「ごめんなさい！！」

チ～ン。振られてしまった。
そう、Aは今日狙っていた幼馴染の
女の子「カオリ」に振られてしまったのだ。

Aの心にはぽっかり穴が空き、
簡単に言えばお先真っ暗。
Aはショックで
傷心のままカオリを後にし、
繁華街の街をぶらつくことにしたが、
失恋のショックの心の傷は一日だけじゃ
消えないというものだ。

「ちくしょう、
俺なんてどうせ負け犬だぁ！」

しばらくAが夜の
繁華街の街で歩いていると
見慣れない電柱がそこに
たっていたので思わずAは
そのポスターを二度もガン見した。

「そういえばここに
電柱なんてものあったっけ？」

電柱には奇妙な
日本では見慣れない怪しげな
ポスターがあり、角ばった奇妙な文字の
下には汚い文字で
『あいどるをいくせいしよう』
と日本語で書かれていたので、
Aは察した。『そうか
「アイドルの養成所」みたいなものか、
でも俺には関係ないかな…』
とそう思った瞬間だった！

「うっうわーーーー！！」

Aがそのポスターに
手をかけた瞬間、
Aの体が急に液状化し、
そのポスターにまるで
飲み込まれていったのだ。

もちろん周りに人がいないので、
誰も通報しようがなかった。

（…ふっふっふ、
いい男がひっかかったわ。）

と小さな声がどこからか聞こえてきた、
そんな気がする。


数時間後、Aは
目をうっすらと目を覚ました。
あたり一面はみなれない
景色が広がっていた。
まるで海の底にいるような感覚。
しかし息はできる。
というか少なくともここは、
俺の知っている
日本ではなさそう。
むしろ簡単に言えば『異世界』に近い。

とりあえずここは
日本ではないと察したAは
早くここから脱出するべくあちこちを
散策してみることにしたの
だがどうやらここの場所にいた
先住民のエンシェントマーメイモンに
早くもバレてしまったようだ。

「あら、あなたは
どこから来たのかしら？」

「お、おれはAだ。き、君は？」

「私の名前は
エンシェントマーメイモンよ。
デジモンよ。貴方の名前は
人間のAさんね。素敵な名前ね。
もしかしてこの世界に迷ってきたの？」

Aはエンシェントマーメイモンに
「そうだ」と告げた。すると

「もしかして、Aさんは、
選ばれちゃったかもね」

とエンシェントマーメイモンは答えた。
どうやらエンシェント
マーメイモンには下に妹が
2人いるらしく、エンシェント
マーメイモンは長女にあたり、
次女のカルマーラモンは
元アイドルだが末っ子のラーナモンは
アイドル志願らしく、
つい最近の話になるが、
リアルワールド（Aがいた
世界でいわゆる現実世界）の
繁華街に怪しげな電柱＋
ポスターを立てて、ラーナモンの
マネージャーを探すべく
勧誘のための活動をやっていたようだ。

つまりAは
その中のラーナモンの
マネージャーに
選ばれてしまった！ということだ。

「まじかよ…」

「でもリアルワールド
に戻りたいんでしょ？
だったらやるっきゃない
でしょ？Aさん？」

「たしかにそうだが…どうして俺が」

でもAはまだその
ラーナモンには対面していなかったので、
エンシェントマーメイモンの
協力でそのアイドル志願の
ラーナモンに対面する事になった。

「ここよ」

「し、しつれいします。」

Aはなんだか弱気になっている。

エンシェントマーメイモンと共に、
部屋に入るとそこは小さな
コンサート広場になっていて、
コンサート会場には
ラーナモンが歌を歌っていた。
なかなかかわいらしい
歌声がこだましていたが、
まだまだ客は少なく、
ちょっとさみしいかんじ。

「あ、あなたは！」

コンサート途中だが
ラーナモンがAに気がついた。
意外と察するのが早いラーナモンだった。