序章〜子供時代編
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「かくかく〜!来たぞ〜!」
「あ!オーバくんいらっしゃい!・・・と、あ!デンジくんだ!」
「よう」
とある午後。
今日は私がオーバくんの先生になる日だ。宿題のわからないところを教えながら一緒に問題を解く。
家の庭で育てている植物達に水やりをしながら待っていたら、オーバくんとデンジくんが揃ってやって来た。
デンジくんがくるなんて珍しい。オーバくんは家に何回か来た事があるけれど、彼が来るのは初めてだ。
「お前の家見学してみたいって、前にデンジが言ってたから。せっかくだから連れてきたんだよ」
「突然悪いな」
「いいよ全然!見たいなら早く言ってくれればいいのに!ゆっくりしていって!」
大歓迎に決まってるじゃないか!
子供が遊ぶようなものは殆どないがゆっくりしていってくれたまえ。
どうぞどうぞ。と促せば、お邪魔しまーす!!と元気よく挨拶するオーバくんと、お邪魔します。とテンション低めな声のデンジくんが対照的で面白い。
二人の声が聞こえたのか「いらっしゃーい!かくかく飲み物いるー?」「ハッピッピーーー!!!」とお母さんとピーちゃんが顔を出す。
予想外にテンションの高いハピナスがいてびっくりしたのか、デンジくんが「うおっ!?」って素で驚いていたのが面白かった。この間の浜辺ではピーちゃんのんびりビーチパラソルの下で寝てたもんなあ…。
我が家のマスコットキャラちょっとテンション高いけど気にしないでくれ。
父がいる研究室に向かう道すがら、デンジくんは廊下に適当に置いてある機材やダンボールにごそっと入ったパイプや謎の電子部品に目をキラキラさせて「おおお…」とか「欲しい」とか言っていた。君、本当にガラクタ好きだな…。さすが機械少年デンジくん。
自宅兼ポケモン研究所になっている建物が物珍しいのも相待ってか、視線がキョロキョロと忙しない。
「お父さんかくかくだけど、今入ってもいい?」
「どうぞ〜。この有機水銀の含有量が…これはむしろ海中からバクテリアを通して…おや、いらっしゃい」
「二人がね、見学したいんだって。いいかな?」
「ああ、構わないよ。ポケモンに興味を持ってくれるのは嬉しいからね〜。そこの床、滑るから気をつけて」
「…すげえ。面白いなお前の家」
「だろ!?だからすげーって言っただろ!?」
「何でオーバが得意そうな顔するんだよ」
「あはは」
声をかけて研究室の扉を開けると、長靴を履いて白衣を着たお父さんが脚立の上に座って助手の人にあれこれ指示を出していた。
ドククラゲが入った巨大な水槽から一定間隔で何かの数値が表記され、そこからケーブルで繋がった特殊な印刷機からはガリガリと音を立て折れ線グラフの書かれた紙が排出されている。今だに何の機械なのかはよく分からないが、何だかすごそうな機械だという事だけはわかる。
研究室はほとんどがタイル張りで、ところどころに排水用の格子が嵌められている。そして壁の角には掃除用のデッキブラシが立てかけてあり、その付近にはお父さんのパートナーポケモンであるヒヤッキーがいつも通りの柔和な顔でブラシを片手に佇んでいた。まるで置物のように微動だにしない。
ヒヤッキーはシンオウ地方では物凄く珍しいので、オーバくんもデンジくんも「このポケモンなんだ!?!」と大興奮だったけれど、ヒヤッキーは二人をチラリと一瞥するだけでそれ以上動くことはなかった。
別に無視してる訳じゃないんだよね。職人気質なだけで。
彼はボールから出ている時は何故かブラシの出番が来るまでこうやっていつも衛兵のように佇んでいる。私は彼のそのスタイルの貫き加減に尊敬を込めて「おひや先生」と呼んでいる。
おひや先生に愚痴をこぼすと、全部聞いた後にやたらと低い声で「…ヒヤッ」と一言だけ鳴いて頷いてくれる。父のおひや先生は柔和な顔して物凄い寡黙で格好いい。母のピーちゃんとは大違いである。
ピーちゃんもすごいいい子だけどね。私が赤ん坊の時によく面倒見て貰ったしね。(乳母車押してくれたりとか)
父は今、メノクラゲおよびその進化系であるドククラゲが体内で生成する毒素の成分にお熱で、育った水域によって成分がどのように変わってくるのか。という事を調べている。上手くいけば新しい薬が作れるかもしれないらしいので頑張って欲しい。
研究所には大型の水槽が並べられており、水域別に捕獲したメノクラゲが何匹も泳いでいるのでまるでクラゲ水族館のようだ。
「おじさんこんにちは!」
「やあオーバくん。いつもかくかくと遊んでくれてありがとう。えー、金髪の彼は海で会った子だね」
「デンジです。今日はよろしくお願いします」
「そうだそうだ、デンジくんだ。いらっしゃい、よく来たね。僕はここでポケモンの研究をしているんだ。…君たちポケモンは好きかい?」
「はい、大好きです!」
「俺も好き!」
「私もだ。気があうね」
はっはっは。とお父さんは笑って研究室にある機械をいろいろと簡単に彼らに説明を始めた。
ひとしきり話を聞いた後の二人はいろいろと大興奮で、自分のパートナーをお父さんにチェックしてもらったり楽しそうだ。
お父さん、専門がみずポケモンってだけで一般トレーナーよりはよっぽど知識あるもんね。そりゃ楽しいわ。
「最近オーバがやたらポケモンに詳しくなったと思ってたが…なるほどな」
「へへー!そういうこと!」
こいつには負けてられん!というようにデンジくんの目がメラメラ燃えている。
それからというもの、彼ら二人は入れ替わり立ち替わり我が家、というか研究所に顔を出すようになり、すっかり我が家で顔馴染みになった。
「…お父さん」
「どうしたかくかく?そんなふくれっ面して」
「なんか、お父さんに友達どっちもとられたみたいでちょっと寂しい…」
「…っ!」
「あ!オーバくんいらっしゃい!・・・と、あ!デンジくんだ!」
「よう」
とある午後。
今日は私がオーバくんの先生になる日だ。宿題のわからないところを教えながら一緒に問題を解く。
家の庭で育てている植物達に水やりをしながら待っていたら、オーバくんとデンジくんが揃ってやって来た。
デンジくんがくるなんて珍しい。オーバくんは家に何回か来た事があるけれど、彼が来るのは初めてだ。
「お前の家見学してみたいって、前にデンジが言ってたから。せっかくだから連れてきたんだよ」
「突然悪いな」
「いいよ全然!見たいなら早く言ってくれればいいのに!ゆっくりしていって!」
大歓迎に決まってるじゃないか!
子供が遊ぶようなものは殆どないがゆっくりしていってくれたまえ。
どうぞどうぞ。と促せば、お邪魔しまーす!!と元気よく挨拶するオーバくんと、お邪魔します。とテンション低めな声のデンジくんが対照的で面白い。
二人の声が聞こえたのか「いらっしゃーい!かくかく飲み物いるー?」「ハッピッピーーー!!!」とお母さんとピーちゃんが顔を出す。
予想外にテンションの高いハピナスがいてびっくりしたのか、デンジくんが「うおっ!?」って素で驚いていたのが面白かった。この間の浜辺ではピーちゃんのんびりビーチパラソルの下で寝てたもんなあ…。
我が家のマスコットキャラちょっとテンション高いけど気にしないでくれ。
父がいる研究室に向かう道すがら、デンジくんは廊下に適当に置いてある機材やダンボールにごそっと入ったパイプや謎の電子部品に目をキラキラさせて「おおお…」とか「欲しい」とか言っていた。君、本当にガラクタ好きだな…。さすが機械少年デンジくん。
自宅兼ポケモン研究所になっている建物が物珍しいのも相待ってか、視線がキョロキョロと忙しない。
「お父さんかくかくだけど、今入ってもいい?」
「どうぞ〜。この有機水銀の含有量が…これはむしろ海中からバクテリアを通して…おや、いらっしゃい」
「二人がね、見学したいんだって。いいかな?」
「ああ、構わないよ。ポケモンに興味を持ってくれるのは嬉しいからね〜。そこの床、滑るから気をつけて」
「…すげえ。面白いなお前の家」
「だろ!?だからすげーって言っただろ!?」
「何でオーバが得意そうな顔するんだよ」
「あはは」
声をかけて研究室の扉を開けると、長靴を履いて白衣を着たお父さんが脚立の上に座って助手の人にあれこれ指示を出していた。
ドククラゲが入った巨大な水槽から一定間隔で何かの数値が表記され、そこからケーブルで繋がった特殊な印刷機からはガリガリと音を立て折れ線グラフの書かれた紙が排出されている。今だに何の機械なのかはよく分からないが、何だかすごそうな機械だという事だけはわかる。
研究室はほとんどがタイル張りで、ところどころに排水用の格子が嵌められている。そして壁の角には掃除用のデッキブラシが立てかけてあり、その付近にはお父さんのパートナーポケモンであるヒヤッキーがいつも通りの柔和な顔でブラシを片手に佇んでいた。まるで置物のように微動だにしない。
ヒヤッキーはシンオウ地方では物凄く珍しいので、オーバくんもデンジくんも「このポケモンなんだ!?!」と大興奮だったけれど、ヒヤッキーは二人をチラリと一瞥するだけでそれ以上動くことはなかった。
別に無視してる訳じゃないんだよね。職人気質なだけで。
彼はボールから出ている時は何故かブラシの出番が来るまでこうやっていつも衛兵のように佇んでいる。私は彼のそのスタイルの貫き加減に尊敬を込めて「おひや先生」と呼んでいる。
おひや先生に愚痴をこぼすと、全部聞いた後にやたらと低い声で「…ヒヤッ」と一言だけ鳴いて頷いてくれる。父のおひや先生は柔和な顔して物凄い寡黙で格好いい。母のピーちゃんとは大違いである。
ピーちゃんもすごいいい子だけどね。私が赤ん坊の時によく面倒見て貰ったしね。(乳母車押してくれたりとか)
父は今、メノクラゲおよびその進化系であるドククラゲが体内で生成する毒素の成分にお熱で、育った水域によって成分がどのように変わってくるのか。という事を調べている。上手くいけば新しい薬が作れるかもしれないらしいので頑張って欲しい。
研究所には大型の水槽が並べられており、水域別に捕獲したメノクラゲが何匹も泳いでいるのでまるでクラゲ水族館のようだ。
「おじさんこんにちは!」
「やあオーバくん。いつもかくかくと遊んでくれてありがとう。えー、金髪の彼は海で会った子だね」
「デンジです。今日はよろしくお願いします」
「そうだそうだ、デンジくんだ。いらっしゃい、よく来たね。僕はここでポケモンの研究をしているんだ。…君たちポケモンは好きかい?」
「はい、大好きです!」
「俺も好き!」
「私もだ。気があうね」
はっはっは。とお父さんは笑って研究室にある機械をいろいろと簡単に彼らに説明を始めた。
ひとしきり話を聞いた後の二人はいろいろと大興奮で、自分のパートナーをお父さんにチェックしてもらったり楽しそうだ。
お父さん、専門がみずポケモンってだけで一般トレーナーよりはよっぽど知識あるもんね。そりゃ楽しいわ。
「最近オーバがやたらポケモンに詳しくなったと思ってたが…なるほどな」
「へへー!そういうこと!」
こいつには負けてられん!というようにデンジくんの目がメラメラ燃えている。
それからというもの、彼ら二人は入れ替わり立ち替わり我が家、というか研究所に顔を出すようになり、すっかり我が家で顔馴染みになった。
若干の嫉妬
「…お父さん」
「どうしたかくかく?そんなふくれっ面して」
「なんか、お父さんに友達どっちもとられたみたいでちょっと寂しい…」
「…っ!」