撫でてそう言ってニヒルに笑った
自分達、赤髪海賊団がそうであるようにルナと英雄も縁が会って出会ったのだろう
「んぉ?やぁ〜っと気がついたか、このバカ息子!」
ルナの背後で楽しそうなヤソップの声が響いた
「倅が気がついたようだな、ルナ、お前は表に出るな。能力使うなら民間人の保護のためにしろ、いいな?」
バサッとベックマンは自身のマントの中にルナをすっぽりと隠し、少し乱暴にルナの頭を撫でた
『はぃ・・・ありがとうございます』
ルナはフードを一層深く被り直して素直に頷いた
ベックマンの手はおじいちゃん達のように大きく逞しいが、おじいちゃんたちと違うのは力強い中に包み込むような印象を受けた
なんだか無性にモモンガに抱き着きたいとルナは思った
早く解決してモモンガに会いたい
赤髪海賊団と海軍の攻防を見守りながらルナはそっと両手を握った
ガッッキーン…
「市民を守るはずの海軍が市民を殺すつもりか!?答えろ、黄猿!!」
至近距離から民間人を能力で攻撃しようとした黄猿の懐にベックマンが飛び込んだ
肩に肩にかかっていたマントはいつの間にか外れていることに気がついた黄猿は先程までベックマンが立っていた場所へ視線を向けた
あれでバレないと思っているのかと笑ってしまうと思った時には口角が上がってしまっていた
ベン・ベックマンのマントが一人で立っていたからだ
上手に気配は消しているし、決して肉眼で見える訳では無いが、マントが自立しているのはおかしいだろと、こんな場面でなければお腹に手を当てて体を丸めて笑っていた事だろう
「ん〜〜・・・・・・・んで?お前もあの子の虜ってわけぇ?ベン・ベックマン」
吹き出しそうになるのを全て隠すことはできなかった黄猿は諦めて面白そうにニヤリと口端を上げてベックマンを見下ろした
「・・・・うるせぇ」
ギリギリと鍔迫り合いを続ける中、ベックマンはボソリと呟いた
海軍大将を簡単に騙し切れるとは思っていなかったが、こうもあっさりとバレてしまうと取り繕う思考も追いつかない
こちらが全力でも笑ってられる余裕があるなんて、流石は海軍最高戦力というところだろう
2人の心情は微妙に食い違いながら拮抗した鍔迫り合いが続いていた
「んふふふ〜そぉ〜」
実はそんなに余裕はない黄猿だったが、持ち前のひょうひょうとした態度を崩さず、先程よりも楽しそうな声で笑うと、ベックマンをヒヤリとさせていた
『ウタのためにも、これ以上民間人は傷つけさせない!!』
ルナはベックマンのマントをしっかりと被ったまま、海兵の銃弾に倒れた男の手を握りていた
ルナは風を巧みに操り、海兵らとの接触や銃弾から風の壁を作って市民を必死に守っていた
これ以上は絶対に市民に犠牲を出すわけには行かない
もう動かなくなってしまった海軍に撃たれた市民の手を握ってルナは溢れる涙を溢さないように少し上を向いた
モモンガの耳に肉声で届くはずもない距離から、肌が粟立つような不気味な歌声が聞こえてきた
「なんということだ!発動してしまった・・」
モモンガはしがみつく市民を振り払いながら禍々しい気を感じる方向に視線を向けた
「ウタウタの能力者が歌うことで実体化する古の魔王・・・トットムジカ!!!」
モモンガは小島から禍々しい黒い渦が巻き起こるのをみて冷や汗を流した
その時、死角から近づいてきた市民の軍勢が風の壁に阻まれて止まったのを確認したモモンガは周囲を見渡しルナの気配を探す
タイミング的に、少なくとも向こうからこちらを確認できる場所にいるはずなのだが・・・
全く気配は探知することが出来なかった
「見聞色の覇気には自信があるはずだったのだがな・・・」
モモンガは小さく溜息をついたあとポツリとそう呟いた
彼女の、いや、彼女と2人の同期達の成長速度は本当に目を見張る
神は不公平だな
あまり人を羨ましいと思わないはずのモモンガだが、ここ最近は彼等の才能に羨んでばかりな気がして気恥ずかしくなった
中央にある小島の影からルナは、こんな時までも忠実に天竜人を護衛するモモンガの安否を願っていた
天竜人を守りつつも襲ってくる市民を極力傷つけない配慮をしているモモンガ
ルナはそんなモモンガの真摯な姿勢を見て、周りに聞こえるのではないかという位に胸の高鳴りを感じた
ドキドキし過ぎて左胸が苦しいような気がしてそっと手を当てた
「トットムジカ攻撃部隊の皆さん、通信と援護は任せて!どうか・・・・お願い!ウタを助けて!」
「「「当たり前だ!!」」」
風が運んだルナの悲痛な言葉に赤髪海賊団の幹部が力強く答えた