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会場へ入場し、適当な場所へ腰を下ろした3人
周りは歌姫のライブを心待ちにしている様子の一般市民で溢れていた
どうして私が残るの
どうしてこんな時にあみだくじでハズレ引いちゃったの
やっぱり納得できないよ・・・・
コビーとヘルメッポの間に収まったルナは体育座りでぐるぐると悲しい思考が止まらず小さい体を更に小さくして黙り込んでいた
2人が・・・2人が戻ってこれなかったら・・・
俯いて視界に影が差すとそれに引きずられるように思考は闇に飲まれていくようだった
ポン
ポンポン・・・
頭と背中に暖かな手が置かれた
安心感を覚える感触を感じて、ルナは弾かれたように顔を上げると、右と左からコビーとヘルメッポがルナを覗き込んで、いつもの安心させてくれる笑顔を向けていた
ヘルくんの方は首からかけた赤色の謎のフワフワが視界を遮っていたが、サングラス越しでもわかる優しい視線を感じる
・・・ぁあ、そうだね
解決すればいいんだね
そして、みんなで帰ろう
その為に頑張ればいいんだった
モモンガ中将と出掛ける約束もしてきた
2人がいれば私は絶対大丈夫
2人の笑顔に応えるようにルナは笑顔を作って、2人の大きな背中に腕を回して抱き寄せた
みんなのために頑張ろう
みんなの笑顔を守るんだ
暫くすると辺りが暗くなって、観客席はペンライトの灯りだけが光る
〜〜新時代は こーの未来だー♪♪
世界中全部 変えてしまえばー♪♪
『!!コビー!ヘルくん!?』
歌が始まった途端突然、両隣に座ったコビーとヘルメッポがガクンっとルナの肩へしなだれかかってきた
「くーくー」
「かーッかーッ」
少し焦ったルナだったが、2人とも気持ちよさそうに眠っているだけのようで少しだけ安心した
ステージの方に目を向けると、フードを目深に被った人影が1人歌っていた
ピンク色メインのカラフルなオーバーサイズパーカーで遠くで立っているだけでも惹きつけられるものがある
顔は見えないがおそらくあれが“歌姫”だろう
あれは本当に“彼女”なんだろうか
あの日からどれだけの時が経っただろう
最後だなんて思わなかったから、サヨナラなんて言ってない
次戻ってきた時は2人で考えた歌を一緒に歌おうって約束した
だけど、戻ってきた赤髪海賊団の船にウタはおらず、誰もウタの事を教えてくれなかった
みんな悲しい顔をするから、聞いてはイケナイ事のように思えて、聞けず記憶の隅にやって・・・・忘れてしまっていた
あの時、私はもっと知ろうとするべきだった
忘れてはいけなかった
もっと・・・・できることはあった
『・・・絶対に助けなきゃ』
おそらくウタワールドに無事潜入したコビーとヘルメッポの手をきゅっと掴み、意識を保っていることを誰にも悟られないように息を潜めて、ルナは“歌姫”の様子を伺うことにした
これからの不穏な出来事を形にしたように生暗く重たい空から、生暖かい雨が降り始めた