第1部



4月某日。現在午前0時。
某小学校では桜が満開になった。薄紅の花弁が風に揺られて美しく散る。まさに日本の美とも言える。

こんな美しい桜が満開ともなれば、したい事は一つだけ─────




「「「お花見?」」」

テケテケ「そうなの!ほら、最近満開になったじゃない?だからお花見したいな~なんて!」

花子さん「あんたもそういうの好きね〜。」

口裂け女「確かに人間達も花見花見って騒いでいるわね。」

ヒキ子さん「⋯良い、提案だと⋯思います⋯」


毎晩日頃の愚痴を溢しに集まるお化け達。
しかしただ愚痴大会をしに毎晩集まっていくうちに、共に語り、喧嘩をし、笑い合い、彼女らは仲の良いグループへとなった。

都市伝説の対象なるお化けだと世間から恐れられたり嘘話だと笑われたりとしていたが、今となってはそれを忘れる位にお化けとしての日々を満喫している。

そして今日のイベントは花見という事でそれぞれ花見に合う料理や飲み物を持ち寄って花見を開始した。



テ「それじゃいくよ〜!」

「「「乾杯~!!」」」


お気に入りの飲み物で乾杯するお化け達。口裂け女とテケテケは勢い良くコップに注いだ酒を飲み干す。


テ「あ~!美味し~!!」

口「貴女飲めるのね⋯。てっきり未成年かと思ったわ。」

テ「言ってなかったっけ?私20歳だよ~!」

口「今更カミングアウトするのね⋯」

テ「うま~い!もう一杯!!」

口(しかもかなり酒豪⋯)

花「あんた何食べる?エビフライあるよ。」

ヒ「⋯ありがとうございます⋯」

花「てかさ、ここでつっこむのもアレだけど⋯何でこいつら居るの?」

「「⋯⋯⋯⋯⋯」」


太郎「花子ちゃん、あ~んさせて♪」

注射男「お酌なら任せて下さい!!口裂けさん!」

怪人アンサー「今夜は私と飲もうじゃないかテケテケ。」

さとる君「ヒキ子ちゃん!これも美味しそうだよ~!」


男子メンバーもまた花見に参加していた。普段ならば影から彼女達を覗き見ながらその愛らしさを語らい案の定それを見つけた彼女達に制裁されるオチとなるのだが。


テ「え?お花見なら大勢でやる方が楽しいかなって⋯」

花「ちょっと!あんたこの間アンサーと良い感じになったからって調子こくな!」

テ「良い感じって⋯たまたま失恋の痛手を慰めて貰ったっていうか⋯なんていうか⋯。」

口「あら、どんな慰め方を?興味深くてよ。」

ヒ(⋯⋯怪人アンサー⋯潰す⋯⋯)



そんなこんなで花見は更にヒートアップした。


花「じゃあ6番、スクワット50回!」

怪「おい!小娘!何て地味な命令をする!」

テ「がんばってアンサーさぁん♪ふひひ~」

怪「そ、そうか!うぉおお!!」

花「あはは、やれやれ〜 次誰王様ー」

さ「やった、僕だ!じゃあ4番、ゲーム終了まで猫耳着用!」

注「なんで持ってんだよそんなモン。4番誰だよ。」

ヒ「あの⋯⋯」

さ「ヒキ子ちゃんだね〜♪さぁ早く付けて~⋯って萌えェエ!!」


ただ今絶賛「王様ゲーム」中である。
現時点でテケテケは泥酔。口裂け女はまだまだイケる口で、怪人アンサーと飲み比べをし、注射男は無視されても尚ずっとお酌を続け、花子さんや太郎くん、さとるくんはかなりエンジョイし、ヒキ子さんもそれなりに楽しんでいる。



ヒ「⋯3番⋯私に引き摺られて下さい⋯」

怪「おい!さっきから何故私ばかり被害に遭う!ぎゃあああ!!」

ヒ「⋯⋯テケテケさんに手を出した罰ですよ⋯」

さ「猫耳セーラー服⋯萌えるなぁ~」

太「次は僕が王様だー!」

注「次こそ、次こそ口裂けさんをー!!」

口「お黙りなさい下衆が。」

テ「次私だぁ〜⋯すぴー⋯」
花「あ 寝た」

怪「ならば私が枕役を買って出よう⋯ぎゃああ!!い加減にせんか小娘!!」

ヒ「引き摺る引き摺る引き摺る⋯⋯」

注「うおっしゃあ!!王様きたぁ!!3番!!8番にキスしろぉお!!」

怪「私ではないかぁあ!!!」

注「何だとォ!?確かにはっきり盗み見した筈が!!」

口「さっきすり替えたのよ、ほほほ。」

花「ほーれやれやれ〜」

さ「早く~♪」

ヒ「うわぁ⋯」

注「畜生ォオ!!!!」

怪「やめろ近付くな胸ぐら掴むな押し倒すなうわぁあ!!」


テ「むにゃ⋯騒がしいなぁ⋯⋯え!!? 」

怪「は!?テケテケ、これは⋯違うんだぁあ!!」


「「「あははは!!」」」



4月某日、普段は静かな深夜の某小学校校庭にて、いつもより騒がしいお化け達の笑い声が響いたのであった。



END
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