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『!!・・・凄い数の・・・海軍の船だ』
ヘルメッポとコビーの間で息を潜めていたルナがぽつりと呟いた
入江がザワザワと騒がしくなってきたのだ
ルナの見聞色の覇気で感じ取ったのは多数の軍艦
30隻ほどの数がいる
“歌姫”はステージから消えてしばらく経ち、小雨がチラついて来ていた
ふと近くに感じられるのは、大目付センゴクとおつるについて行ったドレスローザで出会った新しい大将と、大好きなあの人の気配
“会いたいなぁ・・・”
だんだんと近づいてきた海兵たちの気配に切ないような胸がきゅっとなる感じを覚えたときだった
ふらふらふらふら
『え!?わっ!だ、大丈夫!?』
突然コビーとヘルメッポが立ち上がり、ゆらゆら揺れながら移動をはじめた
反動もつけず、おおよそ人の通常の動きとは異なる立ち上がり方をした2人に操られているのだとルナは確信する
『コビー?コビー聞こえますか?コビー?』
SWORDのでんでん虫は何度も何度も呼びかけてみるが、全く応答がない
コビーに見聞色の覇気が使えないかと試してもみるが、意識を集中させてもチラチラと森の映像や人混みが映るのみで、今のところ意思疎通はできていない
映像でんでん虫がモニターに映し出す映像からは、ルフィ達に楽しそうに話しかけている大人になったウタの姿だった
ルフィの姿を見て、このままルフィがウタの説得に成功して戻ってきてくれないか・・・と淡い期待もしてみる
『あ、何処行くの?待って!』
ルナは物凄く不自然な態勢で跳躍してステージに向かう2人を慌てて追いかけて跳躍した
「これは・・・・なんだ?」
小雨の振り込むステージから観客席を見たモモンガは、驚きにそれ以上の言葉を紡げずにいた
どこまでも続く倒れた観客
一人も意識のいる者はいないようだった
まさに地獄絵図
“武装偵察第四班からモモンガ中将へ 観客の意識戻らず意識戻らず”
モモンガ宛に偵察部隊からの報告が入った
「まさか・・・!全員死んでいるのか・・・!?」
ステージに降り立ったモモンガは、ステージの袖や観客席に倒れた人を見て驚愕していた
「寝てるだけ」
そこにバスケット手にした赤と白の髪をウサギのようにピョコンと結い上げた“歌姫”ウタがケラケラと笑いながら現れた
「でも起きないよ、絶対に」
警戒したモモンガの指示により、部下の海兵達が小銃を構えるが、ウタは怯みもせずにモモンガの方へ歩み寄ってきた
「・・・・」
「私を殺したらこの人たちの心は永遠に戻ってこないけど、それでもいいのかな?」
「お嬢さん・・・」
にこにこと世間話でもするように物騒なことをいうウタに声をかけたのは藤虎
ウタの背後から複数人の部下とともに音もなく現れた
モモンガと対峙したウタは視線と意識をそちらに向けてにこやかだった表情から少し色が変わった
「お嬢さんの悪魔の実の能力については十分に理解してやすよ」
刀に手はかけているものの、いつもと変わらない落ち着いた声色で藤虎はウタに話しかけた
「なら説明はいらないよね?はーい帰って!どうせあと少しであたしはこっちから消えるんだから」
そう言いながらウタがその場に座り込み、バスケットから取り出したのはピンク色のキノコ
それを躊躇いもなくむしゃむしゃと食べはじめた
「・・この匂いは・・・ネズキノコですかぃ?」
ウタを挟んでモモンガの反対側に立つ藤虎が鼻をヒクヒクさせた後にウタに訪ねた
「せーかい!」
親指をグッと立てて、にこやかにウタが回答した
“この距離で生のキノコを臭いで判別できるのか!!?”
と内心、藤虎に驚いていたモモンガだったが、言葉にするのも顔に出すのも今は非常に場違いだと思い、澄ました顔を崩さず取り繕った
その間にもウタはどんどんネズキノコを口に入れていく
“生で食べても大丈夫なのか?!”
という疑問も、表情には一切出さず、聞いたことのない“ネズキノコ”という単語を言葉に出した後は、ウタを警戒し続けている風に装うことに成功した・・・筈だ
「そのキノコを食べた者は眠ることができなくなり・・やがて死に至る・・・」
モモンガの呟きに答えたのは藤虎
ネズキノコの特性について語ってくれた
その内容を聞いたモモンガは、ハッと最悪の未来がよぎった
「貴様!観客達も巻き込んで死ぬつもりか!」
想像通りであれば恐ろしすぎる計画に、モモンガは額に青筋を浮かべ、怒りを態度に出してウタに歩み寄る
「死ぬって何?大切なのは身体より心じゃないの?新時代はみんな一緒に心で生き続けるものなんだよ?」
ウタはモモンガの怒りを本気で理解できないといった風に、座ったままるモモンガを見上げた
「できれば血は流したくねぇんで、止めてもらうことはできやせんか?」
藤虎もモモンガ同様、ウタの間合いの中まで侵入して刀を抜きながら、先程と違い怒気を含んだ声色でウタに告げる
「・・・世界転覆計画を」
モモンガは藤虎の言葉にゴクリと生唾を飲み込んだ
「え?なにそれ。あたしはみんなに幸せになってほしいだけだって」
藤虎の言葉に、頭おかしいんじゃないの?と聞こえてきそうな顔で疑問符を飛ばすウタ
藤虎との交渉は決裂だろう
「・・・どうやら、話の通じる相手じゃないようですね」
ウタの答えを藤虎も同じように受け取ったようだ
「あなた達こそね」
そういってウタは大きく息を吸った
「おっと!・・・歌声さえ塞げば貴様は無力だ!」
ウタの歌声が響くより前に、モモンガが言葉を遮り取り出したヘッドフォンを装着する
周りの部下や藤虎もそれに習った
「残念、もう遅いの・・・」
ウタの言葉の直後、ウタの左右、藤虎とモモンガとの間に、誰かが飛び降りてきた
飛び込んできたのはラフな格好をしたコビー大佐と、若干チャラ付いた格好のヘルメッポ少佐だった
「こ、コビー大佐!?こいつはどういう了見だぃ!!?」
藤虎はウタを守るように飛び込んできたコビーを批難するように強い口調で問いただす
「カー・・クー・・カー」
コビーもヘルメッポもゆらゆらと揺れながらよく見ると目を閉じ寝息をたてているようだった
まさか、ウタウタの能力に取り込まれた人間は身体を乗っ取られるのか!?
「みんな!悪い人たちがいるよ!新時代のために皆でやっつけよう!」
冷や汗を流すモモンガの前でスッと立ち上がったウタが笑顔で声をかけると、観客席で寝ていた観客達がコビー達と同じようにふらふらゆらゆらと変な体制で立ち上がった
そのゾンビのような動きに動揺する海兵達
市民に銃を構える者も出てきて、藤虎は、すかさず銃を納めるよう指示を出す
しかしそうしている間に次々と若い海兵達は、操られた市民に羽交い締めにされヘッドフォンを奪われはじめた
♪♪一人ぼっちには飽き飽きなの 繋がっていたいの〜〜♪♪♪
ウタが海兵たちの隙をついてウタを口ずさむ
♪♪純真無垢な想『だめッッッ!!』モガッッッ
「!!ルナ!?」
「・・・!」