小噺
春休みにはまだ早いある日を境に、朝から登校する児童は居なくなった。校舎の中は夏休みとはまた違った寂しい静けさが広がっていた。
そんな中、彼女たちは変わらず深夜に校舎へ集まっている。
花子さん「ずーっとガラーンとしててさ。大人たちはずっとドアとか色々拭いてて、忙しそうだったわ。」
口裂け女「これじゃあ呼び出す児童も居なくて大変ね。」
花「今の日本がこんなんじゃ、誰も花子たちの噂する奴なんか居ないわよね。
⋯消えちゃわないよね、あたしたち⋯」
ヒキ子さん「⋯⋯そんなこと⋯」
テケテケ「ないよ!絶対ない!」
口「あら、自信満々ね。何か根拠があって?」
テ「ほらコレ見て!」
花「あっ」
【さとりんチャンネル:暇つぶしにサクッと知りたい怖い話】
ヒ「これ⋯もしかして⋯」
口「さとるったら、ついに動画配信まで始めたのね。」
花「しかも女装してるし⋯」
ヒ「⋯意外と再生数もチャンネル登録者数も多いんですね⋯」
テ「アンサーさんや車道くんも私達のことを色々書き込みしてるみたいで・・・SNSや動画配信とか、こんなに沢山あるんだもん、色んな人が怪談を語る方法があるよ!」
花「⋯そっか。みんな噂されるためにがんばってるのね。ありがとテケテケ!しょぼくれてなんかいられないわよね!」
テ「どういたしまして〜。」
口「でも人間じゃなくて怪異が書き込みしてて良いのかしら?」
テ「も〜口裂けさんっ!」
ヒ「ほかにも⋯都市伝説や怖い話を語るチャンネルが色々あるみたいですね⋯⋯今から生配信?」
花「へー!さとるの奴どんなに上手く語れてるか観てやろうじゃない!」
テ「賛成〜!」
口「ふふ、少しは再生数を稼いであげましょ。」
花「あたしコメントする〜!」
お化け達は元気よく颯爽とパソコン室へ向かって行った。そう、怪異を語る術は、便利に手に持てる物で何でも知り得る様になった
語られる方法はこの現代日本には沢山ある。今こうして居る間にも、誰かの口で、指先で、ペン先で、語られて居るのかも知れない。
花「いや怪談を紹介する配信じゃないんかい。」
口「私達は何を見せられているのかしら。」
テ「男性ファンが多いんだねぇ。」
ヒ「⋯⋯⋯投げ銭凄い⋯。」
END