第1部
丑三つ時に集いしお化け達────
女子会と言う名の愚痴大会を開くお化け達は多分仲良し。
今回は何を語り合っているのだろうか────
テケテケ「おはよ!ヒキ子ちゃん!」
ヒキ子さん「⋯⋯⋯⋯」
テ「今日も誰か引き摺ってたのかな?」
ヒ「⋯⋯⋯(こくり)」
テ「ふふ、そっか。」
某小学校の廊下で座るテケテケとヒキ子さん。
しかし口を開く回数が皆無に等しいヒキ子さん。それでもテケテケは毎晩声をかけコミュニケーションを取ろうとしている。
テ「あ。ヒキ子ちゃん、顔に血付いてるよ?」
ヒ「⋯⋯!」
毎日、常に人を引き摺り回す彼女は服や身体に血のシミを付けている事がある。
テ「ふふ。ほらここだよ。」
ヒ「⋯!」
テケテケはヒキ子さんの頬に付いた血を指で拭った。
そしてニコニコと柔らかい笑みを見せる。
ヒ「⋯あ⋯、ありがとう、ございます⋯。」
テ「どういたしまして。」
ヒ「⋯⋯⋯(こくん)」
実はヒキ子さんはそんな優しいテケテケに密かに憧れを持っている。
ヒ(また上手く声が出なかった⋯)
テ「ヒキ子ちゃん、うまく言えなくてもなんとなく分かるから大丈夫だよ。」
ヒ「⋯!(見破られた⋯?)」
テ「テケテケテケテケ♪
ヒ(侮れない⋯)
花子さん「ちょっと!さっきからドンドンぶつかって来ないでっ!」
口裂け女「あら、ごめんあそばせ。小さくて見えなかったわ。」
花「何ですって!?子供扱いしないで頂戴!」
口「ほほほ。弱い犬ほどよく吠えるのよね。甲高い声で鳴かれて喧しくてかなわないわ。」
花「このクソ女がぁ!表出なさい!悪魔の制裁を下してやるわ!」
こちらは口裂け女とトイレの花子さん。この二人は初対面時から不仲で毎晩喧嘩をしている。
まず口裂け女が花子さんをからかい喧嘩を売り、そして花子さんがそれを買う。
このやり取りを毎晩見ているお化け達(特にテケテケ)は頭を抱えている。
そう言っている間に女のバトルは始まった。
花「ぅるあっ!!」
口「ほほほ、遅くってよ?」
花「あんたは動きにキレがないわ!」
口「そう言う貴女も息が切れていてよ!」
花子さんは苛つきながらモップを繰り出し、それを鎌で受け止める口裂け女。
口「貴女の攻撃はやはり幼稚ね。太刀筋が読み易くてよ。」
花「そうかし⋯らッ!!」
バシィッ!!
口「!!」
花子さんの振ったモップの柄が口裂け女の腰にヒットした。子供故の容赦ない攻撃口裂け女は痛む腰を押さえる。
口「なかなかやるじゃない。しかも柄に何か仕込んでいるわね?」
花「ええ。鉄棒を中にね。」
口「小細工をしているなんて、生意気ねぇ⋯。」
武器を構え両者向き合い睨み合う。互いの周りに黒いオーラが渦巻く。
すると、
テ「あ~~!また喧嘩して~!」
ヒ「⋯⋯」
そこへグラウンドへテケテケとヒキ子さんが乱入して来た。
テ「もう!外なら良いって訳じゃないんだからね!二人共武器を下ろして!」
ぷんぷん怒りながら二人に説教を始めるテケテケ。その間二人は背中合わせの状態で不穏な空気を出している。
口「小さ過ぎて見えなかったのは事実よ。」
花「嘘よ!ぜーったいわざとよ!!花子分かるんだから!」
口「こういう時は受け流すって言うのが大人よ。お子様。」
花「はあ!?子供扱いしないでっていつも言ってるのに!!」
テ「もう!!またすぐ喧嘩して!!」
「「邪魔しないで頂戴足無し!!」」
重なった2人の言葉にテケテケは動きを止める。突然の静止にヒキ子さんも流石に焦りを見せた。
テ「⋯⋯⋯⋯」
ヒ「⋯テ⋯、テケテケさ⋯⋯」
テ「⋯人が穏便に済ませようとしてる中毎晩毎晩“足無し”たぁ⋯い加減にしろやゴラアアアアアア!!!!!!!」
「「「!!!!!!!???」」」
ついにテケテケはぶち切れた。
異様なまでの威圧感を噴き出し二人を睨み付ける。
テ「何が楽しくてそう毎晩喧嘩してんだよ!!止めるこっちの身にもなれや!!
てめぇらの下らねぇ喧嘩にはもうウンザリしてんだ!!ちったぁ大人しくしてろ馬鹿野郎!!」
花「は⋯、テケテケちょっと⋯」
口「貴女何言って⋯」
テ「黙れ!!もうこうなったら容赦しねぇ!!本当の悪魔の制裁を見せてやるわ!!覚悟しろやァア!!!」
初めて見せたテケテケの怒りに驚きを隠せない花子さんに口裂け女。そしてあわふためくヒキ子さん。
そしてそのまま二人は悪魔の制裁を受けたのであった。
目撃者のヒキ子さんは『地獄を見ました』と震えながら言っていた。
翌晩。
テ「おっはよう皆~!」
「「「!!!!!!」」」
テ「どうしたの皆?」
きょとんと首を傾げるテケテケにその時3人のお化け達は同時に心に誓った。
『二度とテケテケを怒らせてはいけない』と──────
テ「それじゃあ皆!今夜も仲良くお話ししよっ♪」
それでも皆は仲良し⋯なのか?
END