*よんまいめ【班長さんと剣探しinジパング】
ご老人はこの町の長老さんだった。
お名前はナガニさん。息子さんが町長さんで、そのご意見番的な役割をしているみたい。
案内されたお宅は他の家よりも大きくて立派。
一般的なお家の3つ分はある広さで屋根も高かった。
この国の建物は、外見も随分とおれたちのものとは違っていたけれど、その内装もこれまた違うね~。
天井は太い木の骨組みと葺かれている細い植物が見えている。
壁は木の板を組み合わせたもので、
案内された客間らしいこの部屋の中心には四角い木の枠で囲まれた所がある。
その中には細かな砂が入っていて何やら焦げたような跡がある。
そしてその周りには厚手の布で作られた敷物がしかれていて、
クッションの薄くなったようなものが四方に並べられていた。
「ウワッ! 何コレ、フニャフニャしてマ~ス♪」
「それは座布団じゃ。お主のクニにはないのか?」
「ハイ、アリマセ~ン! 似たようなクッションはアリマスが、この倍厚みアリマ~ス!」
「……班長さん、もうそのしゃべり方やめて下さい。何だか疲れます(-_-;)」
座布団を持ち上げて、うらっかえしたり、つまんでみたり楽しそうな班長さん。
さっきと変わらずカタコト口調なので、聞いてくれるか分からないけど言ってみる。
「んん? カナちゃんが疲れる……じゃ、や~めた。
それにしてもコレ、ザブトンっていうのか~。なんかオモシロイ♪ じゃ、これは?」
班長さんは、はじめて見るものに興味津々。ナガニさんにあれこれと聞いている。
全くぅ……そんなことよりも、聞かなきゃいけないことが他にあると思うんだけどなぁ(-_-;)
「父上がガイジンをわが家へ連れて行ったと町の人が教えてくれましたが、本当でしたか……」
そんなこんなしていたら、50代後半くらいの男性が部屋に入って来た。
「ん? クラジ帰って来たか。
あのまま立ち話をしたら、皆を不安にさせると思ってな」
「そうでしたか。確かにこのようなガイジンが町をウロウロしていたらそうかもしれませんね」
「そうじゃろう。そこでわしがこ奴らを連れて来たのじゃ。
クラジ、お前も話をきいてやれ。なんでも不思議なチカラを持つ剣を探しに来たと言っておる」
部屋に入って来た男性はこの町の町長クラジさんだった。
町の人の話を聞いて、急いで帰って来たみたい。
おれたちは中央の四角い所……ここは囲炉裏と言うみたい……を囲み、それぞれ座る。
「不思議なチカラを持つ剣ですか……」
「そうそう、俺の手に入れた情報だとネ、その剣を振るうと特殊な効果があるらしくってネ~♪
まぁ、どんな効果なのかまでは分からないみたいなんだけどネ」
「……そうですねぇ、この国でそのような特別な剣と言えば神話に出てくる草薙の剣でしょうね」
クラジさんは同意を求めるようにナガニさんの方を向く。
ナガニさんはうなずき、
「そうじゃな。須佐之男命 の 八岐大蛇 退治の神話じゃな」
「ヤマタノオロチ? オロチって今話題のカイブツの? まぁ、お子さま情報でのだけどネ」
「今国を脅かしているヤマタノオロチは子どもらでも知っておるからのぉ。
じゃが、そのヤマタノオロチと神話の八岐大蛇は別モノじゃ。
神話は今より太古の昔、この地や神々が生まれしころの話でのぉ……。
神話の大蛇と姿形が似ておるのでそう呼んでおるだけじゃよ」
「へ~神話ってどんななの? 俺知りたいの~(^^♪」
「知りたいか、ならば教えてやろう。
……この国ができる太古の昔、須佐之男命という神がおった。
この須佐之男命は色々とやんちゃをしてのぉ、高天原を追放されたのじゃ。
高天原というのは神々が住まうところじゃ。
そこを追放された須佐之男命が地上に降り立つと、川上から箸が流れて来たのを見つけた」
「ハシ? それって川に架かってるモノだよな? なんかスゴイな~神話♪」
「その橋じゃないぞ。お主らの国にはないのか?
食事のときに使う道具じゃよ。ちょうどこの……」
ナガニさんは囲炉裏のそばに置いていた2本の棒をおれたちに見せる。
そして器用にそれで囲炉裏の中にあった小石をつまみ上げた。
「この箸が流れて来たので川上に人が居ると思った須佐之男命は、川を上がってみたのじゃ。
すると美しい娘を間に老夫婦が泣いておった。須佐之男命がどうしたのかと話を聞くと……
夫婦の間には娘が8人いたが、年に一度人が誰も立ち入らぬ深い山の奥より
八岐大蛇という鬼灯のように赤い目をした8つの頭と8つの尾を持った巨大な蛇の化物が
やって来て娘を食べてしまうというのじゃ。
今年もその時期が近づいたため、最後に残った櫛名田比売 も食べられてしまうと泣いておった。
その娘に須佐之男命は一目ボレじゃ。大蛇を退治できたら結婚をしてほしいと申し出た」
「ウンウン、一目ボレしてカイブツ退治。よくある話だよね~♪」
「そうじゃな。好きになったものを助けたい、自然な流れじゃ。
で、その申し出に夫婦も娘もふたつ返事で了解した。
相手は化物じゃ。いかに須佐之男命が神であっても一筋縄で退治するのは難しい。
そこで夫婦にとてもとても強い酒を用意してもらい、
8つの門を作り、それぞれに酒の入った大きな桶を置いた。
酒の匂いにつられ、それを飲んだ大蛇は寝込み、
そのスキに十挙の剣 で須佐之男命は大蛇の斬り刻んだのじゃ。
尾の方へととりかかった時、十挙の剣が何かに当たって欠けてしもうた。
何かと思い尾を切り開くとな、そこから大刀が出てきたのじゃ。
それが伝説の天叢雲の剣 、別名草薙の剣。後の伝説にも登場し、何かと奇跡を起こした剣なのじゃ。
ヒミコさまの宮殿の奥、この国を創りたもうた天照大神さまを祀る神殿に安置されておる」
「へ~ふむふむ。八岐大蛇の尾から剣がねぇ♪ 実に興味深いネ~。
だけど大蛇の倒し方が卑怯だねぇ、寝込みを攻撃だなんてサ。
俺なら正面からカツン!とヤルけどねネ~♪」
「何を言うか。相手は自分の数十倍もある化物じゃぞ。
正面からいって簡単に倒せるはずないじゃろう」
「そっカナ~? 俺イケると思うんだよね♪
あ、そだ、今話題のヤマタノオロチ倒しちゃおっか? 尾から剣getできるカモだし(^^♪」
班長さんはとんでもないことを軽いノリで言う。ナガニさんはビックリして目を丸くする。
「な、なんと……そのようなこと……本当にできるものならしてもらいたいのじゃが」
「そうですね退治できるなら、ぜひお願いしたいです。
……実はこの神話と同じように今現在、
我が国を脅かしているヤマタノオロチが生け贄を要求しているのです。
町の娘がもう何人も犠牲になってしまって……」
「オロチを退治しようと何度か討伐隊が向かったが、誰も帰ってこんかった。
町一番の戦士たちじゃったがな……」
「生け贄って神話の中だけじゃないのですか?」
ナガニさんやクラジさんの話し方や表情を見るかぎり、
冗談を言っているようには見えないけど、思わず聞いてしまう。
娘さんたちが犠牲になっているだなんて……。
「忌々しいことに実際に起こっておることじゃ」
「それじゃ、俺がスサノオよりも正々堂々とビシバシ~ッとオロチを退治してみせましょうぞ♪
安心してください、負ける気はしないよん(^^♪」
「なんと、負ける気がしないのですか?」
にこにこ、班長さんは笑顔でうなずく。
「それならば、お願いする。わしの子どもや孫に娘はおらぬが、わが家の家宝をお主に贈ろう」
「あ、おヨメさんは特に希望してないんで大丈夫っす。俺にはココロに決めた人居るんですよん(^^♪
家宝をもらえる方がウレシイでっす♪」
「外の国から来た貴方がたにこのような大変なことをお願いして申し訳ないのですが、よろしくお願いします。
ヤマタノオロチのことはヒミコ様がよくご存知です。ヒミコ様の宮殿へご案内しますね」
「ハイハイ、了解~♪」
ということで、おれたちはクラジさんの案内でこの国の女王ヒミコさまの宮殿に向かった。
お名前はナガニさん。息子さんが町長さんで、そのご意見番的な役割をしているみたい。
案内されたお宅は他の家よりも大きくて立派。
一般的なお家の3つ分はある広さで屋根も高かった。
この国の建物は、外見も随分とおれたちのものとは違っていたけれど、その内装もこれまた違うね~。
天井は太い木の骨組みと葺かれている細い植物が見えている。
壁は木の板を組み合わせたもので、
案内された客間らしいこの部屋の中心には四角い木の枠で囲まれた所がある。
その中には細かな砂が入っていて何やら焦げたような跡がある。
そしてその周りには厚手の布で作られた敷物がしかれていて、
クッションの薄くなったようなものが四方に並べられていた。
「ウワッ! 何コレ、フニャフニャしてマ~ス♪」
「それは座布団じゃ。お主のクニにはないのか?」
「ハイ、アリマセ~ン! 似たようなクッションはアリマスが、この倍厚みアリマ~ス!」
「……班長さん、もうそのしゃべり方やめて下さい。何だか疲れます(-_-;)」
座布団を持ち上げて、うらっかえしたり、つまんでみたり楽しそうな班長さん。
さっきと変わらずカタコト口調なので、聞いてくれるか分からないけど言ってみる。
「んん? カナちゃんが疲れる……じゃ、や~めた。
それにしてもコレ、ザブトンっていうのか~。なんかオモシロイ♪ じゃ、これは?」
班長さんは、はじめて見るものに興味津々。ナガニさんにあれこれと聞いている。
全くぅ……そんなことよりも、聞かなきゃいけないことが他にあると思うんだけどなぁ(-_-;)
「父上がガイジンをわが家へ連れて行ったと町の人が教えてくれましたが、本当でしたか……」
そんなこんなしていたら、50代後半くらいの男性が部屋に入って来た。
「ん? クラジ帰って来たか。
あのまま立ち話をしたら、皆を不安にさせると思ってな」
「そうでしたか。確かにこのようなガイジンが町をウロウロしていたらそうかもしれませんね」
「そうじゃろう。そこでわしがこ奴らを連れて来たのじゃ。
クラジ、お前も話をきいてやれ。なんでも不思議なチカラを持つ剣を探しに来たと言っておる」
部屋に入って来た男性はこの町の町長クラジさんだった。
町の人の話を聞いて、急いで帰って来たみたい。
おれたちは中央の四角い所……ここは囲炉裏と言うみたい……を囲み、それぞれ座る。
「不思議なチカラを持つ剣ですか……」
「そうそう、俺の手に入れた情報だとネ、その剣を振るうと特殊な効果があるらしくってネ~♪
まぁ、どんな効果なのかまでは分からないみたいなんだけどネ」
「……そうですねぇ、この国でそのような特別な剣と言えば神話に出てくる草薙の剣でしょうね」
クラジさんは同意を求めるようにナガニさんの方を向く。
ナガニさんはうなずき、
「そうじゃな。
「ヤマタノオロチ? オロチって今話題のカイブツの? まぁ、お子さま情報でのだけどネ」
「今国を脅かしているヤマタノオロチは子どもらでも知っておるからのぉ。
じゃが、そのヤマタノオロチと神話の八岐大蛇は別モノじゃ。
神話は今より太古の昔、この地や神々が生まれしころの話でのぉ……。
神話の大蛇と姿形が似ておるのでそう呼んでおるだけじゃよ」
「へ~神話ってどんななの? 俺知りたいの~(^^♪」
「知りたいか、ならば教えてやろう。
……この国ができる太古の昔、須佐之男命という神がおった。
この須佐之男命は色々とやんちゃをしてのぉ、高天原を追放されたのじゃ。
高天原というのは神々が住まうところじゃ。
そこを追放された須佐之男命が地上に降り立つと、川上から箸が流れて来たのを見つけた」
「ハシ? それって川に架かってるモノだよな? なんかスゴイな~神話♪」
「その橋じゃないぞ。お主らの国にはないのか?
食事のときに使う道具じゃよ。ちょうどこの……」
ナガニさんは囲炉裏のそばに置いていた2本の棒をおれたちに見せる。
そして器用にそれで囲炉裏の中にあった小石をつまみ上げた。
「この箸が流れて来たので川上に人が居ると思った須佐之男命は、川を上がってみたのじゃ。
すると美しい娘を間に老夫婦が泣いておった。須佐之男命がどうしたのかと話を聞くと……
夫婦の間には娘が8人いたが、年に一度人が誰も立ち入らぬ深い山の奥より
八岐大蛇という鬼灯のように赤い目をした8つの頭と8つの尾を持った巨大な蛇の化物が
やって来て娘を食べてしまうというのじゃ。
今年もその時期が近づいたため、最後に残った
その娘に須佐之男命は一目ボレじゃ。大蛇を退治できたら結婚をしてほしいと申し出た」
「ウンウン、一目ボレしてカイブツ退治。よくある話だよね~♪」
「そうじゃな。好きになったものを助けたい、自然な流れじゃ。
で、その申し出に夫婦も娘もふたつ返事で了解した。
相手は化物じゃ。いかに須佐之男命が神であっても一筋縄で退治するのは難しい。
そこで夫婦にとてもとても強い酒を用意してもらい、
8つの門を作り、それぞれに酒の入った大きな桶を置いた。
酒の匂いにつられ、それを飲んだ大蛇は寝込み、
そのスキに
尾の方へととりかかった時、十挙の剣が何かに当たって欠けてしもうた。
何かと思い尾を切り開くとな、そこから大刀が出てきたのじゃ。
それが伝説の
ヒミコさまの宮殿の奥、この国を創りたもうた天照大神さまを祀る神殿に安置されておる」
「へ~ふむふむ。八岐大蛇の尾から剣がねぇ♪ 実に興味深いネ~。
だけど大蛇の倒し方が卑怯だねぇ、寝込みを攻撃だなんてサ。
俺なら正面からカツン!とヤルけどねネ~♪」
「何を言うか。相手は自分の数十倍もある化物じゃぞ。
正面からいって簡単に倒せるはずないじゃろう」
「そっカナ~? 俺イケると思うんだよね♪
あ、そだ、今話題のヤマタノオロチ倒しちゃおっか? 尾から剣getできるカモだし(^^♪」
班長さんはとんでもないことを軽いノリで言う。ナガニさんはビックリして目を丸くする。
「な、なんと……そのようなこと……本当にできるものならしてもらいたいのじゃが」
「そうですね退治できるなら、ぜひお願いしたいです。
……実はこの神話と同じように今現在、
我が国を脅かしているヤマタノオロチが生け贄を要求しているのです。
町の娘がもう何人も犠牲になってしまって……」
「オロチを退治しようと何度か討伐隊が向かったが、誰も帰ってこんかった。
町一番の戦士たちじゃったがな……」
「生け贄って神話の中だけじゃないのですか?」
ナガニさんやクラジさんの話し方や表情を見るかぎり、
冗談を言っているようには見えないけど、思わず聞いてしまう。
娘さんたちが犠牲になっているだなんて……。
「忌々しいことに実際に起こっておることじゃ」
「それじゃ、俺がスサノオよりも正々堂々とビシバシ~ッとオロチを退治してみせましょうぞ♪
安心してください、負ける気はしないよん(^^♪」
「なんと、負ける気がしないのですか?」
にこにこ、班長さんは笑顔でうなずく。
「それならば、お願いする。わしの子どもや孫に娘はおらぬが、わが家の家宝をお主に贈ろう」
「あ、おヨメさんは特に希望してないんで大丈夫っす。俺にはココロに決めた人居るんですよん(^^♪
家宝をもらえる方がウレシイでっす♪」
「外の国から来た貴方がたにこのような大変なことをお願いして申し訳ないのですが、よろしくお願いします。
ヤマタノオロチのことはヒミコ様がよくご存知です。ヒミコ様の宮殿へご案内しますね」
「ハイハイ、了解~♪」
ということで、おれたちはクラジさんの案内でこの国の女王ヒミコさまの宮殿に向かった。