『うわーん………グスグス。』
山吹が泣いた。…ってことは
ハーフがコンプレックスで寝子たちから
いじめられてたってことか…なんとなくわかる
「………泣いてもいいよ、イブキ。」
結局泣き止むまで和真さんはまってくれた。
落ちついてから、ボクは和真さんに
ここにきた理由を話すことにした。
「…おまえの両親はどんな人だった？
『父さまは人間でたしか東京ってところで
生まれたっていってました。
母さまはここで働いていて数すくない美人で
お店の看板猫だったらしいです。
でも…ハーフの寝子は身分が一番下で…
ボクはなんで生まれてきたのだろうと悩んでました。そんなとき、お母さんの言葉を
思いだして…《イブキは私たち譲りの気品のある娘。私はずっと身分に苦しんできた。
そんなときに父さまと出会って幸せになれたのよ、まるでシンデレラみたいに、不思議よね。その後にイブキが生まれたの。身分のことは気にしないで、イブキ。あなたが私の希望だから。だから泣かないで。私たちがいつまでも味方ってことは忘れないで。》って。
「……それだけ大事にされてたってことだろ
イブキ。オレは逆に小さい頃、親父から暴力受けたのがトラウマで、今は離婚して母さんと暮らしてる。でもトラウマが原因で
友達もできないし、ずっと1人だった。
そんな時に、幼馴染から教えてもらってさ
会員になったんだけど…こんなに可愛い寝子がいるなんてなーって、、でもイブキは他の寝子とは違った。俺と似てるなって感じたんだ
俺もイブキとしゃべれて楽になれるんだ。
とっても楽しいよ。」
笑みをこぼした和真さん。ボクはきゅん。ときてしまった。
『……………ボクもです！まさかいっしょだったなんて………。えへへ。
「…………確かにな。………おまえ、近くで見ると
可愛いな。」
『…………和真さんこそ、かっこいいです。
お互いに真っ赤になるボクたち。
ここから運命の歯車が動き出す…