小噺
怪人アンサー「貴様は背後から気付かれないよう接近し注射するのが得意なんだったよな?」
注射男「そうだぜ。まるでカマイタチが如く颯爽と⋯」
怪「ならば何故 普段からストーキングしている口裂け女に惚れ薬を注射しない?何故真っ向から受け取って貰えない癖してチョコレート等に混ぜようとする?」
注「⋯お前たまにすっげぇ一方的に質問して来る時あるよな。」
怪「ただの怪人の疑問だ、気にするな。」
注「まあいいや、答えてやる。口裂けさんの美しい体に傷一つ付けたくねぇからに決まってんだろ。」
怪「傷?」
注「口裂けさんの白くて美しい素肌に、注射針の痕なんか付けたくねぇんだよ。注射針だけじゃねぇ、爪痕も、噛み跡も、キスマークも。」
怪「⋯身体だけの関係を築いたとしても尚、所有印は付けたくない⋯か。」
注「そ。だからたまに思うよ。口裂けさんを抱いた痕跡がねぇから、全部夢なんじゃないかって。単なる俺の妄想なんじゃねーのかって。」
怪「そうか⋯。」
注「傷は一つも付けない。代わりに口裂けさんの心に刻み付けるんだ。俺自身を。」
怪「⋯フッ。大層な愛だな。」
注「褒め言葉って事にしといてやらぁ。」
怪「好きにしろ。」
注「そーいや、テケテケのヤツ この間珍しくタートルネック着てたな。たまにあるけど、お前が原因か?」
怪「⋯ッ!? 私は別に何も⋯、」
注「お前らそれなりにやる事やってるよな、ロクに出来ねー癖して。」
怪「それ以上言うようなら下半身を切るぞ貴様⋯」
END