第1部
6月。梅雨時でじめじめとした憂鬱になる季節。しかし、ジューンブライド。6月に結婚をするカップルが幸せになれる、女性にとっては憧れの季節でもある─────
口裂け女「あら、このドレス素敵ねぇ。」
花子さん「あんたみたいなオバサンにこんな若そうなデザインなんてキッツいでしょ。」
口「あらあら、貴女の様な短足寸胴のお子様の方が似合う訳がなくてよ。」
花「はあ!?」
ヒキ子さん「⋯⋯テケテケさん、は⋯?」
テケテケ「え?私は⋯そうだな~⋯白地に黄色のお花付いてるコレ、好きだなぁ。」
花「私ならこれだね。」
テ「あ、それ可愛いー」
ウェディングドレスのカタログを囲んでキャッキャと会話を弾ませる女子メンバー。正に“女子会”である。
テ「ね、ねぇ皆⋯今日、何か静かじゃない?」
花「そう?」
口「静かと言えば静かね。あの五月蝿い野郎共が居ないからかしら?」
花「あ、確かに居ないわー。てか存在自体忘れてた(笑)」
口「あらー今日は意見が合うわね。私も完全に忘れてたわ。」
ヒ「⋯⋯⋯(こくん)」
テ「ちょ、みんな⋯」
“五月蝿い野郎共”。女子メンバーに恋するその男子メンバーは今夜は珍しく不在の様だ。
普段ならばこっそり女子会の様子を伺いながら妄想を語り合うが、結局は女子メンバーにぶちのめされる。これがお決まりの筈だが。
花「いいのよ。あいつら最近出番あり過ぎてお調子に乗っているから。」
口「そうよ。毎回毎回湧いて出て来る事ないのよ。」
テ「そ、そう言えばアンサーさん最近ツイッター始めたみた」
口「野郎の話は結構よ。」
テ「⋯すみません」
花「あんた最近アンサーの話するわねー。やけに嬉しそうに。」
口「やっぱり貴女怪人アンサーに気があるんじゃなくって?」
テ「へ⋯ッ!?」
女子達の質問に思わず顔が赤く染まるテケテケ。
テ「や、やっだー!そんな訳ないでしょ!友達だよ!友達っ!!」
口「ほほほ。口では幾らでも言えるわよ?最近メールも良くする仲なんですって?」
テ「何故口裂けさんがそれをっ!?」
花「お熱いねー。で、式はいつ?披露宴くらいは呼んでよ~?」
テ「も~花子ちゃんまで~!」
ヒ(怪人アンサー……、引き摺る引き摺る引き摺る引き摺る引き摺る引き摺る引き摺る引き摺る引き摺る引き摺る引き摺る引き摺る引き摺る引き摺る引き摺る引き摺る引き摺る引き摺る……)
キャーキャー騒ぐ女子メンバーの後ろでヒキ子さんが呪いの言葉を吐いていたとは誰も知らない。
口「まあ恋愛は人それぞれよね。」
テ「そ、そうだよっ!口裂けさんはどういう人と結婚したい?」
口「私?そりゃあ勿論私の美しさを理解出来る男よ。理解した上愛してくれる人ね。勿論、経済力もあって私の隣に並んでも恥ずかしくない清潔感のある外見よ。」
花「理想たっかー。」
口「あらあら、お子ちゃまには大人の理想が分からないようね。」
花「何よ!!花子にだって分かるわよ!」
テ「花子ちゃんはどんな人がタイプなの?」
花「花子はぁ⋯かっこよくて大人なやさしい紳士ね!」
口「やっぱり子供の理想じゃない。」
花「何ですってれ?」
テ「ヒキ子ちゃんは?」
ヒ「⋯え、と⋯優しくて、しっかりしていて⋯、笑顔が素敵な⋯人、でしょうか⋯?」
テ「へ~」
口(全てテケテケに当てはまるのは気のせいかしら⋯)
テ「やっぱり人それぞれなんだねぇ。」
「「そういう貴女・あんたは誰がタイプよ?」」
ヒ「⋯⋯気になる⋯」
テ「へっ⋯!?」
話はいきなりテケテケに振られた。
テ「ええ⋯と、私より少し年上で、背高くて⋯頭良くて⋯優しくて⋯あとは⋯ま、守ってくれる人⋯かな?」
(((やっぱ怪人アンサーか!!!)))
口「成る程、成る程。今後が楽しみになって来たわ。この後呑みに行きましょ?詳しく教えて貰うわよ?」
テ「く、口裂けさん~れ」
花「あんな変態のどこが良いんだか。ねーヒキ子⋯」
ヒ「引き摺る引き摺る引き摺る引き摺る引き摺る引き摺る引き摺る引き摺る引き摺る引き摺る引き摺る引き摺る引き摺る引き摺る引き摺る引き摺る引き摺る引き摺る引き摺る引き摺る引き摺る…」
花「ひぇっ⋯」
この後、暫く音信不通になった怪人アンサーとヒキ子さんは3日後に顔を出すようになる。
が、目撃者によると怪人アンサーは酷い傷だらけだったと言う。
END