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*にまいめ【救護活動はこんな感じ】

 城に帰ると治療院の人たちが、おれたちを迎えてくれる。
 救護要請が入ると連絡がいくようになってるからね。
 おれたちの仕事は冒険者さんたちの容態を伝えて完了。

 ちゃんとした治療なんかは治療院の人がやってくれるから、おれたちは班の方へ戻った。

「んーあの様子だとボーナスは期待できないねぇ」

 ヨナスがやれやれとため息をつきながら言う。

「仕方ないね。初心者さんのパーティーだからね。
 目が覚めたあとでの所持金申告が楽しみだね~」

「全くぅ……副長ちゃんは気楽で良いね~」

 ワシャワシャとヨナスはおれの髪をかき回した。

「ちょ、ヨナス! 子ども扱いしないでよ!」

「え~子どもでしょ、副長ちゃんは。
 オレよりちっちゃくて年下じゃん。班で一番くらいに幼く見えるし~」

「班で一番くらいって……むっか~!」

 おれはヨナスをにらみつける。
 けれど向こうは、にこにこ楽しそうにしているばかり。
 怒れば怒るほど、ヨナスを喜ばせてるって分かるんだけど……やっぱり頭にくる。

「またあなたですか、ヨナスさん? 私のカワイイ、カナリをからかうのは」

 そんなにらみ合い(?)の場へ声をかけてきたのはアニキだった。

「アトルちゃん、だってさぁ~。
 副長ちゃんからかうのホントに楽しいんだもん。ついついねぇ~(^◇^)/」

「それは分かりますが、カナリをからかって良いのは私だけです」

 いやいや、それも違うって。分からないでいいよ~、そんなことは。

「おっ、ブラコンパワー全開だねぇ(*'∀')」

「なんと言われようと、カナリは私のカワイイ弟です。あなたのオモチャにはさせません!」

 にこにこ楽しそうなヨナスと、それをにらむアニキ。
 これまたにらみ合いになってる。このままじゃ、終わりそうにないね( ̄▽ ̄;)
 しかも、はじめはおれが怒ってたのに……もう怒る気なくなったよ。

「アニキ、カワイイとか言わないでよ。もうこの話は終わり~」

「は~い、了解で~す♪」

 ヨナスはプラプラと手を振って行ってしまった。

「全く、ヨナスさんといい班長さんといい……」

 アニキはその後ろ姿をにらんでつぶやく。

「アニキもだよ。それより、早く持ち場に戻ったら?」

「はいはい、分かりました。あなたにケガがなくて良かったです」

 にっこり微笑んで、アニキも行ってしまった。


 こんな風におれたちは仕事をしているんだ。
 救護要請が一度も入らない日もあるし、騎士団の中では楽な部署かもね。
 まぁ、オモテで大活躍したい人には勤まらないけどね~。
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