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ルフィの前にしゃがみ込み、ナイフを振り上げたウタの手首をシャンクスが優しく、だけどしっかりと強い力で制した
『ベックマンさん、ごめんなさい、隠れさせてください』
シャンクスと共に入江までたどり着いたルナはそう言ってベックマンの背後に降り立ち、マントをそっと掴んだ
一先ずウタの事はシャンクスに任せるべきだと思ったからだ
ウタはシャンクスに向かって色々叫んでいて、その辛そうな姿を見るのは息苦しくベックマンのマントを無意識にギュッと掴む
「うちの娘をまだ友達だって言ってくれてありがとな」
ぽんぽんッ
ルナの頭上に優しげな言葉と温かく大きな手が降りてきた
『・・・・ぐすッ』
「キッッキキキッ」
「あ、ホントだ、副船長が女泣かしてる!」
緊迫した空気を破ったのは、サルのモンスターとライムジュース
2人は副船長のすぐ後ろに立っていた事から、ルナの様子をずっと見ていたようだった
「ばか野郎、お前らみたいなお子ちゃまがいるところでそんな事するかよ!だからガキだって言われんだ」
お頭の子守で手一杯なんだから、早く大人になりやがれ、とさりげなくシャンクスをディスったベックマンは、もう一度優しくゆっくりとルナの頭を撫でた後、船でのシャンクスの様にその手をゆっくりとゾワリとする手つきでルナの頬を撫でて、ルナの顎をゆっくりと持ち上げた
「お前も、男がいるなら他の奴に安易に近づくなよ、そいつよりも、お頭よりも先に俺が喰っちまうぞ」
そう言ってニヤリと口角を上げて笑ったベン・ベックマンはとても悪い顔をしていた
「「「きゃ〜」」」
ルナの後ろでライムジュース・ホンゴウ・ヤソップが野太い歓声をあげていた
バンッ
バンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバン
一発の銃声が市民の胸を貫き、四方から赤髪海賊団を銃弾が襲った
ブワーーーーッ
しかし、市民を楯に撃ち込まれた海軍の銃弾は赤髪海賊団どころか、小島にすら到達せず海へと落ちていった
「・・・・・俺の覇気っぽく演出してやったが、バレるぞ。黄猿までいやがるのに。」
ベックマンは小脇に隠れるルナに向かって子供をたしなめる父親のように呟いた
『ありがとうございます・・・きっと黄猿さんには見つかっちゃったと思いますが・・・今は私、黄猿さんの指揮下にいないのでなんとかなります!』
ベックマンの腰布を掴んで反対の手で口元を隠し考える素振りを見せた後、ルナはピコーン💡と凄いことを思いついたとでも言うようにキラキラした笑顔をベックマンに向けた
「〜〜〜!っっったく!海軍首になったら速攻でお頭に掻っ攫われるからな!」
覚悟しとけ!と言ってベックマンはプイッと前を向いてしまった
怒らせてしまったかな?と心配したルナだったが
「あわせる、気合いいれろ」
頭の上からやっぱり優しい声が届いた
「副船長、顔、赤いぜ?」
音もなく後ろへ忍び寄ったヤソップがベックマンに耳打ちしてガブの後ろへ走って逃げた
バン・・・・
「・・・え!?あれ?ひ、引き金が・・・あ!!」
くるくるくるくる・・・・ぽちゃん
赤髪海賊団が登場し、さらに戦局は目まぐるしく変化していた
そんなか、黄猿の指示で赤髪海賊団に向けて発砲した海兵達は続けて攻撃できずに戸惑っていた
引き金が引けないと銃から体を離したとたん、銃が海兵達からまるで逃げ出すように手元から離れてくるくると回転し、一様に海へ落ちていっていく
「・・ぉい!あんまり派手に立ち回るとマジで見つかるぞ!!」
対峙する海兵達の奇行を見ていたベックマンは、海兵達に気取られないよう注意しながらすぐ後ろへ視線を落とす
ベックマンのマントに包まるようにして隠れながら海兵達を見ているルナに、さっきよりも避難めいた視線と声音を向ける
目があったルナはベックマンに視線を合わせたあと、困ったように眉尻を下げた
『戦いは・・傍観させて下さい。一応極秘任務でして・・・でも・・こんなの!!・・・市民を盾にするやり方は・・・賛同できません!!』
ベックマンのマントの影からもう一度、対峙する海兵達を見たルナは泣き出しそうな顔して呟いた
「こら!顔出すな!せっかく隠してやってんのに!!」
ライムジュースがワタワタとしながらルナの頭を掴んでベックマンの後ろへ戻す
「・・・お前のでけぇ声でバレるぞ」
ホンゴウが冷静にライムジュースに言う
「ぁあ!?俺のせいだってのか!?」
「そんな事は言ってない。ただ静かにしていたほうがいいと・・・」
「だ~か~ら~!お前が余計なこと言ってこなきゃ隠すだけで済んだんだよ!」
今にも噛みつきそうな距離までホンゴウに顔を寄せたライムジュース
ホンゴウは慣れているのかライムジュースから顔を背け溜息を零した
「おい!貴様ら!何をごちゃごちゃと言っている!?」
ライムジュースがホンゴウにさらに突っかかり、オデコで押し合いが掴み合いが始まったところに、対岸からルナの1番恋しい人の声が響いた
『!』
「ウタを海軍へ引き渡せ!!」
『!』
先ほど船で別れたモモンガの声だった
ルナはベックマンのマントの裾をそっと掴んで声のする方へ顔を出す
「・・・ぉい?見つかるぞ!アイツはお前の上司か・・なんか・か・・・ってオマッ・・・その顔!・・・・まさか!?」
後ろへ引っ込めようとルナに手を伸ばしたベックマンがポロリと加えタバコを落とした
ベックマンの視線の先には頬をバラ色に染めて光悦した視線を遠くに向けているルナがいた
ベックマンはその表情にルナが誰を想っているか、そして、どれだけ深く想っているかを悟って小さく溜息をついた
「・・おいおい、うちの大頭なんかの付け入る隙は全くなさそうな位ベタ惚れじゃねぇか」
ベックマンは深く長い溜息を零した
少しだけ自身の心にチクリと刺さるトゲには気づかないふりをして